造られた英雄   作:シーボーギウム

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どういうことなの(困惑)



ものすごーい軽い気持ちで投稿したらかつて無い程の高評価を頂いてしまい、戦々恐々としている花弁です。
一話で、今まで書いてきた作品でお気に入り登録数が一番多い物を軽く超えるという異常事態。
エルキドゥか?エルキドゥパワーなのか?
神造兵器は流石に違ぇな。
迂闊に適当な話投稿できねぇと、急ピッチでストーリー考えてきたよ。
一週間事に投稿とか多分無理なんで、お許しを、一話と今話は筆が物凄いのったんだ。


気を取り直し、2話です。




光の花、闇の衝突

 

 

 

『リプレイ』という個性がある。

自身が立っている場所を中心に10m圏内で起こった直近3時間以内の事柄を立体映像(ホログラム)よろしく”リプレイ”する個性だ。

そんな個性を持った新人警察官である逆巻 戻梨(さかまき もどり)は、とある事件現場に来ていた。

 

「えと、ここで個性を使えばいいんですか?」

「えぇ、お願いします」

 

逆巻は18禁ヒーロー、ミッドナイトに頼まれて個性を使用する。

周りにはミッドナイトだけでなく、13号、ブラドキング、スナイプ、セメントス、エクトプラズム、リカバリガールと、有名所のヒーローが大挙していた。

ついでにネズミのような犬のような謎の生物もいた。

遠い存在と思っていたヒーロー達がいる事に緊張しながら逆巻は個性を発動させる。

すると目の前に、先程捕縛されたばかりの指名手配(ヴィラン)が映し出された。

(ヴィラン)とは別に映し出されたヒーロー達が、人質を取られているせいで尻込みする中で、突如現れた少年?が凄まじい身のこなしで(ヴィラン)を倒してしまった。

戦闘などした事の無い逆巻の目に見ても異常な映像に、プロであるヒーロー達はざわめく。

 

「あれは………子どもの動きじゃないぞ………!!」

『プロヒーローでも、あれ程の動きが出来る人間は相当限られますね………』

 

驚愕を示すブラドキングに、マスクで僅かに声がくぐもっている13号が応える。

 

「根津、あんたアレをどう思うね?」

「強力な個性は、強力だからこそ訓練しないと使いこなすのが難しいからね。あの歳で、しかも記憶を失った状態であれ程の使いこなし方は異常と言って差し支えないね……」

 

リカバリーガールの問いかけにネズミっぽい謎の生物が答えた。

1分にも満たない時間の戦闘だけで、あの少年?はこれだけのプロヒーロー達を戦慄させている。

ヒーロー達が自由に議論を交わす中、ヒーロー達を集めた張本人であるミッドナイトが、パンッ、と手を叩き、場に静寂を作り出した。

 

「取り敢えず、私は1度あの子を警察に連れて行って、行方不明届けとの照らし合わせをしてきます。その後改めて、あの子の処遇に付いて話し合いたいので、私の事務所に来ていただきたいのですけど………」

「いいや、雄英(うち)の会議室を使った方がいいね!警察署からも近いからね!」

「そうですか……ありがとうございます根津校長」

「気にする必要はないサ!」

 

スーツ姿のミッドナイトは、少年?とサイドキックが乗っている車に乗り、警察署に向かう。

それを見届けてから、その場にいたヒーロー達は各々の仕事を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅れてすいません!」

 

雄英の会議室に、ミッドナイトが慌てた様子で入ってきた。

 

「謝る必要はないよ。取り敢えずそこに座んな」

「ありがとうございます、リカバリガール」

 

感謝の言葉を述べながらミッドナイトはリカバリガールに示された席に座る。

根津校長はミッドナイトが乱れた服装を整えたのを見てから話を始めた。

 

「まずはもう一度、先程の映像を確認するのサ!」

 

根津校長は手元のリモコンを操作する。

すると彼の背後のスクリーンに、先程逆巻によってリプレイされた映像が映し出された。

数秒だけの映像が終わってから、再び根津校長が口を開いた。

 

