最強の勇者はポーション中毒者   作:ec

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第15話

 

 暫く歩いて街の門前まで来ていた。ゴブリンは相変わらず野草を採取していて良かった。

 

「開けてくれー!」

 

 俺が叫んだ後、数分で門が動き始めた。橋を下ろすのに手間取ったのだろう。

 

「帰還確認しました、男の言う通りでした」

 

 衛兵は別の衛兵に伝えてメモを取る。

 

「男?」

「えぇ、結構前にもう少しで貴方達が帰ってくると教えてくれたので」

 

 そんな所まで言ってくれたんだな。

 

「簡単なクエストの発注していたのに遅くて心配してた所なんですがねぇ」

 

 エーススライムは強いぞ。

 

「恐竜キングに追いかけられてな……」

 

「そうだったんですか!?」

 

「うるせえな」

 

 恐竜キングに遭遇したら最後、大体帰ってこないらしい。話を聞きたがってたから適当に話した。

 

「――そこで……こいつの投石攻撃が功を奏したってわけよ」

 

 攻撃は嘘をついてもいいだろ。

 

「素晴らしい作戦……! 衛兵になって良かった……」

 

「足の怪我を治せる所って無いのか?」

 

「回復魔法ですね、向こうに教会のヒーラーが居るので頼んでみては? 暴力沙汰を止めた時は必ず行くんです、術者がみんな可愛くて……」

 

 俺はアンジュを背負って教会に向かった。話のあいだに割り込んで来なかったし、寝ているのかもしれない。

 

 教会って横に広くて縦長な部分があって、真ん中の縦長に時計が嵌め込まれてる感じのな。

 

 それがどうだ。俺の来たところは教会っていうより協会だった。武器屋と見た目が違わない。

 

 恐る恐る看板を見ていると答えはあった。

 

『ヒーラー協会! 回復職を希望している方、治癒が必要な方は是非!』

 協会かよ……。

 

 俺はゆっくりヒーラー協会のドアを引いた。

 

「「ヒーラー協会にようこそ!」」

 

「うるせえ」

 

 タダでさえ狭いのに大声はやめて欲しい。2人しか居ないことには感謝だな。

 

 24時間営業なら人は少ないほうがいいだろうし。

 

「す、すみませんっ! 新入りでして」

 

 とか言って青いローブの子を指差す白ローブ。

 

「お前の方が声大きいわ!」

 

 だが、2人とも整った顔立ちをしていて美しい。悔しいがアンジュよりは可愛くないのは何故だ?

 

 肌の質から違う気がする。

 

「あはは……要件は?」

 

 青いローブの子は、清楚なショートボブを揺らして仕事を切り出す。

 

「この女の足を治してやってくれ」

 

「運んでくれる良い彼氏のお手本っ!」

 

 白いローブは金髪でエクステのチャラ女のお手本だな。

 

「寝てるっぽいから下ろすの手伝って」

 

 後ろに無気力に倒れるアンジュを青いローブが受け止め、座らせる。壁にもたれて俯いていた。

 

「この人……もしかして?」

 

「うんうん……そうかもしんないね」

 

「何がだ?」

 

 ヒソヒソ話されるのは好きじゃない。仮にもアンジュの右足に触れながらだしな。

 

「もしかしたら魔法を弾くかもしれないという話です」

 

「弾く? 回復魔法を弾くなんてありえるのか」

 

「魔法耐性という奴がありまして」

 

 高いと弾き、低いとほんの些細な魔法ですら致命傷になるらしい。例えば指先に火を灯すだけの魔法で耐性がない人を炙るとそれはそれは想像出来ない事に。

 

 回復の耐性が無い場合は普通より力をかけずに済むが、耐性がある人は珍しい上に致命的……だと。

 

「高過ぎると弾くので、専用のアイテムを使います」

 

 すると白いローブの人が、包帯っぽい物でアンジュの右足を包んでいく。

 

「なんだこれ……包帯か?」

 

「いえ、包帯ではなくホワイトヴェールです」

 

 包帯じゃねえか。

 

「巻いて巻いて……」

 

 2週ほどで足首が変色している足は見えなくなっていた。

 

「回復してみて!」

 

「行きますよー『ロイヤル・ストリキ』で!」

 

 最上位っぽい詠唱で淡い光が青いローブの子の手を明るくさせ、その手が包帯に触れた!

 

「……」

 

 無言の沈黙。白いローブの人は包帯に触れて唖然としていた。

 

「おかしい……回復してない!」

 

「もっとヴェールを! 料金は高くなってしまいますが……」

 

 払えきれない金額にはなりませんように。2000くらいあるかどうかだからな……基準が分からないけども。

 

「頼む」

 

 ヴェールは足を団子にするくらい巻き付けられ、回復魔法が施される。

 

「回復しました! この調子で治せます!」

 

 ヒーラーのお陰で治癒は成功したらしく、包帯は取り除かれた。痛い色があった足首は綺麗な肌色で証明の光を跳ね返す。

 

「利用金は5000セックになるんですが……」

 

「無いです」

 

 どうしようか、払えないんだけど本当にどうしようか。

 

「そうですか」

 

 気持ち良さそうに寝ているアンジュを他所に俺は2人に囲まれる。

 

『では、クエストに私達を連れてって下さい』

 

「はぁ? 冗談だろ」

 

 これ以上荷物が増えるとかお断りだわ。

 

「いえ、私達は回復を精一杯をしますが報酬とソウルは全てそれまで貰わせて頂きます」

 

 クエストで払えない金額を払わせるという魂胆だ。ソウルもなんらかの特別報酬も取るという事は必然的に利子が付いてるという事。

 

「ソウルは関係ないだろ?」

 

「それが……」

 

 白いローブの人がこんな話をしてくれた。

 

 回復職は回復が専門だ。よって敵にとどめを刺すことはまず無い。つまり、ソウルを吸える機会が無い。

 

 パーティを組む前提だが、倒すのは中衛の魔法職か前衛の戦士職。倒した者が基本的に吸うルールだから一番重要な職業なのにソウルを吸う権限はないという差別として問題になっているらしい。

 

 職は才能だから気安く変えれないのも悩ましい点なんだろうな。俺、ジョブ無いけど。

 

 職業の概念教えといてくれよアンジュ……何で黙ってたんだこいつ。

 

 使えないギルド職員を睨むと2人のローブが微かに震えた。

 

 そういえば、まだアンジュに教えて貰ってないことが有ったよな。

 

「別に来てもいいぜ、2人だし。その代わり」

 

「はい?」

 

 俺に回復は要らなくても、今みたいに必要な事がある。

 

『ソウルを集めたらどうなる? 後、ポーションを大量に持て』

 

 あいつに頭を下げて教えてもらうのはプライドが許さなかった。それだけだ、ハーレムがしたいわけじゃ……。

 

「ポーションは手に持って飲ませてあげたらいいでしょうか? 追加効果を付属させれます」

 

「……いいよ別に、砕くから」

 

 ハーレムしてえなぁ、ここは可愛い人が多すぎる。

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