城兵として召喚されたんだが俺はもう駄目かもしれない   作:ブロx

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何?FGOで今話題のあのオルタさんが出ない?よしここは一つ作者が悪者になって、沖田オルタさんが出るよう挑発してみましょうか。

君なんだか、剣王登龍剣とか言って宝具撃ちそうなグラだよな(笑)


本当カッコいい…!






第3話 血潮

 

 

 

「目障りなんだよテメエ。 オレと似たような反逆を父上にこきやがって、パチモン野郎。お陰でいい迷惑だ」

 

「・・・・」

 

 兵Cです。これから聖地攻略という名の着剣突撃(デデンデッデデンデン)が始まるっていうのに、俺はモードレッド卿に屋上もとい林裏へ連れていかれました。コワイ。

 

 否定しなくては。待って下さいサー・モードレッド。この私が我が王に反逆などするわけが!!

身振り手振り!!!

 

「―――――……」

 

この空気。ダメだこりゃ。

 

「…さっきから父上はテメエを目に掛けてる」

 

「・・・・」

 

 え?それマジですか?一般兵に対して我が王寛大過ぎるでしょう。流石に無いのでは。

 

「こちとらイの一番に召喚に応じてんだ。 テメエら兵卒どもが現われた時から全部見てんだよ。あの父上の言葉だ、兵共はそりゃあ従順だったぜ。木偶みてえにな」

 

 何と最初から全部ですか!?むむむ。それでは俺がとった行動は、傍から見れば目上に対する反逆のように見えたのでしょうか。ちょっと振りかえってみよう。王と俺の先程のやり取りを。

 

――褒美をやろう。

 

――・・・。(無言で首を横に振る)

 

――何故だな。

 

――・・・・。(言ってるんだけど声が相手に聞こえないので、実質無言)

 

 あ、やばいこれ獄門案件だ。斬首死体滅多斬り晒し首財産没収埋葬不可。

声が聞こえないというのは辛いですとか言ってられない。早急に汚名挽回せねば!

 

「・・・!」

 

 こんな自分のために、これ以上あなたの誤解は招きたくない。王の為にずっと働きたいんです!!

声くぐもってるけどどうか届いて下さい!俺の!マインド!!

 

「そんな兵卒達の中で唯一違う行動を見せたのは――――テメエだけ。 一体何が目的だ?」

 

「・・・・」

 

くそっ!じれってーな! かくなる上はこの兜ちょっと脱いで、

 

「――なぁ、言えよ」

 

 ・・・モードレッド卿の手に持つ銀剣の切っ先が、俺の兜の目の辺りに付けられる。ちょいと腕を押せば、俺の顔面は団子三兄弟。しかもこしあんついたあん団子。

 

「・・・・」

 

「………」

 

 誤解を解く為、俺は跪いて頭を地面にこすりつけ、両の手のひらをモードレッド卿に見せ広げる。え?槍?あいつはとうの昔に地面と寝てるよ。

だってアグラヴェイン卿とは違う種類の殺気がもうやばい。何がやばいって頭痛が痛い並にやばい。

 

 でも俺の頭が首という枷から離れて胴体と股間を目視で挨拶する前に、どうかこれだけは。

 

「・・・」

 

「…………」

 

 円卓の騎士の方々は俺みたいな一城兵(モブ)からしてみれば憧れの的で、畏敬の象徴だ。逆らうなんて考えられないし、下克上なんてもってのほか。それが騎士と兵士の絶対的な差だ。

 

 え?差別だ?心外ですな。 いえいえこれは区別ですよあなたとわたし、ほらほら字面からして違うでしょ。

 

「…それがテメエなりの誠意って奴か? 丸腰の野郎を斬るなんてオレの誇りが許さねえから今回は勘弁してやるが―――、」

 

利き腕である右の手のひらが、おもっくそ痛い。

 

「次は無えぞ。努々忘れんな」

 

「・・・」

 

 しっかりと頷く。 と同時に、俺の右手を踏み潰しているモードレッド卿の足がどかされた。 

鈍痛が止まない。指の骨が折れた・・・!!

