成り代わったのは白き罪人   作:ミカヅキ

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他の連載も滞っているのに、懲りずに他連載に手を出しました(汗)。いや、世の中があまりに安室さんフィーバーしているのでコナン読み返してみたらキッド沼に堕ちまして…。最初に好きになったコナンキャラがキッドだったもので…。







序章
覚醒


千暁(ちあき)!危ない!!」

「えっ?!」

 悲鳴のような幼馴染(おさななじみ)の声に、何事かと振り返ったのは良いが、今思い返してみると完全な悪手(あくしゅ)だったと言わざるを得ない。

 ドゴォッ!

「っ……!!」

 振り返った直後、額にサッカーボールが直撃し、その勢いのまま吹っ飛ばされる羽目になったのだから…。

「キャアアアア!黒羽さん?!」

千暁(ちあき)ぃっ―――――!!!」

 倒れ込んだ自分に悲鳴が上がったのを聞きながら、ぐわんぐわんと揺れる視界に意識を手放した。

 

 

 

 怪盗キッド

 

 中森警部

 

 “まじっく快斗(かいと)

 

 白馬(さぐる)

 

 江戸川コナン

 

 “インペリアル・イースターエッグ”

 

 工藤新一

 

 “ひまわり”

 

 鈴木次郎吉

 

 “名探偵コナン”

 

 そして、“黒羽快斗(かいと)”―――――――。

 

 

 衝撃で気を失ったらしい自分が目を覚ましたのは、保健室のベッドの上。サッカーボールが直撃した額には氷嚢(ひょうのう)が乗せられていた。誰かが運んでくれたらしい事に感謝しつつ、眠っている間に整理が付いたらしい()()()()()に、横になったまま頭を抱えた。

「転生したら“()し”になってましたって、どこの夢小説ですか………。」

 そんな展開、“支部”で飽きる程見たわ。

「ウッソでしょ―――………。」

 読む分にはおいしい。大好きな展開です、ありがとうございます!

 が、しかし…。自分がいざその立場に立たされれば、話は別である。

(自分がその立場になったら“()し”に会えないじゃないかっ………!!!)

 何を隠そう、コナンより赤井より安室(あむろ)よりもキッド()し。どうせ成り代わるならヒロインの青子ちゃんが良かった…。

 だが、()()を取り戻したと言っても“黒羽千暁(ちあき)”として生きてきた17年分の記憶もちゃんと残っている。ちょっと衝撃で取り乱したものの、流石(さすが)に17年生きてきた世界と家族、友人たちを二次元として見る事はもう出来ない。

 何より、既に自分は“怪盗キッド”を継いでいるし、父‐盗一を尊敬する気持ちもその(かたき)を討とうと誓った覚悟も、“パンドラ”を探し出し破壊するという決意にも揺らぎは無かった。

 前世の“()し”である“黒羽快斗(かいと)”がいないのは悲しいし、彼の居場所を奪ってしまったかのようで心苦しい気持ちもあるが、この世界の“怪盗キッド”は自分であるという自負もある。

 “やるべき事”は変わらない。

「あら?目が覚めたのね。気分はどう?」

 千暁(ちあき)が起きた事に気付いた保健医がシャッとカーテンを開けて顔を覗かせる。

「ちょっとおでこが痛いです……。」

「冷やしてはいたけと、赤くなってるわね…。場所が頭だし、今日はもう早退して念の為病院に行った方が良いわ。」

「今って何時間目ですか?」

 起き上がろうとした千暁(ちあき)を手で制し、氷嚢(ひょうのう)をどかしながら保険医が患部を確認する。

「ちょうどもうすぐ4時間目が終わる頃だから、昼休みになったら担任の先生に病院まで送ってもらいなさい。」

 本来なら保護者に連絡を入れるところだが、生憎(あいにく)と母子家庭で、その母も現在海外にいると知っている保険医が提案する。

「げ、2時間も寝てたのか……。」

 自分が気絶したのは1時間目の体育が終わった頃。確かに気絶してそれくらい目が覚めなかったのであれば、病院に行った方が良いかもしれない。

 キーンコーンカーンコーン…

「4時間目が終わったわね。担任の先生を呼んでくるついでに、あなたのクラスに行って荷物持ってきてあげるから、ちゃんと横になって待ってるのよ?」

「はーい…。」

 そのままカーテンを戻し、保健室を出て行ったらしい音を聞きながら軽く溜息を()く。

(まぁ、まだ今日だっただけマシだったかな……。)

 3日後に“キッド”として一仕事控えている以上、これが前日や当日だったらと思うとゾッとする。

「って、あれ……?今回の下見って…。」

 そこまで思考を巡らせたところで、ヒクリ、と頬が引き()るのが分かった。

「ベ、ベルツリー急行………。」

 90巻以上に及ぶ“名探偵コナン”の事件を全て覚えている訳ではもちろん、無い。しかし、“()し”である“怪盗キッド”が出演していた事件に関しては別である。誰が殺され、犯人だったかなど全く覚えていないが、“怪盗キッド”が“シェリー”こと宮野志保に変装して窮地(きゅうち)を脱した事は覚えている。

 いくら“正体”は異なるとは言っても、裏社会において悪名高き“黒の組織”の幹部と1対1(サシ)で対峙しなくてはならないかと思うと気が重い。おまけに、ちょっとでもしくじれば爆弾で吹っ飛ぶ危険もある。

(作戦変更…。)

 “怪盗キッド”が身代わりにならなくてはならないのは覆せない。しかし、正体を見破られる危険性を放置したまま捨て駒の(ごと)く扱われるのは我慢がならない。

 ならば、貸しを作るつもりでいっそこちらから協力を持ち掛けてやれば良い。

「待ってなさいよ“名探偵”…!」

 その顔に浮かぶのは、好敵手(ライバル)を出し抜かんと策を巡らせる怪盗の不敵な笑み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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