艦隊これくしょん×Fate/staynight   作:くまー

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皆様、明けましておめでとうございました。

何を言っても言い訳にしかなりませんが、決して更新する気が無いわけじゃないんです……
ただ、書き上げられなかっただけなんです……

※Arcadia様にも同時投稿をしておりますが、パスワードを忘れてしまい投稿できておりません。思い出し次第、投稿いたします。
※追記、無事投稿できました。記憶ボロボロ。危なかった……


2-9

 記録――――マルロクマルマル。

 佐世保鎮守府内、艦娘用特別病室。

 

 

 

 ――――当該艦娘(以下、Aとする)は、鉄底海峡にて意識を失い漂流しているところを、遠征隊によって発見された。

 Aは外的な損傷はそれ程見られなかったが、帰還後も意識を失ったままであった。無用な噂が立つ事を避けるため、Aは他の艦娘との接触が無いよう、限られた人物たちのみが知る状態で、佐世保鎮守府内の全く別の部屋にて隔離をされていた。

 

「まだ目を覚まさないか?」

「ええ、そうですね。まだです」

 

 ――――事件発生当日もマルロクマルマル時点では、Aは意識を失ったままだった。

 Aの監督責任者である汐見大佐と、黛医師の両名が、Aが寝たきりの状態である事を確認している。

 

「ふん……鉄底海峡の情報が必要だと言うのに、まだ惰眠を貪るか。強制的に起こせないのかね」

「……艦娘はブラックボックスの塊です。ですが同時に人でもあります。下手な刺激は――――」

「逆効果、だろう。その言葉は聞き飽きた。同じ軽巡でありながら、同時期に帰還した木曾とは大違いだな。やはり球磨型を申請すべきだったか」

「……」

「まぁいい。私は戻る。目を覚ましたら連絡をくれたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ 艦隊これくしょん×Fate ■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記録――――マルナナマルマル。

 佐世保鎮守府東館3階、特別病室。

 

 

『――――てことで、今日の夕方くらいには望月と一緒に佐世保鎮守府に戻る予定だ』

「分かった、お疲れ」

『すまないが時間に余裕が無くてな。土産は期待するな。駅で見繕いはするが……』

「そんなの気にするな」

『気にするな、か。そう言われると逆に圧を感じるな』

「いやいや、そんなつもりはないって」

『冗談だよ。ま、あまり突飛なものを買うつもりは無い。気に入らなければ突っ返してくれ』

「買ってきてくれるだけ嬉しいさ。ありがたく頂戴するよ」

『言ったな? 何を買われても文句を言うなよ?』

「……お手柔らかに頼む」

『ははっ、任せとけ……っと、悪い。大井姉に代わってもらえるか』

 

 ――――今回の事件の鎮圧における最大の功労者である大井は、事件当日は朝から本件の重要参考人である一般人(以下、Bとする)と共に行動をしていた。またマルナナマルマル時点で、大井は携帯電話から姉妹艦である木曾に電話をかけており、自動録音された会話の内容からして、この時点ではまだ深海棲艦の襲撃は察知されていなかったことが確認できる。

 

「代わったわよ、木曾。ところでだけど、可愛い可愛い妹から私への手土産はあるのかしら?」

『大井姉の分は北――――』

「っ、北上さんがっ! 私にっ!?」

『おお、いや、まぁ、その通りなんだが……最後まで言わせてくれ。……え、あ、ちょっと待ってくれ。代わる』

「え、木曾、待って、それって、」

『おー、大井っち?』

「北上さんっ!!!!!!!!」

「うわぁ、大井うるさっ」

 

 ――――当時間帯には病室に、川内と叢雲もいた。川内は非番、叢雲は海上警備に出る前であり、武装を解除していた状態だった。

 

「……ところで何で川内さんはそんな顔ボロボロなのよ」

「ん? 左頬のは何日か前に隼鷹と摩耶と夜酒したことが大井にバレた分」

「……ああ、そう」

「で、右頬のヤツは衛宮さんに夜這いかけたことがバレた分」

「は?」

「いやぁ、つい1,2時間前程度の事なのになぁ。大井はどこで耳にしたんだろ。……もしかしてだけどぉ、衛宮さん、チクった?」

「川内? 朝のアレだけじゃ足りなかったみたいね?」

「うぇ!? 聞こえてた!?」

 

 ――――この後、川内は事件発生まで自室で就寝に入っている。だが深海棲艦の襲撃時には、正規の武装ではない状態でありながら、大井、隼鷹、日向に次いで戦果を挙げている。

 

