Re:ゼロから始める主従関係   作:rainy@執筆開始

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第二話です。

少し長くなってしまったので、前編後編にわけて投稿します。

プリシラの出番が殆どないよ~


第二話 違和感 前編

メイザース領 アーラム村

 

「ちくしょう・・・なんだってんだよ。」

 

 男、スバルが一人で村を歩いている。

村に到着後、宿につくなりプリシラに追い出されたのだ。

『妾はこれから水浴びをする。道化は道化らしく芸を磨いてきたらどうじゃ。』

有無言わさず締め出されたスバルは嘆きながら一人で村の散策を開始した。

 

「まぁ、プリシラに振り回されるのはいつも通り・・・なのか?

 というか、アルはどうした。あいつがいないと抑えられる気がしねぇ。」

 

 一人でぶつぶつと呟きながら歩く姿は、普段の目つきの悪さと相まって、近寄りがたい雰囲気を醸している。

屋敷からの買い物でよく村へ来ていたスバルからすれば、特に真新しいものも何もなかった。

 

 暫く歩いていると、子供達が集まって騒いでいるのが目に入る。

いつも一斉に飛びかかってくる勢いで纏わりつかれるので、身構える。

しかし、目が合っているにも関わらず、誰も来ない。話しかけてすら来ない。

扱いの違いに困惑していたところ、子供たちの輪から一人の女の子-ぺトラ-が歩いてきた。

 

「お兄ちゃん、どうしたの?迷子にでもなった?」

 

 プリシラと似たような髪の毛の色で大きな赤いリボンをつけている、村一番の美少女と名高いぺトラ。

まだまだ子供らしさが抜けておらず、大人になるための第一歩を踏み出し始めている頃。

スバルと“何度も遊んでいる”はずのぺトラ。

しかし、対応が可笑しく、スバルは首を捻らせていた。

 

「ぺ、ぺトラ・・・?何かの冗談か?俺は何度もここに買い物もきているし道に迷うわけないだろ?

 それとも、新しい遊びか何かか?俺も混ぜろよー。」

 

 ちゃんと笑えていない顔で話しかけるスバル。

一方、話しかけられたぺトラは首を傾げなら目をまんまるとさせていた。

心なしか一歩引いているような感じもする。

 

「えっと・・・お兄ちゃん何で私の名前を知ってるの?会ったことあったっけ?」

 

 心底不思議そうな顔をしているぺトラ。

“知らないおじさんについていっちゃだめだぞー”と後ろから聞こえてくる。

 

「は・・・?新たな虐めか?俺メンタル弱いから泣いちゃうぞ?」

 

 三白眼を若干潤わせて、ぷるぷると体を震わせている。

ニートであろが、なかろうが、知らない振りは堪えるものがあった。

 

「本当に会ったことあったかなぁ・・・?

 ・・・ごめん、記憶にないよ。」

 

 “嘘だろ・・・”と、自然と腕を伸ばしていたスバル。

後ろから男の一人-ダイン-がぺトラの腕を掴んで連れて行ってしまった。

一人残されて呆けているスバル。

“わけがわかんねぇ”と呟いて、その場を後にした。

 

 

「思い返せば可笑しいことがおおくね?

 アルもいねぇし、プリシラが何か若干俺に対して優しくね?

 俺の知ってるあいつなら100回は殺されてるよな・・・。」

 

 宿へ戻る最中もずっと考え込んでいた。

俯き加減で、顎に手を当ててぶつぶつ呟きながら歩いている。

“今日の獲物は誰にしようかな”と、考えているわけではない。

 

「まず、プリシラにアルの行方を聞いてみるか。

 たまたま別行動してる、とかなんだろうけどな。」

 

 前を向き、気持ちを固めて歩き始めるスバル。

“今日の獲物はぺトラだ”とか、考えているわけでは、ない。

 

 

「はぁ?何を言ってるのじゃ凡愚よ。道化らしく妾を楽しませようとするのは良い。

 だが、意味不明な事を抜かすばかりじゃ、不快ぞ。」

 

 割とマジで不快感を露わにしているプリシラ。

“アルってどこにいんの?”と尋ね、返ってきた言葉はこれだった。

冗談で言ってるわけではなく、本気で言ってる事が伺える。

 

「わ、わりぃ。ちょっと寝ぼけてたみたいだ・・・。

 夢の中でプリシラの従者をしてるやつが出てきてさ。

 そいつの名前が“アル”って言ってたんだ。夢とごちゃ混ぜになってたな。ははは・・・。」

 

 何とか返事をしたが、スバルの心の中はぐちゃぐちゃだった。

“アルがいねぇとか何で!?” “子供らに忘れられてるのは何で!?”

