第1話 カズマはレベルが上がった!
――俺たちは激戦の末に魔王討伐を果たした。
その数日後、いつもの屋敷で、俺はいつになく真剣な目をしためぐみんと向き合っていた。
「単刀直入に聞きます。カズマはどうやって魔王を倒したのですか?」
・・・・この質問は俺が一番答えたくない質問だった。
なぜなら、あまりカッコいい魔王の倒し方だとは思えなかったからだ。
・・・・・だってただの自爆だし。そんな話をすれば折角の勇者の株が落ちてしまう。
答えたくなかったので今の今まで適当なことを言って誤魔化してきた。
アクセルの街の連中には、適当にでっち上げた魔王討伐話をしている。
しかし、俺の仲間たちにはまだ本当のことを話していなかった。信じて任せてくれた仲間たちに嘘をつくのは流石に気が引ける。というわけで今のところ真実を知っているのはアクアだけだ。
そんなわけで、ここ数日、めぐみんとダクネスは必死に聞き出そうとしていた。あれやこれやと理由をつけて逃げてきていたのだが、ついに限界が来たらしい。
・・・・・・・でも、話したくないなぁ。
「・・・・・・なぁめぐみん? どうしても話さなきゃダメか?」
「ダメです。話してください」
そういうめぐみんの声には怒気すらこもっている。どうやら逃げ続けたことに随分怒っているらしい。
さすがに潮時かな・・・・・・・
「はぁ・・・・・・・テレポートで移動した後、ダンジョンの最下層で爆裂魔法を使ったんだよ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
黙ったまま俯いているめぐみん。
あれだけ魔王討伐のことを熱く語っていためぐみんのことだ、きっと・・・・・・・
しばらく沈黙が続いた後、ぽつりぽつりと口を開く。
「それでは・・・・・・・・どうしてカズマは生きているのですか・・・・・・?」
「いやもちろん死んだぞ? 俺みたいなやつが生き埋めになって死なないわけないだろ。生きて帰ってきたのは魔王討伐の報酬で生き返らせてもらったからだよ」
それを聞いた途端に沈鬱な表情になるめぐみん。今度こそがっかりさせてしまったのだろう。
「見損なったか? でもああするしかなかったんだよ。それこそ俺なんかの命で倒せたんだから儲けもんだろ?」
「・・・・・・やはりそうだったんですね。カズマのことです・・・・・・真っ当なやり方で・・・・・魔王を倒したのだとは・・・・・・・・・思っていませんでしたから」
俯いためぐみんは心底悲し気に呟く。そうか、そんなにガッカリか。まぁ仕方ないよな。でも俺なりに頑張ったんだ、少しは褒めてほしい。
「おっとそんな顔したって駄目だぞ、俺に勇者としての活躍を期待したって無駄だからな」
「・・・・・・・・・・・・」
俺の言葉に反応しためぐみんは小刻みに震えている。・・・・・こいつまさか笑ってるんじゃないだろうな?
しかしそんな俺の思いに反してめぐみんは。
「ふざけ・・・・・・ないで・・・・・・・」
「おいめぐみん?どうした」
「ふざけないでくださいと言ってるんです!何が『俺なんかの命』なんですか!」
悲憤の表情を浮かべためぐみんが、俺の言葉を遮り激しく言い放つ。
「あなたは・・・・・・あなたは・・・・・・魔王を倒して本当の意味で死ぬつもりだったというんですか!」
「・・・・・・っ!」
声を張り上げ、俯いているめぐみんの目には涙が浮かび、目はいつになく紅く光り輝いている。
「馬鹿です。あなたは大馬鹿ですよカズマ。カズマが死んで魔王を倒せたとしても!私たちは喜ぶわけないでしょう!」
「・・・・・バカバカって、結局魔王を倒せたんだからいいじゃないか、現に俺もここにいるだろ?」
俺だって死にたくはなかった。出来るだけ楽したいとは今だって思ってるし、魔王だってミツルギあたりが倒してくれれば楽だったのにとすら思ってる。それでも何故か、俺がやらなきゃと思ってしまった。結果として俺は魔王討伐を果たしたし、新しく体も貰って生き返ることが出来た。全てが丸く収まったんだからそれでいいんじゃないのか・・・・・・?