「2倍……いえ、3倍にしましょうか」

「待って待って待って! 冗談だってばぁ! ごめんって!」

「貴女は冗談で他の艦隊の批判をするのかしら?」

「いや、汐見大佐の件は批判じゃないでしょ! 只の事実! 日向さんの件と言い、アイツのせいで迷惑被ってるのは大井も同じじゃん!」

「黙りなさい」

 

 ――――Bは大井と共に、朝食の後に薄葉大佐の執務室へと移動している。Bは一般人ではあるが、横須賀の神蔵少将、及び薄葉大佐と同様に、妖精なる存在を見ることが出来るとの情報が有り、その確認と検証の為だった。

 

「あっ、待っ、あ、あだだだだだだだだだだだだだっ!!!」

「士郎? 夜這いって何されたのよ?」

「あー、いや、別に、俺は何も……」

「何をされたのよ?」

「いや、だから、何も」

「な に を さ れ た の よ ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記録――――マルハチマルマル。

 佐世保鎮守府内、艦娘用特別病室。

 

 

 

 ――――Aが目を覚ました事に最初に気が付いたのは、黛医師だった。

 だがAは眼を開いただけであり、まだ意識が正常に戻ってはおらず、黛医師の質問にも反応を示す様子は見られなかった。

 黛医師は汐見大佐に連絡を入れるも、汐見大佐は席を外していた。代わりに汐見艦隊に所属している、重巡洋艦の摩耶が、Aの様子の確認の為、特別病室を訪れている。

 

「黛さん、アイツは……」

「こっちよ。……まだ、目を覚ましただけ。意識は追いついていないみたい」

「そっか。すまねぇ、手をかける」

 

 ――――摩耶は黛医師の手引きの下、Aと会話を試みたが、Aは何の反応も示さなかった。

 摩耶は新兵訓練が始まるギリギリの時間帯まで意思の疎通を図ったが、Aが摩耶の言葉に反応する様子は終ぞ見られなかった。

 

「汐見大佐は――――」

「大佐なら、多分日向のことで上と話をしている」

「そう……」

「日向も頑固だからなぁ……解体処分は無いと思うけど、謹慎継続は間違いないと思う」

「こんな時に……全くもう」

 

 ――――本来であれば、汐見艦隊の旗艦である日向が先ずAと話をするべきではあるのだが、日向は前回の鉄底海峡への出撃時に、汐見大佐の命令を無視した行動を取り、その罰で懲罰房にて謹慎中であった。

 

「嘆かわしいよ。全く」

「ええ、本当にね。……お互い、今のは聞かなかった事にしましょう」

「……助かる」

 

 ――――汐見大佐は当時間帯、日向の処遇について熊切大将と話をしている事が、通信記録に残っている。当初は異動の予定だったが、高い実力を誇りながらも、数々の命令違反から勲章の剥奪も多かった日向については、他の艦隊も受け入れに難色を示していた。

 

「汐見大佐への伝言をお願いして良いかしら」

「ああ。多分鳥海も一緒だろうから、アイツにも連絡入れとくよ」

 

 ――――汐見大佐の秘書官である鳥海は、この後摩耶と入れ替わる形で特別病室に訪れている。黛医師はAの事を鳥海に任せると、定例会議の出席の為、特別病室を後にしている。彼女がAを見たのは、この時が最後であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記録――――マルハチサンマル。

 佐世保鎮守府内、懲罰房。

 

 

 

「日向さん、食事持ってきました」

「……不知火か」

 

 ――――今回の事件の鎮圧において、大井、隼鷹に次いで戦果を挙げた日向は、数日前から地下の懲罰房にて謹慎していた。命令違反の多かった日向が懲罰房に送られることは珍しくなく、佐世保鎮守府の最大戦力の一艦でありながら、時には10日を超える時間を懲罰房で過ごすこともあった。

 

「今日はおにぎりです、どうぞ」

「……心遣いは感謝する。だがあの阿呆にバレると厄介だぞ」

「バレなければ問題ありません」

 

 ――――謹慎時には食事を抜かれることもあったが、日向を慕う他艦娘により、差し入れをされることもあった。懲罰房には見張りの人員が配置されていたが、過度なものではない限り、差し入れは黙認されていた。

 

「ふっ、そうか……では、ありがたく頂戴する。すまないな」

「いえ、気にしないで下さい」

「ところで、他の皆は元気そうか?」

「今のところは変わらずですね。相変わらず大井さんが胃を痛めている以外は」

「そうか。アイツも気苦労性だからな。また隼鷹や川内あたりが何かをしたのか」

「そうですね。3日前に摩耶さんと隼鷹さんと川内さんが酒盛りをして、アレの悪口を大声で言い合って、それを聞かれました」

「アイツらは馬鹿か」

 

