IFのの続きです。前回ちろっと匂わせた“お巡りさん”との関係が明らかになります。
たぶん、次回に続くとしたら“緋色の帰還”編ですね。
勝手知ったる昔馴染みの家。
土日の昼過ぎ、住宅街のこの辺りは午後2時から4時頃までの間は極端に人通りが少なくなるのだ。
本来の住人である昔馴染みも、その両親も、そしてその許可を得ている間借り人も現在は留守。
両親は海外で、昔馴染みは小学校の同級生と隣人の博士と一緒にキャンプ。間借り人も隣人の少女の護衛でそれに同行している。
そんな中、密かに工藤邸に侵入した
1番怪しんでいた洗面所には変装道具の
ならば、寝室もしくは書斎の2択。
そう当たりを付けて忍び込んだ客用寝室の1室。ベッドの下には見当たらなかったが、枕を持ち上げれば拳銃が隠されていた。
(ビンゴ♡)
“依頼人”から渡されたスマホで静かにその様子を撮影し、即座にメールで送る。シャッター音がしないのは助かるが、一応捜査用だというのにかなりの犯罪臭がするのは
(いや、人の事は言えないんだけどさ……。)
完全に非合法的な手段で忍び込んだ自分が言える事では無いが……。
まぁ、それはそれ。これはこれ。
依頼をこなしてとっとと撤収するべきである。
いくらセキュリティーを無効化しても、人目についてしまったら何の意味も無い。
本腰を入れて探せば、出るわ出るわ…。
クローゼットの中に隠されたギターケースの中にはバラバラに分解されたライフル、そしてその
(ラッキー…!)
持参したビニール袋に入れて丁寧にしまい込む。
本来なら指紋も採取したいところだが、
残念だがそれは出来そうに無かった。
写真に収めてメールで送った後、全てを元通りにしまい込む。
(次は、と………。)
場所を書斎に移す。
本来、この
手早く自身が持ち込んだモバイルパソコンと繋ぎ、ノートパソコンを起動させる。
カシャカシャカシャ……!
モバイルパソコンを操作し、自作のハッキングシステムを起動させれば、わずか2秒足らずでノートパソコンのパスワードが解除された。
(良し…!)
そのままモバイルパソコンにUSBメモリを差し込み、ノートパソコンの全データのコピーを開始する。
コピー終了までおよそ3分。
その間に、書斎の中を探す。
そして、机の引き出しから盗聴器の受信機を見付ける。
電波の発信源を確かめれば隣家のリビングと寝室、地下の研究室に仕掛けられているようだ。
(はい、アウト――――――――♡)
もちろんそれも写真に収め、メールで送信する。
(さて、と…。そろそろ撤収した方が良いかな……。)
データのコピーも終わったようだ。
そろそろ潮時だろう。
ノートパソコンをシャットダウンし、モバイルパソコンとUSBメモリをしまい込む。
最後に物の配置が元通りになっている事を確認して、そのまま工藤邸を後にした。
カランカラン……♪
「いらっしゃいませ―――♪」
「いらっしゃいませ。」
軽やかなドアベルの音と共に足を踏み入れたのはポアロ。
「お1人様ですか?」
「はい。」
ただの店員として接してくる“依頼人”に、
「それでは、カウンターへどうぞ。」
もう1人の店員である梓がカウンター越しに出してくれたお冷を1口飲み、注文する。
「日替わりケーキセットをアイスティーでお願いします。」
「はい、少々お待ちください。」
笑顔で頷く梓や他の客に悟られぬように、指先でカウンターを軽く3回ノックした。
ノック3回は渡す物がある、という合図。
そしてその後は普通にケーキ(ベイクドチーズケーキだった)とアイスティーを
それを見て、すかさず“依頼人”‐
財布から千円札を出す際に、他人には悟られないように例のUSBメモリをその下に忍ばせ、手渡した。
USBメモリの感触を確かめて一瞬笑みを深めた
「470円とレシートのお渡しです。ありがとうございました。」
「ありがとうございました―――――!」
カランカラン…♪
そして、ポアロから充分離れた事を確信した後で、レシートに重ねられて渡されたメモに目を通した。
“20時にいつもの場所で”
(了解…。)
となると、
ここから江古田の自宅まではバスを利用して30分程。
…が、ちょうど良いバスが無ければもう少しかかるだろう。
現在は午後4時。すなわち16時を少し過ぎたところ。20時、午後8時までは多少時間があるが、移動時間と準備等を考慮した場合、そこまで余裕がある訳でも無い。
(……バイク使お…。)
たぶん、それが1番手っ取り早い。
――――――――4時間後、
自宅から駅までバイクを飛ばし、その後駅のトイレで着替えたのである。
セミロングの亜麻色の髪に、背中の大きく開いた黒いワンピースにシルバーのピンヒール。耳には小粒だが本物のパールとダイヤモンドをあしらったゴールドのイヤリング。そして、胸元には同じデザインのペンダント。
顔もよくよく見れば面影があるが、一見して
服装とメイク、何よりもそのこなれた雰囲気も相まって、今の彼女を高校生と気付く者はいないだろう。
「お待たせしました。」
『遅かったじゃない。』
20時からやや遅れて登場した
「すみません。埋め合わせはしますから……。」
『ホントに~?』
「もちろんですよ。…場所を変えましょうか。下のレストランを予約しているんです。」
そう言って
―――――そして場所を移した中華料理店の個室で、盗聴器のチェックを終えた後。
それまでの“仮面”を取っ払い、本題に入っていた。
「君のお陰で、僕の予想を確信に変える事が出来たよ。」
「いえいえ…。こちらも色々
そう。公安に協力する事と引き換えに、これまで
これまで行ってきたのも、ほとんどが犯罪者の告発である為、被害届もほとんど提出されていない事から不問にされたのだ。超法規的措置ではあるが、罪に問うよりも引き込んだ方が有益と判断された為である。
「そうそう…。“チェック”をかけるつもりなら、1つアドバイスを……。」
「アドバイス?」
実に嬉しそうに話す
「“あの
「……それは、“平成の女二十面相”が協力してくれる、という事かな?」
キラッと目を光らせた
「お望みならば。………そもそも、私“平成のホームズ”たちにはまだちょっと怒ってるんですよね。」
「…と言うと?」
「だってそうでしょう?自分の実力を過信し過ぎて死にかけた挙句にあんな
「へぇ?」
“あの
「君、
「直接は無いんですけどね…。私の
「……やはり君とは上手くやっていけそうだよ。」
「私もそう思います。」
――――――――その後、“作戦会議”は日付が変わる間際まで続いた。
某“赤い人”嫌いの2人が手を組んでアップを始めました。
………続くと良いな…。