「いやー、大活躍だったねー」
「そう思うのなら、助けてくれ」
「私、ああいうのは苦手だしさ」
抱きつきゲームがひと段落して、今は何をして遊ぶかを決めるために、とりあえず施設を1周している。
主に泳ぐエリア、流れるプールのエリア、娯楽をメインにしたエリアの3つに分かれていて、集団で遊ぶなら流れるプールか娯楽エリアの何かになりそうだ。
「そういや、長谷部も佐倉もラッシュガードはよかったのか?」
3人で並んで歩いていると嫌でも視線が集まってくる。
「欲しいところなんだけどね」
「誘っといてなんだが、長谷部が参加するとは思わなかった。ポイントの問題ならオレが出してもいいが」
ラッシュガードは安くは無いが、誘った手前それくらいはしないとダメだろう。
「まー、ね。どうしようかとは思ったわけ。ただ、私も愛里も2学期からは頑張ろうって決めたから」
「頑張るって何をだ?」
「プールの授業。2学期もまだあるみたいだし、見られるのは嫌いだけど、少しは慣れておこうかなって」
「うう……頑張る」
そういえば、長谷部も佐倉もプールは全欠席だったっけ。
欠席によってクラスに悪い影響が出ているのかどうかははっきりしないが、褒められたことではないはずだ。
「こんな大勢のところで無理しなくてもよかったんじゃないか」
「ん-。でもさ、最初にクラスの男子が全員ってのもきつくない?」
「……下手すりゃこっちがマシかもな」
「でしょー。他のクラスなら無理しなかったけどさ」
不特定多数大勢と堀北クラスの男子全員でどっちがマシかがはっきりしない程度には、堀北クラスは酷い。
最初のプールの授業では、誰のおっぱいが大きいかで盛り上がってたんだっけ。
今も池や山内が、エロい目で度々視線を送ってきている。うん、色々と辛いな。
「あれー綾小路くんたちも今日だったんだー」
「昨日メールしたはずだが」
「そ、そうだっけ?」
ばったり会いましたって感じで、堀北クラスの女子グループ4人が話しかけてきた。
毎度おなじみの佐藤さんだ。なぜわざわざ嘘をつく。
近くで松下が手を合わせてるのは、佐藤の暴走を止められなかった詫びだろう。
佐藤から遊びの誘いがあったが、Bクラスや須藤たちとプールで遊ぶと断りを入れていた。
何かとイベントとか好きそうな佐藤だから、既にプールで遊ぶ権利は使っていると思っていたが、残していたようだ。
「軽井沢は居ないのか」
「うん、プールとかはダメだって」
軽井沢もプール駄目だったっけ。プールの授業で平田といちゃついててイラっとした記憶があるんだが、オレの幻想だろうか。どうなってんだアニメスタッフ。
あとの2人は、園田と石倉で軽井沢グループと思われるメンバーだった。
リーダーの軽井沢が不在とはいったい。
「そうか。楽しい日になるといいな。それじゃ、また」
「ちょっと待ってよ」
「今グループで行動中なんだが」
佐藤の相手をするために、足が止まっている。
先頭を歩く櫛田や一之瀬たちからは、だいぶ遠ざかってしまった。
「私たちも合流させてよ」
「Bクラスと一緒だぞ」
「それでいいから。いいよね?」
「ダメって言っても聞かないでしょ」
松下が呆れ気味に、頷いた。
他の2人も異論は無いらしい。園田も石倉も軽井沢グループの中では、大人しいタイプの生徒だ。引っ張ってくれる人の後ろをついていく感じなので、佐藤と松下次第って感じなのかもしれない。
合流か。うーん、このメンバーなら問題ないか。
男子が増える分には、池や山内の反発があったり、長谷部や佐倉が嫌がりそうだが、女子が増える分には受け入れられるはずだ。
「分かった。追いかけるぞ」
「うん」
腕を取ろうとする佐藤を回避して、4人を引き連れてグループを追いかけた。
そう簡単に、毎度毎度腕を取らせると思うなよ。
少し歩いた先で、皆が集まっていたので、すぐに合流することができた。
すぐに輪の中から渡辺が出てきて絡まれる。
「お、おいおい。ちょっと見ない間に女子が4人増えてる」
「同じクラスの女子たちだ。たまたま会って合流することになった」
「しかも可愛いし。綾小路、おまえ神か? 神なのか?」
