英雄殺し(スタゴナ・アステリ) 作:カリギュラ伯父上大好きマン
ワイ、武道が趣味のフリーター(32)。
宝くじで一発当ててギリシャ旅行に来たら災害に遭遇した挙げ句なぞのばしょに拉致される。幸運と凶運があまりにも極端すぎない?
「Έλα!」
「ぐっふぉ!?」
地震! 津波! 嵐! って怒涛の勢いで襲われて、死んだかな? とか思ってたらよく分からんローマのコロッセオみたいな所にブチ込まれて、このザマだ。
今はその地下にある薄暗い牢獄に転がされていたのを、妙に肌が灰色っぽいムキムキマッチョマンにむりやり立たされてどっかに連れて行かれようとしている。つーかよく見てみたらこの大男……。
石やんけ!(死んだ目)
いやホントなんなの? オレの腕を掴む感触とか冷たさとかどう見ても固い石やんお前。どうしてそんな生物的な動きができるんですかねぇ。
しかも関節とか肌のシワとか完全再現。石材が有機的な可動性を実現してるとかどういうことなの……。
「ちょっと待てギリシャ語は分かんねえんだからせめて英語……」
「Χαίρομαι.Ο Αχιλλέας της ταχύτητας θα κάνει τον αντίπαλό σας」
「げっふぅ!?」
急かすように背中をぶっ叩かれた。相変わらず容赦がない。何を言ってるのかも分からない。石造りの階段を登り、日の光が差す出口が見えてくる。もしやコイツ、オレを逃してくれるのだろうか。
強い光に目を眩ませながら、どうにか階段を登りきる。慣れ始めた瞳が捉えたのは、
「Εδώ.Είναι ένας ιερός αγώνας αφιερωμένος στους θεούς του Ολύμπου.Μην υπηρετείτε με αίμα, ιδρώτα και άγρια μάχες!」
「……は?」
闘技場、その中心にして……人間の屍と赤黒い血液、辺り一面に散らばった
「ゔっ!?」
吐き気が現実を突きつける。ぐじゅ、と踏み込んだその脚の感触が、もう逃げられはしないぞ、と逃避する意思を縛り付けた。
「は……は、冗談キツいぜ……?」
呆けたように呟いた。気づけば自分を連れてきた石像の大男も消えている。天を仰ごうとして、その中心に立つ血塗れの戦士を見つけたのは、決して偶然ではなかった。
「お前も巻き込まれたクチか?」
流暢な日本語に、とてつもない違和感がある。違う、この男の存在こそが違和感の原因に間違いない。一つ分かったのは、戦士がまっとうな人間ではないことだった。
災難だったな、と心底無念そうに嘆くのは、勇壮な黄金の鎧を身に着け、盾を背に掛け、槍と剣を携える緑髪の男。兜はなく、よく見れば足下に放り捨ててあった。
考えずともすぐに分かった。コイツだ。この虐殺の主犯は、間違いなくこの英雄然とした、この男なのだ。
「アンタ、なぜこんな事を……?」
祈るような気持ちで問う。問わなければ気がすまなかった。自分が殺される対象なのか、否かを。
「なぜ、ね。そりゃ俺だってこんな事やりたかないさ。当たり前だ。俺が殺したこいつらは、戦士じゃねえ。そもそもからして戦や決闘とは関係のない民草か、神経質な魔術師どもだ。俺の相手をするにはまったく相応しくない」
口調こそ若者らしい、それでいて堂々とした話し方だったが、どうにも古い物言いにばかり聞こえる。違和感が拭えない。戦士、民草、戦に決闘。その振る舞いは、まるで古代の神話に生きる英雄が如く。
「だがな」
強い、ひたすらに強い意志を宿した瞳が、力の抜けた体を穿く。全身が砕け散る錯覚に抗いながら、男の言葉を待った。
「
「……は?」
理解ができなかった。
実存すら定かでない妄想の生き物のために、この男は今を生きる人をなんら躊躇することなく殺すことができる。
恐ろしい話だった。
確かに、無益な殺生は好まないのだろう。平凡な日常、愛する者と過ごす時の尊さを知っているのだろう。
だが殺す。
必要とあらば、そこにためらいはない。もとよりその身は戦士、英雄。命とは散るもので、魂とは天高く捧げる供物なのだ。
