蛇の元夫   作:病んでるくらいが一番

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多分R-15タグがあるから大丈夫なはずです。
問題になりそうなら描写を抑える方向で改修します。


第30話:大切な話はベッドの中で

「改めて、初めまして三船疾風です。死武専の矛とか言われてたりしますけど、明らかに敵対してくる魔女でなければ手を出したりしませんので。あといつも妻がお世話になっております」

「俺はメデューサに救われたから当然だ。恩があるからな。こちらも世話になっている。こんななりだからまともに買い物すら出来ないんだよ」

「もしかしてブラック☆スターとキッドをボコッたのって貴方……だとしたら不死身の魔眼?」

「ああ。今はフリーと名乗っている。よろしく頼む」

「分かったよフリー。よろしく、俺はハヤテでいい」

 

 畳の部屋で男同時で握手を交わしていた。

 

 三船の所有する日本にあるセーフハウスに、クロナラグナロクを除いたメデューサ陣営と共にハヤテは来ていた。

 待ち合わせ場所の茶屋にメデューサとハヤテがついた時、メデューサが小脇に抱きかかえられているのにエルカが吹き出したりしたが、特に道中何も無くセーフハウスについた。

 

 ただ誤算だったのが、ミフネが合流ポイントに居なかったことだ。ミフネは自分が子供の時から子供は護られるべきだなどと口にしていた。自分を顧みず、他の子供に施しをしていた。そんなミフネが死武専に守っている子供が狙われなくなるという契約を破棄するわけがない。

 しかし現実には合流ポイントには居なかったので、何かしらに巻き込まれたのだろう。ハヤテの連絡先は伝えてあるので、きっと連絡が来るはずだ。

 

 

 

 ハヤテは魔女の間では他の職人達に比べたらマシだと思われている。無力な魔女を見逃し、逃走の手配をした事など片手では収まらない。しかし同時にハヤテは血塗られた称号(死武専の矛)も持っている。

 そんなハヤテを魔女らしい魔女のエルカもミズネも怖がらず、逆に蛇に雁字搦めにされて大変だねとまで言われる始末。

 

「本当にうちのメデューサがお世話になっています。多分無茶や無謀もお願い……命令されたことだってありますよね? ほんとうに申し訳ない」

「いいのよ。これでもメデューサとは友人関係なの。それに無理なことは断っているし、メデューサの仕事は実入りがいいもの」

「メデューサと居ると美味しい物も食べられる……チチッ」

 

 畳の部屋でメデューサを除くメデューサ陣営は寛ぎながら、ハヤテと初顔合わせの挨拶をしている。エルカは何かを読んでいて、ミズネ(三体合体)は出された羊羹を美味しそうに食べている。フリーだけは魔法の構築をしている中、メデューサはというと、

 

「……」

 

 今この場でメデューサに発言権はないのか、口を布で塞がれ、ハヤテの横で正座をしている。こんな口枷などメデューサならコンマで抜けられるが、夫が付けた枷を許可なく外す気は無い。メデューサはちょっとだけ興奮してしまったことは内緒だ。

 

「エルカさん」

「さん付けなんて要らないわ。それでなに?」

「俺がメデューサに洗脳されていたらしいんですけど、その事って説明して貰えます? メデューサは俺には嘘をほとんどつかないけど、事実を言わない可能性があるので」

「……!!」

「やめ!」

 

 メデューサは今まで魔女である事を隠していた以外は特に嘘はついていない。しかし真実を話していないことも多いはずだ。意図的に話し方を変え、嘘を言わなくても良い話術などメデューサにとって朝飯前だろう。

 

 それで現状を切り抜けようとしていたメデューサだったが、ハヤテがエルカに話を投げてしまったのでエルカだけにメデューサは殺意を向けた。当然ハヤテはそれに気が付き、メデューサのお尻を強めにスパンキングした。とても良い音が部屋に響く。

 

「んッ! ほへんなはい(ごめんなさい)

「……俺は別の部屋に行っている。終わったら呼んでくれ」

「すまんな」

 

 割と鋭い音が鳴ったのにも関わらず、メデューサは顔を赤くして目が潤んでいる。エルカ達はあのメデューサが本当にこんな風になるのかと、内心驚愕している中、フリーは居心地が悪そうに部屋を後にした。

 

「……えっとそれでエルカは分かる?」

「分かるけど……話していいのね?」

 

