この素晴らしい世界に大富豪を!【短編】
「勝負よめぐみん!今日こそ決着をつけるわよ!」
「はぁ、またあなたですか。あなたも懲りない人ですねぇ。でもいいでしょう格の違いというのを思い知らせてやります」
俺たちの屋敷の前にいつものようにゆんゆんがめぐみんと勝負しにきていた。
出会った頃は極度の人見知りと持ち前のぼっち気質を遺憾なく発揮して、俺たちのパーティに遠慮して屋敷を訪ねてこなかったゆんゆんだが、最近はそれも改善されつつある。
「あっカズマさんどうもです。これ皆さんで食べてください!」
・・・・・・と思ったのだが、やっぱりそうでもなかったらしい。冬になって暇が出来たのか毎日屋敷を訪ねてくるのだが、そのたびに手土産を持ってくる。
しかもそこそこ高級なものばかりを持ってくるあたり俺たちに遠慮しているのだろう。高級タルト、高級ケーキ、高級焼酎に霜降り赤ガニまで持ってくることがあった。
・・・・・・いや、嬉しいんだけどね!心遣いはありがたいし、おいしいし、ごちそうさまでした。
ちなみに大半はアクアの酒のつまみとなる。一人で大半を食い散らかすので腹が立つ。今度ぶっ飛ばしておこう。
「ありがとうな、でも土産なんかなくったって気にせず遊びに来てくれよ。俺たち友達なんだから」
「と、ともだちですか!ふぇ、ぇぇ友達だなんてそんな・・・・」
ほのかに頬が赤くなったゆんゆんは嬉しそうに俯いている。いやちょろすぎだろ。
ゆんゆんはまだ若いけどかなりの美人だし、スタイルだってかなり良い。アークウィザードとしての実力もアクセルの街でトップクラスだろう。
そして俺の仲間たちと違って外見だけじゃなく中身もいい。本来なら俺が土下座して友達になってくれと頼みこむレベルの人間だろう。・・・・・・いやしないけど。
だからこそ思うところがあるわけで
「チョロいな」
「チョロいですね」
「チョロいって言わないで!」
プリプリと体を振るゆんゆん、・・・・・・たゆんたゆんのゆんゆんが目に入ったのは俺のせいじゃないはずだ。
瞬間めぐみんの冷ややかな目が俺の体を射抜く。やめてっ!そんな目でみないでっ!これは男の本能として仕方のないことなんだ。俺は声高にそう主張したかった。したかったのだが俺も馬鹿じゃない。すればいつものゴミを見るような目線が飛んでくるのも分かってる。俺は学習する男なのだ。
めぐみんが睨みつけてきているので、何か言われる前に強引に口を開く。
「ま、まぁすぐに勝負しないんならとりあえず入れよ、俺は飲み物でも取ってくるから二人とも居間のソファーにでも座って話でもしててくれ」
めぐみんは不満げな表情をしていたが、すぐにいつも通りに戻った。
俺は玄関を開け二人を招きいれる。二人の表情を見ると、勝負に向けて気合を入れているゆんゆんと、悪巧みを始めた悪女のめぐみんが対称的だ。
・・・・・・というかめぐみんはいつも卑怯なことばかりして勝ってる気がする。あいつも俺のこと卑怯だの何だのと言えた口じゃないだろ。
「それじゃあカズマはホールケーキを切り分けて来て下さい、勝負の景品にしましょう」
「えっ私の土産が景品なの?おかしくない?」
「おかしくありません。そのケーキはカズマの手に渡った瞬間私たちのものになったのです。私たちのものをどうしようと私たちの勝手でしょう?」
「な、なんだか激しく納得がいかないけどいいわ!今日はこれで勝負よ!」
ゆんゆんはポケットから2組のトランプを取り出す。
どうやらトランプタワー作りで勝負するようだ。ゆんゆんの得意分野なのだろうが、相手は悪辣なめぐみんだ。
うん・・・・・・これは結末が見える気がする。
ケーキやらジュースやらの準備をしていると2人の声が聞こえてくる。
「めぐみん遅いわ、遅すぎるわよ!」
「ちょっ、あなたが速すぎるんですよ!指で挟んで4枚持ちだなんてインチキですよインチキ!」
「長年の一人遊びで鍛えられた私の実力よ!これは私の圧勝ねめぐみん!」
長年の一人遊びっておまえ・・・・・・重い重い。ゆんゆんの過去は時折、重力魔法になる。聞いてて悲しくなってくるので割と真剣にやめてほしいな。
めぐみんにも精神攻撃は結構効いているらしい。
「ぐぅ・・・・・・あなたが精神攻撃をしてくるならこっちにも考えがあります。ねぇあなたの今の紅魔の里での二つ名はなんでしたっけ?えーと確かー『青き稲妻を背負う者』ゆんゆんでしたっけ?」
「あっあわわ私はそんなんじゃないから!」
「あっそうそう思い出しました!ホーストとの対決の前日あなたは寝ている私になんて言いましたっけ?確か『あなたは私の一番大事なともだ』」
「うわあああああああああああ、やめなさいよおおおおおおおおおおおお」
えぐいなめぐみん。さすが悪女のめぐみんだ、勝つためには手段を選ばない。 っていうかそんなことあったんだな、今度それとなく聞いてみるか。
結局勝負は、精神攻撃から持ち直したゆんゆんが競り勝っていたが、めぐみんが机を脚で蹴り上げるという卑劣な行為に出て、トランプタワーを崩して勝利した。
っていうかそれありかよ。もちろんゆんゆんは抗議していたがめぐみんは知らん顔していた。