「ここで問題としているのは、あの少年の戦闘能力そのものじゃないね。問題なのは誰があの少年にあれ程の戦闘能力を授けたか、なのサ」

 

根津校長が声色を落として言う。

それと同時に、会議室の空気が一段階引き締まった。

 

「あの動きは、訓練無しではほぼ100%不可能だね。しかし、記憶を失ったあの少年はなぜあれ程に強いか……」

「可能性としては2つさね。単にあの子がそれ程の天才だった。あるいは………」

「そうなるべくして、訓練された………」

 

誰かがそうつぶやいた。

重苦しい雰囲気が漂う。

数秒間の沈黙を破ったのは、やはり根津校長だった。

普段から微笑みを絶やさないその顔は、珍しく真顔になっている。

 

「前者の可能性は限りなく低いね。いくら天才でも、あの歳で、しかも何もしていないという条件はありえない」

「そうなると、訓練されたという説が濃厚だろうね。加えて、その訓練した人間は碌でもないのである事もほぼ確実だろうね」

 

リカバリガールの言葉に、何人かが眉をひそめた。

ここに集まる人間は、1人残らず善人だ。

その善性に大小はあろうが、子どもにそういった戦いの訓練を強いた人間がいる、というのは不快極まりなかったのだろう。

 

「ミッドナイト、あの子の個性は分かったのか?」

「いいえ、戸籍が存在しなかったから。ただ、私が今日見た感じだと、身体能力の強化と探知系の力が見受けられたわ」

「探知系?」

「今日の事件直前に、近くの交差点で信号待ちしてた時に、丁度宝石店の方を向いて、しかもかなり細かく距離まで言って「(ヴィラン)がいる」って、その直後に爆発が起きたのよ……」

「五感の強化も入った感じか?」

「それなら説明は付きますけど………」

 

ヒーロー達は各々予想を述べていく。

如何せん、分からない事が多過ぎて、いつまでも結論はでない。

やがて全員が沈黙した所で、根津校長が口を開いた。

 

「兎も角、このまま彼を、何も考えずに孤児院に連れて行くのは危険だと判断したのサ」

 

根津校長の言葉に、その場にいた者全員が頷く。

迂闊に孤児院などに入れようものなら、あの少年?に戦いを強いた者に回収(・・)されかねない。

ヒーロー達は少年?に平和を届ける為の議論を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣の会議室で、ヒーロー達が議論を交わす中で、客室に通された少年?はオレンジジュースを啜っていた。

因みに5杯目である。

 

「あ、あのう、飲み過ぎじゃ、ない、かな………?」

 

ミッドナイトのサイドキック、スパンコール(女性だったらしい)が少年?にそう言うと、少年?はスパンコールの事を見つめながらパチクリと瞬きをする。

スパンコールは、何これ可愛い、等と思考が別方向に吹っ飛ぶのを必死で防ぎながら少年?を見つめ返した。

 

「ダメ?」

「ううん!ダメじゃないよ!!何杯でもおかわりしてね!!」

 

コテンッ、と首を傾げる姿にスパンコールはやられてしまったようだ。

幸せそうな笑顔で、少年?がジュースを飲む姿を眺めている。

しかし当の少年?は、

 

(スキルに紅顔の美少年とか追加されてそうだなぁ……)

 

そんな事を考えていた。

つまり確信犯である。

少年?は、ズゴゴゴゴ、とオレンジジュースを飲み干し、空になったコップをスパンコールに渡した。

数秒で再びオレンジジュースが並々と注がれたコップを渡される。

6杯目のそれを啜りながら、少年?は自分の事について考えていた。

 

(今現在分かっているのは、自分を中心に数km圏内の気配をかなり細かく感じ取れる事。身体能力が異様に高い事。地面や壁から自在に武器を創り出せる事。自身の肉体を輝く武器に変形出来る事)

 

少年?は自分が出来る事を頭の中でまとめていく。

 

(感覚的に、恐らくこの他にも出来る事は無数にある。以上の事から考えて、僕は……)

 

 

 

 

 

 

 

「エルキドゥ………」

「うん?どうしたの?」

 

