「あああああああ!!」
俺は今、空から落ちていた! 理由は分からねぇ!
上から見た感じ、辺りは山と海が多い地域らしい。そして、俺の落下地点は不運にも街な気がした。
幸か不幸か、その街は俺が見たことないくらいのド田舎だった。
「死ぬ! 死んじゃう! 死にたくないいい!!」
必死にもがいて回転しても速度は緩まない。
ビュオオオオと風を切る音だけが俺を見ている。動くとその音は激しくなり、まるで嘲笑うかのようだ。
「やばいやばいやばいやば」
俺は絶望した、落下地点は街のど真ん中でその下は土ではない人工的に作られた固そうな床ということに!
もう線とか見えるし相当近づいてきたのわか――
バァンッ!
「ぐほっぁ!」
地面に前身で着地し、けたたましい炸裂音が現実味を帯びさせていた。
「いっったぁ……」
俺が落下した衝撃で俺の周りだけボッコボコになっているが、痛みのあまり疼く事も出来なかった。
「うっ……」
死ぬ感覚がする。これで2回目だ、俺の突然始まった気がする人生はもう終わり?
何も無いぼやけた世界に、手を伸ばしていると不思議と落下する前の記憶が蘇ってくる。走馬灯って奴が。
俺が初めて死ぬ瞬間は哀れな事だった。
「龍樹、5階から落ちても生きれるって言ったよなぁ!?」
「は? 言ってね……言いましたすみません」
胸ぐらを掴まれた辺りで俺は抵抗を辞めた。
場所は高校の屋上、複数人の生徒が俺を取り囲む中、じわりじわりと端に追い詰められていた。
発端は俺が「どこに落ちても死なないから」と言ったことから始まり、クソみたいな番長に話が届いた結果がこれ。
落ちなかったらそれはそれでボコられるだろうし、落ちても大怪我を負う……どう転んでも不幸だった。
でも落ちて大怪我の方が名誉的に大丈夫。そう思うと自然と屋上に足が向かっていた。
「お前なかなかやるな……」
「ははは、はは」
俺のかさかさな笑い声が響いた。後一歩踏み出せばいいんだな。真下を見てると死にそうな高さだと思うんだが。
「飛び降りれたら英雄だ、俺がこの学校の英雄譚にしてやる」
キャンセルの道を潰すなよ!
意外に頭脳派な番長だった。
「もうやけだ! 焼けきのこだわ!」
「おいっ!」
飛び降りた瞬間、時の流れを遅く感じさせていた。落下の流れから背中が地面に向く。そこには手を伸ばそうとした番長が見える。
本当に飛び降りるとは思ってなかったんだな……。
そこからの記憶はない。気がついたら、遥か上空から落下していて地面に叩きつけられ。
今に至る。
ボケーと思い出していると、鎧に包まれた男がこの道を歩いていた。なんかポーションらしい飲み物とか貰えるだろ?
そう思った俺は全力で声を掛けて媚を売ることにした!
「すみません! ポーション下さい!」
「あ? 別にいいけどよ……回復しないと思うぜ」
「嘘つくなよ!? 俺は回復するって知ってるんだよ!」
そう言ってカチャカチャと音を立てるおっさんから青い液体が入った瓶を貰う。ワインの様なコルク栓がいい音を立てて抜けた。
俺は口を付けて一気に流し込んだ。体内が液体で満たされ、それが皮膚から出そうな錯覚に陥る。
同時にさっきまで全身を締め付けていた痛みが消えていたことに気がつく。間違いない、回復した。
「おっさん……助かった……」
「回復するなんて初めて聞いたぜ」
柑橘系ってやっぱり美味しいんだな。でも、ポーションあるしこのおっさん見てるとなんか違う世界に来てる気がする。
あれか、これが東京のハロウィンコスプレか?
「そうですか……もう1本貰えます?」
心の底から嘘をつきやがって、と内心に閉じ込めた。
「いいよ別に。飲み物感覚だしな」
俺は本能的にポーションを求めていた。