明らかに現代の倫理観はない。殺し合いに命を賭ける恐ろしい者たちの、哲学の結晶とも言える古代の信仰者がここにある。
「狂ってるぜ、アンタ」
「なるほど、そう言われるような時代になったわけか。嬉しいねぇ。いらねぇだろうが、もし託せるならお前のような奴が良いんだが……」
やるせないねぇ、そういい残して英雄が槍と剣を抜いた。剥き身の鋼は、血に濡れてなお鋭さを失わずにこちらを睨めつける。
恐怖に身が竦んでもおかしくないだろうに、類を見ない気丈さで立ち尽くす体が、思い出したようにふるふると震えだす。それは命を喪う恐怖か、それとも……。
「安心しな、痛みはねぇ。せめて安らかに逝けよ」
構えた英雄がついに名乗りを上げる。其は一つの神話における最強の英雄、その一人。
「我が名はまつろわぬアキレウス! 俊足の名を賜りし大英雄である! オリンポスの神々よ! 我が戦、我が決闘をとくと御照覧あれ!」
ズドン、と散弾銃を発砲したような轟音と共に、槍の穂先が地面に突き立てられる。その行為にどんな意味があるのか、見当もつかない。だが、これは大事な儀式のようなものなのだと、直感的に理解した。
アキレウスを名乗るこの男は、あくまでも人として、己に立ち向かう相手を最大限に尊重して殺すのだと理解した。それがたとえ、自分のような取るに足らない弱者でも同じことだ、と。
トロイア戦争、最大の勇者。女神テティスとプティーア王ペーレウスの間に生まれた半神にして不死身の英雄。単騎でトロイアの軍勢を相手取り、無傷のままに勝利を重ねた規格外の戦士。最速と謳われたその健脚は、真実この世の何よりも疾く、あらゆる者を置き去りにしたという。
英雄アキレウス。彼は、己の決闘と、相対する者の命と魂を神に捧げるためにここにいるのだ。
「征くぞ、名も知らぬただ人よ。恨むなら、この俺を恨むがいい!」
膨れ上がった戦意が物理的な風圧となって、屍と血肉が吹き飛ばされる。
体の震えが止まった。感情が一周回って逆に冷静さを取り戻したらしい。ふと脇を見れば、盾と剣が転がっている。手に持って軽く素振りすると、鉄より軽く頼りない印象を受けた。材料はおそらく青銅だ。これでアキレウスを相手取れるかというと、無理と断言できる。
だけれども、それはそれとして、
その要因はいくらかあったが、最大のそれはというと、この理不尽に対する「どうしてオレがこんな目に」という憤懣である。よく分からん奴に、よく分からん理屈で、よく分からん物のために殺されねばならぬなど、まっぴらゴメンだった。
プッツンきたのだ。体の震えは抑えきれない怒りから来るもので、一周回って冷やされた頭は、このいけすかない英雄野郎をどうやってブチ殺してやろうかずっと考えていた。
盾を捨てる。これは不要だ。必要な時に剣を振るい難くする。
倫理観は異常な事態に溶け落ちて、生きるには修羅となるより他にないことを理解してしまった。命の喪われるその容易さが、実力というものがかけ離れた真の英雄と相対することで、よく分かってしまったからだ。
「なぁ、アキレウスさんよ」
「なんだ?」
「アンタがあのアキレウスならさ、
「……あぁ、ある」
「そっか。まぁ、オレも死にたくないからさ」
アンタが死んでくれよ。
剣を構える。殺すなら最初しかない。英雄を殺すには、出鼻を挫いて何もさせずにハメ殺すしか、手段はない。後の先を取り、動作の起きを潰し、俊足を止める。
意識が空になる。目で追えぬものを見て、考えるのは無意味だ。ならば瞳を閉じ、心眼による反射に身を任せる。さあ来い、いつでもいいぞ。絶対に殺してやる。
その意気や良し。もはや問答は不要とアキレウスは快活に笑う。
瞬間に地が砕け、英雄が疾駆する。英雄でもなんでもない、真実ただの人である男は、その流星が如き突貫に真正面から立ちはだかった。
「あー、負けたか。このアキレウスを打ち負かしたか」
「あぁ、勝ったぞ。殺したんだからとっとと死ねよ韋駄天バカが」
