幻想の聖杯戦争   作:黒猫街夜

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はいそこ!スクロールしない!

たまには後書きも読んでって下さいよ~

それはさておき最近黒猫さんボカロにハマっております。

まぁボカロ自体はだいぶ前から好きだったんですけどね。

この所はちょっと前の曲とかを聴いております。

皆さんのオススメのボカロとかあったら教えて下さいね?

では長話もあれなので本編どうぞ!


敗北の理由 Ⅱ

「はぁ!?」

 

アサシンが自分から接近戦を仕掛ける(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

その異常な光景に愕然とする。

 

サーヴァントのクラスは英霊が生前成し遂げた事によって決まる。

ならばアサシンのクラスは暗殺者であったはずなのだ。

そうでなければ暗殺者では無いのに暗殺した事になる(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

だがありえないことでは無いだろう。

日本という国で見れば中大兄皇子などがいい例だ。

 

「ハッ!」

 

裂帛(れっぱく)の声と共に繰り出されたナイフによる刺突。

それを本能に近い動きで弾く。

 

「危ねぇな!」

 

「ぼーっとしてるのが悪い」

 

ピキリと青筋を浮かべ目にも止まらぬ速度で接近する。

続け様に放たれる攻撃をかいくぐりようやく懐に潜り込む。

 

「くたばりやがれ!」

 

渾身の振り下ろしによる斬撃。

この距離じゃ避けることは出来ない。

両手のナイフは位置的に防ぐことも出来ないはず。

 

勝利を確信し笑を浮かべる。

そして顔の右半分がなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバーの顔が(・・・・・・・)

 

「は?」

 

思わず疑問の声を上げてしまうがなんてことは無い。

事前に3本目のナイフを上に投げ、それが今落ちてきただけのこと。

 

ぐらりと視界が歪み立っているのかさえ分からなくなる。

感覚はとうに消え剣も握っていられない。

そしてそのまま…

_____________________________________________

【アサシン目線】

 

 

「・・・終わり」

 

弱すぎる。

不意を疲れて即死。

これが本当に最有と言われるサーヴァントなのだろうか?

 

だとすれば期待はずれもいいとこだ。

くるりときびすを返してマスターの方に歩く。

 

「お疲れ様アサシン」

 

「別に全く疲れてない。弱すぎたもの」

 

事実あれは私にとって戦闘とも言えないものだった。

まだまだ策はたくさんあった。

この程度で終わってしまうなんて興醒めもいいとこだ。

 

ちらりとセイバーのマスターの顔を見てみれば顔を地面に伏せていた。

自分のサーヴァントの不甲斐なさに怒りを抱いているのか。それともこれから殺されることに恐怖しているのか。

顔が見えないためわからないが確かに震えていた。

 

「それで?セイバーのマスターさんよ。言い残すことはあるか?」

 

それでも顔をあげない。

未だに震え続けている。

 

「おーい?きーこーえーまーすーかー?」

 

「…………ククッ」

唐突に笑い出した。

何故だろうか、とても嫌な予感がする。

ありえないと思いセイバーを見やれば確かに倒れ、死んでいた。

 

「あん?どうした?恐怖でおかしくなったか?」

 

そうかもしれない。

しかし私にはそうには思えなかった。

 

ようやくセイバーのマスターが顔を上げる。

そこにあった表情は余裕の笑みだった。

 

「ッツ!」

 

マスターは即座に離れ手に持っていたナイフを投げつける。

しかしナイフは少しも刺さらずまるで金属に当たったかのような音を立てはじかれる。

 

「……ククッ……ハハハッ...ギャハハハハハ!!!」

 

セイバーのマスターはゆっくりと立ち上がるとマスターを睨みつけた。

 

「やってくれたじゃねぇかモヤシくん!いやはや驚いたぜ!まさかセイバーを正面切って殺せるアサシンがいるとはな!」

 

これ以上時間を与えるのは不味い!

