最強の勇者はポーション中毒者   作:ec

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王女の秘密3(没話)

 俺達は暗い雰囲気をかなぐり捨てて、アンジュを褒めちぎっていた。

 

「アンジュ可愛い!」

 

「胸もスマート〜」

 

「身長も高いのは高得点だな、所でお前のお姉ちゃんはどうなった?」

 

「えへへ……ってもう褒めなくていいよもう」

 

「「え?」」

 

 俺達は口を揃えてアンジュを見つめた。

 

「どういう事だ?」

 

「可愛いって言ってくれたから……なにかつっかえが取れたの」

 

「ちょっと何言ってるのかわからないな、俺には」

 

「代わりだって言われて気づいた瞬間に頭痛くなって……何かを封じ込められた気がしたんだよ」

 

 その瞬間一気に気がだるくなったんだと。人間が壮絶な過去を経験してその記憶に蓋をするってのは良くあるからな。

 

 その怠さを解放したのが可愛いって一言。俺は何をしていたのか理解できない。

 

「……アンジュ、もう質問には答えれるな?」

 

「うん、余裕だよ私が王女かって事でしょ?」

 

「いや、もうどうでもいいわ。ほぼ分かってたしな」

 

 クロスもこくこく頷いている。

 

「えぇ!? そんなあ……」

 

 なんでアンジュが落ち込むのか。

 

「終わりがきもちわるー、一つだけ話させて。お姉ちゃんの話なんだけど」

 

「サイドテールか?」

 

「うん。これだけ頭が痛くなっても残ってたんだ」

 

 アンジュのお姉ちゃんの名前はアンジェリー・ペンデュラム。ペンデュラム家の王女で、アンジュの姉だが誕生した時間はそんなに違いが無いらしく、双子らしい。

 

 物心がついた時には、もうアンジェリーお姉ちゃんは居なくなっていた。いや、みんなから消えてしまったような。

 

「おかしいなって思うんだよね、パパはお姉ちゃんを王女にしたのに突然『アンジェリー、君は王女なんだぞ。速く部屋に戻りなさい』って言ったの、案内してくれた部屋もお姉ちゃんの部屋だった」

 

 

 

 

 私は気味悪さを感じていた。朝起きてからお姉ちゃんが居なくて部屋にも居ない。

 

 城をふらふら歩いていると、兵士達がいつもはしてこない私への敬礼をしてくるし。

 

「けいれい! ありがとう!」

 

 私も応えるようにビシッと右手を手刀にしておでこに当てる。

 

「はっ、アンジェリー様は可愛いです」

 

「あんじぇりーお姉ちゃん?」

 

「いえ、貴方ですよ」

 

 訳がわからなくなり、いつもの食堂に向かうとパパが居た。

 

「ここに居たのかアンジェリー!」

 

「お姉ちゃん! 何処ー?」

 

 必死に遊んでもらったお姉ちゃんを探す。でも、どこにも居ない。

 

「何を言っておる、アンジェリーはお前だけだぞ?」

 

「私はアンジェリーじゃないもん!」

 

 私はそもそも名前すらつけられていなかった。余った子のようにただ、居るだけ。

 

「アンジェリーだ、アンジェリー・ペンデュラムだぞ?」

 

「……」

 

 記憶の咀嚼が合わない。

 

 遊んでくれたお姉ちゃんは居なかったの?

 

 綺麗なお姉ちゃんは居なかったの?

 

 私は必死にお姉ちゃんの足跡を探したいと思っていた。多分みんながおかしいの。

 

 長い年月が経ったあと、簡単な脱出用の物が完成する。

 

「そうだ、街に出よう」

 

 

 

 

 

 

『旅行感覚で脱走すんな』

 

 俺の推理が割とハマった感じだ。パパは記憶を消されただけで悪気は無かった。アンジュは魔法耐性が高過ぎて弾いてしまったのだろう、記憶改変を。

 

 だが、誰が記憶を消したか。俺はアンジェリー・ペンデュラム、お姉ちゃんだと思っている。一人だけ消えているのなら可能性は高い。

 

「急に話す気になったのはなんでだ?」

 

「よく考えたら、私達って1日くらいだし喋ってもいいかなって」

 

「そりゃそうだろうな」

 

 代わりの前は覚えていてかたくなに隠してたんだし。

 

「でも、秘密知ったんだし私の事ちゃんと目を見て言える……?」

 

『そんな事より、俺は速くドラゴンを倒してアンジュと別れたいんだが』

 

「無視!? しかもドラゴンはまだ倒せないよね! 別れとか恨むから……」

 

「お熱いですねー」

 

 まだ冒険は始まったばかりだ。やっぱ人の秘密からは面倒な物しか出てこないと気づいた。

 

 話させろってくらいの時だろうな。引き受けるべきなのは。

 

 俺達は仕方なくメイドギルドに足を運ぶ事にした。俺が選んだのは理由がある。

 

『居らっしゃいませー、ごしゅじんさまー! ……これでいい?』

 

「メイド服着てるのに口調が戻ってるぞ」

 

「変わったメイドだねー、殴って来そうだわ」

 

 ライトの言う通り。

 

「当然、殴るんじゃなくて拘束っていう姑息な手段だったけどな。してくるぞマジで」

 

「腕を切り潰しますよ殺主人様……」

 

「痛いからやめてくんない? とりあえずそのトカゲ頼む」

 

「わかり、ました……ァア!」

 

「腕が!」

 

 ヒリヒリする腕に回復魔法をかけてもらいながら、本題を切り出す。

 

「アンジュ、俺の出来そうなジョブは?」

 

「とうとうジョブを知ったんですねー、シンクも」

 

「教えろや」

 

 クロスが居なかったら理解することも無かっただろう。

 

「こちらになります」

 

 チート持ちとだけあって称号のようなジョブがずらりと並んでいた。

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