幻想の聖杯戦争   作:黒猫街夜

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敗北の理由 Ⅰ

「だー畜生!ランサーの奴!」」

 

「・・・セイバーか・・・」

 

「あん?お前は・・・あぁこの間の召喚の時にいた奴か」

 

「あぁそうだ。で?いきなり人様の家に突っ込んでくるとか常識がないんじゃねぇか?せめて玄関から入ってこいよ」

 

「へぇ。腰抜けかと思ってたらなかなか根性あるじゃねぇか!気に入ったぜお前」

 

「そうかい」

 

軽口を叩いてはいるが内心は冷や汗をかいていた。

相手はサーヴァント。殺そうと思えば気づくこともなく殺されている。

 

そこでセイバーの体が微妙に透けている(・・・・・)事に気がついた。

 

「お前・・・」

 

「ん?この体のことか?まぁちょっとドジっちまってな。マスターとも連絡がつかねぇ。恐らくもう手遅れだろう」

 

「・・・そうかよ」

 

サーヴァントは魔力でこの世に限界している。

故にマスターが死ねば当然魔力供給は出来なくなる。

つまるところセイバーは今現在マスターが居ない。

サーヴァントが欲しい俺からしたらこれ程のチャンスはないだろう。

しかも最有のセイバー。願ったり叶ったりだ。

 

しかしサーヴァントが側にいてマスターだけを殺すことはなかなか難しい。

一体何があったのか。

 

「なぁセイバー」

 

「あ?」

 

「何があったのか聞いてもいいか?」

 

「……ああ、いいぜ…俺とマスターはアサシンのマスターの工房を見つけてそこに攻め込むところだったんだ」

 

「へぇ、どこにあったんだ?」

 

「廃棄地区のすぐそばのマンションの一室がそうだった」

 

「なるほどマンションか…」

 

「場所はマスターの使い魔がアサシンのマスターを尾行させてたらしくてな。意外とすぐに見つかった。問題なのはこの後だ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「マスター。マジでこっちにアサシンはいるんだよな?」

 

「あぁ、そう言ってんだろ?それともなんだ?俺が信用できないか?」

 

「そういうわけじゃないけどさ。けどにわかには信じ難いんだよ。工房を普通のマンションの一室に作ったり、結界も侵入者を探知するものだけなんだろ?そんな事ありえんのか?」

 

「…いいや普通は有り得ねぇ。三流の魔術師でももっとは警戒するしもうちっとはマシな罠を仕掛けて迎撃する」

 

「だろ?流石に怪しすぎるって」

 

「それは同意するけどな、じゃあどーするつーんだよ」

 

「うーん、アサシンとマスターが出てくるまで待ってから入って中で待ち伏せ?」

 

「敵の工房の中で待ちたくはねぇーなぁ」

 

するとその時ちょうどアサシンのマスターがマンションのエントランスから出てくるのが見えた。

 

「!おいマスター」

 

「分かってるよ。人払いの結界はもう展開済みだ。お前はアサシン警戒で待機してろよぉ?」

 

「ちぇ、俺も暴れたかったぜ」

 

「恐らくアサシンはどっかに隠れてるはずだ。マスター襲えば確実に出てくるだろ」

 

「分かってるよ。その時まで我慢しといてやるよ」

 

「ちっ、生意気な」

 

「はっ、言ってろ魔術師風情が」

 

「てめぇ…終わったら覚えてろよ」

 

悪態をつきアサシンのマスターに向かって歩いていく。

セイバーはその背中を睨みつけると霊体化してマスターのそばで待機する。

 

(セイバー。アサシンをを見つけたら俺に教えろよ)

 

マスターからの念話。

めんどくさいがいやいや応じる。

 

(分かってるよ。そんな事よりアサシンが来たらちゃんと暴れさせろよ?)

 

(ハイハイ。全く我慢ってもんを知らねぇのかてめぇは)

 

(ほざけよ。雑魚マスター)

 

(…言ってくれるじゃねぇかクソ王様。そんなに短気だから

不意打ちで殺されんだ(・・・・・・・・・・)

 

(……死ねクソマスター)

 

(なんとでも言えよ。とにかく役目ぐらいしっかり果たせよ?)