 ――――日向は戦艦として、横須賀の金剛に並ぶ実力の持ち主であった。だが命令違反の多さから、その実力に対して正当な評価を受けることは無かった。

 

「大丈夫です。聞かれたと言っても、幸い薄葉提督のみにしか聞かれていません。アレの耳には入っていません」

「……大井の心労が分かる気がするよ。摩耶には此処を出たら良く言い聞かせる。アレにバレる前にもみ消してもらって済まない」

「……日向さんは、いつ此処を出られそうですか」

「さてな。だが今回は長くなりそうだ。大方この機に次の受け入れ先を決めようと言う魂胆だろう」

「……流石に脅したのは不味かったですか」

「先に向けてきたのはアレなんだがな」

 

 ――――日向が今回懲罰房に入ったのは、表向きには作戦中の命令違反となっているが、主となるのは監督責任者である汐見大佐への脅迫行為であった。日向が汐見大佐の所持する拳銃を破壊し、彼を乏す発言をしたことは、複数の証言から確認できる。

 本来であればその危険性から、解体処分となってもおかしくは無かったが、鉄底海峡奪還作戦において金剛や陸奥等の多数の実力者が殉職したこともあり、一旦は謹慎処分と言う形に落ち着いていた。

 

「呉に戻る事が出来れば万歳だが……さてはて、どうなることやら」

「……解体処分なんかには、絶対にさせません」

「ふっ、その可能性は低いだろう。今はどこも戦力が足りないからな。まぁ英吉利あたりへ飛ばされる可能性はあるけどな」

「英吉利? 何故ですか?」

「早い話が左遷さ。『英吉利への友好支援』とでも適当な名目を付けてな。幸か不幸か、勲章は無駄にある」

「激戦区に向かわせるのではなく?」

「私を監視する存在がいた方が良いだろう。アレも自尊心だけは一丁前だからな。『激戦区に飛ばしたがいいは、戦乱のゴタゴタに乗じて逃げられては困る』とでも考えそうだ」

「なるほど。だから英吉利。……確かにあちらでは、最近になって高性能の艦が出てきたと聞いてます」

「或いは亜米利加か、独逸か、露西亜か。どこも、高性能の艦娘がいると聞くからな」

 

 ――――日向が懲罰房を出たのは、深海棲艦による襲撃を受けてからであった。この時日向は正規の武装を装着していない状態であったが、その四肢と軍刀だけで多数の深海棲艦を轟沈させている。

 

「まぁこれから先はその時にならないと分からないさ。出来ればこのまま此処にいて、鉄底海峡で金剛を探したいところだがな」

「……日向さん、その……金剛さんは、」

「言うな。……分かってはいるさ」

「……」

「……そろそろ戻った方がいい。アレに出るところを見られたら言い訳が大変だ」

「はい。……それでは、また」

「ああ。じゃあな」

 

 ガチャ……バタン

 

 

 

「……分かっているさ、不知火。……だけどな、私にはアイツがそう簡単に……沈むとは思えないんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記録――――マルキュウマルマル。

 佐世保鎮守府内、正面玄関口。

 

 

 

「あら、アンタたち、外出?」

「うん、そうだよ! 今日木曾さんと望月戻って来るって言ってたからさ、三日月と一緒にお帰りなさいパーティしようかなって!」

「2人とも戻ってきてから、色んな所に引っ張り回されているから。満潮も一緒に買い物行かない?」

 

 ――――今回の事件で佐世保鎮守府が多数の損害を受けた原因の一つとして、動ける艦娘の数が少なった事が挙げられる。

 

「うーん……残念だけどこの後、海上警備があるのよね」

「え、あ、そっか。潮たちと一緒だっけ」

「そう。潮と浦風と、あと叢雲の3人と一緒」

「そっかぁ……何時上がり?」

「夕食までには終わるわ」

 

 ――――鉄底海峡奪還作戦の影響もあり、当日は多くの艦娘が警備や訓練の為、海上に出ていた。また前述の通り、日向は謹慎、川内は非番で就寝、摩耶は新兵訓練などで、高練度の艦娘の多くが即座に動くことが出来ない状態だった。

 