ケーキを切り分けた俺はジュースと共にリビングルームへと持っていく。涙目のゆんゆんは俯き何やらブツブツ言っている。ちょっとかわいそうだ。
「というかカズマ!どうしてゆんゆんの分のケーキまで切り分けているのですか!これでは勝負の意味がないでしょう!」
「いや、俺も食べるんだからついでだよ。ほら大きい方をおまえに渡すからそれでいいだろ」
「まったく、アクセル一の鬼畜男だの成金クズ野郎だの言われてるあなたは、妙なところで気が利くのですね」
「な、なぁめぐみん?誰だ?そんなこと言ってるのはどこのどいつだ?というか、もしかしておまえもそんなこと思ってるのか・・・?」
本当に誰だそんなことを言ってるやつは。アクセルには人に気づかれずに噂を流せる人でもいるのだろうか?清廉潔白な俺には鬼畜男だのクズ野郎だの言われる筋合いはないはずだが。
・・・・・・いやちょっとだけ、ほんとさきっぽだけ心当たりがあるな。パンツとったりケンカ売ったり売られたり。
というかめぐみんにまでそう思われているのか。
悲しくなってきた・・・・・・他の奴らは割とどうでもいいが、仲間たちやめぐみんにはそう思われたくないのだが・・・・・・
「さぁどうでしょう?カズマの気の多さが治ればその噂も改善するかもしれませんね?」
「す、すみませんでした・・・・」
申し訳なくなって謝る俺を見てめぐみんは微笑みながらクスクスと笑っている。むぅ・・・・・・気が付けばいつも手玉に取られているような気がする。
するとめぐみんはとんでもないことを口走る
「まぁ私にとってはそんな噂が流れている方が都合がいいかもしれませんけどね」
「ま、まさかめぐみん・・・・・・お前が!」
するとめぐみんは目をカッと見開きすごい剣幕で迫ってくる
「そんなわけないでしょう!どうしてカズマのことを一番大事に思ってる私がそんなことしなければならないんですか」
遠慮のないの大胆発言にピクリと固まってしまう。どうしてこんなにストレートに言えるんだろうか?というかいまだにコイツのドキッとさせる発言になれない。
自分の顔が赤くなっていくのを感じる。前を見ればめぐみんの顔も赤くなっている。おまえもかい。
「うっっ・・・・・・そ、そうか・・・・・・そそうだよなめぐみんごめんな」
「まったくですよ、人の気持ちも知らないで」
プイッとそっぽを向いて頬を赤くしているめぐみん。かわいい・・・・・・
「はーめぐみんも変わったよね・・・・・・里にいた時は1に爆裂、2に爆裂、3に爆裂の話を聞かない、恋愛のれの字もない子だったのに」
「あなたは私のことをなんだと思っていたのですか!まぁ爆裂魔法に関しては否定しませんが・・・・・・それに私はもう子供ではないのです。恋愛ぐらいして当然でしょう」
「そんなこと言ってるけど、カズマさんと風呂に入った話も布団に入った話もただの事故だったんでしょ?めぐみんも子供じゃない」
「なにおーっ!そんなこというゆんゆんはどうなのですか!」
二人が何やら言い争っているが俺はスルーする。このやり取りももう何度も見てきたのだ、流石に飽きる。
ちなみに俺たちは友達以上、恋人未満の関係を続けている。しかし俺は今のこの関係が心地よいと思ってるし、俺たちが恋人になればパーティの関係がどうなるか心配だ。
俺の自惚れでなければダクネスにも悪く思われてないと思うし下手なことして傷つけないか心配なのだ。・・・・・・というのは半分で残り半分は俺がビビりなだけだ。だって告白してフラれるのとか怖いし・・・・・・
さすがにこの雰囲気のままだと恥ずかしいので提案することにする
「なぁせっかくだしそのトランプ使って遊ばないか?」
「おっ!いいですねカズマさん!やりましょう!」
「ふむ、いいでしょう。それでは何をやりますか?トランプを使ったゲームはいろいろありますが」
「そうだなぁ大富豪とかどうだ?3人だとちょっと少ない気もするが」
「「大富豪?」」
「ん?ああそっか知らないのか。大富豪ってのはな、カードをプレイヤーにすべて配り、手持ちのカードを順番に場に出して早く手札を無くすことを競うゲームなんだ。前回順位が次ゲーム開始時の有利不利に影響するってのが特徴だな」
「あれ、私そのゲーム知ってるかもしれません、『友達ができたらやりたいことノート』に書いた覚えがあります」
「あなたはいちいち重いんですよ!でも私もそのゲームは本で見たことがありますよ」
「なーんだ、そんなこと言うめぐみんだってやったことないんじゃない。そっかめぐみんってぼっちだったもんね」
「なにおっ!私はボッチなどではありません。平凡な人々とは群れない孤高の存在といってください!」
「まぁそう興奮するなよ、孤高のぼっちめぐみん」
「あ、あアナタまでそんなことを!いいでしょう。やってやりますよ。売られたケンカは買うのが紅魔族の掟なのです」
言葉だけは自信ありげに言い放っているめぐみんだが、その肩は少し震えている。多分思い当たる節があるのだろう。
「まぁそんなことはおいといて」
「そんなこと!?そんなこととはなんですか!」
「いいから、話が進まないから黙っててくれ孤高のぼっち」
めぐみんが襲いかかってきた!