 

「スバルよ。貴様が何を申したいのか、妾には全く理解できぬ。

 妾はこれまで従者など仕えさせておらんかった。必要なかったからじゃ。

 この世は妾の都合のよいようにできておる。

 故に、貴様が従者となったのも必然であり、これまで従者が必要なかったのも必然、じゃ。」

 

 脳がオーバーヒートしており、頭から煙が噴き出していた。

意を決して口を開こうとした時、外の騒然が大きくなっており、怒鳴り声が聞こえていた。

 

『探せ探せ!こんな時間にいなくなるなんて、ただ事じゃねぇ!』

 

『村の中にはいなかった!まさか森に・・・。』

 

『見てくれ!結界が・・・!」

 

 嫌な考えが過ったスバルは慌てて駆け出した。

背後から“待たぬか!スバル!”と聞こえていたが、聞こえないフリをして走り続ける。

宿から飛び出して、近場にいた大人に駆け寄った。

 

「すいません!どうしたんですか!何があったんですか!?」

 

肩で息をしながらも、質問をしていく。

 

「兄ちゃん誰だ・・・?今はそんなことより・・・!子供たちが行方不明になっちまったんだ!

 6人一気に・・・!今探索中で手が離せないから、後にしてくれ!すまないな。」

 

 一気に血の気が引いていき、顔面蒼白になるスバル。

“あの時の状況に似ている・・・!”スバルは過去を思い出していた。

まだこの世界にきて間もない頃に自分が経験した魔獣戦。

たまたまかも知れないが、その時と状況が酷似していた。

 

「なんだってんだよ、畜生っ・・・!」

 

 まだ息も整っていない様子だが、すぐさま森へ駆け出して行った。

 

 

 

 真っ暗闇の森。月明かりのみを頼りに、男が一人走っている。

息も絶え絶えで、今にも倒れそうな状態だが、走るのを辞めない。

これまで、何度も“死んで”きた男のセンサーに引っかかる何かがあったのだ。

 

「くそっ、間に合ってくれよ・・・!」

 

 言葉で自信を奮い立たせながら、彼は走る。

“以前の記憶では、この辺りだったはず・・・!”

がむしゃらに走り続けた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・この辺りのはずだ。」

 

 膝に手を吐きながら、息を整えつつ、辺りを見渡している。

暗くてよく見えないが、視界の端に小さな足が映りこんだ。

“まさか・・・!”

慌てて駆け寄るスバル。

 

「おい!大丈夫か!?おい!」

 

 ぐったりした状態で倒れている5人の子供を見つけた。

一番近くで倒れていた少年-リュカ-の肩を掴み揺さぶる。

 

「しっかりしろ!何があった!?」

 

 大声を出しながら激しく肩を揺さぶるスバル。

深夜の森の中、大きな音を立てることは自殺行為だが、今のスバルにそのような考えをする余裕はなかった。

功を奏したのか、少年が目を開いた。

 

「昼間の兄ちゃん・・・?何でここに・・・。」

 

「気付いたか!何があったのか理由を話せるか?あと、今ここにいないぺトラは一緒じゃないのか!?」

 

 意識が戻ったことに喜びを隠せないスバル。

しかし、今は聞くことが先決として、一気に捲し立てる。

 

「わかんない・・・。何かに呼ばれた気がして、皆で森に入ったところまでは覚えてる・・・。

 そこから記憶がないから、ぺトラがどこにいるかわかんない・・・。」

 

 若干、話すのが辛そうにしながらも、教えてくれた。

一生懸命に伝えてくれたことに感謝するスバル。

 

「そっか・・・。わかった。後は兄ちゃんに任せておきな!

