城兵として召喚されたんだが俺はもう駄目かもしれない   作:ブロx

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特に読む必要のない前回泣く泣く削ったNGもといモーさんの過去シーン。


「アーサー王は私が支える。君はそう言った……」
「―――?」
「ワタシに刃向かった罰だモードレッド…。その望みを、絶つ――!」
「??」
「 モゥドォレッドゥ! 」
「……! 母、上?」 
「何故君がキャメロット城の主、アーサー王と瓜二つなのか。何故顔を兜で隠し続けなければいけないのか?何故貴女には実の父親がいないのクァ!!」
「!?」
「その答えはただ一つ―――ハァ…っ!!!」
「母上っ!」
「モゥドォレッドゥ! 君が!!世界で初めて、――ワタシとアーサーの間に生まれた!実の娘だからだァァァァアッ!ヴァアハハハハハハハッ!!!!!」


 削って正解。











第34話 思い出

 

 

 

 終わらない。

 

 終わらせない。

 

 この槍を手にしている限り。

 

 

「我が王よ。今こそ、・・・今こそあなたにこの剣を」

 

「---、やめろ」

 

たとえ何に成ろうとも。ここに自分が居る限り。

 

「私は蔑まれるべき不忠者です。ですがこれだけは果たしたく思い、ここに馳せ参じました」

 

「---私に刃向かうな。 人間っ!!!」

 

「我が王よ。まことに―――まことに申し訳ございませんでした。 今度こそ、あなたにお返し致します」

 

 ---見覚えのない剣の柄が私の手に触れる。 その時頭に浮かんできたのは、あの丘の戦の日。

 

 忠節なる騎士に王としての命令を再三にわたって下し、全てが薄くぼやけて消える運命を、私は確かに感じていた。

 

「---……」

 

 そうだ。私は王になどなってはいけなかった。

もっと崇高で徳があり、神の如き者ならばもっと上手くやれた筈。…何故ならこの身がヒトであったからこそ民を苦しめ、実の子すら殺めたのだから。

 

私はあの時、剣を抜くべきではなかった。

 

 ――悔しさよりも怒りが。怒りよりも羞恥が心を濡らす。そして悠久ともいえるその時の中で、私は声を聞いた。

 

『--王よ。手を伸ばして下さい』

 

誰か傍にいるのか。目蓋が開かない為、私には何も見えなかった。

 

『私は貴女に死んでほしくない。もっと私と共に草原を駆け、そして貴女の思うとおりに生きてほしい』

 

『………』

 

何を馬鹿なと思った。

 

 祖国は滅ぶ。酷く惨く。

避けられぬその運命を導いた出来損ないの我が身なれば、疾くこの世から消えるが定め。…私は間違っていた。

 

『いいえ。ブリテンは滅びませぬ。 貴女が此の世に有る限り、貴女が私の手綱を引く限り!』

 

 何も見えない目蓋の裏から突如、感じる光。最果てをも照らすだろうその光には憶えがあった。

 

『手を伸ばし、この光と手綱を御執り下さい。どうか、どうか。--貴女のいない世界に、私は生き残りたくないのです』

 

王になるべきでなかったわたしに、これは手を伸ばせと言う。

 

光を掴めと。共にあろうと。

 

『………。分かった』

 

・・・・・。

 

『--他ならぬ我が愛馬に応えよう。ドゥン・スタリオン』

 

『ヒヒヒーン!!』

 

 それが全ての始まり。

ヒトを辞め、此の世をさ迷いながら私は神としての視点を得る事となる。…だが、それはもうここで終わりだ。

 

「--今までご苦労だった。ドゥン・スタリオン」

 

「フルルル・・・(我が王よ・・・)」

 

「--ゆるりと休むが良い。私もすぐそちらに往く」

 

「フルルル(貴女と共に居られて、私は幸せな馬でした)」

 

「--………ああ」

 

「フルルル!!(我が主アルトリア様。また何処かで。我が蹄は、いつも貴女だけの物である!!)」

 

 音も無く消え往く我が愛馬。光を失い黒ずむ聖槍。

ずっと共にあった旅の道連れの最期は、懐かしい程に胸が苦しいものだった。

 

 

 

 

 

 

