どうにか実力至上主義の教室へ   作:祭灯キャロット

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タイトル通り、なんの新情報も新展開もないあらすじです。セーブポイントのような一話です。必読ではありません。


まとめ1
001-088 緒祈真釣の独白形式による第3巻部分までのざっくりとしたあらすじ。あるいは、彼の人生のこれまで。


 ***

 

 

 

 今日までの僕――緒祈(おいのり)真釣(まつり)の物語を振り返ると言うなら、その始点は高校入学よりももっと前の時点に置くべきだろう。

 

 幼年期。

 小学校入学以前の出来事で唯一記憶に残っている出来事は、船に対するトラウマを植え付けられた一件だ。あの日以来、僕は揺れの大きさに関係なく、船に乗るだけで酔うようになってしまった。

 

 小学生時代。

 自分はどうやら異質な存在であるらしいと勘付いた。それは例えば、じゃんけんをすると異様にあいこが続いたり、自分がいるクラスに限ってたくさんの生徒が転校したり、先生が何度も変わったり。

 その()()()に『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』という名前を付けたのは、小学校高学年の時だったかな。「だからこそ」の一言で全ての現象に理由を付けるという、半ば反則的なウルトラCだ。

 『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』は僕の意思と関係なく勝手に発動するもので、僕はこれを疾患のようなものだと解釈した。治療法の確立されていない不治の病。

 

 しかし僕に出来ることもあった。それが『(ひずみ)』の発散だ。

 『歪』とは『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』が発動するために要する燃料のようなもので、これは日々の生活の中で勝手に溜まっていく。『歪』があまりにも蓄積されると、より大きな「だからこそ」が発生するわけだ。

 幸いにもこの『歪』は、()()()()()自分の意思で発散することが出来た。つまり、ある程度のオンオフが利くというわけだ。

 

 中学生時代。

 『歪』の発散をしながら、日々を上手いこと過ごしていた。小学生の時ほどあからさまに異端視されることも無かったはずだ。

 とはいえ厄介な『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』を抱えたまま一生を過ごすのかと思うと、やはり気が滅入った。この疾患を乙なものだと受け入れられるほど、僕は余裕のある大人ではなかった。

 だから中学三年生になって、年を越して、1月。他の受験生が合格祈願をする初詣において、僕は『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』が消えて無くなりますようにと祈った。それは勿論本気で叶うなんて考えてなくて、神様相手に愚痴るくらいのノリだった。

 

 ()()()()()、叶ってしまった。

 

 この日、僕は『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』を手放すと同時に、それに関する記憶すら失った。と言っても過去に起きた出来事の記憶はそのままで、だから『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』によって一度は説明を付けた不思議な出来事の数々が、再び原因不明の不思議な出来事になってしまった。

 自己に対する理解が小学校中学年まで後退し、「自分は一体何者なのか」という心地の悪い問いが、しこりのように脳に巣食った。

 

 話がそれで終わるならまだ救いはあったのだけれど、しかし残念ながら『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』は完全に消失したわけではなかった。あくまで一時的に遠ざけて、封じ込めただけだった。

 初詣からほんの数ヵ月で、僕の世界は再び奇妙に歪んでいった。

 

 2月、3月。

 僕の第一志望は高度育成高等学校という日本トップクラスの高校だった。筆記試験も面接試験も手ごたえはあったものの、届いたのは残念ながら不合格の通知だった。思わぬ結果に気落ちしていると、しかしそれから数日後、なんとびっくり合格通知が届いた。本来の入学予定者が不祥事により合格取り消しとなり、空いた席に僕が繰り上がった。

 

 4月。

 さあ、いよいよ入学の時――なのだけれど、事前に届いた制服はこれまたびっくり女子の物だった。ということで僕の高校生活はまさかの女装スタートだった。しかも配属クラスにも学校からの通達ミスがあって、初日は散々なものだった。

 初日以降も割と散々で、クラスメイトが予想に反して全然優秀じゃなかったり、この学校の売りである卒業後の進路保証がAクラスのみの特権だったり、不都合な新事実が次々と明らかになった。

 この頃から僕は自分が所属するDクラスに嫌気が差していて、他所のクラスの人と仲良くしようと考えていた。幸いにもBクラスとは初日にちょっとした縁があったので、接点は持ちやすかった。

 

