最強の勇者はポーション中毒者   作:ec

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ボツにした話です。あまりにもおかしい展開だなあと。

どこからの話かわかりません。

ここから先は王女の秘密1〜3で24話が展開される事はありません、あしからず。


王女の秘密1(没話)

 

「どうぞ」

 

 入ってきた人は受付をしていた人だ。

 

「王女ってどうされたんですか?」

 

 俺の代わりにクロスが聞いてくれる。

 

「長年の謎が解けられましたー! 大きく分けて王女は部屋に居るのかー居ないかー説の!」

 

「どうなったんです?」

 

 冷凍冬眠説か家出説だな。

 

「それがですね。己の魔力で冬眠している説他、部屋に居た可能性は完全になくなりました」

 

 話によると。

 

 とても娘を気にしていた王様が『絶対に開けるな、開けたらパパにマグマポーション掛ける』というとんでもない呪いの言葉の後、引き篭ってしまい、長らく生存確認されることは無かった。

 

 が。

 

 あまりにも不審な食生活を疑って突入したのだ。

 

 中はもぬけの殻、大量の衣服や家具、全てをそのままに王女だけが居ない状況。

 

 怪盗に拐われた説は窓に括りつけられた飛び降り用鎖ロープによって否定された。

 

 この部屋に元々あった鎖を改造して窓から消えた説……が高いらしい。時間が立ちすぎて鎖は錆びて根元しか残ってなかった事から時間の経過は否めない。

 

 なにより、その居なかった事を知ったのは鎖が朽ちるほど。パパが病んでたからと言って判明が遅れたのは理由があるようだ。

 

 一つ、王女のお披露目をしていない。名前は公開されているにしても、一切表舞台に出なかった彼女を知っている人は限られている。

 

 街で偶然遭遇して保護……なんて確率的に有り得ない。

 

 二つ、パパが臆病。そのまんまである。

 

 三つ、王女だとバレてなかった事で王女は衣食住を得てしまい、目立たなくなった。

 

 持ち前の貴族的な才能を生かしてギルド職員になったという可能性が一番支持されている。貴族的な才能は分からないが、何らかの方法で仕事を得れていた事は明らかだった。

 

 しかもギルド職員は不正をしようと思えば名前をイジれる特権がある。

 

「顔の方はどうなんですか? 流石に公開でしょうか?」

 

 クロスの一言で俺の思考は現実に戻された。危ない、話に耳を傾けすぎていたようだ。

 

「それがー、公開されないんですよー、娘の事心配してるのかー疑問です」

 

 まだ驚いているのか受付さんの伸ばし口調がバラけている。

 

 だが、俺はギルド職員のアイツがここで寝ている事を知っている。

 

「ですね、いい情報ありがとうございます」

 

「新聞を兼ねてますのでー」

 

 ドアの鍵を閉めて立ち去った事を確認すると、アンジュのプレートを奪う。頑なに俺に見せなかった名前が今、俺とヒーラーの前でお披露目になる。

 

 どれがファーストネームかわからないな。これセカンド? 三つとかやめてくれよ、真ん中はミドルネームか?

 

 アンジュなんて名前はもじった嘘っぱちじゃねえか。

 

 まあいいか。まずは目の前の疑問を解決しよう。

 

「俺は初めてこいつのプレートを見た。アンジュではない」

 

「「え?」」

 

「言っとくが王女の名前も知らない。俺はプレートの名前を言うから2人は王女な」

 

「わかったよ童貞」

 

 息を整え、手を上げる。

 

「行くぞ」

 

 下ろして魔法のように言葉を唱える。

 

『『アンジェリー・ペンデュラム』』

 

「アンジェリー・ローグ・ペンデュラム」

 

 噛み合わさる言葉、合わない言葉。綺麗に分かれた名前。

 

「……ッ!!」

 

 俺達はただ戦慄していた。目の前でのんびり寝ている女が王女だということに。

 

 回復を施したヒーラーなんてよっぽどだろう。

「ん……ぁあ、死ぬ……たすかった」

 

 寝惚けながら死にかけてるのか。

 