「ま、まぁルール知ってるのならいいや、本当は4人か5人でやるのがちょうどいいんだがな、ここにいないならしかたなって痛い痛い痛い首筋に爪を立てるなって、やめろやめろやめろ痛い、ごめんごめんごめんいやごめんなさいめぐみんさん」
「ふっ、また勝ってしまった」
服と首から手を放しどや顔するめぐみん、この後絶対へこましてやる・・・・・・
そんなことを考えていると、騒いでいる声で目が覚めたのかアクアが起きて降りてきた
「まったく~朝っぱらからからうるさいわねアンタたちは」
「朝っぱらからってもう昼前だろ、早く起きて来いよ」
「ヒキニートにそんなこと言われたくないんですけど!ってゆんゆんも来てるのね、昨日のタルト美味しかったわよ。また持ってきなさいな」
「あ!はい、また持ってきますね」
「おいゆんゆん、あの駄女神を甘やかさなくていいからな、あいつ際限なく調子に乗るから」
「ちょっとアンタ何様よ!って、トランプ?何かみんなでやろうとしてたのかしら?ねぇねぇ私も混ぜなさいよ」
「ちょうどよかった、大富豪やるから参加してくれ」
「わかったわ!」
というわけでウキウキのアクアも参加して4人でやることになった。大富豪はローカルルールが多く、しっかりとルールを確認してからやった方がいいとのことでまずは確認をした。
幸いというべきか、紅魔の里に大富豪を伝えた日本人はかなり詳しく情報を残していたらしく、大半のルールは分かるそうだ。
しかしほとんどやったことないゲームを覚えているとは、2人の記憶力はなかなかのものだ。神経衰弱ならかなりの苦戦を強いられるかもしれない。
ちなみにアクアは娯楽の女神なのでもちろんルールを知っていた。ところどころ怪しかった気もするがまぁいいだろう。どうせ雑魚だし。
ちなみにルール
・・・・・・革命あり
・・・・・・都落ちあり(大富豪がトップ陥落するとビリになるルール)
・・・・・・8切りあり
・・・・・・ジョーカー2枚
・・・・・・大貧民が親
に加えて
紅魔の里のローカルルール
・・・・・・7渡し(7を出したときにいらないカードを好きな人に押し付けられる)
を入れたルールになった
ちなみに順番はじゃんけんの結果
俺 → めぐみん → ゆんゆん → アクア → 俺だ
~一戦目~
「よーし俺からか、それじゃあ9のトリプルだ」
「む、序盤から飛ばしてきますね。強い手札を温存しておくのはセオリーだと思うのですが。パスで」
「私もパスかな」
「カズマ?あんた本当にルールわかってんの?パスよ」
ニヤニヤしているアクアに心配されるのは腹が立つがまぁいい。ちなみに俺の手札はさっきのトリプル9が最弱だった。あと11枚だが負ける気がしない。
「流れたなーそれじゃ次は10のトリプルだ」
「ちょっ、か、カズマ?パスです」
「パスです」
「パスよ」
あと8枚
「それじゃあ次は11のダブルだ」
「っ・・・・・・どうやらカズマの手札はかなり強いようですね、しかしここで止めれば……いや、でも2位を狙った方が・・・・・・」
めぐみんはどうやら俺をここで止めるべきか悩んでいるらしい。おそらくめぐみん1か2のタブルを持っているのだろう。すぐにパスしないというのはそういうことなのだ。頭はいいが経験が足りないな。ちなみに俺の残り手札は1が2枚、2が2枚、ジョーカーが2枚だ。負ける気がしねぇ。
「カズマ、私の目を見てください」
「どうした?まぁいいけど」
「・・・・・・2位狙いにします、パスです」
「どういうことだよ、意味がわからないぞ」
「私はカズマの目をみれば大体考えていることがわかるのです」
「っ・・・・・・そうか」
えっなにそれは、心の奥底まで見透かされてるみたいでコワいコワい。通じ合ってるみたいでなんか嬉しい気もするけど。ちなみに俺もなんとなくだがめぐみんが2を2枚とKを3枚持っているのが分かった。
「私もパス」
「私もよ」
後の展開が読めているのか冷静に残りのカードを数えているゆんゆんと、なぜか余裕しゃくしゃくのアクアがパスを宣言する。というかあのバカは状況分かってないだろ。
さて、終わりしようかね。1とジョーカー2枚を場に出す。
「やっぱりそうでしたね。パスです。というかもう流していいのでは?」
「一応確認はしないとな2人は?」
ゆんゆんもアクアも首を振る。まぁ当然だ。俺はこの状態を勝ち確ラッシュと呼んでいる。こうなればだれも手出しはできない。
「それじゃ2が2枚、絶対出せないはずだから流すぞ。それじゃ最後に1だ、よしこれであがり」
「は、はやすぎますカズマさん。私たちなんてまだ1枚も出してないのに・・・・・・」
「そうよカズマ!あんたインチキしたでしょ!返して!私の大富豪の地位を返してよ!」
「うるさいぞー大体カード配ったのはお前だろ!」
そうなのだ、俺たちにカードを配ったのはこの駄女神アクアである。カードを配るのは任せなさいと言った後、両手でカードの束を包み込み空中にカードをばらまいたらなぜか4つの束が出来ていた。