果たして決着はついた。英雄は敗北し、ただの人が勝利を飾る。踵を砕かれ、心臓を穿たれた英雄は、地に転がって天を仰いだ。
立って英雄を見下ろす勝者は、息も絶え絶え。英雄と剣戟を重ねた両腕は、その圧と衝撃に耐えきれずに流血していたし、骨が砕けなかったのは間違いなく奇跡だった。2本の足は今にも崩れそうなほどガクガク。立っているのもやっとなありさまで、勝者であることが不思議なくらいボロボロだった。
左足の損傷と胸の大穴以外、まったく無傷のアキレウスの方が勝者に見えるのも仕方ない程だったから、その満身創痍の具合も凄いものだ。
「まぁそう言うなよ。簡単に死ねるのなら、俺は英雄になぞなってねぇ、ということさ」
辛辣な物言いに苦笑をこぼしつつ、アキレウスが自慢する。
「うるせえ死んだんだから死ねって言ってんだ自然の摂理に従えオラ」
対する男はにべもなく死刑宣告を連発していた。流石のアキレウスもこれには呆れ気味だった。
「ったく、ボロボロの癖に元気のいいことだ。まぁいい、それよりも聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「なんだ、答えたら死んでくれんのか」
酷い言い草だったが、掛け値なしの本音でもあった。率直に言って、男も限界だったからだ。
なにせこのアキレウスという男。踵を砕かれ、心臓を穿たれたにも関わらず、なおも敢闘を続けたのである。これには男も面食らった。完璧に殺した筈が、逆襲の猛攻を仕掛けられた時には、これまでかと諦めかかったほどだった。
もっとも、防戦一方に追い詰められながらも致命傷を負わずに戦い続けた男の異常性には、アキレウスも吃驚だったが。
ほどなくして地に膝をついたアキレウスを知覚し、精魂尽き果てた様子で剣を放ったのも半ば無意識のことだった。
「おう、話すこと話したら後腐れなく逝ってやるぜ」
アキレウスの言は、敗北して致命傷を負ったとは思えないほどスッキリした声色だったので、あれほど辛辣な文句を重ねていた男も「じゃあ言えよ」と話を促した。
「お前、なんて名前なんだ?」
飛び出したのは、特に何ということもない普通の質問だった。肩透かしを食らった男は、変な緊張がほどけて実に素直な気持ちで名乗りを上げる。
「高橋次郎。高橋が姓で次郎が名前だ」
名を聞いたアキレウスは満足したように数度頷き、あっけらかんとした様子でとんでもないことを言い放つ。
「よし、じゃあ次郎。これから面倒くせぇことに巻き込まれるようになるだろうから、俺の力を貸してやる」
「……は?」
理解が及ばないといった様子の次郎を無視して、アキレウスは朗々と続けた。
「なぁに、今この場は神々にすら干渉されん決闘場だ。俺に勝った名誉ある勝者を不躾な連中の手駒にゃあさせたくねえからな。今の内に済ましてやる」
「ちょっと待てどういうことだコラ」
堂々と自分の都合を語るアキレウスに、次郎は素早く詰問を始める。しかし、詰られるアキレウスは次郎に配慮する様子を全く見せない。
「ハッハ! 聞いて驚け、次郎! お前には、
「おい、おい待て、まるで意味がわからんぞ!?」
ここまで言われると、さしものアキレウスも弱いのか、先程よりかは少し詳しく語った。
「じゃあ分かりやすく言ってやる!勝者はお前、敗者は俺だ! だから勝者たるお前に、高橋次郎に! 敗者たる俺の持つ、すべての力を与えるものとする! 」
恐ろしい殺し文句に聞こえたのは気のせいである。少なくとも、おふざけの類いでないことは、声色の真剣味から簡単に予想できた。
だからこそ、解せない。次郎は、己のような必死に生きるしか能のない普通の人間(とはいえアキレウスという規格外の英雄を殺した以上はそうとも言い難いのだが)に、古代の英雄が力を託そうとするのがよく分からなかった。
「アキレウス、あんたは……」
不思議さから自然と口をついた問いかけは、素早く二の矢を放ったアキレウスの口に閉ざされた。
