名古屋鎮守府付属艦娘学校   作:gifu-no-hito

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Road to Legend -伝説への道-

足柄の致命的な弱点を見つけた提督。
そして彼は彼女にある秘策を伝授する。
果たして足柄は成績UPすることはできるか!?


叢雲「そういえばアンタ、一人称は『僕』じゃなかったっけ?」

提督「足柄にちょっとカッコつけたくてね。悪くないだろ、こういうのも」

叢雲「うわ、似合わないわー。で、これから足柄さん連れてどこかに行くんでしょう?執務はどうするの?」

提督「姐さんオネシャス」

叢雲「コラー!!!!!!」


006-2 足柄教官の過去(中編)

翌日、あまり眠れなかった足柄は重い足取りで執務室に向かっていた。

 

ー昨晩ー

 

足柄「苦しみを解放するって、何言ってるの」

 

提督「そのまんまだ、足柄。今、お前苦しんでるんだろう。それを俺が解放してやる」

 

足柄「え、でも、どうやって....?」

 

提督「それには少し時間がかかる。明日の朝、勉強道具をもって執務室に来てくれ」

 

そういうと提督は足早に帰っていった。

 

 

ー執務室前ー

 

コンコン「どうぞー」

 

足柄「失礼しま...って、何やってるのアナタ」

 

提督はいつもの袖を折ったシャツに黒のチノパン姿とは打って変わって、登山服を着ている。

しかも執務机に置かれている荷物は山登り用のナップザックだ。

 

提督「何って、山に登るんだよ。山籠りだ。足柄の服も用意してあるから着替えておいで」

 

そう言って登山服を渡してきた。

 

隣にいた秘書官の叢雲に「まあ、かんばりなさい」と言われた。一体何が始まるというのだろう?

 

 

 

足柄を連れて鎮守府を出たのが午前8時30分。そこから●R東海道線に乗り、関ヶ原駅で下車したのち、バスに乗った。

目指すは伊吹山。岐阜県と滋賀県にまたがる標高1377mの山だ。ちなみに1975年(昭和50年)1月14日に230cmの積雪を記録して現在まで日最大降雪量世界一の山だったりする。

 

伊吹山の麓まで来た僕たちはしばしの昼食休憩。お昼は間宮さんが渡してくれた手作り弁当だ。

 

足柄「そういえば、ここに来る前ってご飯どうしてたの? 前と比べてあなた太ったわよね? 今何kg?」

 

お茶を吹き出して咳き込む提督。

 

提督「ゲホゲホ体重はおーしえないっ! この世界に来る前は大学の食堂と自炊していたかな。冷凍食品多めで」

 

忙しい主婦の味方、冷凍食品!!

僕もその恩恵に預かっていた。

 

足柄「ふーん。やっぱ間宮さんの力かなあ?」

 

提督「ああ、間宮さんのご飯は格別だよ。でも、いつも運動している君たちと同じ分食べてたら太るかもな。足柄も気をつけないとデブになるぞ〜」

 

足柄「デブになりつつある人に言われるとホント説得力あるわ」

 

二人は笑いあった。だんだん足柄にも笑顔が戻って来た。

 

 

午後は伊吹山にアタック。すこし薄暗いけど登山道はしっかり舗装されているようだ。

 

足柄「まさか頂上まで行くんじゃないでしょうね?」

 

提督「ああ、7合目あたりに山小屋があるんだ。今日はそこに行くよ」

 

そう言いつつ、二人は黙々と歩いていった。

 

 

ー伊吹山7合目ー

 

太陽が西へ沈みかけた頃、二人は山小屋に到着した。こじんまりとした小屋だが、中に入ると暖かい檜の匂いがした。

玄関の額には「飢狼堂」と書いてあった。

 

足柄「こんな建物があったなんて...。アナタいつからこの小屋持ってたの?」

 

提督「この小屋は昨日知り合いと妖精さんたちに急ピッチで作ってもらった」

 

足柄「え!?」

 

そう、昨晩足早に執務室に帰ったのは妖精さんたちにこの小屋を作ってもらうためだ。先日知り合いになった建築家の女の子に連絡して設計図を引いてもらい、それを元にわずか一夜で作り上げた。