「分からない人ですね!それではあなたは最期の瞬間何を考えていましたか!?言ってみてくださいよ!」
そう言われて初めて、俺は大きな間違いに気が付いた。俺は、俺の気持ちは・・・・・・。それ以上にみんなの気持ちだって蔑ろにしていたのかもしれない。
「・・・・・・もうみんなと会えなくなるのはたまらなく寂しいって考えてたよ、本気で死ぬと思ってたからな」
「何故その心を持っているのに、私たちの気持ちが分からないのですか!私たちを、私をおいて逝かないでくださいよ・・・・・・・ぐすっ・・・・・・・うぅ・・・・・・ひっく」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
言い切る前に大粒の涙を流しはじめためぐみんの体はあまりにも小さかった。元々小さいめぐみんの体だが、今のめぐみんからは引き留めなければ吹き飛ばされてしまうような儚さを感じた。だから俺はめぐみんの肩から手を回し、そっと抱きしめた。
「あっ・・・・・・・・」
めぐみんは小さな体を震わせながら、俺の胸に収まり涙を流している。
――――そのまま過ごすこと数分、顔を上げためぐみんはぽつりぽつりと呟く。
「・・・・・・だいぶ落ち着きました。ありがとうございます。そしてごめんなさい。優しいけど臆病なあなたのことです、カズマ一人なら絶対に逃げていたでしょう。城で闘う私たちのために無茶をしたのですよね?つまり私たちのせいでもあるわけです」
そう言ってうって変わって穏やかな表情を浮かべるめぐみん。
・・・・・・確かにその通りなんだけど、あんまりはっきり言われると・・・・・・。
「べべ、別にアンタたちのためってわけじゃないんだからね!」
「茶化さないでくださいよ、いえ、まぁこれもカズマらしいといえばらしいですね。それでは私からお願いがあります」
そう言って嬉しそうに微笑み、俺の目を真っすぐ見つめてくる。
「お願い?」
「ええそうです。私と約束してほしいことがあるんですよ」
「約束するかどうかは分かんないけど聞くだけなら聞いてやるよ。なんだ?」
では、と俺に向き直り襟を正し、まっすぐに俺を見つめる深紅の光を湛えためぐみん。
「もう二度と私たちを、いえ、私をおいて逝かないことを約束してください」
・・・・・・・こういう雰囲気は苦手だなぁ、自然と俺の顔に熱が乗っていく。
それに心臓もうるさい。というかこれ告白じゃないのか?こういう時に俺の人生経験の少なさが恨まれる。
・・・・・・だったらいつも通りに振舞うしかないな。
「おいおい俺を誰だと思ってる?こと保身においては右に出ることのないあハイごめんなさい。誓います誓いますからそんな目で見ないでください」
間違ったらしい。
・・・・・・真面目な雰囲気に耐えられなくなってふざけてしまったせいで、いい雰囲気が台無しになっちゃったな。まぁわざと台無しにした面もあるっちゃあるが。
怒りと呆れが混じった複雑な表情で俺を見てくるめぐみん。うぐっ・・・・・・・その目は結構つらい。
「・・・・・・誓うよ。もう俺の命を捨てて敵を倒すなんてことはしない」
「本当にお願いしますよ」
「分かったよ。でもさ、めぐみん。俺は本当に弱いんだ。うっかり死んじゃうってこともあるかもしれないぞ」
そうなのだ、実際今でも俺は弱い。養殖を経て数多のスキルを習得しすっかり高レベルになった俺だが、それでも最弱職の冒険者であることは変わらない。より器用貧乏になっただけである。しかも上級魔法などはまだ教えてもらってないので使えない。・・・・・・何故か体に力がみなぎっている気がするが多分気のせいだ。
「私たちがそんなことにはさせませんよ」
嬉しいことを言ってくれるなめぐみん。でも実際今までのピンチのいくつかはこいつのせいでもあるわけで・・・・・・・
「おい、この際だから言っとくが俺が今まで何度も死んできたのは、大半はお前らが好き放題やるからだからな!そこらへんのことちゃんと理解しろよ?」