 頑張ったな。今はゆっくりお休み。起きたら全て元通りだ・・・。」

 

 安心させるように、笑顔を見せながら伝える。

少年は、少し安心した顔を見せながら、再度意識を失った。

刹那、背後から草の揺れる音が聞こえる。

 

「っ・・・。先ほど大きな声を出しちまったからな・・・。

 魔獣か・・・?くそっ、子供たちは俺の命に代えても守ってやる!」

 

 がさがさ・・・と音が次第に大きくなってくる。

睨みつけていると、真っ赤に光った二対の瞳が・・・10や20ではきかないほど集まっていた。

“おいおい、オーバーキルすぎるだろこれ”と、嘆くスバル。

しかし、彼は諦めずに、近場に落ちていた木を拾う。

 

「来るならこいよ!子供達には指一本・・・牙一本触れさせねぇ!!」

 

 雄たけびをあげながら、勢いよく魔獣に向かって木を振り上げる。

鼻先に当てられ、怯む魔獣。

しかし、多勢に無勢だ。一匹が怯んだとしても、次、また次と襲い掛かってくる。

一匹一匹だったら対処のしようがあったかもしれない。

また、子供たちを守りながらでなければ、逃げることもできたかもしれない。

しかし、現実は無情だった。段々受けきれなくなり、徐々に傷が増えていくスバル。

五匹目を吹き飛ばしたところで、木が折れてしまった。

 

「あぁ・・・。ここで終わりか・・・。子供達も守れないのか。俺は・・・。

 くそ・・・。死に戻ったら必ず助けるから・・・。ごめんな・・・。」

 

 悔しさから涙を流すスバル。

襲い掛かかってくる魔獣達を視界に捉えながら、来たるべき痛みに備えた。

 

「スバル君。スバル君のピンチには、いつでも駆けつけますよ?」

 

 聞こえるはずのない声が聞こえた。

次の瞬間、鎖が伸びる金切り音が聞こえてくる。

鎖の先には鉄球がついており、襲い掛かろうとしていた魔獣に激突する。

吹き飛ばされた魔獣はぴくりとも動かなくなっていた。

 

「まさか・・・何でここに・・・!」

 

 魔獣に囲まれていることなど忘れて、鉄球が飛んできた方向を見やる。

暗闇の中から一歩、また一歩とゆっくりと歩いてくるメイド服をきた少女。

暗くても、月光に反射してきらびやかな髪の毛が揺れる。

 

「レム!」

 

 レムと呼ばれた少女は、戦場とは思えないほど穏やかな顔で、微笑みを浮かべていた。

 

「スバル君のピンチですよ?レムが、駆けつけないわけない、です。」

 

 鉄球を持っていない手の人差し指を立て、軽くウインクしている。

“はは、余裕そうですね、ぼかぁ、死にかけですが”と、軽口を叩きながら座り込むスバル。

レムの強さは無類なきものであり、スバルが無条件に信頼できるものであった。

 

「スバル君は、少し休んでいてください。レムが残りを片付けます。」

 

 勇んだところで、足手まといになってしまうことがわかっていた彼は、素直にうなずく。

子供達の盾くらいにはなれると思いつつ、子供達の壁になれる位置へ下がり、座り込んだ。

 

「魔獣ども・・・レムのスバル君を傷つけた罪を重いですよ・・・?レムのスバル君への想いよりは軽いですけど。

 死ぬ覚悟はいいですね・・・?いきますっ!」

 

 レムの姿がぶれるほど高速に動き回る。

鉄球を振り回しながら、回りにいた魔獣達を巻き込んでゆく。

数舜のうちに、約半数は屍となっていた。

 

「はは・・・レムはやっぱすげぇなぁ・・・。」

 

 独り言のように呟いた。

彼女には聞こえていたようで、振り返ってニッコリとほほ笑む。

 

「レムは、スバル君がいれば、無敵ですっ。

 スバル君を守るため・・・スバル君の為に戦っているレムは・・・鬼ががっています!」

 

 言葉を発しながらも動くことを辞めていない。

鉄球を投げて潰し、叩きつけて潰し、鎖で巻き上げて潰す。

殆どの魔獣が討伐され、残った数匹も分が悪いと悟ったのか、一目散に逃げていった。

その姿を確認して、周囲の索敵を終えて、敵がいないことを確認したレムが戻ってきた。

 

「レム!本当に助かったよ。ありがとな。でも、どうしてここがわかったんだ?