同じ判断に至ったのかマスターもセイバーのマスターとの距離を詰める。

マスターのナイフは効かない。

だからマスターにできることは再度関節技で動きを封じる事だけ。

 

しかしそれは普通のナイフの話。

宝具と化した私のナイフなら確実に殺せる。

そう思い距離を詰めてもセイバーのマスターは1歩も動かず笑っている。

気味が悪い。

 

こういうやつはさっさと殺してしまうのが1番。

 

「……おい」

 

「え?」

 

聞き違いでなければ今声は背後から聞こえた。

マスターは私の背後を見て固まっている。

でも背後には誰もいないはず。

誰もいないはずなの。

 

殺したセイバー以外は!

ありえない。あってはならない!

1度殺したサーヴァントが起き上がって声をかけてくるなんて!

 

心の中で必死に否定しながら後ろを振り向く。

そこにある光景を見て息を呑んだ。

 

頭部を再生しながら立っているセイバーだった。

 

「……ありえない、まるでゾンビ」

 

「ゾンビねぇ…あながち間違いじゃないかもな。百四十三年間も殺し会ってたしな(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

百四十三年。

私には想像もできない年月だ。

 

「……あなた一体どこの英霊?」

 

「答えるわけねーだろ。俺はサーヴァント。クラスはセイバー!それでいいじゃねぇか!」

 

「……マスター」

 

「分かってる。殺しても生き返るとか反則だろ...ここは引き上げるぞ。攻略法がわかんなきゃどうしようもない」

 

「あ?逃げられるとでも?」

 

会話が終わる頃には頭部は完璧に治っていた。

頭を破壊してこの回復の早さ。

つくづく勝ち目が無い。

マスターのアイコンタクトを合図に持っていた残りのナイフを惜しみなく投げる。

 

「はっ!この程度!」

 

魔力の放出だけでナイフが全てはじかれた。

 

そのままセイバーとは反対に走りマスターを抱えマンションに駆け込む。

マスターのマンション中に仕掛けた罠もマスターは残らず起動させる。

この魔術は侵入者にしか反応しない。

これでしばらくは時間が稼げるだろう。

 

マスターの家に入り、ベッドの下に隠された地下室の扉を開ける。

マスターの家の下は下の階とのスペースが空けられていて地下室が存在する。

 

「ふぅ、さて、イレギュラーはかなりあったが大体作戦通りだったな」

 

その通り。

マスターの言う通り色々あったがここまでが予定通り。

後はセイバーとそのマスターが家に侵入してくるのを待つだけだ。

 

ここまでは比較的上手く行ってる。

この後もそれを願うばかり。

____________________________________________________________

セイバー視点

 

 

「いやーあぶなかったなクソ雑魚マスター?」

 

「てめぇこそ一回死んでんじゃねぇかクソ雑魚サーヴァント」

 

「……あぁ?」

 

しばらく青筋を立てて睨み合うがどちらともなく視線をマンションに向けた。

このマンションの最上階にアサシンのマスターの工房がある。

そこを破壊してあの二人を引きずり出す。

 

「おいマスター、もうマンションごと破壊しちまうか?」

 

「……それでもいいがな…俺は直接あのモヤシ野郎をぶち殺したい」

 

「そうか奇遇だな。俺もアサシンのやつをぶち殺したいと思ってたんだよ」

 

2人でニヤリと邪悪な笑を浮かべマンションに足を向ける。

自動ドアを潜り中に入った瞬間雰囲気がガラリと変わった。

 

ゆらりとどこからともなく輪郭すら分からない人型の影が現れた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「なるほどなぁ、マンション自体を1つの結界として成立させてその中に化け物どもを離したってことか」

 

「で?どうする?俺がやろうか?」

 

「ああよろしくなぁ。こんなゴミ共じゃ気が乗らねぇよ」

 

返事すらせずに影に向かって突撃する。

しかしその速さゆえに全く見えずに次の瞬間には影達の目の前で剣を振りかぶっていた。

 

ドンッ

 

炸裂音と共に影が1つ潰れる。

セイバーは剣を思いっきり影ごと地面に叩きつけたのだ。

それによりエントランスの地面はひび割れそれに巻き込まれた影達も全て吹き飛ぶ。

 

