成り代わったのは白き罪人   作:ミカヅキ

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本編に煮詰まったのでIFストーリーを1つ…。
評価、お気に入り登録、ご感想ありがとうございます。

・黒羽家と工藤家はト〇とジェリーの関係(つまり仲が良い)。
・今回全く出て来ないけど、盗一さんは今日も元気にマジシャンとキッドの二足の草鞋。
・描写無いけど、千暁の前世の記憶はまだ戻って無い。
・千暁が2代目キッドじゃなくて2代目怪盗淑女(完全な義賊設定)。
・突然始まって突然終わる。
・矛盾点をスルー出来る人向け
・難しい事を考えずにライトに読んでください


If Stories
IF Story


「アホ、マヌケ、お調子者、目立ちたがり、ドジ、スカポンタン、えーっとそれから…。」

「………良い加減にしろよオメー、久しぶりに会ったってのに随分(ずいぶん)な言い草じゃねぇか…。」

 顔を合わせるなりボキャブラリー豊かに馬鹿(ばか)にしてくる昔馴染(なじ)みに、コナン‐工藤新一は思わず顔を引き()らせた。

 っつーか、スカポンタンって何だ。

 そんな疑問を綺麗に丸っと無視してくれた昔馴染(なじ)みは、更に続ける。

「ってか、前から思ってたんだけどさぁ…。新一って実は馬鹿でしょ?」

 心底馬鹿にし切った目で見降ろしてくる彼女‐黒羽千暁(ちあき)と、それを面白そうに眺めているだけの母に、コナンはがっくりと肩を落とした。

 昔からこの頭も要領(ようりょう)も良ければ(べん)が立つ彼女に、口で勝てた(ためし)は無いのだ。

「ったく、最近連絡も無いし新聞でもニュースでも見かけないと思ったら…。“好奇心(こうきしん)猫を殺す”って有名な格言(かくげん)を知らないの?」

「ちょっと待て……!母さん、一体コイツにどこまで(しゃべ)ったんだよ?!」

 つい、勢いに押されていたものの、よくよく考えるとなんでコイツはオレの正体を知ってんだ?!と今更疑問が()いてきた。

 思わず話を(さえぎ)り、コナンと千暁(ちあき)のやり取りをニヨニヨと(なが)めていた母‐有希子(ゆきこ)を振り返る。

「あら、千暁(ちあき)ちゃんったらどこまで知ってるの?」

 しかし、母までもパチクリと目を(またた)かせているのを確認し、空恐ろしい思いで再び千暁(ちあき)を振り仰いだ。

「私を誰だと思ってるの?」

 ふふん、とでも言いた気な千暁(ちあき)に、新一は何かもう、全てに負けた気持ちで返した。

「2代目怪盗(ファントム)淑女(レディ)様です……。」

 

 取り()えず時間も無いから言い訳は後で聞くから、としっかりぐっさりと(くぎ)を刺した2代目怪盗(ファントム)淑女(レディ)様は、その華麗なる変装術でもってしっかりと役目を(にな)ってくれた。

 すなわち、“宮野志保(しほ)”に(ふん)してバーボンをしっかりと(あざむ)いてくれたのだ。

 流石(さすが)の新一も、彼女がいる(はず)の貨物車が爆音と共に四散した時には全身の血が下がったが、そこは抜かりの無い天下の怪盗(ファントム)淑女(レディ)様である。保険として脱出用のハンググライダーを密かに隠し持っていたらしく、現役マジシャンもびっくりな脱出劇を実演してくれた。

 ―――――――そして、無事に工藤邸で合流。

 リビングにて(かお)り高い紅茶を振る舞われ、お疲れ様、無理言ってゴメンね♡と、有希子(ゆきこ)に好物のチョコレートの詰め合わせ(しかも1粒300円の、学生にはお高い有名ショコラブランドのチョコレートである)で(ねぎら)われ、早速(さっそく)その場で開封して舌鼓(したつづみ)を打ちながら、昔馴染(なじ)みへの追及(ついきゅう)を始めた。

「で?何か私に言う事無いの?新一。」

「……悪ィな無理言って。お陰で助かったぜ。」

「………27点。」

 もちろん、100点満点中だから。

 一先ず礼を言わねばなるまい、と口を開いたコナンを、千暁(ちあき)はバッサリと斬って捨てた。

「………えーと、せ、説明が後になっちまって悪かったな……?」

「49点。」

 どうやら求めている言葉はこれではないらしい、と頭をフル回転させながら言い直すが、どうやらこれも違うらしい。

「えーっと…。お、オメェが化けてくれた奴はオレが今関わってる事件の……。」

「12点。」

 今度は食い気味で採点された(しかも大幅に下がった)。

「新ちゃん、新ちゃん……。」

 表情に出さないようにしながらも、既に途方(とほう)に暮れているコナンに、この(にぶ)さは優作譲りね、と内心で溜息を()いた有希子(ゆきこ)がそっと小声でコナン(息子)を手招きする。