 タイミングもばっちりだったし・・・まさか、見てたな!?」

 

 助かったことが嬉しかったのか、饒舌に騒ぐスバル。

 

「いえ、本当に危ないところでしたが、スバル君が無事で良かったです。

 場所がわかった理由は、スバル君の匂いですよ。スバル君、臭い、ですからっ。」

 

 満面な笑みを浮かべながら、レムが告げる。

 

「臭いって・・・それ悪口!レムりん、悪気ないのわかってるけど、傷つくから!

 すっげぇ、傷つくから!!!」

 

 悲壮な顔を向けながら必死に伝えるが、彼女は微笑みを浮かべたまま首を傾げている。

ため息をつきながら、いつものこと、と流すことにした。

 

「そうだ、レム。頼みがある。ここに子供達が5人いるんだが、ここに放っておくわけにはいかない。

 レムに運んでもらいたいんだが・・・出来るか?」

 

 少し考えるように、指を顎に当てて、唸っている。

服と顔に血がついていなければ、“美少女が悩んでる姿は絵になるのにな・・・”と思う。

 

「そうですね。無理なことはないです。ただ、一度に5人は運べないので・・・

 無理して運ぶとなると、こうなっちゃいますね。」

 

 レムはそういって子供達の方へ向けて歩き出した。

一人、また一人と運び、1列に並べられた状態。

じっと見守っていると、レムは鎖に子供を(男の子)を巻き付けて、引きずり始めた。

“ぶっ”と噴き出したスバル。

 

「ちょ、レム!それ大丈夫なのか・・・?」

 

「・・・?何か問題があるでしょうか・・・?

 あ!襲われても大丈夫ですよっ。レムは素手でも強いので。」

 

 細い腕を叩きながら、力こぶを作るポーズを見せてくれる。

力が抜けていくことを感じたスバルは、好きにしてくれと投げやりに返した。

 

「いいか、レム。子供達は無事に村まで送り届けてくれ。

 俺はもう一人行方不明になっている子がいるから、そっちを探す。」

 

「スバル君・・・危険ではないですか?レムが戻るまで待つことは出来ませんか?」

 

 不安そうな顔をしながら、上目遣いでレムが懇願する。

可愛さに揺れるが、ぺトラの事を考えると悠長なことをしている暇はなかった。

 

「大丈夫だ。逃げ足には自信があるぜ?

 それに・・・、情けない話だけど、俺のピンチにはレムが駆けつけてくれるんだろ?

 なら、安心だ。俺の安全は、レムにかかってるんだぜ?」

 

 おどけながら告げるスバルに、レムも困った表情を浮かべながら笑顔を浮かべた。

 

「しょうがないですね・・・。わかりました。レムも出来る限り早く戻ります。

 スバル君は、自身の安全を第一に考えてくださいね?

 いつもいつも、体を張って自身が傷つくことを厭わないスバル君ですから・・・。」

 

 “言ってもしょうがないでしょうけどね”と、付け加える。

スバルも約束はできないため、苦笑いで応えていた。

 

「ぺトラも心配だし、そろそろいくよ。

 レム、本当にありがとう。レムも気をつけてな。」

 

 踵を返し、森の奥へ進むスバル。

そのうしろ姿が見えなくなるまで、ずっと青い髪の少女は見つめていた。




以下おまけ


“今日のぷりしらさん”

「ふむふむ・・・なるほどっ。」

「これはいい書物じゃ。所謂、“ばいぶる”と言うやつじゃな。」

「今度はこれを試すのじゃ。」

ぷりしら、水浴びのため移動中

「予期せぬ状況であったが、同衾まで一気に進めたのは幸いじゃった。」

「“ばいぶる”によると、同衾した後は一緒に水浴びすることが当たり前と記載されておった。」

「あれだけ何度も伝えたのじゃ。彼奴にも伝っておろう。」

・・・

・・・

「何でこないのじゃぁぁぁぁ!?」

【その3.同衾の後は一緒に汗を流す】

※本編とは全く関係ございません。


レム登場

徐々に違和感の正体が・・・?

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