「--カルデアの者達よ。其方らに伝えねばならぬ事がある。七つ目、最後の特異点についてだ」

 

 聖槍の女神となった事で手に入れた情報を伝える。…決して口にはすまいが、この者達なら必ずや人を衛り継いでゆけるだろうと信じて。

 

そして最期に、

 

『アーサー王、情報感謝致します。 ぐだーズにレオナルド、今帰還の用意をして、――え?』

 

「べディヴィエール卿!?…良かった!」

 

「・・・・これは。一体、何故私はまだここに」

 

「--。カルデアの者達よ」

 

『?待った。・・・・何だ、これ』

 

「ドクター?所長?一体何が……。 っ!?」

 

 世界が白み始め、全てが消失するまで後は時間の問題という時だった。―――それら全てが唐突に止み、この聖槍が再び光り始めたのは。

 

 

終わらない。

 

終わらせない。

 

まだ貴女は。まだこの城は落ちてなどいないと言うように。

 

 

「--。もうよいのだ」

 

否。

 

「--。カルデアの者達よ、最期にどうか頼む。あの者をとめてくれ。最早今の私では。………かつてのキャメロットで寝食を共にした者は誰も、叛逆の騎士以外誰もあの者に手は出せぬ」

 

「?獅子王さん?」

 

否。

 

否。否。否。

 

「王よ、これは一体。・・・何故私は」

 

『特異点が崩壊しない?これは一体・・・・っ!?』

 

「ッ! 立香!!構えろッ!!!!」

 

「--べディヴィエール卿がこの世界に来た時から。もう我らの時間は終わったのだ。…我が兵(つわもの)」

 

いいえ。

 

私がこの槍と共に有る限り、この城も貴女も負けていないのです。

 

 ―――キャメロット城円卓の間の扉が、音も無く開く。

この城を誰よりも知り得、誰よりもここで戦い続けた馴染み深い兵士を迎え入れるように。

 

「―――フスカル・ローナルドよ」

 

「・・・・・」

 

 ―――細かいひびだらけの鎧と兜を纏って、ぽつねんと。そこには独りの兵士が立っていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

あー痛かった。サシの勝負の最中に背中から刺すなんてひでえよなあ。

 

「粛正騎士!!!」

 

「やはり。…貴方が」

 

『何だこれは!? 霊基の再臨――、じゃないッ!霊基そのものが変質している! ・・・皆!!惑わされるな!君たちの眼の前にいる何かは、粛正騎士なんかじゃないぞ!!!』

 

『……獅子王アルトリア。答えてほしいのだけれど』

 

「何か。オルガマリー・アニムスフィア」

 

「・・・・・」

 

 しかもここに来るまでにズタズタ切られるわ兜はひび割れるわ、碌な事がねえ。まあ、この程度で死んでたらキャメロット城城兵は名乗れないけども。・・・それに、

 

『アレは貴女が召喚した粛正騎士の原型。そうよね?』

 

「その通りだ」

 

「・・・・・」

 

 てめえら邪魔だ。

今すぐ我が王から離れろよ。最果てへの旅立ちは見送るもんだって昔から決まってんだろうが。

 

『…最初からおかしいと思ってたのよ。 識別も甲冑も同じ粛正騎士なのに、いつ使用したのかアレに掛かってるバフ効果は粛正騎士全種のもの。そんなデタラメ、絞り込める答えは一つ。―――アレは粛正騎士ではなく、粛正騎士がアレなのよ』

 

「・・・フスカル、殿?」

 

「・・・・・」

 

 おやおや? ああ、貴方様は何やら数奇な人生を送ったようですなあ。肉体が消えそうじゃないですか。 昔のよしみですしべディヴィエール卿、貴方そこに立ってて下さい。

 

邪魔者を殺してからゆるりと、互いに最期の会話を楽しみましょう?

