最近忙しくて投稿が遅れてしまいました。
今回は少し長めに書いたので楽しんでってください!
セイバーとそのマスターはアサシンの工房であるマンションの一室の前に立っていた。
「お疲れさんセイバー」
「こんなんいくらやっても疲れねーよ。俺の時代じゃもっと骨のあるやつばっかりだったからな」
あぁつまらない。
俺はこんな雑魚を相手にするためにここにいる訳じゃない。
そんな事を考えながらマンションのドアを蹴破る。
そしてさっきとは比べ物にならない影が突撃してきた。
「いい加減にしやがれぇぇぇぇ!」
今までがお遊びだと錯覚したくなるような膨大な魔力放出。
影たちは跡形もなく消え去った。
そしてさっきよりも多くの影が溢れ出してきた。
ブチッ
セイバーがキレる音が聞こえたような気がした。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
怒号と共に放たれた魔力は溢れ出た影達を再度消し去った。
「あ~セイバー?俺が供給出来る魔力の残量にも限りがあるからな?」
「うるせぇ!死ね!なんで俺がこんな雑魚を相手にしなきゃ行けねぇんだよ!」
「分かった分かった。ここからは俺がやってやるよ」
「…チッ…気に食わねぇ。こいつらじゃ相手にならねぇんだからさっさと出てくればいいものを」
愚痴をこぼす合間にもマスターは肉体強化をしつつまた溢れ出した影共に向かいゆっくりと歩き出す。
そして影共が躍りかかってくる。
それに対してマスターがとった行動は思いっきり殴りつける、ただこれだけだった。
しかしマスターの拳は影達を纏めてゴムボールの様に吹き飛ばす。
はっきりいってただの蹂躙だ。
生き残った影共が再び襲いかかるが片手間で消し飛ばされる。
いくら来ようと全く意味をなさない。
肉体強化で敵を殴るだけのシンプル故に効果を発揮する戦法。
脳筋のマスターにぴったりだと思う。
「お疲れさんマスター」
「はっ!こんな雑魚どんだけ殴っても疲れ気はしないな」
「同意見だ。……じゃああいつらは何がしたかったんだろうな?……」
「あぁ確かにな。こんなやつら時間稼ぎにしか…そういうことか?…」
マスターも同じ考えに行き着いたみたいだな。
間違いなくこの影達は俺たちの時間稼ぎのために送り込まれている。
つまりこうしている間にもアサシン陣営は何らかの準備をしているのだろう。
「チッ早く行くぞ!」
「はいよ」
適当な返事を返しつつ周囲をしっかり警戒する。
しかし家の中は拍子抜けするほど罠の類がなかった。
それと同時に
「なぁマスター。本当にここなんだよな?」
「あぁ間違いなくこの部屋にいるはずだ」
しかしその言葉とは反対に部屋の中からは生き物の気配を感じなかった。
「となると、隠し部屋か?」
「あぁなるほどな。それがありそうだ。じゃあ探すぞ」
「めんどくせぇ。なんで俺がそんな事をしなきゃなんねぇんだよ」
「そりゃあ隠し部屋なんて作ったアサシンのマスターに言ったらどうだ?」
「あぁそうするよ。アサシンぶっ飛ばす前に会ったら絶対文句言ってやる」
決意を新たに隠し部屋を探す。
すると直ぐにカーペットに隠された地下室を発見した。
先行し地下室に入るが罠などは特にない。
合図を送るとマスターが降りてきた。
それを確認してからさらに先に進む。
すると壁にある蝋燭のような頼りない光ではなくしっかりとした光が見えてきた。
カツン カツン
歩く度に響く音が何となく不気味に感じる。
そして光にたどり着くとそこにはアサシンが居た。
気配をまるで隠さずに堂々と部屋の真ん中に
「よぉアサシン。お前を殺しに来てやったぜ」
「……別に来なくてよかったのに……意外と律儀?」