佐藤は、ちょっと残念だが見た目はエロ可愛い。今も櫛田のところに近づきながら、右手でお尻の食い込みを直している。それを背後から見るオレと渡辺の視線を釘付けよ。
佐藤の良いところは、これが意識して見せつけているのではなく自然なところだ。
こういうのは意識してやってしまうと……それはそれでありだな。
松下は、どちらかといえば綺麗系。他2人はモブだ。うん、残念ながらモブ顔してる。
園田は量産型櫛田って感じで、石倉はソバカス顔だ。
「今日遊べて良かった」
「まだ何もしてないけどな。集まって何してたんだ?」
「ああ、あれだよあれ」
渡辺が指さした先、水中バレーのコートを囲むように、ほぼ女性によるギャラリーが出来上がっていた。
どうやらそれを見ていたらしい。
合同グループの輪の中に入って、何が行われているのかを見る。
コート上ではハイレベルな攻防が繰り広げられていた。
ほとんど見たことない生徒たちなので、恐らく上級生だろう。
そしてプレーごとにギャラリーから黄色い歓声が上がる。
無防備に騒いでいるため、おっぱいが揺れまくりだ。
「うおお! すげえ! なんかレベル高くね!?」
山内が興奮している。
それは、プレーのレベルの高さなのか、囲むギャラリーの女性陣のレベルの高さなのか判断が悩ましい。
中でも一人だけ異彩を放つ活躍をしている男子生徒がいる。
ギャラリーの視線もほぼ独り占めだ。というか、あの生徒がいるからこのギャラリーが出来上がっているぐらいの勢いだった。
「俺はああいう奴が嫌いなんだよな」
池が毒づいているが、同意しかない。
見覚えのあるその生徒は、生徒会のいけ好かない金髪野郎だった。
池が嫌いな、いけ好かない金髪野郎ってややこしいことしやがって。
「あの人は2年A組の南雲先輩。生徒会の副会長で、次の生徒会長になるのはたぶん南雲先輩だと思う」
「一之瀬が言うなら間違いなさそうだな」
あいつが副会長だったのか。
ということは、学業の方も優秀だろうな。
「彼が副会長。……今の生徒会長の方が圧倒的に抜けていると思うわ」
鬼畜眼鏡先輩の鬼畜眼鏡っぷりを知っているとコメントしづらい。
出来れば南雲副会長には、並び立ってほしくない。
鬼畜眼鏡先輩だけが、突き抜けてて欲しい。変態はこれ以上いらない。
「ブラコ──痛いッ」
ぼそっと呟いただけだが足を踏み抜かれた。
水着の都合上、素足だけにダメージがでかい。
「今の生徒会長は、歴代でもトップクラスで優秀って話も聞くくらいだからね。でも、南雲先輩も負けてないし、私の目標は南雲先輩になると思う。話も合うし」
「ぐぬぬ……」
一之瀬さん。それは同じ生徒会から見た自慢の先輩ってだけだよな? それ以上の意味はないよな。
仮とはいえ彼氏がいるんだから、憧れの先輩みたいな話はダメージが入るから止めてくれ。
南雲副会長、許し難し。
あと、話が合うって、南雲副会長と「新しく入った葛城くん。龍園くんと怪しいんだよ」「そうなのかい、それは素敵だね☆」みたいな会話で盛り上がってるとかはないよな。
平田1人でも持て余し気味なんだ、参戦してくるなよ。
あ、名前出したから余談に入るが、葛城は無事に生徒会入りして妹のプレゼントを一之瀬の協力の元で、送ることに成功したらしい。良かった良かった。
「あ、綾小路、上には上がいたみたいだな」
「べ、別に競ってないから……う、うん。オレは何も気にしてないぞ、渡辺」
そう、気にしていないったら気にしていない。
夏休みだからってピアスをつけやがってとかこれっぽっちも思っていないから。
「み、見てるだけではなく、オレたちもバレーやらないか? Bクラス対
そろそろ遊ぶ提案がしたかっただけで、これ以上金髪を見たくなかったとかそんなことじゃないから。
「やるわ」
「おっしゃ、やろうぜ。俺も身体動かしたくてウズウズしてきたぜ」
すぐに堀北が賛同し、須藤も乗ってきた。
「私、コートの申請してくるよ」
櫛田が小走りでコートの確保に回った。
櫛田を見送った後で、一瞬だけ、やっぱやめようぜって言いたくなったが我慢する。
後が怖すぎる。
「面白そうだね。でも、私たちはちょうど6人だけど、堀北さんのクラスはどうしよっか」
