綾小路Tレックス   作:チームメイト

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酷い回です。食事中に読むのはお控えください。


エピローグ(仮) またまた綾小路Tレックス

 7月8日 月曜日

 

 須藤の暴力事件は、Dクラスの勝利で先週の金曜日に幕を閉じ、土日を挟んでの週明け、1週間遅れでようやくプライベートポイントを手に入れることができた。

 当初の予定よりも多い17400ポイント。とはいえ、これでも他のクラスに比べたらまだまだ少ない。今しばらくは、節約モードのまま過ごさなければならないだろう。

 

 今回の事件に前後して先週起きた様々なことのまとめ。

 

  1、Dクラスのクラスポイントが174ポイントになる。

  2、須藤との友情が芽生える。

  3、一之瀬と3ヶ月間の仮の恋人となる。

  4、佐倉とセック──特別な友達になる。

  5、櫛田とのデート予定(ポイントが入ったらの約束)。

 

 こうしてまとめてみると3のあとに4、5と続くのは問題がある気がしないでもないが、本当の恋人ならまだしも仮の恋人なら問題ないはずだ。きっと大丈夫に違いない。

 一之瀬とは一之瀬が望まない限り手を出さないという約束であり、Tレックスを鎮めるためには必要なことだから仕方ない。

 

 まとめには入れなかったが、おまけで堀北から色々と小言を貰いそうな気配があるってのもあるか。

 

 週末には期末テストが予定されており、今週はそちらの対策も本格的に進めなければならない。夏休みまでの間に、まだまだ色々と起きそうだった。

 櫛田と堀北の仲が多少は改善されてきているらしく、期末テストの対策は、堀北が須藤に専属して教えるのではなく、櫛田と2人で池、山内、須藤の3バカの勉強の面倒を見るようだ。前回は櫛田を手伝ったオレはお役御免となった。

 

 今朝、平田主導でテスト対策の話が出た段階では、オレも前回に続いて堀北グループでの参加で話は進んでいたが、昼休み早々に一之瀬がDクラスに押しかけてきたことで話が一変した。

 律儀にというか試しにというか、できたばかりの恋人であるオレを食事に誘いにきただけだった。が、他クラスの生徒が、わざわざ押しかけてきて異性を誘うというのはなかなかインパクトがあったらしく、2人の関係を尋ねられてあっさりと付き合っていると一之瀬が認めたところで、教室の収拾がつかなくなった。

 既に付き合っていることを知っていたはずの佐倉でさえも、動揺しているようにみえるぐらいのカオスっぷりだ。

 

 この場に残ることは得策ではなく、一之瀬の手を取り教室を出ていき、2人で多少ギクシャクしながらも食事をとって現実逃避をし、教室へと戻ったときには、堀北グループから外れる流れになっていた。

 

 なお、食事中に非常にありがたいことに、一之瀬からBクラスとDクラスの合同勉強会という案もあった。ただ、BクラスとDクラスでは学力に差があり、Bクラスの一方的な負担になりかねないことや、今の時点では他のクラスに対して反発する生徒も少なくないと予想されることから、時期尚早ということで断った。

 

 で、オレが堀北グループから外れることになった理由だ。

 

 櫛田・堀北の2人体制で上手く回りそうだというのもあるが、一之瀬と付き合いだしたというので、池や山内がオレから距離を取りたがったというのが1番の理由だ。友情を深めた須藤だけは、オレを仲間に加えたそうにしていたが、池や山内が勉強するならオレはどちらでも問題ないので、空気を読んで自分から平田グループへの参加を申し出たのだった。

 

 元々イケてないグループではなく平田グループに属していたので、ようやく本来の形に収まった感じだ。

 言いたいことがさらに増えてそうな堀北と、二人きりになるタイミングを避けやすくなる、という意味でも一石二鳥の良案だ。

 

 Dクラスの生徒は、まったく勉強していなかった中間テストの時とは違い、今回はある程度各自で授業について行こうという努力をしていたはずなので、今回の期末テストで赤点を免れることは前回ほど難しくないだろう。

 問題になるのはやはり3バカで、面倒を見ることになる2人は大変そうだが、まあ、頑張って欲しい。

 

 一番問題になりそうな須藤は、既にこの土日を使って、堀北の用意した課題をこなしてテスト対策に入っていたようだ。その課題というのが、須藤のレベルに合わせられていて、頑張れば何とか終わらせることができるかどうかといったもので、須藤はこの2日間は相当に大変だったらしい。

 

 堀北本人は、須藤が課題を終わらせられないことを想定していたようだが、須藤は終わらせてきた。こんなところにも須藤の成長は表れている。

 

 

 というわけで、今日は放課後の教室で、2時間ほど平田主導の勉強会を済ませて、解散となった。

 