「はっ!言ってろよ。俺はお前が殺せればいいんだからな」
「……そう……でも真正面から来るなんて意外。罠があるとは思はなかった?」
「知ったことかよ!そんなもん真正面から喰い破ってやるよ!」
「自信があるんだね?でもそれは愚策。もう少し警戒するべきだった。もう遅いけど」
「あぁ?」
苛立ちを含んだ疑問の声が漏れると同時に後ろのマスターとの間に突如壁が生じた。
分断された。
それに気づいた途端壁に向かって剣を振り下ろす。
しかし剣は甲高い音を立てて弾かれる。
「無駄。その壁はサーヴァントと言えど簡単には破れない」
マスターは壁の向こう側から何かを話しているが全く聞こえない。
するとマスターは驚いた様な表情を浮かべ、後ろを振り向く。
マスターが慌ててしゃがんだ。
ーー瞬間、ナイフがさっきまで頭があった位置に飛んできた。
続け様にナイフが飛んでくる。
何とか回避しているが時間の問題。
いずれ限界が来る。
それを理解した次の時には既にアサシンに迫る。
どうせ何も出来ないぐらいならまずはアサシンを片ずける。
話はそれからでも充分だ。
一太刀目をひらりと躱されるが返しの刃でアサシンを弾き飛ばす。
しかし帰ってきた感覚は硬質なものだった。
アサシンを見やればナイフを剣で切り付けた位置に構えていた。
恐らく当たる直前にナイフを滑り込ませたのだろう。
舌打ちと共に再度切り込む。
ーー連撃。
目にも留まらぬ速度で繰り出される音に迫る勢いの剣をナイフで逸らし、身体を捻り避ける。
やりずらい。
それがアサシンに対して
こちらは攻撃をかわされ続けていたずらに体力を消耗するだけ。
それに対して向こうはただ避けていれば相手が勝手に疲れてくれる。
そんな現状に若干焦りを抱く。
そのせいか攻めが雑になっていた。
その隙を突かれた。
真上からの振り下ろし。
木の葉のような実こなしでいとも簡単に躱されるとそのまま逆立ちのような姿勢で肩に乗られる。
普通の逆立ちと違った点は逆立ちに使った手が片腕だった事。
そして空いていた手にナイフが握られていた事だろう。
ナイフが首を掻っ切ろうと迫る。
「洒落せえぇぇえええええ!」
一喝と共に再び放たれた魔力放出で何とかアサシンを遠ざける事は出来る。
しかし使える魔力には限りがある。
無駄遣いする事は出来ない。
セイバーは危ない目にあった事で逆に冷静さを取り戻していた。
息を吐き、落ち着きを取り戻す。
そこから一気に突っ込む。
「ッ!」
再度流れる様な連撃を繰り出す。
しかし先程と
だが先程とは少し違う所がある。
攻撃がかすり始めている。
「くっ…」
「おらおらどうしたアサシン!こんなもんか!?」
避け続けるのにも限界が来たのか、攻撃がかする割合が高くなっている。そして遂に攻撃が思いっきり腹に叩きつけられた。
「がっ」
表情を苦悶に歪め弾き飛ばされる。
人形のように床を転がり部屋の端にぶつかり止まった。
それでもセイバーは止まらず、追撃を仕掛けるために目にも留まらぬ速度でアサシンに肉薄する。そして純粋な魔力の高さによって血のように赤い光を放つ魔力を剣が纏う。
容赦なんてあるはずなく、アサシンの頭に目掛けて剣が振り下ろされる。
ーー轟音
一切の視界が遮られる程の砂煙が舞う。
息を一つ吐いて剣を横に払った。すると風圧によって煙が散り散りになっていく。
そこにアサシンの死体は無く、セイバーの一撃によって作られた巨大なクレーターだけがあった。
直後。後ろから殺気を感じ取り背後に蹴りを放つ。
グジュリという肉の押し潰れる感触が足の裏に伝わってきた。
「!?!?」