「生きろよ、次郎。オリンポスの神々に対して不敬ではあるが、お前の生きる時代は、神様に支配された古い時代よりも、万倍素晴らしいぞ」
戦士であると同時に、一人の信仰者でもあるアキレウスのセリフとは、およそ考えづらい一言に、次郎の思考は一時停止をしてしまった。
思わずアキレウスの顔を凝視すると、彼は至って真面目な表情だったので、これは冗談でもなんでもなく、アキレウスが本当に言いたかったことなのだとすぐに分かった。
「古い時代に、人権なんてなかった。その基礎となる道徳は、まだ未熟な時代だったんだ」
紀元前、鉄製の道具すらなかったその時代は、
アキレウスは、当時はまだ珍しい余裕を持つ人間の一人だった。
神の祝福によって、およそ不死身の肉体を持つが故の、一種の超越者が持つ特殊な視界だったことは間違いないが、それでも塵屑の如く神々に搾取される命にアキレウスが疑問を持ったのは事実だったのである。それと同時に、人が持つ悪意についても、限りがないことを薄々ながら察していた。
「神は傲慢に力を振るい、人は信仰の名のもとに悪逆非道を成したものだ。ひどいなんてもんじゃない」
俺だってそうだ、と英雄は自嘲した。
「竹馬の友を戦争で殺された俺は、その仇を何年もかけて殺して、亡骸を戦車で引きずり回したのさ」
心底後悔している様子で、アキレウスはなおも語る。
「そいつの親父さんにさ、涙を流されながら嘆願されたよ。どうか、息子の葬儀をさせてほしい、遺体を返してくれってさ」
結局、俺もまた人でなしに過ぎなかったと知ったのは丁度その頃だった。そう呟くアキレウスの語りは止まらない。
「そのいくらか後に、敵軍の将として立ち上がった女に、決闘で勝利した俺は、またしても敗者を辱める低俗な行いをした」
反省しても、これさ。疲れた声色だった。英雄として、無敵に等しい存在であったからこそ、強さとは関係のない所に深い思想を持ち得たのは、皮肉でしかなかった。
「結局俺は、最期まで自分を許せないまま、意地を張って死んでいった。それは別にいい、それが俺の人生だったからな」
駆け抜けた生に後悔はあれど、未練はない。そう語るアキレウスの表情は晴れやかで、次郎には人生を生き抜いた者の矜持がそこにあるように思えてならなかった。
「だが、だがよ、次郎。お前たちは、今は違うんだろう?」
急に問われたので、次郎は返事がままならなかった。どう答えていいか分からなかったのもある。しかし、続く言葉にハッとしてアキレウスを見た。
「そういうところを考えても許される時代になったんだろう?」
あの神代は、勝者がすべてだった。勝者が敗者を極限まで淘汰する、そんな思想が蔓延っていた。だが、今は違う。それをアキレウスに確信させたのは、今を必死に生きるただの普通の人間だったのだ。
「美しさとか、華々しさとか、そういうのなら確かに俺の時代の方が鮮やかなこともあるだろうが、そんなことより、普通の人が普通に生きられる世界なんて、本当に素晴らしいぞ」
「全員じゃないさ」
迫害に、飢餓に、渇きに、貧困に、病に、苦痛と不安と恐怖に喘ぐ受難の人々は数多い。次郎はそういった人たちを直接見たわけではないが、そういった存在を確かに知っている。苦しむ人と普通に生きられる人との数を計る天秤は、前者に大きく傾いている。
だから、アキレウスの言葉は現代の上辺だけを見た物言いに思えてならなかった。
だけど、と続けるアキレウス。声が力を失っていくのが分かった。死というものは万人に等しく訪れるもので、それは英雄といえども例外ではない。それがなんだか寂しいような気がして、次郎は複雑だった。
「それでも、人並みに生きることができる民草は俺達の頃よりずっと多い」
「………」
次郎はついに何も言えなくなってしまった。アキレウスの言いたいことがわかって、言うだけ野暮と了解したのである。
「なぁ、次郎」
万感の想いを込めて、アキレウスは語りを閉じた。
「今のこの世界はな、素晴らしいぞ!」
―――生きて戦う価値がある!!!