 前回の中間テストから今回までの間にも、平田の部活が休みのときを狙って2回開催されていただけあり、勉強会は非常にスムーズなもので、特に問題なく終わっている。

 

 しかし、部活が休みのときにもクラスのために動いているとなると、平田と軽井沢はいつ遊んだりしているんだろうか。一之瀬と付き合うことになった以上、参考までにいろいろと聞いてみたいが、こういう踏み込んだ話はしにくいもので、聞くのを控えている状態だが、少し心配になってしまう。

 まあ、カップルにはカップルで、それぞれのペースというものがあるんだろう。

 

 とりあえず、オレと一之瀬は今週はそれぞれのテストに集中することになり、今週のカップルらしい行動は今日の食事だけという話になった。テスト明けの週末をどうするかは現在保留だが、テスト明けの解放感で遊びたくなるのは恋人に限らない話で、人気者の一之瀬はクラスの予定でおそらく埋まりそうとのことだった。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 イブとアダムは禁断の果実を口にしたことにより、神の手により楽園から追放されたという話がある。高校生にとって性行為とは禁断の果実なのではないだろうか。

 

 一度それを経験してしまうと、二度と楽園へは戻れないのだ。

 

 右手が恋人としていられるのは、右手しか相手が居なかったときだけであり、実際の相手を手に入れてしまった後に、再び右手に戻ることができるのか?

 少なくともオレには無理だ。一度その禁断の果実の味を知ってしまったからには、もう右手では満足することはできない。

 

「さて、どうするかな」

 

 土曜日。

 木金と行われていた期末テストは、先週の騒動の影響など微塵も感じさせないほど順調に終わった。自己採点等の結果は良好で、Dクラスは今回も、退学者などを出すことなく突破できそうだった。

 あまりにも順調すぎて、今回はお疲れ様会などが開かれることなく、昨日ゆっくりと半日を過ごせたくらいだ。おかげで今日は休養万全で、気力が充実している。

 こうなってくると厄介なのが性欲だ。

 

 火曜日に、池たちとの勉強会を終えたばかりの櫛田が来て、

 

『勉強会なのに、鼻の下伸ばして胸を見てきやがって、池の奴マジで気持ち悪い』

 

 と、久々のブラック櫛田さんを降臨させた。そのパワーはなかなかのもので、どうなることかと思ったが、櫛田は櫛田で優等生であり、自分の勉強時間を確保するために、さくっとTレックスとの一発勝負を終えるだけで帰っていき、それをラストにそれから3日間、Tレックスは活動していない。

 

 同じような状況でも、6月の時点ではまだ制御ができていた。やりたいという気持ちはずっと抱え続けているが、やれないのならそれはそれで仕方がないという諦めがついていたのだ。

 だが、7月に入ると状況は変わった。

 

「この件に関しては、櫛田が悪いな」

 

 7月上旬に連日に渡って櫛田との行為にいたり、身体がそれを覚えてしまった。毎日やることが当たり前になれば、やらない日が出てくるのは苦しい。数日なら我慢できても5日を超えると耐えられなくなる。

 やらないならやらないでいいと我慢できていたものが、今のオレには毒でしかない。

 まだ3日なんだから我慢しようと思えばできるが、したいものはしたいのだ。この感情をどう処理するのかは、なかなか難しい問題だった。

 

「この責任は、櫛田に取ってもらわないと」

 

 だが、オレには女神がいる。櫛田桔梗という女神が居れば、楽園を追放されたとしてもオレはこの世界で生きていけるのだ。デートの約束もある。さっそく、メールで呼びかけてみよう。

 

『今日デート行けるか?』

『無理』

 

 何故だ。

 

『明日は?』

『女の子の期間だからしばらく無理だよ』

 

 この世に神などいない。

 

 櫛田の言葉は、男が聞きたくない言葉ランキングで上位に入る言葉だろう。特に下心が満載で聞いた時のダメージは大きい。

 料理下手の母親による「今日はちょっと挑戦してアレンジしてみたんだけど、どうかな?」と、どちらが上かというレベルだ。料理が下手な奴は、素直にレシピ通り作ってくれ。もっとも、オレは母親の手料理なんか食べた記憶もなく、ただの妄想での話になってしまうが。

 

 わずかに残されていた理性で『なら口だけでも』というメールは封じ込める。さすがにそこまで人をやめて野生に戻るわけにはいかない。

 

 例の期間について詳しくはないが、だいたい1週間か? だとすると今日で何日目だ。

 あとどれだけ無理なんだ。くだらない疑問点ばかり増えていく。

 

 まあ、考えても仕方ないだろう。櫛田については諦めるしかない。今は、この沸き上がる性欲をどうするべきかが問題だ。右手に頼ってみるというのも考えなければならないか。

 右手でTレックスを抑えることができるのかが非常に困難な問題だが、背に腹は代えられない。

 