4LDKの間取りなのに外見上はこの小ささって、妖精さんの技術ってホントすごい。

ここは喧騒がなく、森林に囲まれて自然豊かなところで勉強に励める。水は山から引いて装置で綺麗になっているし、食事は毎日間宮食堂から妖精さんの謎技術によって開発された転送装置によって送られてくる。

妖精さん&女の子、マジ感謝です。

 

 

提督「今日はもう疲れただろうし、シャワー浴びて、用意してあるご飯を食べて休むといい。明日から勉強を始めるぞ」

 

足柄「了解。...まさか一緒に寝るんじゃないでしょうね?」

 

提督「君の部屋は向こうだ。シャワーも完備されている。...言っておくが僕は自分の教え子に手を出さない主義だ。両親の二の舞はしたくない」

 

足柄「あら、期待したのに残念ね」

 

そう言って足柄は部屋に入っていった。僕も疲れた。シャワー浴びて寝よう。

 

 

ー翌日ー

早々に目覚めた足柄は外の空気を吸い、朝の森林を肌で感じていた。良いところに来たものだ。

そこへまだ眠そうな普段着の提督が現れた。

 

提督「おはよう、随分と早く起きたな。まだ寝ててもいいのに」

 

足柄「そんなこと言ってられないわ。早く勉強を始めましょう?」

 

提督「まあ、あせるな。今日からやることは特別メニューだが、やることは勉強だけじゃない。追々やっていこうじゃないか」

 

呑気にそういう提督は大きなあくびをして中へ引っ込んでいった。

 

 

ー朝食後ー

目もバッチリ覚めた提督はリビングのテーブルに向かい合って座っている私に授業を始めた。

 

提督「さて、足柄。まず君が苦しんでいるのは妹の羽黒に負けたくないということと、早く周りに追いつきたいということだったな」

 

足柄「ええ、そうよ。今度こそ羽黒に勝ってやるんだから!!!」

足柄は鼻息荒く息巻いている。提督は静かに切り出した。

 

提督「足柄、まず羽黒はこの世界にいないと考えてくれ」

 

足柄「え!?」

 

提督「足柄、おそらく君がテスト中に思い浮かんでいたのは漢字じゃなくて羽黒の顔だろう?違うか?」

 

 

しばしの沈黙が訪れる。

 

 

足柄「...ええそうよ。テストが始まったその瞬間から羽黒の顔がちらついて集中できないわ」

 

提督「おそらく君は羽黒を必要以上に意識し過ぎているんだと思う。もちろんライバル意識を持つことは悪いことじゃないけど、過剰な意識は自分にプレッシャーになる。だからしばらく『羽黒という存在』はこの世にない(ここに羽黒はいない)と思うことにしよう」

 

足柄「わかったわ」

 

まずは刺激(ストレス)となる要因(ストレッサー)を排除。うん、シナリオ通り。

 

提督「あと、周りに追いつきたいということだけど、これは心配しなくていい。みんなの成績はまだ君の射程圏内だ。恐らく羽黒の成績をみて君は周りがすごく頭が良いと思ったんだろう」

 

提督「大丈夫、足柄は絶対みんなに追いつける」

 

足柄「...そう、良かった」

 

足柄は心底安堵した。まだ自分はやれる。そう確信したからだ。

 

提督は足柄の安心した表情に次のステップのイメージを膨らませる。

 

 

提督「次に点を上げるための方法だけど、足柄は僕の渡したワークをどのように勉強している?」

 

足柄「とりあえず、わからなかった問題は赤で直して覚えているわ」

 

提督「それだけ?」

 

足柄「ええそうだけど...それがどうかしたの?羽黒だって同じことしていたわ」

 

提督「それじゃ無駄が多い。改善の余地がある」

そういうと近くの棚から一枚の紙を取り出し説明を始めた。

 

提督「羽黒のような天才を除いて、一般的に記憶は多くの回数を経験したものが色濃く残っている。例えば足柄は射撃演習で撃った砲の反動や弾の軌跡なんかはよく覚えているだろう?」

 