一撃粉砕

 

とてつもない威力を誇る一撃は罠など全く障害にならない。

 

「この程度で俺を止められると思ってんじゃねぇぞ!分かったらお前自身が出てこいアサシン!そして俺に殺されろ!」

 

天までとどけとばかりに咆哮をあげるセイバー。

彼女は剣を鞘から抜かずにマンション内を闊歩(かっぽ)する。

その足取りは障害など知らぬと言わんばかりに堂々としていた。

 

*****************

アサシン陣営

「…頭おかしいだろ…何だあの威力…そりゃああんなのが居たら最有とか言われるわな」

 

「どうする?」

 

「いや、計画は変更はしない。というかこのタイミングだと変更のしようがない」

 

「分かった。じゃあ先に行ってる」

 

アサシンが部屋から出て行くのを見届け背もたれに体重をかける。

 

今の会話の間にもセイバーは設置した影と罠をことごとく粉砕し、ここに向かってくる。

 

あぁほんとに嫌になる。

大人しく死んでくれないだろうか。

 

だがその願いも虚しくあらゆる障害を粉砕し踏み越えやってくる。

苦労して設置した罠も影も関係ない。

セイバーは歯牙にもかけない。

なんだか相手にしてて虚しくなってきた。

泣いてもいいだろうか。

 

そうこうしてるうちにセイバー達はこの階まで上がってきた。

しかしこの階は罠と影の量も質も段違いだ。

少しはここで時間をかけてくれると嬉しい。

しかし現実はあっさりとしたものだった。

セイバーは魔力を放出することで魔術による罠をことごとく破壊し、踏み込みでクレーターを作り物理的な罠を無効化する。

そして影たちは魔力放出に耐え切れず消滅するか、クレーターに足を取られその間に斬られ消滅するかのどちらかを辿った(たど)

 

砂塵の舞う廊下を堂々と闊歩する(さま)はまるで自らが支配者であり王であることを示すかのような傲慢さを持ちながらそれに納得してしまいそうな上品さと威圧を纏っていた。

 

理不尽の権化(ごんげ)

彼女に最もふさわしい表現がこれ以外にあるだろうか。

 

その彼女が聖杯に託す願い。

すなわち生前叶えることの出来なかった未練。

彼女のようなものにそのようなものが本当にあったのか?

 

だとすればそれはどれ程の難題なのか。

その凄まじさを思い苦笑いを浮かべる。

 

これが英雄!

これこそがサーヴァント!

 

これだからこの世界は面白い!

力を持つ者と力を持たぬ者。

富を余らす者と貧困に飢える者。

 

世界には形は違うが確かに壁がある。

これを何とかしたいのであれば世界を1つに(まと)めるしか方法はない。

 

人間は壁を乗り越え成長する事が出来る。

 

故に彼女もまた1つの壁なのだろう。

俺が彼女という壁を乗り越えた時、一体どうなるのだろう。

 

しかし所詮俺は人間に過ぎない。

海を割ることも天を駆けることも出来ないたった1人の矮小(わいしょう)極まりない人間。

それが俺なのだ。

 

それ以上でも無ければそれ以下でもない。

 

だからこそ同等の力を用意しぶつけ、(ようや)く同じ立ち位置に立つことを許される。

 

ならば今の俺とあんた達は同等。

常人には理解できない思考かもしれない。

しかしそんな事は知ったことじゃない。

 

ただ勝つ。

 

そう決めたのだ。

なら後は突き通すのみ。

 

どこまで外道に堕ちようと理想と信念だけは絶対捨てない。

これは俺が俺自身に課したルールだ。

 

だからこそ守り抜く。

妥協せずまっすぐに。

 

たとえ何が起きようとも。

それだけは絶対不変のルールだ。

 

あぁ楽しみだ。

既にその顔にある笑みは苦笑いの(たぐ)いではなく新しい玩具(おもちゃ)を前にはしゃぐかのような子供の如き笑みだった。

 




ありがとうございました!
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あとそろそろもう一個の方もぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします!
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