「男子の人数は揃えた方が良いだろ。俺と清隆は決定として、春樹と寛治はどっちが出る?」
コートの順番が回ってくる前に、ルールなどの打ち合わせを済ませておく。
須藤は、スポーツに関しては真面目らしくフェアプレー精神を発揮していた。
が、その目つきは足を引っ張ったら分かってるだろうな、と威嚇しまくっている。
「か、寛治、お前行けよ」
「いや、春樹にここは譲るって、いいとこ見せろよ」
女子とは遊びたいけど、須藤に怒られたくないという微妙な葛藤が起きていた。
「あーん? おまえらやりたくないなら、女子4人で行くぞ」
池も山内も運動は得意ではないので、女子でもあまり変わらないのかもしれない。
結局、オレ、須藤、堀北、櫛田、松下、(佐倉+長谷部)の7人が堀北クラスのメンバーに決まった。
佐倉は乗り気じゃなかったが、長谷部が巻き込む形でセットごとに交代で参加する。
佐藤は、園田と石倉と一緒に見学だ。園田と石倉が不参加でそれに付き合うらしい。
女子の派閥も大変なのかもしれない。
1セット15点で2セット先取で勝ちだ。
ルールは単純に、ポジションは自由。サーブは点を入れたクラスの生徒が順番で行う。
「それじゃ―行くよー」
一之瀬のサーブでゲームが始まった。
松下がレシーブで上げて、堀北がトス、緩やかに上がったボールを須藤が相手ブロックの上から叩きつけて得点を挙げた。
「おっしゃー」
須藤の咆哮が響く。
プールに張られたバレーコートは、腰下は水の中に入っている。
動くたびに下半身に負荷がかかり、動きにくいはずだが須藤にとっては関係ないらしい。
最高到達点が頭1つ高い。驚異的なジャンプ力だ。運動神経ナンバーワンは伊達じゃないようだ。
「うーん、凄いなぁ。これは苦戦しそう」
鋭い球が目の前に叩きつけられた一之瀬が、球を拾いながら感嘆を述べる。
「へっ。Bクラスに勝ち目はないぜ」
「むむっ。負けないんだから。みんな須藤くん以外を狙って行こう」
「オッケー、俺に任せてくれ」
堀北クラスは、前衛を須藤、堀北、松下。
後衛をオレ、佐倉、櫛田が担当して、基本的に攻撃は須藤任せという単純な作戦だ。
対するBクラスの作戦は、須藤以外を狙うというもの。
狙いとしては面白いが、堀北クラスの陣容が、オレ、堀北、櫛田、松下と須藤以外でも運動能力が高い生徒が揃っている。
唯一苦手にしている佐倉だが、それがバレる頃には点差がついていた。佐倉をオレがフォローしていたのもあって、そのまま押し切ることに成功だ。
1セット目は堀北クラスが取った。
それにしても、注目すべきは松下だな。
真面目に運動に取り組んでいるのは初めて見るが、自己申告でどちらもいけると聞いていた通り、勉強だけではなく運動方面も能力が高いようだ。須藤にマークが集まった時に上手く得点を稼いでくれた。
堀北クラスが今後戦っていく上で、嬉しい誤算だろう。
松下は、クラスの得点源として計算できる。
一方のBクラス。
目立つのは、柴田だ。須藤と同等程度の能力を誇っている。
どちらが上かは競技によって変わりそうで、須藤でも確実に勝てる相手ではない。
続いて神崎。十分運動が得意だと言えるレベルだと思う。
ただ、神崎の場合は、本人が目立つよりもフォローに徹しているため、本当の実力は未知数だ。
隙が無い能力といえるのかもしれない。
最後の男子生徒の渡辺。こちらは男子の平均ぐらいか。
運動が得意ではないが苦手でもない。穴にはならないが大活躍とはいかない感じ。
あからさまに運動や勉強を苦手とする池とか山内とかは違って、こういう生徒がサラッといるのがBクラスの戦力の高さだと思う。
モブの能力が堀北クラスとは違う。
そして女子。
一之瀬は意外というか、運動は女子の平均程度のようだ。櫛田や堀北や松下と比べると劣っている。
佐倉のストーカー騒動の時は、足の速さでついてきたが、それは陸上部の経験からのもので、全体として運動が得意というわけではないらしい。
とはいえ、頭が良いので、バレーではポジショニングや読みで運動能力以上に活躍してくる厄介なタイプだ。
チームを引っ張るのも上手い。露骨な佐倉狙いはやめてくれ。
網倉は平均的、白波は運動が苦手らしい。