 

しかし人間には、215本も骨があるのよ。1本ぐらい何よ!!! 

 

「………大丈夫ですか?」

 

「・・・・」

 

 暗い瞳と、それでいて感情を押し殺してそうな蚊の鳴く声が聞こえた。我が王の円卓の騎士・ガレス卿だ。

有り難くもこちらを慮って下さっている。

 

 俺は素早く居住まいを正した。敬愛する騎士様の前くらい、少しは格好をつけないと。

 

「…モードレッド卿に代わり、非礼を詫びます。あんな三下まがいな事をするのは、滅多に無いのですが」

 

 え?それにしては堂に入っていた様な気がしますが・・・。あ、俺の勘違いですかそうですか。

いや、それにしても三下って。ガレス卿はお顔に似合わず凄烈な御方のようで。

 

「…一つ、聞いてもいいですか?」

 

「・・・」

 

 俺は頷いた。円卓の騎士様がパンピー(モブ兵士)の俺に質問、だと・・・?

明日は槍が降りそう。つーか降る。だってこれから戦場に赴くのだし。

 

「あなたは何故、…王のギフトを『不要』に出来たのですか?」

 

「・・・・」

 

 おお、どうやらガレス卿は飽くなき闘争心を持っておられるようだ。ギフトがあれば、我が王の為にもっともっと力強く働く事が出来るのにと。そうおっしゃっているのだ。

 

正に騎士の中の騎士。

 

 ボーマン(美しい手)ってあだ名は、戦いで敵を殲滅しても尚綺麗であるという裂帛の意志と力の表れでありましたか!

 

「…答えて、ください」

 

「・・・」

 

 有無を言わさないガレス卿。 なので俺はさっきから地面と愛し合っている馬上槍をむんずと右手で掴み、そこの一際高い樹木に向かって思いっきり投擲した。手の痛さなんて、そんなの知った事じゃない。

 

「…………」

 

 声が聞こえないのであれば行動で示すまで。何故なら我が王の為に俺の槍は有る。

怪我なんて知らん。祝福なんて知らん。聖抜なんて知らん。

 

ただ我が王の敵を打ち倒す事のみにこそ、この体は生前から有るのだからして。

 

「・・・」

 

「…なるほど。あなたは迷わないのですね」

 

 俺の投げ槍がお気に召して下さったのか。俺を見つめるその暗い瞳には、一瞬だが眩しい光が見えた。・・・もしや感動して下さったのかな?

 自慢じゃありませんが俺は槍の扱いには少々覚えがありまして、

 

「己の価値は戦場にのみ有る。 あなたはそう言うのですね」

 

「・・・・」

 

 聞こえませんかそうですか。いいさいいさ、もう慣れたよ淋しくねえよ。・・・・何てことねえよ、これくらい平気だよ。

 

独り淋しくたって、俺は止まんねえからよ。 皆が止まらねえ限り、その先に俺は!!いるぞ!!

 

「……、もう陽が昇りましたか。この沸き立つ血潮の感覚こそ、わたしがここにいる証し。

かつての仲間を斬ってまで王に従うと決めたのなら、最後まで貫くまで。あなたの槍のように」

 

「・・・」

 

 顔を両手で覆うガレス卿。それはまるで過去を振りきるように、迷いを断ち斬るように。

――自身に止めを刺すように、その美しい手が陽光と共に引き剥がされた。

 

「戦いが、わたし達を待っている」

 

 頷く俺。確かあなたのギフトは『不浄』でしたか。ランスロット卿と間違えておいででは?

 

その証拠に獅子王の騎士が一人、サー・ガレスは『凄烈』な表情でこちらを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 




この果てしなく広がる太陽は、大地を遍く照らす為にあるとしたら。
今日という日が、明日の為に有るとしたら。
地獄は、この場所の後ろにあるはずだ。
そこはもう充分に見た。充分に。
例えここが無窮であろうとなかろうとも。
次回『獅子の円卓』
だが今日という日が、昨日の為に有るのだとしたら。




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