俺のヒーローアカデミア~ザ・クロウラーⅡ世の英雄伝~ 作:神爪 勇人
「時間はいいのか?」
「ああ。ま、ちょうど今から出るとこだけど」
此処は東京のとある下町。
名を鳴羽田。
その一軒家から、俺は通っている『私立卍塾学園中等部』の制服である学ランに袖を通す。
「雄英の受験か・・・・・・時が経つのは早いもんだ」
「あー・・・・・・あれから4~5年くらいだっけ?」
俺はこの家の子だが、家族とは血が繋がっていない。
今話しているこの見た目の厳ついガタイの良すぎるオッサンに拾われたのだ。
背は年々追いつきつつあるのだが、横幅は中々追いつかない。
絶対高校在学中に抜いてやると秘かに決意し、玄関で靴を履き。
「んじゃ、行ってくるわ」
「うむ。お前なら今更緊張などしないと思うが・・・・・・」
「実技はな。親父に散々しごかれたし、現場にも出てたし」
「・・・・・・勉強は?」
「座学だよなぁ・・・・・・」
一応模試ではギリセーフ圏内だったから大丈夫・・・・・・だと信じたい。
しかし俺がこれから行く受験高校は、かの有名な『雄英高校』。
第四世代No.1ヒーローオールマイト並びにNo.2ヒーローエンデヴァーを筆頭に多数のスーパーヒーローを排出した実績とネームバリューで、ヒーローを目指す日本全国の中学生の憧れの的となっている名門中の名門。
その中でもヒーロー科はヒーロー偏差値79、入試倍率300倍と言われる桁外れの難関。
毎年雄英ヒーロー科の受験者数は1万人を軽く超えることから、その人気の程が窺える。
A・Bの二組があり、一クラスの人数は20人。一学年のヒーロー科は計40人。
その中の4人は推薦入学である為、一般受験の合格人数は36人ということだ。
退学や転校、あるいは普通科からの編入なんかもある為、あくまでもこれは入学時の人数だが、それでも1万人以上の受験者から36人を選抜しようというのだ。
試験はさぞ最難関だろう。
「ま、なんとかなんだろ。ミッドナイトとか真さんに、たまに勉強見てもらってたし」
「イレイザーの奴に試験内容を教えて貰えば良かったんじゃないか?」
「それ言ったら『ふざけろ』ってめっちゃ睨まれたな」
現在雄英高校の教師として就任しているプロヒーローの一部とは知り合いで、ちょこっと知り合いのミッドナイトに勉強を見てもらったりしていたのだが、同僚のイレイザーヘッドからは『自重してくださいよ』と睨まれていた。
まぁ、当のミッドナイトは『別に試験内容を教えるわけじゃないから』と気にせず、とはいえあまり風聞は宜しくないからかコッソリと見てもらっていた。
その甲斐あってか、座学も何とかなりそうなのである。
「・・・・・・っと、そろそろ行かねぇと新幹線に間に合わねぇか」
此処から雄英高校まで新幹線使って約1時間ちょい。
電車だと倍以上の時間が掛かるから、新幹線を使うのだ。
場所が静岡だからな。
「帰ってきたら入学祝いのパーティーをやるそうだぞ。航一も来るそうだ」
「航兄が来るってことは和姉も来んのか。そういや今、キャプテンがまた出稼ぎに来てるんだっけ」
キャプテン・セレブリティ。
これはヒーロー名で、本名はクリストファー・スカイライン。
ヒーローの本場であるアメリカで活動するメジャー級ヒーローで、この人とも色々あって知り合いで、彼の下でサイドキックをやっている兄貴分とも知り合いだ。
「珠緒や爪牙達も祝いに来ると言っていた」
「つか入学祝いは早すぎんだろ、受験に落ちたらどうすんだよ?」
「その時は残念パーティーだな」
「・・・・・・どう考えても親父達が飲むための口実にしか聞こえねぇ」
たぶんパーティー会場は喫茶店『ホッパーズ』だろうなぁ。
俺達の知り合いが経営している店で、行きつけでもある。
景気は良いらしく、何年か前に2号店を出してから更に良くなって更に店舗を増やそうとしているとかなんとか。
「ヒーローに必要なものが何かは、今更言うまでもないな?」
そろそろ家を出ようと扉を開けると、背にかかる親父の言葉。
それは、以前から何度も聞かされていた言葉だ。
「『強力な個性』に『プロ資格』——————そんなものは、真の正義には全く関係ない。成すべきことを前にした時、行動を起こせるか否か。ヒーローの魂に問われるのは、ただその一点のみ——————」
それはこれからヒーロー科に受験する者に言うような言葉ではなく。
「——————悪党を殴るとスカッとするぞ‼」
「いや受験だから、実技あっても悪党とかいねぇから」
実技次第だから殴るかどうかは知らんけど。
相も変わらずな親父に苦笑しつつ。
「んじゃ、行ってくるわ」
俺の名は雄黒 零。
これはヒーローの名門雄英高校で、俺が仲間たちと共に最高のヒーローになる為の物語だ。
これから受験編か、それかヴィジランテ編かは未定。