最強の勇者はポーション中毒者   作:ec

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王女の秘密2(没話)

 

 来る日も来る日もサイドテールは無い。

 

「今日もサイドテールなかったね」

 

「なんだか王女が変だよ」

 

「変?」

 

 今日もライトは鈍感すぎて、昨日の男の告白を決闘だと思い込んでヒーラーなのに挑もうとしていた。口調が極端に変わったのは決闘の後だったかもしれない

 

「サイドテールからボニーテールに変わってから瞳が優しく感じたんだよ、誰かと喋る所を見る事も無くなっちゃった」

 

「喋ってる事聞き取るために魔道集音マイク付けたのにー。座って首を傾げてる所が多い」

 

 この黒い物体はマイクだったらしい。

 

 出そうと思えばフツフツと違和感が浮き上がってくる。彼女のサイドテールにこだわっていたのかもしれない。

 

 それから変化は無く、ある日突然部屋の窓にカーテンが掛かり始めた、重なったように魔道スコープも壊れてしまった。

 

 彼女が見た目を変えたおかげで私達の会話に華を彩ったのも確かだった。終わった今でも昔の話をしてしまうほど。

 

 

 

 

 

 

 話を聞いた俺はストーカーという事で纏まっていた。

 

「という訳なんですが、どうでしょう」

 

「何が?」

 

「アンジュさんにサイドテールからポニーテールへと変えた原因を聞いてもいいですか?」

 

「……優しく聞いた方がいいかもな」

 

 俺も気になるしな。

 

 だが、確信に迫って何がある? 知られたと知ったらアンジュ自体が勝手な事をしてしまうかもしれない。

 

「いや、俺が聞くからライトは玄関で待っててくれないか? 逃げ出そうとしたら全力で捕まえてくれ」

 

「カレカノですもんね」

 

「そういうことでいいよ、もう」

 

 ライトは童貞だから私を外に…とか言っていたが気にしない。

 

 クロスはその場に居ないようで居るという最強の警備を敷いている。

 

「おーい、アンジュ。起きろよ」

 

 揺さぶっても起きない。仕方ない、飯で誘う作戦だ!

 

「今日の日替わりは焼き魚定食だってよ」

 

「マジ?」

 

「嘘だろ? 大マジだけどな」

 

 飯に釣られるなんて……。

 

「なあ、大切な話をしよう」

 

「大切? おんぶは減らすし」

 

「違う」

 

 逃げられない用に、アンジュのポニーテールを解く。輪ゴムをアンジュに返して一言。

 

「サイドテールを作ってくれないか?」

 

「……良いよ」

 

 考え込んだ結果の選択に見えた。

 

 結われるサイドテール、銀色の束が光を跳ね返す。俺の前で結ってるとは思えない手際で出来上がったサイドテールはそれはもう見事だった。

 

「すげ……」

 

 クロスも固唾を飲んで目に焼き付けていた。

 

「で、どうしたの?」

 

 今度こそ逃がさないようにアンジュの肩を掴む。

 

「俺はお前が誰だろうとこの世界生まれじゃないから関係ない。信用しようと勝手だがな」

 

「改まって何よ……ギルドの恨み?」

 

『お前は王女だろ』

 

「違う」

 

 風よりも早い即答。

 

「アンジェリー・ペンデュラムか?」

「違う」

 

 微かに震えた一言。

 

『アンジェリー・ローグ・ペンデュラム』

 

「プレートの事、でしょ? あは、名前嘘ついてたんだよね」

 

「じゃあ俺はお前しか知らない秘密を言ってやる」

 

 クロスはサイドテールからポニーテールになった瞬間変化があったと言っていた。その変化が勘違いでなければ、双子説がある。

 

 アイドル育成ゲームに双子キャラが居たんだけど、髪型で差をつけていたからそんな気がしただけだな。

 

 じゃあそのもう一人はどこか? 消えたか死んだか何らかの理由で部屋から消えた。

 

 だって変わった前提で行くなら何らかの理由でその部屋に居ないんだろ。居なかったら問題だからおまけに生まれてたもう一人を投げ込めばいい。

 

 でもそれなら気持ち悪いストーカーがいる前提になる。居るとは思ってないのに、なんで外向きの理由で別の子をその部屋に住ませたのか。

 

 住ませなくても良いレベル。というか顔を公開してないんだしぶっちゃけ雇った奴でいいと思う。なのに双子かめっちゃ似た奴を同じ部屋にすませたんだ。

 

 なんかおかしいよな。そして、最初の王女がサイドテール、次はポニーテール。

 

 こいつは?

 

 ポニーテール。偶然にも偶然が合わさって後者。

 

 双子か雇いなら居なくなった王女の代わりに部屋に住んだ。アンジュと前の王女は銀髪、目が赤なのは分かる。

 

「おいクロス! サイドテールのアンジェリーの目は覚えているか?」

 

「赤くて全てを見透かしそうな真珠のようでした……」

 

 結構いい線言ってると思うんだけどな。

 

「だってよ、アンジュ」

 

「だから?」

 

「俺は、お前を離さない」

 

 もし俺がお前のパパなら絶対にしないな。でも、パパはマグマポーションを掛けられる事を恐れるくらい娘に勝てなくて優しいパパ。王女が居なくなったからって別の子を王女に仕立てあげて部屋に住まわせるだろうか。

 

『お前はアンジェリーの代わりだろ? 違うか』

 

「代わり……」

 

 明らかに代わりという言葉に反応を示していた。

 

 あぁ、なんで俺は知らなくてもいい事実を追い求めているんだ? ヒーラーに首を突っ込んだからか?

 

「違う、私は……」

 

「あぁ、違うだろうな。どうでもいいわ」

 

「え……」

 

 俺は冷静になって考えた。こんな所で真実を掘り起こしてアンジュが何らかの原因で死んだらそれこそダメだ。

 

 名前の時点でもうバレたようなもんなのに認めないし、王女なのは理解した。もしかしたら本物の王女がバレそうになったら何らかのトラップが働くとかな。

 

 考えるだけで怖い。

 

 だが、頑なに見せなかったプレートから見て本能的にバレるのは避けてて、実は王女なんだって分かってるはず。

 

 この辺は曖昧すぎるんだが。

 それだけを教えよう。こいつは王女で本物なのは事実なんだし。

 

「どうでもいいって酷いじゃん……」

 

「悪かったな。それより、お前は王女だろ? 本物のな」

 

「……違う」

 

 本物じゃないから否定しているのか全然分からない答えだ。

 

「姉妹とか居るのか?」

 

「……居た。お姉ちゃんが居たよ」

 

「クロス、聞いたか」

 

「はい」

 

 聞き方を変えたら出てくるんだな。

 

「そのお姉ちゃんってなんて名前? アンジュ可愛いから会ってみたいんだよな」

 

「可愛いなんて……アンジェリー・ペンデュラムだよ」

 

「おいおい、クロス聞いたか? 俺が言いたいことは一つだ」

 

「分かってますよ」

 

 アンジュはやっぱアンジュだな。褒められると強くなる。

 

『アンジュを褒めまくれ。真実を聞くぞ、ライトも呼んでくれ』

 

 

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