ナルトは第七班に関しては影分身に任せ、イルと共に波の国の都市に額当てを外して一般人として訪れている。
「波の国は初めてだからな楽しみだ」
「はい、マスター」
波の国は海に幾多か有る島に街が作られており、首都と呼ばれる場所でも新鮮な魚介類が売られている。
いい匂いが漂う方へ向かえば、朝採れたものだろう新鮮な魚介類が網の上や鉄板の上で焼かれている。
「美味そうだな、何か食っていくか?」
手を繋いでいるイルと屋台前のオッサンの前に向かえば、威勢のいい声。
「らっしゃい。ウチの秘伝のタレで焼いた貝は絶品だぜ!」
「ここの魚介類はこの辺りで取れるものなのですか?」
「おう、嬢ちゃん正解だこの島で取れるものを基本的に扱ってるぜ。特におススメはこのホンビノスだ、肉厚でジューシー噛み応えも一級品だ!」
「はん、バカ言っちゃいけないよ。ホンビノスだぁ?そんなもん誰も買わないから安く仕入れて高く売ったんだろうが、最高に美味いのはウチのハマグリよ!
坊ちゃん嬢ちゃん買ってきな!」
店主のオッサンの横から筋肉ムキムキでテカテカのボディービルダーみたいな隣の店主が話しかけてきた。
「えっとそれぞれ一本ずつでも良いかイル」
「はい、マスター」
マスターから渡された串焼きを一つ貰って大振りな貝、ホンビノスを口に入れてみる。炭火で焼いた香ばしさが口一杯に広がった後に咀嚼する事でホンビノスのエキスが口一杯に広がる。確かに旨味は少なく歯応えも硬い、恐らくこの貝の正しい調理法は煮込み料理だろう、煮込んで味を凝縮させて貝も柔らかくなるはず。
そう思いながらもう一つ口に入れてマスターの串と交換する。マスターはハマグリの串を大変美味しそうに食べていたのでこちらは期待出来そう。
同じ炭火の香りの後、一噛みで甘じょっぱいタレとハマグリの濃厚なエキスが溢れ口一杯に広がる旨味に知らず頬が緩んでしまう。
横を見れば眉をひそめるマスター、確かにこの味の後にホンビノスを食べたら物足りなさを感じてしまうだろう。
「ハマグリは美味かったが、ホンビノスはイマイチだな」
「そうですね、あのもう一ついかがですか?他にも色々食べたいので」
最後の一つをマスターに渡す、いいのか?と聞いてくるマスターに頷き渡した。
他の物も食べたいのは本当だ、初めて来たのだから有名なマグロやタイなども食べてみたい。
マスターが食べ終えるまでに次の屋台を探す。アレは何だろうか?細い魚を卵で巻いた料理が串に刺さって売っている。
様々な屋台を前にイルは胸をときめかせた。
いくつか屋台を周り腹が膨れた頃
マスターは最後に立ち寄った店員と波の国の見どころを聞いています。私としてはマスターと一緒ならばどんな所でも良いのですが。
「もし?お嬢さん良いお話があるのですが」
マスターから少し離れたベンチに腰掛けていたら荒事慣れしていそうな男性に声をかけられました。
イヤラシイ目で私を見てきます、前世この身体を整備してくださったマスターの目と同じですので間違いないです。
「貴方も気持ちよくなって、お金持ちになれるいい話です。興味ありませんか?」
「申し訳ありません、マスターにお仕えする事が私の喜びですのでお断りいたします。」
「そこをなんとか?」
しつこいですね、シズカ様が私の身体を求めてくるように鼻を膨らませて。
「イル、この道を少し進んだ所に劇場があるらしいんだ行かないか?」
「はい、マスター」
「ちょっとキミ、彼女は私が先に話していたんだが」
語気を強めてマスターの肩を強く掴みましたが、その瞬間チャクラごと魂を限界までマスターに吸い取られ気を失ってしまいました。
慌てる取り巻きを気にする事なくマスターは私の腰に手を回して促します。
劇場は名ばかりで見世物小屋が正しい言い方かもしれない平屋の建物、受付を済ませ小屋の中へ入れば客席が一面に広がりその先に一段高くなった舞台。
今日そこで催されたのはある男と女の生涯、違う里の忍びの悲恋の物語、敵対する里の中で敗れた男が逃げた先は敵対していた里の長の娘。
初めは敵対視していた男も徐々に女の献身的な支えを受け入れていきお互い愛し合うも里では認められず逃げ出すも最後は捕まり死んでしまう悲しい物語。
「悲しい、舞台でしたねマスター」
「そうだなあまり俺には合わん、前世も今世も悲劇などありふれてる、なら物語位はハッピーエンドが望ましいと思わないか?」
「そうですね、そう思います」
私達は前世確かに愛し合った、魂無き機械が心持つ程に愛を重ねた。
幸せだった事は確かだがそれでも、もっともっとお互いの愛を確かめ合いたかったのは事実。
マスターと私は喋る事なく静かに道を行く、重ねた掌の熱で心が踊り側にマスターの気配があるだけで身体が火照る。
マスターも同じ気持ちなのだろうか、繋いだマスターの熱が熱く心の臓の鼓動が穏やかにリズムを刻むのを感じる。
この腕を抱き締めたらどんな気持ちになるのだろう。そう思い腕を絡めて胸にマスターの腕を抱けば驚いたマスターが私を見てくる、きっと私の鼓動が踊るのを感じている筈だ、そう思うと頬が上気するのを止められない。
波の国の首都をいろいろ見て回り、その日は波の国の宿に泊まることにした。