思わずつぶやいた名に、スパンコールが反応した。

少年?はなんでもないと伝え、再びオレンジジュースを啜る。

少年?がつぶやいた名、エルキドゥは世界最古の英雄、ギルガメッシュの唯一にして無二の友人の名だ。

神の意志に背き続けるギルガメッシュを押さえつける為、泥から生み出された”意思を持つ宝具”。

天の楔と称されるギルガメッシュと対を成す”天の鎖”。

神獣グガランナとの激闘の末に死んだ、紛れもない英雄(・・)だ。

少年?がその名をつぶやいた理由は、少年?自身のあらゆる要素が、その英雄に酷似しているからだ。

 

(恐らく、僕はFateシリーズでのエルキドゥの力を持って生まれた誰か(・・)。エルキドゥそのものではないようだけど、一人称の変化に違和感も持たなかった事からして、性格とかも本物に寄っているのかな……)

 

少年?は自身について考え続ける。

何故このような事態に陥っているのか、自分は元々誰だったのか、Fateシリーズのキャラクターの力を持つ自分が何故、全く別の世界である筈の『僕のヒーローアカデミア』にいるのか。

気になる事は多いが、それらは今考えても答えは出ない。

故に少年?は自身の()を考える。

しかし、少年?の思考は、扉がノックされると共に中断された。

扉が開かれると、ミッドナイトが入ってきた。

扉の向こうには他のヒーロー達もいた。

 

「少し出てくれる?」

「わかりました」

 

スパンコールが部屋から出て行く。

ミッドナイトは少年?と二人きりになった所で、少年?の目の前にしゃがみ込んだ。

 

「待たせてごめんね」

「ううん、気にしなくていいよ」

 

少年?がそう言うと、ミッドナイトは、ありがとう、と言って微笑んだ。

男ならば、まず間違いなく見惚れてしまうであろう微笑みも、少年?には効かなかった。

ミッドナイトは内心やりにくいなぁ、等と思いながら、会議室で行われた議論の結果を伝えようと、1度だけだが、大きく深呼吸をした。

 

「さっき、隣の部屋で貴方の今後の事について話してきたのだけど………」

「………」

「貴方をこのまま孤児院に連れて行くのは、正直危険なの。貴方はとても強いから、それを利用しようとする(ヴィラン)がやって来たりするかもしれない。ヒーローとして、私はそれは防ぎたい」

 

ミッドナイトは僅かに嘘を織り交ぜた内容を少年?に告げる。

少年?は無言で頷いている。

すると、ミッドナイトは覚悟を決めた表情に変わった。

少年?が何事かと思っていると………

 

「だから、貴方を私が養子にとる事になったわ」

「…………………………うん?」

 

少年?が本気で困惑した声を上げる。

何せ唐突に目の前の人間の子どもになるのだ、意味が分からない。

それまでずっと無表情だった少年?が混乱を顔に表すと、ミッドナイトは説明を始めた。

 

「話した結果なのだけどね………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前の会議室。

 

 

 

 

 

「あの少年を誰かの養子にするのはどうでしょうか?」

「養子?」

 

セメントスの意見にスナイプが疑問を呈した。

セメントスは1度頷いてから意見を述べる。

 

「養子になってもらって、私達ヒーローが直接守る事の出来る状況を作り出してしまえば、(ヴィラン)も迂闊に手は出せない筈ですし、身近に、家族としての存在がヒーローであれば、ヒーローへ憧れやすい(・・・・・)んじゃないかと」

「成程………」

 

セメントスの言葉に何人かが黙考する。

彼の意見はヒーロー陣営の強化という打算も入ってはいるが、有用な意見と言える。

しかし、実際に養子にとるとして、次に問題となるのは”誰が”養子にとるかだ。

ミッドナイトがそれを聞くと………

 

「ミッドナイト、あんたが適任じゃないかね?」

「へ?」

 

思わず、ミッドナイトは気の抜けた声を出してしまった。

そんなミッドナイトに、リカバリガールが続ける。

 

「養子にとるとしたら、とった人間に求められるのは、あの子を学校、先を見据えれば塾なんかに通わせてあげられる経済力、万が一(ヴィラン)に襲撃された時にそれを撃退できる戦闘力、の2つが必要さね」