 こしょこしょこしょ、と耳元で千暁(ちあき)が怒っている理由を教えられたコナンの目がちょっと丸くなる。

「……………し、心配かけたみてぇだな。悪かった。」

「……悪かった?」

 それまで1粒300円の高級チョコレートをひょいパクと()まんでいた千暁(ちあき)が、そこで顔を上げギロリとコナンを(にら)み付けた。

「ご、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした!!!」

 その視線の鋭さに耐えかね、思わず敬語でガバリと頭を下げたコナンの旋毛(つむじ)を見下ろしながら、千暁(ちあき)が深い溜息を()いた。

「全く…。何度家に電話かけても出ないし、パソコンにメールしても開封した様子も無い!おまけに家に来てみても庭は草がボーボーで業者を呼んだ形跡も無いし……!優作おじさんたちに連絡を取ってみれば変に(にご)らせるし?いくら何でもおかしいと思って調べてみたら、学校にはいつの間にか休学届が出されてるわ、死亡説は流れてるわ……。半年以上も音沙汰(おとさた)無しで、心配するに決まってんでしょ?!」

「や、ホント悪ィ……。」

 そう言われてみれば、会う事こそ年に数回あれば良い方だが、メールや電話で何だかんだと連絡は取り合っていた。

 それが半年以上も音信不通ともなれば、いくら何でも不審に思うのは当然だった。

 千暁(ちあき)がこうも感情のままに声を荒げる事は珍しいが、それだけ心配をかけていたという事だろうから、甘んじて説教を受ける他無い。

「ホントにもう…!てっきり暴力団関係の事件にでも首突っ込んで口封じに殺されたんじゃないかと思ったんだから!」

「ははは…。」

(だいたい合ってやがる…。)

 意外と的を射ていた千暁(ちあき)の推察に、思わず乾いた笑いを(こぼ)したコナンだったが、次の言葉に思わず固まる。

「よりもによって()()“黒の組織”に関わったなんて…!ホント、馬っ鹿じゃないの!?」

「はっ……?って、ちょっと待て!何でオメーが黒ずくめの組織について知ってんだ?!」

 一瞬、千暁(ちあき)の言葉が理解出来ず、間抜けにもポカンと口を開けるという醜態(しゅうたい)(さら)してしまったが、コナンとしてはそんな事に構っている暇は無かった。

「答えろ千暁(ちあき)!」

 ガッと千暁(ちあき)の胸倉を取るが、あっさりと腕を外され、どんな技を使ったのかそのままソファーの上に(あお)向けにコロン、と転がされてしまった。

「何で知ってるかって…?何度も言うけど、私を一体誰だと思ってるの?」

 コナンをソファーに転がした代わりに立ち上がり、仁王立ちで上から見下ろす千暁(ちあき)に、その(りん)として冷涼(れいりょう)な気配に、思わずコナンも気圧(けお)される。

「…2代目…怪盗(ファントム)淑女(レディ)だろ……?」

 そう、平成になっても名高き、昭和の女二十面相とも(うた)われた大泥棒にして義賊。決して弱者からは盗まず、強者によって不当に搾取(さくしゅ)されたものを奪い返し、元の持ち主に返す民衆の味方。時には悪事の証拠を盗み出し、警察に送り付けて法の裁きを受けさせる。

 千暁(ちあき)が母である千影(ちかげ)から怪盗(ファントム)淑女(レディ)を継いだのは2年前の事。それを知った時には反対もしたが、千暁(ちあき)の“法では裁けない連中がいる”という言葉に、否定しきる事も出来ずに黙認せざるを得なかった。

 いくら常人離れした頭脳と身体能力を持つ千暁(ちあき)でも、怪盗(ファントム)淑女(レディ)を続けるのは一筋縄ではいかないだろう、と読んでいたからでもあったが、彼女の実力と才能は自分(コナン)の予想を(はる)かに越えていた。

 予想を裏切り、彼女は今も尚怪盗(ファントム)淑女(レディ)として君臨し続けている。そして、2年経った現在では裏社会にも根強いコネクションを持っているのだ。

 

 閑話休題(かんわきゅうだい)

 

「わかってるじゃない。裏社会であれだけ影響力がある組織の事を私が知らないとでも思ってるの?」

 個人的な情報網も持ってるしね。

 そう言って呆れたような視線を送った千暁(ちあき)に、気まずそうに目線を泳がせたコナンだったが、次の言葉にぎょっとして視線を戻す。

「ったく、もっと早く言ってたら話は早かったのに……。」

「は?」

 一体どういう意味だと視線で訴えかけるコナンに、千暁(ちあき)はチラッと目線を送った。

「まぁ、もう手持ちの情報は既に取引に使っちゃったし?やっぱり日本人としては“お巡りさん”の味方をしないとね?」

 意味あり気な笑みと台詞(せりふ)に、コナンが口を開こうとした瞬間、千暁(ちあき)の目線が動いた。

「なーんの権利も無い、余計な仕事ばっかり増やす“余所者(よそもの)”に花を持たせようとは思えないしね…。」

 千暁(ちあき)のその言葉に、リビングの外に(たたず)んでいた気配がわずかに揺れた。

「おい、それどういう意味……?!」

 ボフン………!!!

 コナンが問いただそうと声を荒げた瞬間、千暁(ちあき)が煙幕を張る。

「なっ…?千暁(ちあき)……?!」

「じゃーね。チョコごちそうさま♡」

 その言葉を残し、煙幕が晴れたそこには中身が空になったチョコレートの空き箱のみが置かれていた――――――――。

 

 

 




ホントは公安(降谷さん)の協力者になった千暁とか、怪盗キッドじゃなくて怪盗淑女を追う白馬くんとのラブコメ(セイント〇ールパロ)とか書きたかったんですが、力尽きました。
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