足柄「ええ、何回もやっているから癖になっているわ」

 

提督「そうだ、この『癖』を漢字にもつけてほしい。癖になるほど漢字を反復練習を繰り返すんだ」

 

提督は紙に「癖をつける」と書いて話を続けた。

 

提督「そしてこの反復練習を行うやり方が PDCAサイクルと呼ばれるものだ」

 

足柄「ぴーでぃーしーえー?」

 

提督「そう、Pはplan(計画)、Dはdo(実行)、Cはcheck(確認)、Aはact(次の行動への計画)だ。これを漢字の暗記に当てはめてみるぞ。」

 

提督は紙の余白を4等分してそれぞれの領域を矢印で結んだ。

 

 

「1番目のPでは一度範囲の漢字問題を解いてみて正解している漢字と間違っている漢字を振り分ける」

 

「次にDでは間違えた漢字を覚え直す」

 

「次のCでは間違えた漢字をもう一度テストする」

 

「そして最後のAで次にやるべきことを計画する、例えばCで間違えたものをもう一度覚え直すとかこの範囲はもう良いから次の範囲へ行くとかだ」

 

提督は言ったことを紙に書いていく。

 

 

提督「な、簡単だろ。たったこれだけで暗記した量が一気に増えるんだ」

 

足柄「...それ本当なんでしょうね?」

足柄は紙を見て半信半疑だった。今までやって来たことと違うことといえば途中の「C(確認)」が追加されたぐらいだろうか。

 

提督「信じられないかもしれないが、やってみてごらん。すぐにわかる」

 

 

 

こうして足柄は小学4年生の漢字を最初からやり直した。PとDは割と早くできるものの、Cでかなりつまづく。だが、大きな変化が見られた。

 

なんといままで1割も超えられなかった正答率が半分近くまで上昇したのだ。

 

足柄「すごい....」

 

隣で本を読んでいた提督は足柄の声に反応した。

 

提督「な、できただろ」

 

足柄「ええ、これなら羽黒にも勝ちに行けそうだわ」

 

提督「おっと、今はその存在は...」

 

足柄「わかってるって、でもすごいわよ。今の私」

 

 

こうして足柄は何時間もこのサイクルを繰り返した。大した集中力だ。ここまで休憩なしに小学4年の漢字のほぼ全領域をカバーしつつある。

 

 

ー午後7時ー

 

提督「よし、今日はもうこれで終わりにしよう。あまり長時間続けていても記憶に悪いからな」

 

足柄「ええ、でも本当に今日1日で大きな進歩だったわ。本当にありがとう」

 

提督「ははは、でもこうやって正解が続くと勉強が楽しく思えてくるだろう?」

 

足柄「そうね。まだ覚えきれていない漢字は多いけどね」

 

提督「そう、この楽しさがモチベーションにつながっていくんだ。この楽しさがわかる人は中々いない」

 

足柄「そうなの?私は楽しくてしょうがなかったわ」

 

提督「さて、今日1日頑張ったことだし、ご褒美に今晩は美味しいもの食べにいこうか」

 

足柄「やったー!!」

 

 

こうして1日が終わっていく。しかし、この時二人は美味しいものを食べに行くためには、山を降りなければならないことに気づいていなかった。

 

足柄「もー疲れたー!!」

 

提督「ここが山の中だったこと忘れてた!!チクショーメ!!」

 

 

 

 

 

 

 




足柄回長く続きそうですが、次で締めにしたいと思います。
PDCAサイクルは本来ソフトウェアの開発の際によく使われる考え方ですが、実は暗記を伴う勉強にも最適です。
暗記のコツは
「無駄なく、最短で、最大量のモノを覚える」
に限ります。
暗記に苦労している方は是非試して見てくださいね。特に英単語なんかはてきめんです。

【次回予告】
足柄「漢字はもう完璧だわ!どんなテストでもかかってらっしゃい!」
提督「じゃあ本番のテストと同じ雰囲気の模試をやってみようか、あと数学も少しやってみよう」

得点力とは?
足柄に足りない最後の1ピースがついに解き明かされる!!
Road to Legend -伝説への道- 最終話へ続く
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