「まぁそうですねぇ、ダクネスもアクアも大概自分勝手ですからね。まったく、冷静沈着な私がいなければ今頃、って痛いっ・・・・・・いらいでしゅって!ほうぉひっぱらないでくりゃさい」
「言っとくがお前もだぞ!せいぜい頭を冷やすことだな!『フリーズ』!」
「ひゃああああああああああああ」
自分の事を棚に上げてどや顔で話すめぐみんにイラッとしたので頬引っ張った上で頭を冷やしてしやった。うん!すかっとした!・・・・・・と思ったのだがめぐみんの頭の上に盛大に氷塊が出来てしまった。
「ひ、ひどいですよカズマ、しかもちょっと冷やすどころじゃなくて凍り付いてますって、痛いので早く溶かしてください。頭がキーンとします。」
「あ、あれおかしいな、かなり弱めに打ったはずなんだが、『ティンダー』」
「あっつ!熱いですよカズマ!今度は熱でいじめですか!私焦げちゃいますって!どれだけ私に恨みを持っているんですか!」
「いやいや、本当にそんなつもりないんだって!あ、あれっおかしいな、こんな威力出なかったはずなんだが・・・・・・」
フリーズは少し冷やすつもりで、ティンダーは氷を解かす目的で撃ったはずなのだが、実際には氷塊ができ、危うくめぐみんの頭が燃えそうになった。いつもと同じ感覚で魔法を撃ったはずなのだが・・・・・・怒るめぐみんに誠意をもって謝り、何故か意図したより強い魔法が出たことをを説明すると。
「なるほど、つまり急に魔力が上がったというわけですね。杖や特別な装備をを持っていたわけじゃないんですよね?ということは問題はカズマ自身にあると思います。・・・・・・確かに今のカズマからは前よりは遥かに強い魔力を感じますね、まぁ紅魔族には及ばないとは思いますが、それでもかなりの魔力ですよ。冒険者カードを見せてもらえませんか?」
「そういやあれ以来、冒険者カード見てなかったな。ほい、これが俺の冒険者カード・・・だ・・・・・・ぞ?・・・・・・・・・・・え?」
「ついに爆裂魔法を覚えたと聞いたので見てみたかったのですよ。それじゃあ見させてもらいますね。・・・・・・・・・・・・え?」
そこには燦然と光り輝く【レベル79】の文字があった!
「「なんじゃこりゃあああああああああああああああああ」」
その日アクセル郊外に、けたたましい二人の声が鳴り響いた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「・・・・・・つまり、生き埋めになった超高レベルモンスター達の経験値がすべて俺に入った結果こうなったと」
「そうだと思います。世界最大のダンジョンは20階層からなり、そこに生息するモンスターは階数に4を掛けたレベルの冒険者が
「ということは60レベルや70レベルのモンスターたちがあそこにはいたわけか・・・・・・それら全てをまとめて全て押しつぶせばこのレベルも納得か・・・・・・」
「あと、もし爆裂魔法を使ったのが私ならそこまでレベルは上がらなかったと思います・・・・・・・・・・・あの、なんというか・・・カズマはレベルが上がりやすい体質なので・・・・・・」
「あーもうわかってるよ!はっきり言っていいぞ、俺は才能がないからレベルが上がり易いってな」
「べ、別にそういうわけでは・・・・・・」
ちょっと悔しいけど、俺に才能がないのはこの世界を生きてきて嫌というほど思い知らされた。まぁ才能の塊のようなアイリスや紅魔族みたいな連中を見てきているというのもあるとは思うが・・・・・・
でも、だからこそこのステータスは少し疑問が残る。少し前、30レベルもいかないうちに
「俺が言うのも恥ずかしい話なんだけどさ、俺みたいな冒険者がたかが80レベル程度でこんなにステータスって上がるもんなのか?」
「・・・・・・いえ、さすがにここまでは上がらないはずです。冒険者が最弱と呼ばれる所以の一つが
「・・・・・・なぁめぐみん、そこまではっきり言われると悲しいんだが」
「あなたが言ったんでしょう!めんどくさい人ですね!」
「うーん、でも確かにこれは不思議だな、いや、まぁありがたいんだがってふわああああああああああっ」
突然俺の横にクリスが現れた!