 

…気に入らねぇ。

いっそここで殺して……

 

いや、ダメだな。こいつ殺すと現界出来ねぇ。

サーヴァントはマスターからの魔力供給がなけりゃあ存在を保てない。

つまりここでこいつを殺すと俺の願いが叶わなくなる。

それは1番避けたい。

 

マスターが歩みを止めた。

 

「よぉ、殺人鬼。調子はどうだ?」

 

「ぼちぼちだな。イカレ野郎」

 

マスターが話しているのをぼーっと眺めていると上から気配を感じた。

顔を上げると誰かの使い魔が飛び回っていた。

恐らくこの場の偵察だろう。

これが実質俺たちの初戦闘。

それが街中で睨み合いを始めたのだ。

監視をしていれば戦闘方法や弱点が分かるかもしれない。

監視しないはずがないだろう。

あわよくばこれでマスターの弱点とか見つかって殺されないだろうか。

切に願うばかりである。

 

「てめえぇぇえええええええええええええ!」

 

マスターの怒声に意識を現実へと戻される。

恐らくだが挑発にでも乗ったのだろう。

うちのマスター単純な性格だしな。

 

マスターはちょっと変わった身体強化系統の魔術師だった。

1歩でアサシンのマスターへの距離を詰め殴り掛かる。

アサシンのマスターはそれに対して片手を突き出して突っ立っていた。

 

そして衝突の瞬間マスターの拳にアサシンのマスターの手が添えられ流された。

 

お返しとばかりにアサシンのマスターの手にナイフが3本現れた。

そのまま即座に投擲。

 

マスターは体制を崩しているため回避は不可能。

事実、避けることは出来なかった。

しかし刺さる事も無かった(・・・・・・・・・)

 

無言で再度ナイフの投擲。

しかしマスターはそれを無視して突っ込む。

 

「まるで猪だな」

 

アサシンのマスターもうちのマスターの戦い方に苦笑いを浮かべていた。

 

「はっ!その方がはえーからな!結局ぶちのめすんだから結果は変わんねぇだろ?」

 

「……雑魚が。高々三流脳筋魔術師のくせに、そもそもここだって俺がお前の使い魔を見逃して無ければここにたどり着くことも出来なかったくせに」

 

「てめぇええええええええええええ!!」

 

「さっきと全く同じ挑発に乗って全く同じ突進してくんじゃねーよ!」

 

「だああああああああまああああああああれええええええええええええ!!」

 

「ギャーギャーギャーギャーうるせえよ!猿かてめぇは!」

 

あぁそれには激しく同意させてもらう。

二度も同じ挑発に乗ったらしいし割とマジで前世が猿なんじゃなかろうか?ありえないと否定出来ないのがまた悲しい。

つーかマスターの使い魔は見逃されてたのか。

ならほぼ確実に罠だな。

それにあの頭の弱いマスターが気づけるかどうか…無理な気がする。

 

アサシンのマスターは拳を受け流し空いてる手でナイフを投擲する攻撃を続けているが正直お互い無駄な事をしている。

 

うちのマスターは冷静さを失いただ突撃するだけ、アサシンのマスターは全く効かないナイフを投げ続けるだけ。

 

このまま続けても勝負はつかないだろう。

 

「ぜぇぜぇ、やるじゃねぇか」

 

「黙れよ脳筋猪。生きてる価値ないから早く死ね」

 

マスターが青筋を浮かべるのがここからでもよく分かる。

 

「ハハハ!死に絶えろよぉ!チキン野郎!」

 

「はあ~、ほんとに時間の無駄。邪魔だからお前」

 

マスターはさっきから煽られては突っ込むを繰り返す。

アサシンのマスターの言う通り時間の無駄だから早く俺を出して欲しい。

 

だが次はちょっと違った。

アサシンのマスターはマスターの拳を絡め取り、そのまま倒した。

サブミッション(関節技)

 

ここまで綺麗に決まると抜け出すのは恐らく不可能だろう。

 

「ガッ!ちくしょう!てめぇどきやがれ!」

 

「うるせぇなぁ~ちょっとは黙れよ蛆虫(うじむし)野郎」

 

「んだとコラァァァァ!?死ね!死ね!死ね!死ねぇぇ!」

 

「はあ、もうちっとは大人しくしてくれよ」

 

そう言いながらアサシンのマスターの手にはいつの間にかナイフがあった。

それを大きく振りかぶり首元めがけて振り下ろす!

 

「チクショウ!来やがれセイバー!」

 

……意地を張りすぎだ。もう少し呼ぶのが遅かったら確実に刺されてたぞ。

 

霊体化を解き剣を振りかぶり突っ込む。

 

しかしその攻撃は中止せざるを得なかった。

 

「……アサシン」

 

なんつータイミングだよ。

いや、狙って合わせて来たのか。当然だな。

 

しかしアサシンは文字通り暗殺者。

正面切って戦う奴らじゃない。

ならば罠があると見て周囲も警戒した方がいいだろう。

 

そんな事を考えていたら突然

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アサシンが突っ込んで来た(・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!
次回はアサシンコンビの軽い無双ゲーになると思うw
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