 エルカの問いにメデューサは目を先程とは別の意味で潤ませ、イヤイヤと顔を横に振る。メデューサはこの真実だけは伝えたくないのか、本気で嫌がっている。

 そんなメデューサの頬にハヤテは手を添え、布の口枷を取りつつ、エルカやミズネが居ることも憚らず、メデューサに深いキスをする。いわゆるディープで大人なヤツだ。何度かそれをすると、メデューサは身体を震わせ、畳に倒れ込む。

 

「大丈夫だから。ちょっとだけ本気で怒るかもしれないけど、嫌いになんかならないから。逆に隠されると疑心暗鬼になっちまうな、メデューサへの愛が」

「……!」

 

 メデューサはハヤテの言葉を聞き、観念したのか真っ赤な顔でエルカに頷いた。同じく顔が真っ赤なエルカはまだ飲み物は残っているのに取りに行き、少し時間を置いてから話し始めた。

 

「そうね……まず貴方とメデューサの出会いから話しましょうか」

「頼む」

 

 エルカは興奮しながら絶望するという器用なことをしているメデューサをチラ見してから話し始めた。

 

 昔昔なんて言うほど昔ではなく、だいたい10年と少し前、メデューサは死武専に潜入していた。別に何かするわけではなく、定期的にデスシティー(敵の拠点)を偵察していたのだ。

 その時運悪く、メデューサは悪人の悪行に巻き込まれてしまった。あまり大きくはない喫茶店で客を人質にして金銭を要求するという、死神様のお膝元では本来ありえないことが起きた。メデューサは被害者として保護される可能性に気が付き、すぐにその場から出ようとした。ソウルプロテクトを掛けているが、職人と接触するのは宜しくない。しかしその行動が不味かった。

 

「お前生意気だな。てめえが人質になれ」

 

 その喫茶店で一人だけ生意気な目をしていたメデューサは人質となってしまったのだ。もちろんメデューサなら魔法なんか使わなくても楽に倒せるが、もしここで暴れた結果魔女バレした場合、死神がすっ飛んでくる。それ即ち死だ。

 メデューサは苦々しげな表情を浮かべながら、大人しく人質になった。メデューサが人質になって十秒もしないうちに、喫茶店の入口が開かれる。

 

「マスターいつも……は?」

 

 ちょうどマリーと付き合っている時期のハヤテがその喫茶店に入ってきた。

 

 

「ちょっと待った!」

「嘘はついてないわ」

「……まじ?」

「なんで疑うの?」

「デスシティーの喫茶店で人質を取って立て篭りなんてくっそ珍しい事件だから覚えてるよ? あの時綺麗な金髪の女性が人質に取られていたのも覚えてる。だけどメデューサじゃなかったぞ」

 

 ハヤテが隠居する前に解決した最後の事件なので彼も覚えている。しかしあの時助けた女性はメデューサではなかったし、何よりも胸が大きかった。マリーレベルはあり、もしあの時マリーと付き合っていなければナンパをする予定だったことも覚えている。

 

「あれメデューサの変装よ……くふっ、普段の姿とかけ離れた体にして変装してるって言ってたけど……ぷっ、胸盛るなんて」

『お前を殺す』

「びえっ!? め、メデューサ? ちょっとしたジョークじゃない。フロッグジョーク!!」

 

 メデューサの目が(捕食者)の目になり、エルカに本気で殺意を向けた。ハヤテは今回は止めず、エルカが平謝りし続けることによって何とか収まった。

 ちなみにハヤテは好きな人の胸のサイズが好きになるので、別に大きいとか小さいとかどうでもよかったりする。なお、マリーやアリスや梓を筆頭に、胸が普通乳以上の人とばかり交流を深めていたのは内緒にしている。ちゃんと貧しい人も愛でていたからノーカンだ。

 

「こほん……貴方が喫茶店に入ってきて、現場を把握したその次には拳銃で犯人の腕を撃ち抜いていた。その後すぐに事件は解決した。ここまではいいわよね?」

「ああ。あのあと変装メデューサは平気だって言うからそのまま帰したってことは覚えてる」

「まずその記憶が嘘よ。あと言っておくけど、ハヤテが店に入ってきた時にメデューサは貴方に一目惚れしたわ」

「え?……マジ?」

「まじょ」

 

 ハヤテの記憶では街中でメデューサ(当時はナザールと名乗る)と出会い、一目惚れをして百の告白をし、付き合ってもらえたという記憶しかない。

 

 だが実際はメデューサがハヤテの顔に惚れ、それと同時にハヤテがあの死武専の矛である事を理解した。その死武専の矛は浮世を轟かせていたし、接近することは容易だと分かっていたので、少し嵌めてみる事にした。その後メデューサがハメられた訳だが。