 

「この世界の粛正騎士は、全員が生前私に仕えた兵達だ。しかしそのままでは敵に容易く蹴散らされる事は必至。だから彼らには雛型が必要だった。…神霊である我が恩恵を受けるに値する誰かの」

 

『そんな馬鹿な・・・・。直々に最高存在から? まさかこの兵士は、規格外(EX)の信仰の加護を?』

 

「成る程、・・・まだ私が消えぬのは貴方の仕業ですか。ローナルドのフスカル」

 

「べディヴィエール卿。あの敵を知ってるの?」

 

「・・・・はい。彼は私と古い付き合いの兵士です。キャメロットに我らが務め始めた当初は正門と厨房の兵を兼ね、どんなに忙しい時でも我らに料理を振舞ってくれました」

 

「・・・・・」

 

ああ、懐かしい話で。あの頃は皆に栄養をつけてあげたくて必死でした。

 

「初代厨房長ローナルド。ですがすぐに厨房を引退し、正門の守護のみに注力した。出世もせず只の一兵卒としてずっと」

 

『あの槍…。そしてローナルド? ―――まさかあれって』

 

「気付いたかい?マリー。 名前が分かるまでは半信半疑だったが、獅子王様。Ronaldと書くのかな?」

 

「―――いいや、メイガス。Rhonaldだ」

 

 背中に感じる視線。聞こえる声と呼吸。

モードレッド卿を打ち破った懐かしき騎士王を、見えずとも俺は耳で感知した。

 

「・・・・・」

 

「セイバー!無事で良かった!」

 

「……フスカル。久しいな」

 

はい。なので邪魔せんで下さいね?

 

「――成る程。伝説の習合ってわけか」

 

「ダ・ヴィンチちゃん?何か分かったの?」

 

「・・・・」

 

?伝説って?

 

「ああ。 聖槍ロンゴミニアドは、伝説によればロンの槍とも云われているんだ。でも『ロン』ってのは槍を意味する言葉で、そうすると槍の槍って事になる。変だろう? となると最も考えられるのは?」

 

「……。銅の剣みたいに、材質名?」

 

「いや、・・・振るった人の名前?」

 

「ご明察。 アーサー王が居た時代は中世初期、暗黒時代の真っ只中だ。同時代に凄い槍があったなんて話、時の流れで聖槍と一つに括られても無理はない。よって、彼の槍はロンゴミニアドの一側面なんだろう。現代のロンはronaldの短縮形だしね。丁度、アビゲイルをアビーって言う感じ」

 

『・・・待ってくれレオナルド!!それにしたって何でこのエネミーがそんな宝具じみた物を持っているんだ!? 今が人理焼却という危機的状況だからといっても、この兵士の霊基は奇妙だが英霊じゃあない!信仰も伝承もされてない宝具も持てない故人である事に変わりはないんだ!!』

 

「それは恐らく―――」

 

「文字に残らない記録です。ロマニ・アーキマン」

 

『・・・・まさか』

 

「憶え続けたのです。聖槍の如き凄まじき槍、槍を扱う一族(ローナルド)を」

 

「信仰せずとも忘れなかったのだ。なぜなら歴史は全て敗者と戦った勝者が紡ぐ物。口伝、お伽話、そして何より―――恐怖すら」

 

『当時のブリテン。アーサー王の死後イングランドを支配し始めたのは・・・!!』

 

「・・・・・」

 

 殺してやったよ? カムランでアーサー様が身を隠したのを見計らって、ハエみてえにたかって来る蛮族共をこいつで。だってこの城は俺達が、

 

『アングロ・サクソン。――そして北方ゲルマン・ノルド人!』

 

―――俺がずっと守ってるんだから。

 

「・・・・。キャメロットの、落城は。落城したと私が、風の噂で聞いたのは。・・・カムランの丘の戦の十一年後。まさか王よ、まさか・・・彼は・・・!」

 

「………彼はキャメロットが落城する最後の一兵になるまで戦い、その最後に死した兵士です」

 

「そして、先王ウーサーの代から仕える最後の一人だ」

 

「・・・・・」

 

ひび割れる兜。眩しい影。

 

白く光る我が槍(ロン)を、俺はいつも通り敵に向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




求めても、求め得ぬもの。
望んでも、望み得ぬもの。
狂おしいまでの渇きが、叶わぬ思いが、殺意と闘志を生む。
心に地獄と天国を持つ人間だけが可能にする、不可思議なる合意が、壮烈なる信念を生む。
次回『この星空を覆い尽くす時まで』
流される己の血潮で、渇きを癒す。




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