「キミも勇者らしくなってきたってことなんじゃないかな?って助手君?ちょっと驚きすぎでしょ」
「お・・・・・・お頭ですか・・・心臓とまるかと思いましたよ。てっきり暗殺者のアンデッドでもやってきたのかと」
俺の言葉を聞いたクリスは、いやエリス様は突然凄まじい剣幕で俺を睨みつける。
「・・・・・・・女神である私を薄汚いアンデッド扱いとは冗談にしてはたちが悪すぎますね。天罰を喰らわせますよ。具体的にはジャンケンに勝てなくなる呪いや、旅先で財布を落とす呪いなどです。」
「ちょ、ごめんなさいごめんなさい。でも、さすがに今その口調はまずいですよ」
エリス様の天罰は割と洒落にならないな。アクアのしょうもない天罰とは大違いだ。でもこんなこと言って大丈夫だったんだろうか。めぐみんはキョトンとした目でクリスを見つめている。
「え?どうしてクリスが天罰を喰らわせるのですか?というか今女神って言いませんでした?」
「えっ・・・・・・あっ」
普段はたった一人で世界を見守るこの世界で最も尊敬する女神様なのだが、何度も一緒に盗賊稼業をやってきた俺には分かる。エリス様は割とぽんこつだし後先考えない部分がある。今更ながら自分の発言に気が付いたクリスが真顔で固まっている。仕方ないフォローを入れるか・・・・・
「クリスはな、エリス様が好きすぎて女神の振りをしちゃうほど敬虔なエリス教徒なんだよ。だからたまーにこういう発作が起こるんだ」
「ちょっ!何言ってるのさ助手君!」
「いやいや、去年の女神エリス&アクア祭りでエリス様の仮装をしてミスコンに参加してたじゃないですか」
「ちょっと!?それは助手君がそうしてくれって言ったからでしょ!?」
「うわぁ・・・・・・・・」
めぐみんは銀髪盗賊団のお頭を見つめる尊敬の眼差しから一変して、可哀想な子を見る眼差しをクリスに向けた。
「クリスはアクセルでは数少ない常識人であり、義賊としても尊敬できる人間だと思っていたのですが、そんな趣味があったんですね。驚きです。でも私はその趣味を否定はしませんよ、人はそれぞれ秘密を抱えているものですから」
「あ、ありがとうめぐみんって違うよね!?私にそんな趣味ないからね!?」
「大丈夫ですよ。ダクネスの被虐気質のようなものでしょう?でもあんまり人前で披露しない方がいいですよ。クリスのイメージダウンに繋がってしまいます」
「だから違うんだってばああああああああああああ」
可哀想な子を見る目に耐えかねたクリスは、覚えてろよぉとでも言いたげに俺を睨んでくる。いや、俺がフォローしなければ正体がバレてたんだからむしろ感謝してほしいくらいで恨まれる覚えなんてないわけなんだが。
それはそうと何故クリスはやってきたのだろう。からかって遊んでいるうちに本来の目的を忘れさせてしまったみたいなのでこっちから聞いてみるか。
「それでお頭はどうしてここに来たんですか?何か目的があったんですよね?」
「あーそうそう、話が変な方向に行っちゃってたから忘れてたよ。わた・・・・・・エリス様が助手君に伝え忘れてたことがあったらしいから、私が言伝を預かってきたんだよ」
「クリスが女神エリスの言伝を・・・・・・?本当ですか?ごっこ遊びならちょっと今は辞めてほしいんですが・・・・・・」
「これは本当だよ!私が今から言うのは本当にエリス様の言葉だよ!」
「エリス様になりきりたがっている今のクリスは信用なりません。というかなぜ一人の盗賊であるあなたがエリス様の言葉を受け取れるんですか?」
「そ、それはあれだよ。私はエリス様に命じられて神器回収をしている由緒正しき盗賊だからね。ちょっとだけ特別扱いされてるんだよ」
「そういうものなのでしょうか・・・・・・・・?」
焦りからか挙動不審になっている今のクリスは怪しい。俺だって正体を知っていなければこんな人の言葉は信じられない。