 

「初恋で一目惚れだったんじゃないかしら。それが恥ずかしくて、死武専の矛を手駒にするという最もらしい理由を立てて、貴方にこう迫ったのよ」

「「私は貴方に恩を返したいです。もし返す機会を与えて下さらないのなら、私はここで死にます」」

「あら? 覚えていたの?」

「……今思い出した」

 

 エルカはハヤテを手に入れたセリフとして、メデューサに何度も聞かされているので覚えていた。

 ハヤテはエルカが口にしようとした時、唐突にその言葉が思い浮かび、エルカと共に口にすることで、あの時のことを思い出した。

 

「あの後一夜限りのお礼をして貰った俺は……次の日に変装していないメデューサに会って、初対面で一目惚れするように洗脳されたのか」

「貴方にメデューサが抱かれている時、首を噛まれたと思うのだけど、その時に魔法を流し込んだらしいわ」

 

 ハヤテは性行為をしている時だって、ほんの僅かな敵意や悪意があればそれを見抜き、行為中の女性を半殺すことだって出来る。しかしメデューサは単純に惚れてしまい、何としてでも、どんな手段を取ってでもハヤテをモノにしたい。そんな悪意や敵意とは違う、愛の感情を向けられていたので、ハヤテはそれ(洗脳)に気がつけなかった。

 スピリットはハヤテがもし他者に殺されるなら、ヤンデレな女性を抱いている時に殺されると予想していたが、当たらずも遠からずといった感じで人生の墓場へと歩みを進めていた。

 

 メデューサはこの事は他者に、例え友人になった相手だったとしても言わない方がいいことはわかっていた。だが、ハヤテと日本で暮らし、少しの期間だが幸せに暮らしていた時、罪悪感で死にたくなった。だからこそ、負荷を少しでも減らすために、懺悔するようにエルカとミズネに話していた。

 

 ハヤテの一目惚れは彼自身の意思ではなく、メデューサに植え付けられたものだったのだ。メデューサとの出会いについてやっと全てが分かったハヤテを、メデューサは泣きながら身体をガクブルと震わせつつ、判決を待つ死刑囚のように見ている。

 

「……俺はなんも言えねえかな」

「え? 言わないの?」

「だって俺も好きな人が出来たら違法な手段や規律的にしてはいけないこと以外のどんな手段でも使うからね。マリーがぶっ叩きジョーに捨てられた後に近づいて、マリーを肯定し続けながら快楽堕ちさせたわけだし」

「でも自分がしたから、それをされても許せるわけじゃないわよね?」

「まあそうだけどさ」

 

 涙を流し、正座をしながら伏せてしまったメデューサを抱き上げる。前に横抱き(お姫様抱っこ)をした時に比べ、今のメデューサはとても幼い。マカやクロナと同じ……いや、まだマカの方が発育がいいかもしれない。

 そんな小さいメデューサが恐怖に震え、しかし先程のキスによって雌の匂いも漂わせている。

 

「始まりが洗脳だったとしても、それを知った今の俺もメデューサを愛している。だから関係ないさ……まあ、マリーやアリスには土下座をして許してもらわないといけないかもだけどね。特にマリーは」

「ゆ、許してくれるの?」

「いや、やっぱり許さない」

「……」

 

 メデューサの目から光が消えた。愛していた人に許されない。ただそれだけでメデューサは絶望し切ってしまったようで、それほど愛されているのかとハヤテのハヤテに力が入る。

 

「罰として俺の欲望を全部受け止めてもらうからね」

「……え?」

「今夜は寝かさないから」

「…………待って、ハヤテさん待って!!」

「じゃあ、そういうことでエルカにミズネ、先に寝るから」

「ええ」

「好きに食材使う」

「チーズもあるよ」

「待って! 無理だから! 今のハヤテさんは」

 

 ハヤテの腕の中で顔を真っ青にして騒ぐメデューサの唇を再び塞がれながら、廊下の奥の部屋に消えていった。

 

「……ねえミズネ」

「今のあいつ(ハヤテ)はメデューサを殺した時の発狂で、旧支配者みたいな力を僅かに覚醒させてるチチチッ」

「愛欲って性欲よね? 他者を蝕むほどの愛欲の狂気を発する男の欲望を全て受け止めるって……メデューサ下手したら死ぬわね。腹上死?」

「抹茶アイス美味しいからどうでもいいチチチッ」

「…………フリー! 無干渉領域(インディペンデントキューブ)をあの部屋に貼って、今すぐ!!」

 