もう一度言う、なぜか美しい4つの束ができていた。相変わらず物理法則に中指を突き立てているような謎能力を披露するアクアだが、配ったのはアクア本人である。文句を言われる筋合いはない。
おれはめいいっぱい下衆な笑みを浮かべたあと言ってやることにした。このゲームではヒール役も大事なのだ。
「まぁせいぜい2位を争っててくれ、俺は大富豪らしく下々のお前らを眺めててやるよ」
「うわぁ・・・・・・カズマさんったら最低ね」
「カズマさん・・・・・・最低」
「やっぱり鬼畜じゃないですか」
「だーまーれ貧民どもが、口の利き方には気をつけろよ」
「プークスクス、カズマったらあの薄汚い豚領主に似てきてないかしら」
「え、いや、あの、そそれはまじでやめてくれ・・・・・・と、ともかく早く2,3位を決めてくれ」
「言われなくてもわかってるわよ、それじゃこの1はどうするの?」
「私はパスします、全員がパスすれば結局私の番ですし」
「私もパス」
「パスするしかないわね」
ということでめぐみんの番となる。そこからはめぐみんとゆんゆんの一騎打ちが始まった。
「6のダブルです、どうしますかゆんゆん」
「かかったわねめぐみん!あんたが6のダブルを出してくるのなんてお見通しよ!7のダブル!」
「なっ、さっきはアクアの5のダブルをスルーしてたはないですか」
「より危険な方を倒すのは定石よ、ということで7渡しでいらないカード2枚あげるわね」
「い、いらないですよ、ヤメ、ヤメロオオオオオオオオオオオオオオオ、いや本当に要らないです勘弁してください。わ、私の必勝コンボが・・・・・・」
「ねぇ、地味に私のこと雑魚扱いしてないかしら?あの?私もいるんですけど~」
「私はあと3枚、勝負あったわねめぐみん!」
「くっ・・・・・・ではJのダブルでどうです」
「これで決まりね!Qのダブルよ」
「ふっふっふふっふっふ、ここまで上手くいくとは想定外でした。Kのダブルです!」
「え゛っ」
「これで上がれると思っていたのでしょう?残念でしたね。私はあなたの切り札を見抜いたうえで、演技をしていたのですよ」
得意げに何か言いだしためぐみん、俺にはわかるあれは嘘だ、だって額に汗かきまくってるもん。
「嘘つけ、さっき7渡しされてビビりまくってただろ、本当は負けたって思ってたんだろ!」
「ちっちがわい!と、ともかくこれであなたは残り1枚です。好きなように料理してやりましょうか」
「う、ううううううううううううううううう」
「4のダブルです。ほらほらー出せないんですかー出せないですよねー残念でしたね」
残り手札が1枚のゆんゆんはパスするしかない。こうなると弱いのが大富豪の恐ろしさだ。しばらくの間ずっと置いてけぼりを喰らっていたアクアは目を輝かせる。
「やっと私の出番ね!5のダブルよ!」
おい、なんであいつは5を4枚持ってるのに小分けにして出したんだ。馬鹿なのか?ちらっとアクアの手札を覗くと手札の大半が9以下のあまりものであった。これはひどい。3と4に至ってはトリプルだ。
ゴミのようなダブルやトリプルを抱えていたアクアだが終盤においては結構強い、アクアの7渡しがゆんゆんに炸裂しゆんゆんは絶望的な表情になっていく。
しかしこの展開はめぐみんの意図的なものだろう。アクアの次の番のめぐみんは次々といらないカードを処分していく。
「ふぅ一時はどうなるかと思いましたが、これで上がりです。4ですよ」
「あっ私も上がれるよ!8で場を流して3を出すわ!これで3位ね」
「くうぅぅ、女神である私が大貧民だなんて屈辱だわ」
・・・・・・明らかにアクアが3位になれる試合だったのだが、というかなんで7渡しで自分の手札の中で一番強いやつ送るんだよアホか、ゆんゆんもかなり動揺してたぞ。
さて、ここまではただの運の勝負だ、しかしここからは本当の大富豪が始まる。大貧民から最強のカードをむしり取ってやるか。
・・・・・・と思っていた時期がありましたとさ、うん、甘かった、確かに俺の運はいいんだ。俺の運は。
それは大貧民から大富豪へ一番強いカード2枚が贈られる時に起こった。まだ見ぬ最強の手札に心を躍らせていたところ、アクアから9と7が贈られてきたのだ。なめてんのか。
「おいアクア、強いカード渡したくないのは分からんでもないがルールは守れよ」
「ハァ?、たださえアンタにカードなんて渡したくないのにルールだから仕方なく一番強いカード渡してるんじゃないのよ!」
「これが!?これが一番強いカードか?ふざけんなよお前どんだけ運悪いんだよ」
「文句言うんだったら返してよ!私のカードたちを返してよこのヒキニート!」
「返せるならとっとと返品してるわこんなゴミ!この穀潰しの大貧民が!」
「ふあああああああああああああ、カズマが、カズマがいっちゃいけないこといった!」
いやほんとに、冗談抜きでいらないのだ。俺の手札が既にジョーカー2枚にK、1、2を3枚づつと7を2枚持っているというものあるがそれにしてもひどい。いや、まぁ7はありがたいが。