 と、ここで電話が鳴り響き、右手で掴んだ。

 もちろん掴んだのはTレックスではなく電話の話だ。

 

「綾小路くん、今日はその、時間ありますか?」

「もちろんあるぞ、あり過ぎて困っているぐらいある」

 

 神は居た。

 

 いや、まだどうなるかは分からないが、期待という名の欲望に胸を膨らませて佐倉からのお誘いに乗ったのだった。近くにいるって約束したしな。

 

 

「暑い……」

「ご、ごめんなさい」

「いや、佐倉が悪いわけじゃない」

 

 休日の特別棟。

 須藤の件でゴタゴタして、中途半端に終わってしまったが、元々あの日に佐倉は写真撮影のためにここに来ていた。今日はそのリベンジである。

 7月中旬ともなれば、先月末に来た時よりもさらに気温は上昇しており、窓などが締め切られた休日の特別棟は、サウナに近く汗が絶えない。

 もっとも、窓を開けたところで熱風が入って来るだけで、吹きつけてくる分だけ暑く感じてしまい、慌てて窓を閉める結果に終わっており、この暑さは我慢するしかないらしい。

 

「よいしょっと」

「佐倉?」

「制服が写真に写っちゃうとダメだから」

「……そうか」

 

 学校の施設に入る都合上、オレも佐倉も制服を着用しているが、佐倉はブレザーを脱いでブラウス姿となった。

 ブレザー姿なら学校を特定できるが、ブラウスだけで学校を特定するのは難しいという話か。多少は胸を締め付ける効果もあったらしく、ブレザーを脱ぐとより立派に感じてしまうのは、気のせいではないだろう。

 

「これもっと」

「佐倉?」

「ブラウスだけでリボンつけてるのは変、だよ」

「……そうか」

 

 ぴったりと締められていた首元が緩み、より強調されて見えてしまう。

 

「…………」

「…………」

「じゃ、じゃあ、写真お願いしてもいい?」

「あ、ああ。任せろ」

 

 微妙に間が空いてしまったが、佐倉の声で本題へと入り、デジカメを受け取って写真撮影に入った。

 

 

「ちょっと外しちゃおう、かな」

「佐倉?」

「あ、暑いし、ほ、ほら、少し変化をつけないと」

「……そうか」

 

 色々ポーズを変えながら写真を撮り続けること十数枚。佐倉は、ブラウスの胸元のボタンを二つ外した。それだけでも見える景色はまったく異なる。佐藤がよくやる崩し方だが、佐藤と佐倉では名前が似ててもその戦闘力は大きく異なる。佐倉が動くたびにチラチラと見える下着の破壊力はなかなかのものだ。

 

 というか、これって普通に誘ってないか。

 いや、まだだ。まだ慌ててはならない。佐倉は純粋にいい写真を撮りたいだけという可能性がある。

 

「よ、よいしょっと」

「佐倉?」

「こここ、こういうのは、どう……かな?」

 

 さらにボタンを外していき、完全に胸を露出させるとそのままブラに指をひっかけて下へとずらした。こちらへとアピールするように豊満すぎる双丘を見せつけてきて。

 

「それは最高だが、写真撮影どころじゃなくなる」

「こ、こんな写真撮られても困るもん」

 

 そりゃそうか。

 これは佐倉からのアピールでしかないな。据え膳食わぬは男の恥、ここはおいしくいただくのが男というものだろう。

 

 

「佐倉」

「綾小路くん」

 

「「綾小路ティーーレーーーーーックス」」

 

 

 石崎、小宮、近藤。これが正しい監視カメラと人気のない特別棟の使い方だ。覚えとけ。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 おまけ

 

 

「えっと、佐倉さんこれは違うんじゃないか?」

 

 佐倉の意外な積極性に戸惑いを隠せなかった。

 

「その、恋人じゃなくて特別な友達だからっ、恋人とはできないことたくさんして欲しいもん」

「……分かった」

「うん」

 

 ここまで言われたら覚悟を決めるしかないだろう。

 

「佐倉」

「綾小路くん」

 

「「ア〇ル小路ティーーレーーーーーックス」」

 

 

 アナ〇の拡張工事は計画的に。




R15作品のため一部伏字でお送りします。


投稿開始から2週間強。お付き合いいただいた皆様ありがとうございました。お気に入りが100超えたら良いなというスタートでしたので、まさかの2000人オーバーに驚いています。
途中でエターナル化することなく仮の最終回まで辿りつけたのは、皆様のおかげです。

作品はまだ続きますが、一応今回で一区切りとさせていただきます。
第一章のエピローグという感じですね。

こんなひどい最終回で終わらせるわけにはいきませんので、なんとかつなぎの短編を7月中に1本は投稿したいと思います。それでは。
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