 エルカの機転によって、蛇の獣のような声は聞こえることはなかった。

 死ぬほど愛されると本当に死ねるんだなと、肉体から魂が抜けかけたメデューサは後に語る。

 

 

 ***

 

 

 カーテンの隙間から陽の光が暗い部屋に入り込む。この部屋にハヤテとメデューサが入ったのは前の日の昼前で、今は次の日の朝を過ぎたくらいだ。

 ぐったりして全く動けないメデューサを備え付けのシャワーで綺麗にして、もう洗濯をしても使えないシーツを捨ててから引き直し、腰の抜けた裸体のメデューサはハヤテの腕枕で甘えている。甘えながらハヤテの首元に牙を立て、自分のモノだと示すように噛み跡を残す。ハヤテの首筋には蛇の紋様が浮かんでいるが、ハヤテはそれを喜んで受け入れる。

 

「ハヤテさん」

「なに?」

「……もしハヤテさんが老衰で死んでしまったとしても、絶対に新しい体に魂を移し替えて生き返らせるわ」

 

 メデューサの目には光が宿っているのに、その瞳の奥にはドロドロとした狂気が渦巻いている。魔女は狂気の影響をほとんど受けないが、狂気そのモノな存在に体を貪られれば、影響は免れられない。

 そんなものがなくても同じことを口にしていただろうが。

 

「もし本当にやるならジジイになる前に……いや、ジェントルマン的な老紳士も捨て難いな。メデューサを性的に満足させられなくなったらすぐに変えて欲しいかな」

「言質は取ったわよ?」

「魂が朽ち果てるまで共にいるって指輪を渡した時に誓っただろ?」

「狡いわホント」

 

 ハヤテの胸に顔をくっつけて、耳まで真っ赤なメデューサは顔を見られないように隠す。悶えているメデューサの体をハヤテは折れそうなほどの力で抱きしめる。メデューサはハヤテの存在を強く認識できるから、痛いほど強く抱き締められるのが好きなのは10年前から変わらないようだ。

 

「……聞かないの?」

「鬼神を復活させた理由のこと?」

「そう。私はハヤテさんに嫌われることをしたくない。にも関わらず鬼神を復活させたのよ」

「話してくれるの? 俺は別に話してくれなくてもいいかなって思ってたんだけど」

「私の全てを知って欲しいからこれも話すわね」

 

 メデューサは上目遣いでハヤテを見ながら、鬼神を復活させた理由を語りだした。

 

 これからハヤテと長い時を生きていく(彼女の中では確定事項)。そこで問題になってくるのが死武専と魔女の問題……ではなく、鬼神という存在だ。

 死武専と魔女の関係も問題だが、俗世との関わりを断てば関係ないこと。

 

 メデューサは鬼神が死武専の地下に封印されていることは当然知っていた。そしていつかは封印を脱して出てきてしまうことも。

 それはいつか? 封印の主たる死神が死んだ時だ。

 

 死神は生と死を司っているが、一応あんな見た目でも死神という種族としてカテゴライズできる生き物だ。命に限りのある生物だ。

 永久を生きようと思えば生きていける魔女と同じく、寿命がほぼ無いに等しいが、それでも死神はいつか死ぬ。

 これは妄想などではなく、確固たる証拠がある。

 

「自らが弱体化してしまうのに、力を分け与えて息子を作った。これが何よりもの証拠ね」

 

 永遠に生きられるのなら、生物は生殖を行わない。数を増やそうとしない。しかし死神はデス・ザ・キッドを生み出した。

 今の死神は鬼神を封印していられるが、キッドの代になったらそれも分からない。そして何より鬼神が復活してしまった時、キッドが対抗出来るかもわからない。

 

「私たちが生きていくのに最も邪魔な存在は鬼神なの。私たちが生きていくには食べ物が必要。それを作っているのは人間。魔女だって食料を自給自足しているけど、全てを作れる訳でもないし、何より普通の魔女は飽きやすいから期待できないわ」

 

 メデューサもハヤテも生物だから飲むし食う。出来るだけ美味しいものを食べた方が幸せになるし、機嫌も良くなる。

 男の胃袋を掴むことこそ勝利の秘訣だとメデューサは思っているので、食が満足に出来なくなれば仲に亀裂が入るかもしれない。

 

「鬼神は邪魔。でも死神が死んでキッドの代になった時に倒せるかわからない。だから今のこの時代に鬼神を復活させたのよ」

 