となると、白波狙いをすれば良さそうだが、神崎が上手くカバーに入っているため、簡単な話ではない。
互いに、大体の能力を把握した2セット目がどうなるか。
「なあ、俺たちちょっと施設回って見てくるわ」
「終わるころには戻ってくるから」
「仕方ねえな。いってこいよ」
観客に回っていた池と山内は、須藤が活躍して注目を集めていることに我慢がならなかったのか、この場を離れていった。ナンパにでもいったのかもしれない。盗撮ではないと信じたい。
「2セット目、追いつかせてもらうから」
「させっかよ」
2セット目が始まった。
「これは……」
Bクラスはポジションを変えて前衛を女子3人が固めている。
後ろを男子で揃えてレシーブを強化する作戦か。
「須藤くん」
「任せろ」
堀北のトスを須藤が打とうとしてそれは起こった。
「おおお……」
須藤の手はボールにジャストミートせずに、ふわっとした山並みなボールがBクラスに渡る。
「一之瀬」
「オーケー」
「行くぞ」
当然ながら綺麗に一之瀬にボールが上がり、一之瀬がトスしたボールを柴田が後衛から前衛まで走り込んできて、打ち抜いた。
放たれたボールはそのまま長谷部の目の前に落ちて、Bクラスの得点だ。
「須藤くん……」
「す、すまん……」
堀北に詰められて須藤が謝った。堀北には理解できないかもしれないが、これは仕方ない。
何が起きたのか。
須藤をマークしていたBクラス女子が3人でブロックに飛んだ。
するとどうなったのか。
BクラスのBは、
ぽよよんと効果音が聞こえてくれそうな勢いで、須藤の目の前で巨乳が揺れた。
須藤はそれに動揺して目測を誤ったというわけだ。
なんて恐ろしい作戦を立てやがる。
「健、ボールに集中しろ」
「そうだよ、須藤くん頑張ろう」
「分かってるって」
オレと櫛田のアドバイスも効果としては弱かった。
全部一之瀬が悪い。ボールに集中しろというのが、一之瀬のおっぱいに集中しろって聞こえたんじゃないかってくらいに須藤が調子を崩した。
須藤を封じられてしまい、ジワジワと点差を広げられていく。男子生徒の純情を的確に責めた作戦によって、2セット目はBクラスが制した。
おっぱいには、勝てなかったよ。
「作戦を変えよう。堀北と松下は下がってくれ」
「分かったわ」
「分かった」
3セット目。
2人と入れ替わる形で、オレと櫛田が前衛に回る。
長谷部、佐倉と一之瀬に負けないおっぱいを見慣れたオレは、水着おっぱいで興奮すれども動揺はしない。
須藤のマークを外させるために、オレも攻撃に回ろう。
「櫛田」
「綾小路くん」
ボールが櫛田に上がったのに合わせて、櫛田の前方に走る。
そのまま飛ぶと見せかけて、左足、右足と櫛田の正面側から背後側に回るように動いて逆足でジャンプ、そのまま櫛田が背後に上げたボールを打ち抜いた。
完全にブロックを外した攻撃は、後衛で守るBクラス男子陣の合間を抜いて得点となる。
「やられたー。今のはサインプレーかな?」
「秘密だ」
一之瀬の確認は流す。
実際は、サインプレーとかではない、互いに相手ならそうするというのを名前を呼ぶだけで合わせただけだ。
櫛田とオレとの信頼関係があれば、これくらいはできる。
何度同時に果てたと思ってやがる。
阿吽の呼吸ならぬ、綾小路Tレックスの呼吸ってやつだな。ゴロが悪い。
なんだったら「「綾小路Cクイック」」って叫びたかったまである。
櫛田とハイタッチをして互いに称え合った。
「綾小路くん、かっこいーー」
佐藤の甘い声援だけが余計だが、佐藤に釣られてか、モブの2人も照れ気味に声援を送っているのが可愛らしいから許すとしよう。
マークが減った須藤も徐々に得点を伸ばし始め、オレの前衛参加で、攻撃は立て直しができた。
が、後衛の守りが弱くなり、互いにノーガードの打ち合い模様となって、14対14で次の点を取った方が勝利だ。デュースは定めていない。
残念なことに、ここで不利とされるサーブ側だった。
堀北のサーブを神崎が上げて、一之瀬がトス、柴田が狙った先は──
「佐倉ッ」
散々狙われ続けた佐倉だ。
松下と堀北がフォローに入ろうとするも、間に合わない。万事休すか。
「あうっ」