アサシンが苦痛に悶え言葉を発しようとしているが息が詰まり意味をなさない獣のうめき声のような声が漏れでていた。
アサシンが次の行動をとる前に一気に距離を詰めもう一度蹴りを腹に叩き込む。
今度は声すら発する事は出来なかったようだがその瞳はセイバーを気丈に睨み付けている。次の瞬間にはアサシンの姿は消えていた。
そして壁に叩きつけられていた。消えたように見えたのは実際には音速にも迫る速度で振るわれた剣に殴られただけなのだ。
血を吐き崩れ落ちる。
しかしそれすらもセイバーは認めず、剣による刺突がアサシンに突き刺さる。
倒れる事すら許されず剣と壁に挟まれ無理やり立たされていた。その体には想像も出来ない苦痛が走っているのだろう。それでもなおアサシンはセイバーを睨み付けている。
セイバーはニヤリと笑い剣を引き抜く。その勢いに引っ張られるかのように空中に身を投げ出したアサシンから思いっきり引き抜かれ風通しの良くなった腹から滝のような血が溢れ出す。
抵抗すらも許されず振り下ろされた剣がアサシンを地面に叩きつける。セイバーの剣撃は巨大なクレーターを作り上げるほどの威力を持つ。
あまりの衝撃でアサシンの体は再度中に浮かび上がる。
そこに無慈悲とも言えるセイバーの追撃が迫る。
セイバーはまるで剣をバットのように全力の横薙ぎを打ち込む。
ボキボキッと肋骨の折れる音を響かせアサシンは部屋の端までまるで壊れた人形のように転がっていった。
セイバーはゆっくりと倒れて動かないアサシンに近づく。
頭を踏みつけてみるがピクリともしない。とどめを刺す為に剣を頭上に掲げる。
「じゃあな雑魚サーヴァント」
剣が頭を砕く直前。アサシンの身体が跳ね上がりそのせいでセイバーは体勢を崩した。
その隙を衝くようにナイフが飛んでくる。
それら全てを剣で打ち払いアサシンを見やれば既に距離を取られていた。しかしこんなものただの時間稼ぎでしか無い。セイバーはダメージを少しも食らっていないにも関わらず、アサシンは今にも倒れそうなほどの傷を負い満身創痍だ。正直気力だけでたっている状態だろう。そう長く持つものでは無い。
それを理解した上でセイバーはニヤリと笑い剣を構える。
勝ち目なんてもうほとんどないにもかかわらずそれでもまだ抵抗する。そんなアサシンに敬意を抱いたのだ。
故にセイバーは魔力を解放する。
最後まで全力で叩き潰す。言外に伝えられたメッセージ。
それを受け取ったアサシンは少し表情を歪めた。
アサシンとしては油断でもしてくれれば幾分かやりやすかったのだが。現実はそう上手くいかないらしい。
「なかなかやるじゃねぇかよアサシン!」
「…強いね…」
「当然だろ!この程度でくたばんじゃねぇぞ!」
「結構無茶を言う」
アサシンは苦笑いを浮かべた。
実際アサシンの勝率はとんでもなく低いように見える。
しかしアサシンは笑みを浮かべ立ち向かう。
セイバーが目の前から消えた。
アサシンは身を見開き慌てて視線を後ろに向ける。
セイバーは足を構えていた。そしてその足は弓矢のように真っ直ぐにアサシンに叩きつけられた。無様に地面を転がる。
転がりながら体制を整え、飛び上がりナイフを投げつける。
しかしナイフはなんでもないかのように剣で全て打ち払われる。
カランカランとナイフが落ちる音が響く。
再び両者との間に距離があく。二人とも睨み合い動かずにいたが、セイバーが唐突に脱力した。剣をだらんと下げ、うつむく。
そして一気にアサシンに迫る。
アサシンの足元から地面ごと切り上げる。
「ッ!」
アサシンは咄嗟に後ろに飛ぶがセイバーは既に次の動きに入っていた。踏み込みで地面が割れる。
輪郭がぶれる速度で剣が真横に振り抜かれる。しかしこれはさっきと同じ攻撃。