 死神が未だに現役で戦える。ハヤテやシュタインがいて、デスサイズも沢山いる。

 鬼神を復活させれば世界は混乱し、悪人が跋扈してしまうかもしれないが、それだけキッドや今の子供たちが戦う場面が増える。

 

「ハヤテさんやシュタインが強いのは、センスや才能もあるけれど、何よりも動乱期に嫌という程戦ったからだと私は分析しているわ」

 

 鬼神という敵発生装置を使って、敵を増殖させ、キッドや有望な若者をレベリングする。世界を使った養殖をメデューサは目論んでいた。

 実際とても危険な賭けだ。キッドやブラック☆スターなどが戦力になり、死武専が総力で挑めば鬼神に勝てるだろう。だが鬼神だってそんなことは分かっているはずなので、それを妨害するため、キッドやハヤテ達が殺されるかもしれない。

 

「でも未来のことを、ハヤテさんと幸せに何世紀も暮らすことを考えると、今の時代が最も効率がよかったのよ」

「……もしかして鬼神って弱体化してたりする?」

 

 朧気に覚えている鬼神VS死神の様子を思い浮かべる。鬼神が微妙な顔をしながら、死神様と対面していたのを覚えている。あの後すぐに電気ショック(マリーの抱擁)を受けたので、それが正しいのかイマイチ分からない。

 

「ええ、ハヤテさんに昔に施したことのある、武器との波長のやり取りが出来なくなる呪いを含ませた液体を注入させたわ」

 

 鬼神は強いがヴァジュラが使えなければ死神は負けることは絶対にない。ならばヴァジュラを使えなくしてしまえばいい。

 

 魔女が新技術を編み出せばイタチごっこの如く、死武専がその新技術に対してアンチ新技術を開発する。魂感知を技術的に確立させ、才能があれば魔女を見抜けるようにした。それに対して魔女はソウルプロテクトで対抗した。

 生まれた技術はいつかは陳腐化する。メデューサは鬼神のヴァジュラを無効化できる技術が腐る前に作戦を進めたかったのだと語った。

 

「もちろんハヤテさんにはこの事を話して協力してもらうつもりだったわ。ハヤテさんの寿命問題が解決できないと当時は結論づけてしまって、絶望して魔力の導きに惑わされなければ」

 

 メデューサはハヤテから目を離して落ち込みそうになるが、ハヤテがメデューサの首元に吸い付き、メデューサがやったように跡を付ける。すると、恥ずかしいのやら嬉しいのやらメデューサはニヤニヤし出し、暗い気持ちが吹き飛んだ。

 

「昔のことはもういいさ。結局は鬼神を殺す為に弱体化させて表に出した。鬼神の影響で増える悪人を職人に狩らせて、レベルアップを促す。やりたいことは分かったけどさ、今から俺たちがやれることってあるの?」

 

 ハヤテはメデューサの先読みに驚きつつ、だからこそゴーゴン姉妹なんていう別称を付けられているのだと理解する。それだけ優秀な彼女が鬼神と戦うまでにスケジュールを組んでいないわけがない。

 ハヤテに期待の目を向けられ、メデューサは少しだけ体が震えたが、潤んだ瞳でハヤテに次を示す。

 

「アラクネが動き出したはず。もしあの女が動き出したこなら、最初に狙うものはただ一つ」

「それは?」

「エイボンの魔道具の中でも最高傑作と言われている作品、BREW。死武専もそれが分かっているでしょうし、私たちはそれを横から掻っ攫うわ」

「それは平和な世界のため?」

「死神が作る世界が一番私たちが安心して暮らせる世界ですもの。当然目指すは平和な世界よ」

「分かった。俺も手を貸そう」

 

 ハヤテは真っ直ぐにメデューサを見て、今度こそはメデューサを失わないようにしようと固く魂に誓った。メデューサも同じようにハヤテを今度こそ裏切らず、嘘をつかず、失わないようにしようと魂に誓った。

 

「……の前に、お仕置きの続きしてもいい?」

「え?」

 

 セーフハウスをメデューサ陣営+ハヤテが出発したのは、更にもう一日経ってからだったとか。




ミズネが三体合体で中学生くらいのサイズ。
メデューサが培養時間足りなくて中学生くらいのサイズ。

本当に特に意味は無い。ただ五体合体(ブレアと張れるほどの巨乳)はメデューサの前では出来ないだけ。
原作幼女と大人メデューサの間を取っただけ。

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