 5月。

 中間試験で赤点を取ると退学らしいので、僕はクラスの何人かを潰してやろうと思っていた。それがどういうわけか綾小路君に説得され、気付けば勉強会に協力していた。過去問を使うという彼のアイデアもあり、結局退学者は出なかった。

 中間試験が終わった後、担任の茶柱先生と少し話して『好きなクラスへの移る権利』が2000万ポイントで買えることを知った。この制度を基に僕は『Aクラス移籍計画』を練り上げ、それからはこの計画を念頭に日々を過ごしている。

 

 6月。

 Bクラスの千尋さんとの急接近があった。それは僕にとっては恋愛的な意味での接近だったけど、千尋さんには思惑があった。そして一悶着あった結果、僕たちは親友になった。思い返してみると、何故あの流れから今の関係が出来上がるのか、中々に不思議である。

 あれ以来千尋さんは僕と帆波さんをくっ付けようとしていて、僕もそれを積極的に推奨はしないまでも、止めることはしなかった。この時点でもその程度には、帆波さんのことを気に入っていた。髪綺麗だしね。

 

 7月。

 千尋さんとのあれこれが終わると、今度は須藤君とCクラスの生徒の間で暴力事件が起きた。おかげでポイントの支給が止まったりと、普通に迷惑な事件だった。最終的には事件そのものを無かったことにして、誰が罰されることもなく静かに終わった。

 一方で僕個人としてはBクラス担任の星之宮先生との一幕があった。というのも、どうやら先生が僕に関する悪い噂を流しているようだったので文句を言いに行ったのだ。色々と下準備をして面会に望んだものの、結果的には大して得るものの無い一件だった。

 

 そうしていよいよ一学期の終わりが見えて来た頃、僕は須藤君の期末試験の面倒を見ることになった。中間試験で赤点を取っている彼に勉強を教えるのは相当な苦労が予想され、まあ実際に相当苦労はしたけれど、それでも彼のバスケ愛を利用した冗談みたいな方法で乗り越えることが出来た。

 勉強会と同時に進行していたのが、Cクラスによる千尋さんへの嫌がらせだ。相談を受けた僕は事の解決に協力し、その果てに龍園君と邂逅した。それ以来彼には目を付けられているけれど、これはまあ仕方のないことだろう。僕がAクラスを目指す以上、龍園君との接触は遅かれ早かれ起きていたイベントだ。事前に予想は出来ていた。

 

 ただ、予想出来なかった出会いもあった。半年前に切り離した記憶――もう一人の『ボク』との、夢の中での再会だ。

 彼のおかげで『手に負えない逆説(ウルトラロジカル)』のことを知ることが出来たけれど、それは記憶をなくしていた僕にはあまりに突然で、突飛で。冷静なつもりでいたけれど、気付けば僕は生き方が分からなくなるほどに懊悩した。

 そんな僕を救ってくれたのは千尋さんだった。「好きに生きればいい」と言ってくれた。おかげで気が晴れた僕は毎日を気の向くままに、楽しく過ごさせてもらっている。帆波さんの誕生日にはデートなんかしたりして。

 ちょっと無計画にポイントを使ってしまった感があったので、盤上遊戯(ボードゲーム)部に赴いて先輩に勝負をふっかけたりもした。僕の所持ポイントはDクラスの中ではトップクラスだと思う。

 

 8月。

 夏休みに入り、2週間の旅行が始まった。旅行とは言うものの、少なくとも前半はがっつり特別試験だった。

 無人島でのクラス対抗サバイバル試験で、僕たちDクラスは結果だけ見ると大勝した。綾小路君が裏で色々と動いたのだ。一方で僕個人としては軽井沢さんの下着を盗んだ嫌疑をかけられ、クラス内での立ち位置が中々ナイーブなものになっていた。真犯人である伊吹さんにちょいと取引を持ちかけてはみたものの、どう転ぶかは伊吹さん次第だ。

 綾小路君の思惑によってDクラス勝利の手柄は僕と堀北さんに被せられることになるけれど、さて、それで僕の風評はどうにか好転してくれるだろうか?

 現状打てる手は打ってしまったので、後は良い結末を祈るばかりである。緒祈だけに。なんつって。

 

 僕の船酔いなどお構いなしに物語は進む。

 

 船上での1週間が、始まる。

 

 

 

 

 




深夜のノリでとりあえず投稿しました。あとでちょこちょこ改稿すると思います。ただ、文字数が増えすぎても嫌なので大枠は変えないつもりです。
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