アサシンも慣れたのか、いとも簡単に対処する。
高速で迫る剣の腹に両手のナイフを突き立てまるで跳び箱のように剣の上を飛び越えたのだ。そこから踏みつけるような連続蹴り。
最後の蹴りの勢いを利用し飛ぶ。しかしセイバーに足を掴まれてしまう。
くるりと一回転し、その勢いのまま投げる。
「ガハッ!」
アサシンは壁に埋まり動けない。それ幸いとばかりに魔力による爆発的な加速でアサシンに迫る。
壁と剣のサンドイッチ。
先程と違うのは狙った場所が腹ではなく頭だということ。
轟音を立て剣が壁に突き刺さる。
しかしそこにアサシンはいなかった。
剣が壁に突き刺さる瞬間、ギリギリで脱出したのだ。
そして反撃とばかりにセイバーの懐に潜り込む。
そこから兜の隙間からナイフを突き立てるべくナイフを振るう。
_______________ガキン
金属音が嫌によく響く。
セイバーは頭を軽くずらしナイフを兜で受け止めたのだ。
剣を振るがするりと避けられる。
何度目か分からない両者の睨み合い。
しかしそれは突然終わりを迎えた。
マスターから供給される魔力が減ったのだ。
驚愕の思いでマスターを見やれば、マスターの胸から槍が生えていた。
「ッ!マスターァァァァァァァァァァァ!テメェ勝手にくたばるんじゃねぇぞォォォォオオォォォォォ!」
マスターの元へ向かうが壁に阻まれる。
すっかり忘れていたがこの壁が無ければマスターがむざむざやられることも無かっただろう。しかし後悔してももう遅い。最初にアサシンの言った通りもっとしっかり警戒しておくべきだったのだ。
よく見ればマスターの身体には無数のナイフが刺さっていた。あの槍が無くてもどうしようもなかったであろう量のナイフが…
「ちっくしょう!めんどくせえ!勝手に死んでんじゃねぇよ雑魚マスター!俺の願いを叶えるために立ちやがれ!」
イラつき混じりな壁を蹴りつけるがびくともしない。間違いなく普通の壁ではなく結界の類いだろう。
するとマスターの背後の階段から誰かが降りてくるのが見えた。
それは…
灰色の鎧に身を包んだ男だった。
しかしサーヴァントであるセイバーの目は理解していた。
この男が自分と同じサーヴァントであると。
男はマスターの身体を刺さっていた槍を引き抜くと何かを確かめるかのように回し始めた。
そして唐突にピタリと回転を止めるとギロリとセイバーを睨みつけた。その目は獲物を狙う鷹のように鋭かったが、同時に獣のような凶暴性を含んでいた。
前門のランサー後門のアサシン。
誰がどう見ても絶対絶命。
セイバーは瞬時に状況を理解し持てる限りの全力の魔力を放出し結界を破壊。
同時にマスターの元へと駆け寄りマスターの
呆気に取られる一同を置き去りにしセイバーはその場を離脱したのだ。
**************
「という訳だ。理解したか?」
「あぁ。何で頭無くなっても再生するんだよとか、ランサーとアサシンが一緒に居たって同盟でも組んでたのかとか、色々突っ込みたい事はあるけどな」
「まぁ細かい事は気にすんな!」
快活に笑ってるけど何一つ笑える要素がないだろ…
「それで?なんでお前はまだ
「うん?あぁそれはマスターがくれた魔力結晶から何とか補給してんのさ。これでも結構ギリギリなんだぜ?」
「とてもそうには見えんな…」
「そうか?」
不思議そうに首を傾げるセイバー。
そして突如その顔を真面目なものに変化させた。
「なぁお前。名前は?」
「…北条千夜だ」
「そうか。なら千夜。お前に頼みがある」
「あん?なんだよ」
一呼吸置き告げられる衝撃の一言。
「お前。俺のマスターになる気はねぇか?」
「!?!?」
事態は大きく動き出す。