「いつもたすけてくらる……」

 

 残念ながら舌も寝ぼけていて何を言ってるのかわからなかった。

 

「どうする? 城に返却するか? 俺はそれに反対だが」

 

「でもばれたら死ぬわ、それ分かってる?」

 

「死ぬ時は一緒だからな。そもそも一人だったし。そんな事より聞きたいことがある」

 

「何よ」

 

 王女はお披露目されることはないと言っていた。だが、アンジュをベッドで挟み込む話になった時、2人は確かに『アンジェリー』と言っていた。

 

「お前ら、アンジェリーを見た事あるだろ? 見た事ないなら喋ったことも無いくせにアンジュを間違えてアンジェリー呼ばわりするのはおかしいからな」

 

「見た事ない」

「あります」

 

「バカっ、クロス!?」

 

「シンクさんに隠しても無駄じゃないですか。仮にも王女のそばに居た人です、またぼろは出ますよ」

 

 王女を見ることは犯罪だと聞いたことがある。取り締まりなどは無く、暗に禁止されている程度らしいが。

 

「どうやって見たんだ? 相当警備がきついんじゃないか」

 

「直接あったこともありません。ただ、部屋に閉じこもる前にライトさんに誘われて私達だけの絶景を見に行きました。題して王女を見れるポイント」

 

「そのまんまじゃねえか」

 

 

 

 辺りを光る虫が囲む中、私は親友の少女に連れられて人がいない草原に来てしまっていた。

 

 魔物はスライムしか出ないと言っても粘液の射出は危なかった。

 

「ねえねえ、これおじさんから貰ったんだ!」

 

 ライトちゃんが見せてくれたのは、長い筒。中にレンズと呼ばれる板を組み込み遠い所を見る為に作られた物。

 

 魔道エネルギーを使えばさらに見える距離を強化できるらしい。なにも知らなかった私は遠くが見えることにワクワクしていた。

 

「遠くが見えるね! いいなあ〜」

 

「でも、気づいちゃったんだ。ここからお姫様の部屋が見えるよね!」

 

「確かに……」

 

「この魔道スコープの魔力を使って……姫様の部屋を見てみて!」

 

 私は言われるがままに重たいスコープを覗きながら、城からゆっくり部屋を辿る。そこには下着姿のお姫様がキリッとした瞳で横を向いていた。まるで誰かと喋っているようで。

 

 銀の様な白い髪が辛うじてわかる。瞳の色は残念ながらわからなかった。

 

「毎日見ようね、約束だよクロス!」

 

「うん!」

 

 抱きしめられて必死に強く抱き返す。その日から私達の小さな観察が始まった。

 

 

 数日、数ヶ月、数年はキリッとしたお姫様しか見えず、変化は無かった。時折ドレスの色が変わったり、誰かと喋っている程度。

 

 変化は突然現れた。

 

「クロス、変だと思わない?」

 

「そうかな?」

 

 毎日続けた時間は過ぎ、私達は年相応の思考を持っていた。この辺りからお姫様を王女と呼び出していた。

 

「うん、見てみて」

 

「ライトが変だっていうんだし本当なのかも」

 

「それどういう事ー?」

 

 ライトは鈍感だった。

 

 魔道スコープは進化し、覗く様の台も置かれ中身も倍率が進化していた。外だけは前と変わらない泥にまみれた様な見た目だけど、中身は最新鋭。

 

「ほんとだ」

 

 倍率が上がった魔道スコープは赤い瞳と髪色、ドレスのリボンですらはっきり見える。しかし、今回はおかしかった。

 

 髪型が可愛いサイドテールからポニーテールに変わったのだ。髪をまとめているゴムすら色が違う。

 

「ね? ドレスの裾が赤いよね?」

 

「……バカっ」

 

「え?」

 

「今日はサイドテールじゃなくてポニーテールじゃん。ゴムの色も」

 

「おー確かに」

 

 ――ただの気まぐれ。そう思っていた。

 

 しかし。

 

 そのサイドテールは私達の魔道スコープが壊れるまで二度と見る事は無かった。

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