昼休み、オルタちゃんは食堂の端で壁にもたれて休んでいた。……もちろん霊体化して。
すると目の前でなにやら面白い事が起きているではないか。
最初は数人の男子生徒が恋バナをしていて、ギーシュと呼ばれたキザな男がポケットから香水の瓶を落としたのだ。それをメイドの一人が見て拾い、彼に渡そうとするが彼は無視。他の生徒がその瓶を見て、ギーシュはモンモランシーなる生徒と付き合っているんだろう、と言った。
そこに、ギーシュが口説いていたと思われる下級生が来て、泣いて何かを言ったあと去っていき、さらにモンモランシーまで来てギーシュと喧嘩して去って行った。
その後何故かギーシュは瓶を拾ったメイドに八つ当たり。そのメイドは首が飛ぶと思い、震えながら謝っている。
いくらオルタちゃんと言えど、元はあの聖女。
つい、メイドに助け船を出す。
「そこまでよ、やめなさい」
「む?君は確かミス・ヴァリエールの使い魔だったね
なんのようだい?」
「ええ、話を聞かせてもらったけど悪いのはどうみてもあんたじゃない、最低ね、この二股男」
それに周りの生徒も笑い出す。
「そうだそうだ!ギーシュが悪い」
「ふ、ふた………ごほん、君は平民なんだろう?貴族への口の聞き方には注意したまえ」
「はっ、あんたみたいな二股男が貴族?冗談はやめて欲しいわね」
「君、僕をバカにしてるのかい?」
ギーシュは額に青筋を立ててている。
「ええ、そうよ」
「そうかい、なら決闘だ
貴族を侮辱したことを後悔させてやろうじゃないか」
「いいわよ、ここでやるのかしら?」
「いや、ヴェストリの広場でやる
僕は先に行っている、早くきたまえよ」
そう言ってギーシュは去っていった。
オルタちゃんも向かおうとすると、
「あ、あの!」
「ん?ああ、絡まれてたメイドじゃない
なんのようよ」
「謝りましょう?今なら貴族様も許してくれるはずですから…」
「何を謝る必要があるのよ、バッカじゃないの?」
「いやでも、殺されちゃいます!」
「サーヴァントに勝てる人間なんてそうそういないわよ」
そう言ってオルタちゃんも広場へ歩いていった。
「あわわわわわ………待ってくださーい」
そのメイド――シエスタ――も急いで後を着いていった。
「諸君!決闘だ!」
ギーシュがそう叫ぶ。
ギーシュと、旗だけを展開したオルタちゃんが向かい合っており、その周りを一般生徒が囲っている。
「ルールとしては降参するか、杖を手放す……君の場合はその旗(?)を手放したら負けでいいかな?」
「ええ、構わないわ
さっさと始めるわよ」
「いけ!ワルキューレ!」
ギーシュは青銅出きたゴーレムを作り出し、そのゴーレムがオルタちゃんに殴りかかる。
「なめんなっ!」
が、オルタちゃんは旗の一振りでゴーレムを粉砕する。
「な……」
見ていた周りも驚いている。
「この程度かしら?」
「まだだっ!ワルキューレ!」
今度は6体作り出し再び突撃させる。
囲んで一捻りと考えたのだろうが相手が悪かった。
サーヴァント相手には、ギーシュ程度の作り出したゴーレムでは相手になるはずもなく、すぐに砕かれる。
「そ、そんな……バカな……」
「まだやるのかしら?…………あら?」
オルタちゃんが戦闘続行するかをギーシュに聞いた時、
『グルォォォォォォ!!!!』
何かの咆哮が聞こえた。
声のした方を見ると2体のワイバーンがこちらに向かって飛んでいる。
「な………」
「ワイバーンだ、逃げろぉ!!」
「ひぃぃぃぃ!!」
生徒たちは逃げ出すが、オルタちゃんはその場に留まっている。
「へぇ、ワイバーンね……」
『アヴェンジャー!』
そこにルイズから念話が飛んできた。
『なにしてんのよ、早く避難しないと!』
『避難?何を言ってるのです、マスター』
『へ?』
「さっきの戦闘はつまらないものでしたが……ちょうどいいわ、血祭りにしてあげる!」
オルタちゃんは鎧を展開する。
「さあ、竜の魔女の力、見せてあげるわ」
そこでワイバーンの1体が近づいてきてオルタちゃんを獲物と見て攻撃してくる。
オルタちゃんはそれを避け、
「吹っ飛べ!」
旗でぶん殴り落とす。
さらに地面に叩きつけられたワイバーンに向けて炎を纏った槍を何本も生成し、ぶつける。
「汝の道は既に途絶えた!」
それにより、1体が死に絶える。
もう1体は一瞬で行われた蹂躙を見て敵わないと悟り、慌てて逃げ出そうとするが……
「逃がさないわよ!」
オルタちゃんが生成した炎で焼かれ、落とされる。
「全ての邪悪をここに………」
そしてオルタちゃんから、かなりの魔力が放出される。
「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮!」
そう詠唱して、腰の剣を抜きワイバーンにその先端を向ける。
「
すると炎がワイバーンを焼き、地面から出てきた複数の槍が貫く。
2体のワイバーンは無事倒された。
「あはははは!喝采を、我らが憎悪に喝采を!」
ルイズはキュルケとその友人のタバサと共にオルタちゃんが蹂躙するのを見ていた。
「すごい……」
「ルイズ、アヴェンジャーって一体何者なの?」
「私に言われても知らないわょ……あれ、なんか力が入らないんだけ……ど」ドサリ
「え、ルイズ!?しっかりしなさい!ルイズ!」
ルイズが倒れたのは、オルタちゃんが宝具の真名解放したせいで、魔力をかなり持ってかれたからである。
そして学園長室では……
「……すごいですね、オールド・オスマン」
「うむ、これはミス・ヴァリエール共々話を聞かねばならぬのぅ」
「では、早速……」
「いや、今は他の生徒のほうじゃ
ワイバーンが襲ってきたのじゃから、ケガ人がいないかの確認が優先じゃろう」
「はっ!そうですね、失礼しましたオールド・オスマン」
「構わんよ、それより早く行くがよい
ミスタ…………コッパゲール?」
「コルベールです!」
「おお、そうじゃった
すまぬな、アタマ・ハゲール」
「だからコルベールです!絶対ふざけてるでしょう、オールド・オスマン!
とにかく失礼します!」
そう言ってコルベールは学園長室を出ていった。