ちなみにあげるカードがなかったので俺はKを2枚送り付けてやった。アクアは機嫌を直して『ほんとにいいの?』とでも言いたげな嬉しそうな表情をしていた。純粋なやつだ。いつもこうならかわいいのだが・・・・・・
~二戦目~
「あと4枚で上がりだ、おれの番だな、さてどうするか・・・・・・」
勝負が始まったが俺は速攻で試合を片付けにいった、俺は抜け目のない男、勝てる勝負を手加減して遊んでやるほど間抜けではないのだ。そして最後にジョーカ2枚と7が2枚残った。ふと気が付くと、テーブルの下の足を優しくつつかれていた。周りを見渡すとめぐみんが目を潤わせて懇願するような眼でこっちも見つめてきている。目を合わすと口を小さく動かし始めたので盗聴スキルで確認すると『そのジョーカー私にくれませんか?』と言っていた。か、かわいい・・・・・・普段なら絶対やらないが今日は気分がいい。うむ、くれてやろう。
「これで上がりです!やはり私の頭脳の前ではゆんゆんなど敵ではないのです」
「ぐっ、それは私から毎回カード受け取ってるからでしょ。今回は3位だけど次こそ痛い目みせてやるんだから!」
「ねぇ・・・・・・?ゆんゆん?まだ勝負はついてないわよ・・・・・・?」
「あっこれで上がりです」
「う゛っ」
その後の勝負は一方的なものであった。ジョーカー2枚を受け取っためぐみんは持ち前の頭脳で的確に相手を追い詰め2位を勝ち取った、後にゆんゆんが続く。アクアは大貧民だ。
~三戦目~
「うーん、張り合いがなくてつまらんな。おいそこの大貧民ジュースを持ってこい」
「たかがゲームで偉そうにしてんじゃないわよ!っってああああ、待ってゆんゆん!そ、そこはパスしない?ね、ね?」
~七戦目~
「私もそろそろ富豪の地位に飽きてきましたね。そろそろ大富豪を狙いたいのですが」
「おっ?富豪風情が大富豪の俺に歯向かう気か?その場合お前への支援は打ち切ることになるが」
「あーちょちょっと何を言ってるんですか。(だ、黙っててくださいよそのことは!)」
~十戦目~
「ふあああああああああああああああ、ああああああああああああみんながいじめるうううううううううう」
「おい泣くなよアクア、お前の運が悪いのが悪いんだろ!」
余裕があれば7渡しでジョーカーをめぐみんに渡し、かわりにめぐみんは俺の邪魔をしない。そんな無言の共同戦線が張られているおかげか順位は10戦しても全く変動しなかった。そんな光景に異常を覚えたのかゆんゆんが愚痴るように口を開いた。
「ねぇーーーめぐみんー、なんでいつもジョーカーを2枚持ってるの?そしてなんでいつもカズマさんが上がるまで使わないの?」
「さぁどういうことでしょうか?そこの男に聞けばいいのではないですか?」
「えー答えなさいよー。じゃあカズマさん、どういうことですか?」
俺がめぐみんの方をちらっと見やると、めぐみんは目配せして『言わないでくださいね』と伝えてくる。よし分かった!決めた。
「俺が毎回7渡しでジョーカーを2枚ともめぐみんに渡してるからだぞ」
「ちょっとカズマ!?う、裏切ったのですか!?」
「やっぱりズルしてたんじゃない!卑怯よめぐみん!」
「そうよ!めぐみんったらカズマさんがロリコンなのを利用して強いカードをもらうなんて卑怯だわ!」
「おい、だれがロリなのか聞こうじゃないか。いいのですか?これ以上私をロリ扱いするなら我が爆裂魔法が炸裂することになりますがいいのですか?」
「だ、だれがロリコンだこら!アクアだって俺から毎回強いカード受け取ってるくせにどの口言ってるんだよ」
「う、う受け取ってなんかないわよ!それはアンタにとっていらないカードをってだけでしょうが!」
「文句があるならこっちにだって考えがあるぞ。一番いらないカードを1枚ずつ渡してやってだな・・・・・・」
「やめてよ!そんなことされたら私ビリになっちゃうじゃない!」
「いや今もビリだけどな」
「皆さんずるいです!私にもカードをくださいカズマさん!うぅ・・・・・でも部外者の私がこんなこと言うのもおこがましいですよね。やっぱり私の友達はサボちゃんとデメちゃんしかいないのかもしれません・・・・・・」
このままだと面白くなさそうなのでネタばらしをしてやった。アクアとゆんゆんに取り囲まれているめぐみんがこっちを睨んできているが無視だ。あと、ゆんゆんは不意打ちで重力魔法を放つのはやめてほしい。サボテンもデメキンも喋らないし意思疎通もできないのにそれと同列にされても困る。・・・・・・時間がある時はこっちからめぐみんと一緒に遊びに誘ってやろう。なんだかんだ言ってめぐみんも喜ぶはずだ。
それはともかくそろそろ俺の欲望を果たさせてもらおうか。
「よーしそれじゃあお前らこうしよう。このジョーカー2枚は1番可愛く俺におねだり出来たやつにくれてやる。よーしそれじゃあ採点スタート!」
「「!?」」
「ねぇねぇカズマさん?カズマさんってその~、なんかそこはかとなくいいと思うの」
「0点」