力強い断言。明るく血生臭い時代の大先輩が、暗く薄汚れた時代のちっぽけな後輩に贈る激励。次郎は知らずの内に涙を流して、すぐに気づいてそれを拭った。
「あっ」
再び目を開けると、英姿颯爽とした勇者の姿はもはやない。アキレウスは俊足の名の如く、風のように去って行った。
ふと、胸に熱いものが込み上がる。どうやら本当に、アキレウスの力は次郎に預けられたらしい。
英雄殺しの槍、あらゆる攻撃を撥ね返す黄金の鎧、輝く兜を貫いた剣、世界を内包する円盾、三頭の神馬と戦車、俊足の脚、踵を除く肉体が不死身になる加護、無双を誇る武技、ついでに少女に化ける能力。
まるでバーゲンセールみたいだぁ、と呟いたのは、あまりの大盤振舞いに笑えるのか笑えないのか、ちょっと分からなくなったからである。最後のに関してはノーコメントを貫き通す所存らしい。
引き攣った笑顔を浮かべながら、次郎は息を整えた。英雄は既にいなくなったが、こちらはまだ別れの言葉を言っていないことを思い出したのである。
「じゃあな、大先輩。俺はアンタみたいな太く短い生き方はしないよ」
皮肉だけど、本心だった。自前の武力なんていうのは、アキレウスの遺志の上では必要とされなかった。アキレウスが次郎に預けたすべては、結局のところ面倒ごとの露払いのためのものであって、別段必要とされるわけではないのだ。些かどころか過剰が過ぎるトンデモプレゼントだが、それはさて置こう。
それでも、と譲渡を行ったのは、神に嫌われた者の苦労譚にして英雄譚を、師より聞き及んでいたからか。なんにせよ老婆心からのお節介に違いなかった。
瞬きの後、闘技場は消え去っていた。気がつけば、災害の痕が残る古い街並みが視界いっぱいに広がっている。その片隅の路地裏で、次郎はボケっと突っ立っていた。津波も、嵐も、どうやら過ぎ去ったようである。狐につままれたような心持ちだったが、それより先に命を長らえたことに対しての安堵が現れた。
ふぅ、と漸く一息つくと、路地の先に広場が見える。ついでに言えば流されていなかったらしい水濡れのベンチも。やっと休憩できる、とフラフラの足取りで歩き始めて、ふと後ろを振り返った。
「だから、まぁ、じゃあな。アキレウス」
前に向き直って、次郎は変な顔をして頭を搔いた。二度目の別れの言葉は、自分で言っておきながら不思議な心地だったのだ。
そうして次郎は今度こそ振り返らずに、ぐちゃぐちゃの泥に塗れた路地裏から、爽やかな風が吹く瓦礫だらけの広場へ足を踏み入れた。
本作の目的:主人公がまつろわぬ神々スレイヤー=サンと化してジェノサイドすること。
別に神殺しだったりはしない。パンドラマッマから(結果的に)審議拒否を食らう男、高橋次郎。
クソみたいなギリシャ語はグーグル先生に訳してもらいました。特に重要な事は言ってないから安心して♡