「すまない、待たせたな」

「あ、菊月! お疲れ様!」

「もうすぐ提督も来るぞ」

「え、じゃあ、説得成功したの?」

「ああ、成功した。快く引き受けてくれたぞ」

「さっすがぁ! じゃあ多めに買い物しても大丈夫だね」

「……どういうこと?」

 

 ――――また摩耶を始めとする海上に出ていた面々は、深海棲艦の迎撃の為、戻る事が出来なかった。新兵を始めとする低練度艦が帰還する時間を稼ぐために、複数の深海棲艦を相手取る必要があった為である。

 

「薄葉提督が今日お休みみたいだから、車を出してもらえるか菊月が訊いてくれてたの」

「やっぱり車あった方が便利だしね」

「……それって、提督を足代わりにしようしてるってこと?」

「違うぞ、満潮。助力を願っただけだ」

「言い直せば良いってもんじゃないと思うけど?」

 

 ――――指揮をする立場の者がいないことも被害の拡大の原因の一つであった。当日、熊切大将とその秘書官である赤城、及び熊切艦隊の面々は、会議と演習の為、前日から呉へと移動していた。また薄葉大佐は非番であり、外出中であった。

 

「あぁ? 何だ菊月、お前1人じゃないのか」

「うむ」

「いや、うむじゃねーよ。え、なに、どういうこと?」

「望月の歓迎会をしたいんだ。大切なミッションなんだ」

「えと、その、買い物をしたくて」

「……あぁ、そういう。それで、車か」

「うむ」

「いやだからな、うむじゃなくてな……」

 

 ――――例外として、薄葉艦隊の面々は監督責任者である薄葉大佐が不在の場合、有事の際は大井が指揮を執る事になっていた。これは薄葉提督の独自の考えであった。条件付きとはいえ、艦娘に全権を委任するというのは前代未聞であったが、計らずしてその有用性が、今回の件では証明されることになった。

 

「……まぁいいや、何かったら大井が何とかするだろ」

「へへっ、提督! ありがとうございます!」

「じゃあね、満潮! お土産買ってくるから!」

「む、満潮は来ないのか?」

「うん、海上警備があるんだって」

「そうなのか……という事は、潮と浦風、叢雲も一緒か。潮と浦風は新人なんだよろしく頼む」

「何がよろしく頼むだ。初出撃時に腰抜かして、川内におぶさって帰還した癖してよ」

「うっ、提督! そこは言わない約束ではないか!」

「おぉん? 人をアッシー代わりにしようとしてよく言えたもんだなぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記録――――マルキュウサンマル。

 佐世保鎮守府内、薄葉提督執務室。

 

 

 

「これが上にあげる報告書よ。内容は、衛宮さんが妖精さんが見える事について。どうぞ、磯波。見て構わないわよ」

「……ありがとうございます。拝見させて頂きます」

「何か不都合があれば言ってくれて構わないわ。……さて、」

 

 ――――事件発生の30分前時点で、大井はBが妖精なる存在を認識できることについて、報告書をまとめていた。

 

「おぉ、衛宮さん。アンタ上手だなぁ。いい腕してるよ」

「そうか? ただ言われた通りに紙を切っているだけなんだが」

「そうなのか? じゃあ。妖精さんが見える事と関係するのかもなぁ。衛宮さんが切ったの、力を込めやすいんだよねぇ」

「力?」

「そ。衛宮さんが切ったのって、あたしが式神に使ってるヤツなんだよね。だからこうやって力を込めれば……」

「……飛行機になった?」

「そういうこと。艦載機ってやつだよ」

「おお、これが……」

「へへっ、どんなもんだい。さ、じゃあ今日の分は終わらせたことだしぃ……衛宮さん、これから一緒に千歳と一杯――――」

「隼鷹?」

「ひぅっ!?」

 

 ――――執務室内には、他に隼鷹と磯波もいた。隼鷹は執務室にて、前回の出撃時に失った式神の用意をしていた。

 

「何を、これから、しようと、しているのかしら? 隼鷹? ねぇ?」

「あ、え、ええとだな……ほら、艦載機! 艦載機!」

「隼鷹? したことじゃなくて、しようとしている事を言ってほしいのだけど?」

「は、はひっ」

「聞き間違いだと思っているけど……さっき、一杯、って」

「そ、そりゃ聞き間違いだって! 断酒中! 断酒中! 飲んでない! 飲んでない!」

 

 ――――佐世保鎮守府における空母は、熊切艦隊の赤城と鳳翔、汐見艦隊の千歳、薄葉艦隊の隼鷹の4艦だけであった。だが事件当日は、赤城と鳳翔は呉へ出張中であり、千歳と隼鷹しかいない状態だった。