「まぁまぁめぐみん、お頭がエリス様の言葉を代弁できるってのは本当だからそう怪しい目でみなくていいぞ。俺が保証する」
「その怪しい目をさせている助手君がそれをいうかなぁ!?まったくもう・・・・・・・」
「仕方ないですね。カズマがそういうなら信じますよ」
やっと話がまとまってきたな、クリスがめぐみんに正体を明かしてくれればいいのにとは思わないでもないが・・・・・・
そして咳ばらいをして、クリスが話し始めた。
「勇者特典、それが今キミの身に起こってる変化の原因だよ。それはね―――」
クリスによると俺の不自然な伸びは、俺が勇者になったこと、正確には『勇者になったのに弱すぎたこと』が原因なのだとか。
魔王を倒した勇者は少し大げさに言えば、平和の象徴ともいえる存在でもある。しかしその平和の象徴があまりにも弱すぎるというのは非常にまずい―――そういうわけで俺を蘇生したときに少しだけ手を加えてくれたのだ。
具体的には才能の限界の解放・・・・・・だそうだ。この世界の人間の能力の限界は、大半は生まれによって決まってしまう。平和な日本に生まれヒキニート生活を送っていた俺に、才能なんてものは全く存在しなかった。その証拠がレベル20代の頃に経験した能力上昇の限界だ。
だから、レベルが上がる時にステータスが大幅に上昇する特典を付けてくれたらしい。そのおかげで超高レベル冒険者の俺は中級冒険者と上級冒険者の中間ぐらいの力を手に入れたのだ。
・・・・・・・これだけの特典をおまけでもらっておいて、超高レベルの俺が中級冒険者とたいしてステータスが変わらないことにはちょっと思うところはあるが。
その代わりといってはなんだが、スキルポイントはとんでもない数になっていた。それこそ俺が今まで見たスキルをすべて覚えてもまだ余るぐらいだ。
スキルポイントの使い方は色々ある、今までは効率が悪くて取れなかったが各魔法の
「お頭、俺にお頭のありったけのスキルを教えてくださいよ!」
「んー?なるほどね。その余りに余ったスキルポイントを活用しようってわけだね!最初に私のスキルに目を付けるとは良い目をしてるよ。さすが助手君。でもそうだね、その代わり今度の神器回収に付き合ってもらうけどいいかな?」
「もちろん」
俺が二つ返事で引き受けると、少し困惑した笑顔を見せてくれた。
「こ、こんなに素直に従ってくれるとは思ってなかったよ。捻くれた普段のキミからは考えられない素直さだね」
今の俺は気分がいいのだ。そしてクリスはお頭である以前に、俺に新たな能力を授けてくれた女神様だ。おれは貰った恩を返さないほどクズじゃない。そして俺は大げさに腕を振り、めぐみんを指差す。
「そしてめぐみん!めぐみんは俺に爆裂魔法関連の補助スキルを教えてくれ。実は俺の今の魔力じゃ爆裂魔法1発すら打てないからな、爆裂魔法消費魔力減少のスキルが欲しいんだよ」
俺の言葉を聞いためぐみんはパァッと表情を輝かせ駆け寄ってくる。
「なんと!カズマも我が爆裂道を歩むというのですか!なんという至福。これこそ我が望みし邂逅!いいでしょういいでしょう、もちろん大歓迎です!爆裂魔法を極めし者としてカズマに手取り足取り教えて差し上げますよ!あ・・・・・・でも今日はもう爆裂魔法を撃った後なので勘弁してください。明日以降にお願いします。あと、その・・・・私も・・・・・・いえなんでもないです」
クリスとめぐみんにスキルを教えてもらう約束を取り付け、クリスを玄関まで送っていく。めぐみんが何か言いたそうにしているが、どうも言い出せないでいるようだ。
「それじゃあ助手君、約束した日に迎えに行くから。よろしく頼むよ!」
「分かりましたよ。それじゃあ細かいことはその日に」