と思いきや、佐倉の正面に飛んできたボールは、水面に触れる前に佐倉の胸へとぶつかって跳ねた。
ギリギリ着水は免れたが誰もいない明後日の方向に飛んでいる。
「櫛田」
「綾小路くん」
慌てて櫛田が何とか繋いだボールに、飛び込むようにして触れて相手コートに返す。
ただ返すだけになってしまったのでチャンスボールに近い。
無理した結果、オレと櫛田は水中に飛び込み、体勢が完全に崩れたため、Bクラスの攻撃には間に合わない。
一緒に沈んだ櫛田のおっぱいを水中で揉みながら、顔だけを出して最後の攻防を見守った。
残りの4人でBクラスの攻撃をしのげるか。
「一之瀬」
「神崎くん」
「させるかよっ」
一之瀬がトスしたボールを神崎が打とうとして、そこに須藤が飛びついた。
1人ブロック。
須藤に当たったボールは、ネットの内側に吸い込むようにして、Bクラス側の水面に落ちた。
「おっしゃー」
15点目だ。
セット数2対1で堀北クラスの勝利。
「うーん……いけたと思ったんだけどな」
「最後、単調になってしまったか」
須藤1人にしてやられた一之瀬と神崎が反省している。
2セット目をおっぱいで落として、3セット目をおっぱいで拾うか。
これがアクアスポーツのバレーボールか。最高だな。
「もういいんじゃないかな?」
「すまん」
思わず揉み続けていた櫛田から手を放し、沈めていた身体を立て直した。
「…………」
腰から下が水の中で助かった。
沈まれ、オレのTレックス。陸に上がれなくなってしまう。
「堀北さんのクラス、やっぱり侮れないね」
「主力メンバーが揃っていたもの。総合力でBクラスに勝てるとはまだ思わないわ」
「うーん、でも今いない平田くんも凄いんだよね」
しっかり情報収集されているらしい。
「洋介は厄介だぜ。今日の感じじゃ須藤の方がやばそうだけど」
洋介呼びする関係ってことは、情報源は柴田なのかもしれない。
「ふん、平田だろうが柴田だろうがまとめてぶっ飛ばしてやるぜ」
須藤が息巻いている。が、平田は味方だろ須藤よ。
感想を言い合っているうちに、池や山内も戻ってきたので、次のアトラクションへ移動することになった。
こんな調子で、一之瀬とウォータースライダーを滑ったり、ウォータースライダーのゴール地点のドタバタで、先にゴールして水中にいた佐倉のおっぱいを揉んだり、一之瀬と流れるプールで浮き輪に掴まって流されてみたり、その下を潜水してきた堀北のおっぱいを揉んだりなどしながら、閉館ギリギリまで楽しみまくった。
いつの間にか、一之瀬を中心としたBクラスや須藤たちに知られないようにいかにおっぱいを揉むのかゲームが始まっていた気がしないでもないが、きっと気のせいだろう。
特に定めていなかったが、バレーで負けた罰ゲームとして帰り道のコンビニで、Bクラスの奢りでアイスを食べた。夏のいい思い出になったと思う。
こういうときに調子に乗りそうな、池や山内が妙に大人しかったのが気になるが、はしゃぎつかれたんだろうか。
まあ、この2人のことを考えても仕方ないか。
今、気にするべきは、堀北さんだな。
グループの輪の最後方を1人で歩いている。
須藤は運動が得意なもの同士、柴田と何やら盛り上がっていた。
「堀北、今日は楽しかったか?」
「たまには、こういうのも悪くないわね」
「そうか」
勉強会こそ一緒にやったりはしていたものの、堀北が誰かと外で遊ぶのは、オレが知る限り初めてのはずだ。
常に孤独だった堀北はもう居ない。
これも堀北の成長の証か。
と、ここで風が吹いて堀北のスカートを揺らした。
「……お前」
「……行くときから中に水着を着てしまったのよ」
堀北らしからぬミスだ。
そうか。そこまで楽しみだったのか。なら許すしかないな。
「という
「常にそれは悪い」
なにが、たまにはこういうのも悪くないだ。
プールに行くと決まったときから計画が立てられていたんだろうか。
堀北も皆と遊ぶことを楽しんだと思って、堀北の成長を喜んでいたオレの純粋な気持ちを返せ。
「……佐倉は大丈夫だろうな」
前を歩く佐倉のスカートの中を心配しながら、寮までの帰り道をノーパンと歩く。
何とも酷いオチがついて、Bクラスとの合同プール回はお開きとなった。