「なんでよーーー!」
せめて何か考えてから喋ってほしい、というかあれでいけると思ってるアクアが謎だ。大体そういう対象に思えないアクアの時点で大幅減点だ。
「甘えたりするのはいやなのですが・・・・・・あぁもう・・・・・どうしてこんなことをしなければいけないのでしょうか」
「ほれ、ほほほーれ、この2枚が欲しくないのか?」
「ぐっ・・・・・・この男は・・・・・・いつもヘタレなくせにどうしてこういう時だけ堂々とセクハラをしてくるのでしょうか・・・・・・。わかりました、やればいいんでしょう!『そのジョーカー私にくれませんか?』」
「37点」
「低っ!さっきはこれで渡してくれたじゃないですか!」
「さっき見たからな、それで大幅減点だ。ちなみに上目遣いで加点して、声に出したってことで減点だ」
「意味が解りませんよ!?なんですかその採点基準は!?」
「いやーみんなの目がある中、小声、もしくは口の形だけでやり取りするってのが可愛いんじゃないか。わかってないなお前は」
「ぐっ、無駄に採点基準が細かいのが腹が立ちますね。」
いや、まぁ正直可愛かったけどね。うん・・・・・・ドキッとしたし衝動的に渡しそうになった。でも簡単に点をくれてやるわけにはいかないのだ。
すると突然、ゆんゆんが俺の隣に座り服の小さく袖をつかみ、頬を赤くし俯きながら呟く。というか俺の腕にいろいろ当たっているのだが・・・・・・
「か、カズマさん、私じゃ・・・・・・私じゃだめでしょうか・・・・・・」
「!!82点!」
「ちょっどういうことですカズマ!ゆんゆんはただ恥ずかしがっているだけではないですか!」
「分かってないなお前は、本当は欲しいのに遠慮がちに求めてきてるところが可愛いんじゃないか。あと体をさりげなく当ててくる部分もプラスだな」
「私はそんなつもりなかったんですが・・・・・・・って、え!私は82点ですか?やった!めぐみん!この勝負は私の勝利よ!」
「こんなふざけた勝負なんて無効ですよ無効です!あなたも私と勝負するなら内容にプライドを持ってください!」
「そうよヒキニート!あんたさっきゆんゆんの胸が当たった時、鼻の下伸ばしてたの知ってるんだからね!」
「の、のばしてなんかねーし!文句言うならカードやらないぞ!」
そうあくまでも俺の方がみんなより立場は上なのだ。大富豪とはそういう役職でそれ以下は大富豪に従わなければならない存在なのだ。そう思っていたのだが。
「いーわよそんなカードなんていらないわ!めぐみん!ゆんゆん!協力してあの不届き物に天罰を喰らわせましょ!」
「いいですね。私もちょっとカズマには痛い目に遭ってもらいたいと思っていたところなのです」
「わ、私は・・・・・・」
「我が唯一無二の友ゆんゆんよ、私に協力してください」
「分かったわめぐみん!カズマさんを消し飛ばすわよ!」
お、おいなんて物騒なこと言ってるんだ。しかもこいつらあっさり敵に回りやがった。でもまぁいい、ここで圧倒的な格の違いを見せつけてやることにするか。
「わかったよ。それじゃあ賭けをしよう。次の試合お前らが勝ったら一つだけなんでも言うことを聞いてやる。その代わりお前らが負けたら俺の言うことを聞けよ?」
「いいですよ。受けて立とうじゃありませんか」
「・・・・・・分かりました、その勝負受けます」
「私に楯突いたことを後悔させてくれるわ!覚悟しなさいヒキニート!」
「アクア、私たち二人にも補助魔法お願いします」
「分かったわ『ブレッシング!』」
「あっ汚ねぇ!こいつら魔法で運を上げやがった!」
「ふっ、運も実力のうちというものですよ。我々の本気見せて差し上げましょう」
というわけで3VS1の不平等マッチが始まってしまった。とはいえ、大富豪は元々、大富豪以外が協力して大富豪を落とすゲームだからな、こっちのほうが健全な遊びなのかもしれない。
しかし負けたら言うことを聞かなければならないので是が非でも勝たなきゃいけないな。ちなみに俺の幸運値は、3人の幸運値の合計+『ブレッシング』補正より少しだけ低い。これは案外キツい勝負になるかもしれない。
3人は集まってなにやら相談しているようだ、せっかくだし俺も状況を整理しておこう。
まず俺の勝利条件だが1位になることだ。これは今までと変わらない。そして注意すべきは7渡しか。7渡しでいらないカードを押し付けられ続けると流石に辛い。そして立ちはだかるのはめぐみんとゆんゆんのコンビだな。めぐみんは俺の目を見るだけで大体手札が分かるみたいだし、ゆんゆんは高い知力に従ってアクアと違ってミスをしない完璧なプレイをする。これは中々厄介だ。アクアは自分自身に補助魔法掛けるの忘れるぐらいの馬鹿だからどうでもいい。どうせ敵にもならないだろう。
「そっちの3人相談はもういいかー?」
「いいですよそれじゃあ始めましょう、我らの最終決戦を!」
あっ、なんか気分が盛り上がってきた、折角だし厨二っぽいこと言って紅魔族風に盛り上げるか。