 

「そりゃあ飲んでないわよねぇ? 飲めるわけ無いものねぇ? あんだけ人にケツ拭かせといて……ねぇ?」

「あー、その、あはは……アレは、その、酒の勢いで……」

「お酒のせいにしないでくれるかしら?」

「うぐっ」

 

 ――――加えて、千歳は大破状態につきドックにて入渠中だった。深海棲艦の襲撃時には、隼鷹のみで制空権を取られない様に立ち回らなければならなかった。千歳が入渠を切り上げて、武装の準備を整え、隼鷹の加勢に入ったのは、襲撃から30分は経過した後であった。だが隼鷹は、神業めいた腕前で数多の敵艦載機に対して、互角と言える立ち回りを見せている。

 

「そもそも千歳は入渠中よ。深海棲艦の迎撃で大破してんだから」

「あ、あれ、そうだったの?」

「そうよ。だから一杯なんてできるわけないじゃない」

「あー、そう、そっかぁ。……と言うか、聞こえてんじゃん」

「はぁ……あたりまえでしょ」

 

 ――――Aの破壊活動は、艦娘用特別病室のある東館から始まっていた。東館は壊滅し、本館、西館とも多大な損害を被ったが、入渠用のドックや建造用のドッグなどは西館寄りの本館にあり、被害が軽微だったのは幸いと言えた。

 

「まったくもう。申し訳ございません、衛宮さん。この飲んだくれの仕事に付き合わせてしまって」

「あー、いえ、俺は大丈夫。力になれたのなら良かったくらいだ」

「くぅ、イイ男は言う事が違うねぇ! どこぞの阿呆と大ちが」

「隼鷹?」

「アー、ソノ、アタシハ衛宮サンガ提督ニナル事応援スルヨ」

 

 ――――Aの破壊活動が始まった際、異変は当初内部からではなく、深海棲艦の急襲によるものだと考えられていた。大井は熊切大将のいる呉へ連絡を入れており、隼鷹は敵艦載機の迎撃の為に視界を確保するべく、執務室の窓から屋根へと上がっていた。実際間を置かずして、深海棲艦の姿を確認した事からも、原因は混合した。

 

「衛宮さん、本当に提督になるんですか?」

「……正直に言えば、なれるとは思っていないよ。鎮守府で働きたいと思ってはいるけどね」

「衛宮さぁん、そぉんな消極的なこと言っちゃダメだって! どーんと行こうぜ~? どーんとな!」

「隼鷹、あなたもしかしてもう飲んでる?」

「飲んでません~、素面ですぅ」

「……ハァ」

 

 ――――磯波は大井の指示を受け、Bが脱出するまでの間、彼の警護を行った。だが道中で反転艦と遭遇、戦闘に入っている。

 

「……衛宮さん」

「どうした?」

「その……私は……」

「ん~?」

「なに? どうしたのよ、隼鷹。……邪魔しちゃダメでしょ」

「いや、違うって。なぁんか……心臓が騒ぐと言うか……」

「ハァ? ……やっぱりあなた、飲んでんでしょ」

「違うって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記録――――マルイチマルマル。

 佐世保鎮守府内、艦娘用特別病室。

 

 

 

 ――――鳥海から汐見提督への電話が、この件における事件発生前の、最後の公的な記録となる。

 以下は自動録音された通話記録になる。

 

「鳥海、私だ。話は聞いた。目を覚ましたそうだな。これから向かう」

「はい、承知しました」

「他には誰かいるか?」

「いえ、私たち以外は誰も――――あっ」

「……鳥海? どうした? おい、返事を……まぁいい、もう着く。まったく、どいつもこいつも……」

 

 

 




おまけ(と言う名のNG)


※隼鷹、摩耶、川内の深夜の酒盛りの全容

「ゲームしようぜぇ! 議題はあのカスのこと! 一個言ったらワンショットな!」
「いいねぇ! じゃあアタシから……カス!」
「クズ!」
「プライドだけはイッチョ前!」
「ネチネチうるせぇ!」
「潔癖症!」
「え、そうなの? アイツ酔うとすぐ全裸になるのに?」
「んぶふふっ!」
「提督、それマジ!?」
「おう、マジマジ」

 ワイワイガヤガヤ、ガハハハハ……

「……大井さん? はい、不知火です。夜分遅くにすいません。隼鷹さんと川内さんが酒盛りをしていて……はい、提督も止めに入ったんですけど、何故か一緒になって飲み始めてしまって……あ、来ますか? はい、わ、分かりました。はい、それでは……」
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