『ソウルを集めるとプレートのクオリティブレイバーが上がります』
『ます!』
「…………」
ローブの2人が言った一言。
「クオリティブレイバーの特典は?」
「1から増えて段々効果が得れるんですよね! ね?」
「うんうん! 能力が身についたり、基礎代謝が良くなったり、脂肪の燃焼とか〜良いよね!」
「ダイエット必要無いじゃーん」
そんなにソウルにがめついのか。あと後半能力じゃなくて健康度が高くなってない?
「能力ってどんな」
「息切れしにくくなるとか、足が早くなるとか。物理的欠損とか減りますねー。コケてもカサブタとかできずに自然治癒ですよ! ヒーラーいりませんよね! だからソウルくれないんですね、あはは!」
青いローブの極限的自虐ネタを笑う事は、俺と白いローブの人も出来なかった。
「攻撃的な面では?」
「人の体質に沿った攻撃法が備わるらしいですが、あんまり分かってません」
「とある古代騎士がこんな名セリフを残したので相当だとは思います。『プレートからかもし出す圧倒的なエネルギー量がオーラとして見えそうになる』とありますし」
どうせ生半可に使えないホーリだろ。
「分かった、所で寝たりとかしたいんだが」
「ここでいいですよ」
「絶対に嫌だから宿に行かせてもらう」
「ついて行くので宿代はあなたが持って下さいね」
「は?」
おかしいだろこいつら。仕方なくアンジュを背負ってドアに手をかける。
「女の子と寝れるなんて幸せじゃないですか」
「お前らは月の裏みたいだしな、月に傷がつくから来んな」
「そ、そんなわけ!」
文学があるのかな。俺は無視して店を後にした。道が分からなかったのでその辺の人に聞いて向かう。
街を照らす光は街頭よりも月光。月がデカいと光も並じゃない、小さな月はここで拝めるのだろうか。
夜でも賑わう広場を抜け、横切った建物で足を止める。微かに良い匂いがした。
ここが宿屋か。
俺は速攻で中に入った。
「宿屋でーす、まあわかると思うねー」
軽いお姉さんだ、ツインテールより胸に視線が行き、ロリ巨乳を考えさせる。
「2人だけど泊まらせてくれないか?」
「はーい、一夜80セックでーす。この部屋どーぞー食事は自由に食堂をりょーしてくださいー」
一応、りょーは利用と言っているらしい。
「分かった、ありがとう」
「店としてとーぜんっのことをしただけー」
「癖でな」
その巨乳だけに礼を言う価値がある。
番号札の着いた鍵を受け取り、書かれた部屋に向かう。
鍵は恐ろしいほど簡素な物で丸い部分に1本の棒が生えており、その棒の真ん中辺りに小さな棒が。
部屋に着いた時は閉まっていた説明を受けている。鍵穴は上下凹んでおり、棒が横に尖っていることを配慮して穴も変えたのだろう。
丁寧に鍵穴には。
『鍵が閉まってる時は突起を上にして差し込んで右回りに回す! 鍵が空いてる時は突起を下にして右回りに!』
と書かれていた。
ドアノブは閉まった時が赤。閉まってない時は青らしい。
アンジュなら強引に回して壊しそうだなーと思いながら鍵を開けてベッドに横たわらせた。
俺はもちろん風呂に入らせてもらう。風呂場の中は大きな樽が1つだけだった。小さいのは沢山ある。
どうやって入るんだこれは……。
俺は本能的に落ち込んだが、隣に色が違う便があった。両手に取って眺めてみる。
『マグマポーション』
『アクアポーション』
マグマポーションは赤く、アクアポーションは薄い空色だ。沢山出すと危ないのかシャンプーの様なノズルが付いている。
アクアポーションとマグマポーションを桶にワンプッシュして動向を伺う。
たった一滴の水が一気に増殖し、湯気を昇らせる湯船が完成してしまう。ポーションはまだ6種類くらいあった。
「すげぇ……」
あまりにもお手軽な湯船に本音と笑みが零れてしまう。
他のポーションも手に取ってみる。さっきのポーションみたいに名前が貼られていた。
『フローラルポーション』
『ボカロポーション』
『シャンプーPファーストエレキ』
『リンスPクロニクル』
『コンディショナーPセカンドグレイブ』
『トリートメントPキューティクルエンハンス』
『洗顔ポーション』
7個だったけど髪の毛に対してこだわり強過ぎだろ。それぞれカラフルな色だからいいけどさ。
シャンプーはちゃんと泡立つ。リンスもその他もまんまだった。リンス系を落とすのに小さな桶からお湯を組むのを繰り返したからもう二度トリートメントまでしない。
洗顔だけまともにしようと思ったレベルで気持ちいい。シュワシュワって音しないけどしてるような、プチプチ感があった。
半分まで減ったお湯を増やす為にアクアポーションを垂らす。増えたせいで冷たくなった湯船に赤い方も足しておいた。
そして、青緑のポーションを手に取る。そう『ボカロポーション』である。
一滴垂らしてからゆっくり足を中に入れていく。入る頃には効果が現れていた。
水が青くなり、ふつふつ現れる泡が妙にピンク色になる。水の中は電気風呂に入ってる様なビリビリっとした感覚に襲われる。
でも全身が常にビリビリしてるからまた違う。炭酸か?
俺は電子的な歌姫が何か歌うのかなと思ったが、湯船の中で歌っているから聞こえない。そう思っておこう。
「あー幸せだわ……」
かなり長い1日のあとに入る風呂はレベルが違う。そういえば、鏡を覗いてみないとな。
肩まで使った後、聞き慣れた声が聞こえて来る。
『あ、あんた達誰……って普通のヒーラー狂信者かー。シンク? 多分あっちにいると思うけど……なんで来たの?』
嘘だろ? 俺を売るのかアンジュ!
――ドタバタという足音が聞こえて湯船に全身を沈めた。