「我が名は大富豪カズマ!アクセル随一の幸運の申し子にして、栄華を極めしもの!」
「我が名はめぐみん!アクセル随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を極めし者!カズマの野望を破壊するもの!」
「わ、我が名はゆんゆん!紅魔族随一の魔法の使い手にして、やがては里の長となるもの!大富豪に勝利するもの!」
「我が名はアクア!この世界を見守る美しくも儚い女神にして、水を司るもの!ヒキニートに天罰をくだすもの!」
「「そうなんだ!すごいね!」」
「信じてよっーー!」
案外ノリノリだっためぐみん、恥ずかしそうだけどどこか楽しそうなゆんゆん、早速女神説を否定され、しょぼくれるアクアの全員が名乗りを済ませたのでゲームを開始する。うちご自慢の高慢駄女神の華麗な手札捌きで4つのカードの束が一瞬で出来あがったのでそれを受け取る。そして確認するのだが・・・・・・
(ジョーカーが1枚しかない・・・・・・だと?しかも他の手札もいつもより弱めだな・・・・・・)
さすがに3人合計の幸運値には叶わなかったらしく他の3人にジョーカーを1枚奪われてしまった。明らかにいつもよりいい手札が配られたのかめぐみんとゆんゆんは目を丸くしている。そして2人で何やら手で合図をしている、どうやら手札に合わせていくつか作戦を考えていたらしいな。なら真正面から叩き潰してやろう。俺は他のチート持ちと違って普段は無双なんてできない、ならせめて俺の土俵だけでは無双したっていいじゃないか。
いつもよりも運が悪いとはいえ、それでも俺の手札は十分に強力だ。7が2枚に残りはすべて10以上でペアばかりだ。負ける要素なんてない。ちなみにアクアからは9と6が贈られてきたので俺は仕方なく10のペアを送り返すことにした。損しかしてないんだが・・・・・・
~最終戦~
「アクア、分かっていますね?作戦通りお願いしますよ。」
「ええ、分かってるわ。それじゃあ5よ」
「作戦って言ってる割には普通なんだな、じゃあ俺はこのいらない6で」
「私の子をいらない子扱いしないでよ!」
「私はパスしますね」
「えーと、じゃあ私は7です。えっと7渡しは・・・・・・」
やはりきたか7渡し、どうせ対象は俺だろうがこれも計算の内だ。序盤のうちに7を出させてしまえば終盤に決め手に欠いて苦しめられることもない。そもそも俺の手札は7以上なので1度番を取れば7すら出させないことが可能だ。
「アクアさん、このカードをどうぞ」
「い、いらないわよそんなかーどー、やりやがったわねゆんゆんー」
???ゆんゆんはやたら棒読みなアクアにカードを渡した。どういうことだろうか。確かに俺の手番の前のアクアに強力なカードを渡せば俺は自分のカードの処理に困るだろう。でもそれもたった1回だけの話だ。それで何ができるというのだろうか。その後7をアクアはパスして俺の番になった
「それじゃあ俺は9を出すぞ」
「やはりそう来ましたかカズマ。それじゃあ私は2です」
こいつ序盤から飛ばしすぎじゃないだろうか。いくら俺を止めるのが大事とはいえ切り札の2をたかが9に切る必要はないと思うんだが・・・・・・。なんとなくめぐみんの表情を覗き見ると瞬間、背筋に悪寒が走る。めぐみんは表面上はいつも通りの表情を装っている。しかし、いつも行動を共にしている俺には分かる。これは企みが上手くいく寸前の顔だ。クソゲーもといなんでもありのボードゲームで対戦するときもこんな顔をしている時がある。そういう時は決まって俺が負ける。ならば・・・・・・
「・・・・・・・・・・っ、ジョーカーだ」
「ほぉー流石カズマですね。そうあっさりとはいきませんか」
「ジョーカーに勝てるカードはないからな、この場は流すぞ」
ちなみにスペ3返しは無しでやっている。もちろん俺に都合がいいからだが。しかし仕方なかったとはいえジョーカーを失ってしまった、でも強力なペアカードがあるから勝てるはずだ。
「それじゃ11のペアだ」
「パスです」
「・・・・・・1のペアを出します」
ゆんゆんもかなり強気で攻めてきている。俺も2のペアを持っているから場を取ろうと思えば取れるのだが、あくまでゆんゆんは貧民なので、最重要警戒対象のめぐみんに意識を割くべきだろう。ちなみに当然アクアはパス。というかもはやパスするかどうかすら聞かれていない。聞いてよーーーーっとか言ってるが実際問題ない。場が流れたので次はゆんゆんからだ。
「それでは2を出します」
「えっ?」
思わず声が出てしまった、2を出せば場は確かに流れるだろう。でもそれだけだ。それだけで切り札を捨てるなんて意味がないと思うんだが。するとめぐみんがくつくつと笑い出した。
「パスだ、おいめぐみん!なにがおかしい!」
「いえいえ、ここまで上手くいくとは思ってもいなかったもので」
「ん?どういうことだ」
「こういうことですよ」
まるで勝ちが決まったかのように、そう言い放っためぐみんは、なんとジョーカーを単体で突き出してきた!