俺がクリスに別れを告げると、頬を少し赤くしためぐみんが飛び出してきて。
「あのっ!私も連れて行ってはもらえませんか?」
「お、おいめぐみん、小さな屋敷のドネリーの時とはわけが違う。さすがに今回は危ないんじゃないか?どうなんですかお頭?」
めぐみんの言葉を受けたクリスは断りを入れるのかと思いきや、何やら考え込んでいる。
「うん・・・・そうだね、今回は・・・・・いや・・・・・・・むしろ?・・・・・・・・・うん、決めた!今回はめぐみんの盗賊団の力を借りよう!」
「あ、ありがとうございます!私の盗賊団についに活躍の時がきたのですね!」
「おいめぐみん、さすがにこれは遊びじゃないんだぞ、というかめぐみんの盗賊団ってよく知らないな、どんなのなんだ?」
「そうですね・・・・・・世間知らずの下っ端や、ぼっち紅魔族、アクシズ教徒の変態プリーストなどが参加していますが・・・・・・」
「そういえば前もそんなこと言ってたな・・・・・・、というか全員思い当たる節があるんだが」
「あと、入団希望者がアクシズ教徒、紅魔族、王都の騎士なども合わせて300名以上いますよ」
「何それ凄い!というかもう盗賊じゃなくて傭兵団やれよ」
めぐみん傭兵団について驚愕の事実を聞かされたが多分そのメンバーは全員知っている人だ、というか俺の『妹』はこんな犯罪まがいのことに参加していいのだろうか。そんな疑問を口にする前にクリスが。
「そうだよ、それなんだよ。今回はモンスターである鬼族の館に盗みに入る予定なんだ――」
――鬼族。それは2本、もしくは1本の角を持つ人型のモンスターである。屈強な肉体と高い知能を持ち、上位魔法を使えるものや、人間でいうソードマスターのような立ち回りをする者もいる。言ってみれば人間の上位互換ともいえる存在である。
今回潜入する館は、壊滅した魔王軍の残党が滞在している屋敷らしく、魔王城の宝物庫から持ち出された神器や神器級のアイテムが隠されているらしい。例によって貴族や王族に助けを求めないのは、神器の行く先が保証されないからだ。
「というわけで、いつもと違って相手はぶっ飛ばしちゃっても問題ないわけなのさ。でもそうなると、あたしと助手君だけじゃどうにも戦闘力に不安があってさ、だから戦闘力の高いめぐみん達にも協力してもらえると助かるかなって話でね」
「ふっふっふ、分かりましたよ。この紅魔族随一の魔法の使い手である私をぜひ役立ててくださいね」
「いや・・・・・あの、どっちかというと残りの人たちに期待してるんだけどね?」
こうして俺たち仮面盗賊団と、その自称下部組織のめぐみん盗賊団との協力が約束された。めぐみんは仲間たちに連絡をとり、予定を合わせるらしい。アイリスに会える日が楽しみだ。・・・・・・というか万が一にもアイリスが怪我をすれば俺の首が飛びそうだな・・・・・・全力で守らなきゃな。
そのためにも早くスキルを教えてもらおう。そうすれば俺は最強になれるはずだ。そういえばウィズに上級魔法を教えてもらう約束をしてたな、明日頼みに行ってみるか・・・・・・
ちなみに、後から気が付いたのだが威力上昇スキルは覚えると魔力消費が増えすぎてあまり使えず、ステータス上昇スキルは
【ステータスキャップ】独自設定 このすば11巻のカズマの『ここ最近、レベルが上がっても俺のステータスの伸びが徐々に悪くなってきている』発言より設定。
【祭りのエリス様=クリスの変装】単行本のエンドカード?より推察。本体が降臨したのかちょっと解釈に困ってたりします・・・・・
【勇者特典】もちろん独自設定、一応強くはなりますが最底辺がまぁまぁ強いになるだけです。結局カズマさんはカズマさんのまま。今までと違う展開にするために設定。
出来るだけ上達していきたいので、長すぎる、短すぎる、表現に違和感などなんでもご意見いただけると幸いです。