「・・・・・・お前がジョーカーを持っているのは分かってたが、こんなバカな使い方をするとは思ってなかったぞ?」
「同じ使い方をしたあなたには言われたくありませんよ。この場は流しますよ、さて次は私の番ですね」
「そりゃそうだが、もうお前に強い手札なんて残ってないはずだぞ。もちろんゆんゆんにも」
「ふふっ、そうですね。たしかに今は強い手札はないかも知れません。でも作ればいいんですよ」
「強い手札を作る?・・・・・・っ!まさか!」
「ええそのまさかです、私は7を出します、アクア!このカードをどうぞ。そして後は任せましたよ!」
「パスです!アクアさんお願いします!」
自分の番となり7を出しためぐみんはアクアにカードを送り付ける。ゆんゆんは間を置かずにパスを宣言。アクアはもうその笑みを隠そうともしていない。
「やっと私の時代が来たわ!!8切りよ!」
7渡しで受け取ったであろう8を使ってアクアは強引に自分の手番を勝ち取る。そしてそれを2人は満足そうに眺めている。そしてアクアは4枚のカードを叩きつけてきた!
そうか、そういうことだったのか。なんで序盤から全員強いカードを切ってくるのかと思っていたけどその理由が解ってしまった。
あいつらは強いカードを切ってたんじゃない。弱くなるカードを捨ててただけだったんだ。そしてあの謎の7渡しはアクアに必要なカードを渡していただけだったのだ。そう全ては・・・・・・
「カズマ!女神の前に跪きなさい!これが革命よ!」
4、4枚による革命を喰らった俺はあのあと成すすべなくアクアに蹂躙された。元々強い手札しかもっていなかった俺はジョーカーも切っていたので、弱さを凝縮して固めた手札を持つアクアに対して本当に何もできなかったのだ。多分めぐみんはこうなることを見越して、俺にジョーカーを切らせてきたのだろう。革命返しできたら俺の勝ちだしな。作戦の主導者はめぐみんだったらしい・・・・・・やっぱりめぐみんには適わないな、いつも手玉に取られてしまう。
「見なさい!あのカズマのしょぼくれた表情を!私たちの友情の勝利よ!」
「やりましたねアクアさん!私すっごく楽しかったです!」
「いくら幸運なカズマといえど、我らの共同戦線には叶わなかったようですね。それでは一緒に・・・・・」
「「「イェーイ!」」」
満面の笑みでハイタッチをしている三人組、俺もあの中に入りてぇ・・・・・・。ふとめぐみんがこっちを見てきたので手招きして呼び寄せる。
「なぁめぐみん。どこからこの作戦を考えてたんだ?」
「そうですね、カズマが私との取引をばらしたところからですね。どうにか仕返しをしてやろうと考えていたのですよ」
「それって戦うの決める前からじゃないか・・・・・・そういえばなんでアクア自身に『ブレッシング』をかけさせなかったんだ?」
「ああそれですか。アクアの運が悪ければ悪いほど低いカードの集まりがよくなるからですよ。もっとも、アクア一人では革命に必要な4枚のカードが揃うのは稀みたいですが」
「そうだったのか、てっきり馬鹿なだけかと思ってたぞ。それにしてもどうやってアクアの革命に必要なカードを渡したんだ?」
「簡単な話ですよ。アクアには最初に3枚揃っているカードの一つ上のカードを出すように指示してたんです。一か八かだったんですが、上手くいってよかったです。」
「まぁ実際はどれ渡しても4枚揃うぐらいひどい手札だったみたいだけどな。」
「ですね。アクアの不運は本当に飛びぬけて酷いです」
クスクスと笑っているめぐみんは、笑いを収めて俺に向き直って
「さて、それでは約束なので言うことを一つ聞いてもらいましょうか。」
「うっ・・・・・・お手柔らかにお願いします・・・・・・」
「私はカズマと違って、そんなひどいことはお願いしませんよ」
「一言多いって」
「そうかもしれませんね。それでは今度の女神エリス&アクア祭を私と2人だけでまわってください」
「えっ」
めぐみんさん?それ罰じゃないですよね?ご褒美ですよね?去年もそうしたかったのだが、色々あって2人では回れなかったのだ。というわけで俺にとっては願ったり叶ったりな申し出なわけで・・・・・・
「めぐみーーーーーんっ、ありがと、ありがとなーーーー!」
「ちょっと、飛びかからないでください!髪も撫でないでくださいよ!あー髪がクシャクシャに、ってどこに顔押し付けてるんですか!ううぅ・・・・・・・おい!いい加減にしないと私の爆裂魔法が、ってどこ触ってるんですか!ハッ倒しますよ!」
ちなみにゆんゆんにはボランティア清掃への参加を命じられ、アクアには王都までいって高級酒を大量に買って来いと命じられた。その時、間違って悪魔を漬けてできた高級酒を買ってきたせいでぶん殴られた。理不尽な・・・・・・