「でも、その2つならここにいる人は皆当てはまるんじゃ………」

「まぁね、ただ何より重要なのはあんたが女だってことさね」

「それはどういう………?」

「想像してみな、家に帰って、厳つい男がいるのと、美人がいるの、どっちが安心出来る?」

「あー………何となくわかりました………」

 

その場にいるヒーロー達が納得したように頷く。

しかし、納得したからと言って、はいわかりましたと受ける事のできる話ではない。

ミッドナイトは僅かに俯きながら考える。

 

「僕もリカバリガールの意見に賛成サ。ミッドナイト、無理にとは言わないよ。でも引き受けてくれると嬉しいね。もちろん、サポートも欠かさないサ」

 

根津校長が言う。

会議室の人間の目は、沈黙するミッドナイトに集中していた。

物音1つ立つ事はない。

十数秒して、やはり早計だったか、と根津校長が未だ一言も発さないミッドナイトに声をかけようとした所で、

 

「わかりました、引き受けます」

 

凛とした声が、会議室に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という事なのだけど……」

「なるほど………」

 

ミッドナイトは(ほぼ)包み隠さず会議室での話の内容を少年?に伝えた。

話を聞いた少年?は俯き、考え込んでいる。

やがて顔を上げた少年?が発したのは、本当にいいのか、という言葉だった。

 

「まず間違いなく、貴女に迷惑をかけることになるし、そう簡単に決めていい事じゃないと思うんだけど………」

「確かに、生活も今まで通りにはいかないだろうし、苦労もするでしょうね」

「なら、」

「でも、簡単に決めたわけじゃないわ」

「どういう事………?」

 

少年?が申し訳なさそうに聞く。

相も変わらず子どもらしくない態度に、記憶を失う前は一体どんな生活を送っていたのか、とミッドナイトは不安感を募らせる。

しかし今は気にしても仕方がない。

少年?との話に集中する。

 

「貴方を、助けてあげたいと思ったから」

「―――――」

 

少年?が驚愕に目を見開く。

信じられないという表情だ。

しかし、信じられない、と思っているのは少年?(エルキドゥ)ではない。

少年?(エルキドゥ)になる前の誰か(少年?)だった。

誰か(少年?)には、誰かを助けたい、等と言う理由だけで、明らかな茨の道に身を投じる人間がいる事が信じられなかった。

この世界に、そういう人間がいる事は理解していたが、納得はしていなかった。

なぜなら、誰か(少年?)の記憶には、誰かを助けるという行為には何かしらの思惑が隠されている事が常だったからだ。

しかし、目の前にいるミッドナイトはどうだろう。

本心の目だ。

紛れもない本心からの言葉だった。

少年?(エルキドゥ)となり、鋭敏になった感覚を使うまでもない、文字通り見れば分かる本気だ。

そして誰か(少年?)の心には、ミッドナイトへの憧れ(・・)が生まれていた。

こんな生き方を出来たなら、どれほど素晴らしいだろう、と。

 

「大丈夫?」

「え?あ、うん。大丈夫」

 

無言で、自身を見つめ続ける視線をむず痒く感じ、ミッドナイトがたまらず少年?に声をかけると、少年?が我に返った。

 

「あの………」

「うん?」

「お願い、してもいいかな………?その、養子の件………」

「ええ、もちろん。これからよろしくね!」

「うん、こちらこそよろしく」

 

その時、少年?はこの世界で始めての笑みを零した。

花のように美しいその笑みを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ黒なスーツを着た、2m程の巨躯を持つ男は、暗い裏路地を、何かを探しながら歩いていた。

服の乱れ具合から、かなりの長時間歩いているようだったが、男は汗一つかいていなかった。

すると、男がおもむろに立ち止まった。

 

「………」

あの方(・・・)や我に一言も告げず、勝手に出て行くとは、どういう了見だ?小童」

 

唐突に、男の背後から女が現れた。

男は振り返ることなく返答する。

 

「あの男は、未来が読めるのだろう?ならば、何も伝えずとも、知っているだろう」

「そう言う事ではない!!」

「………」

 

激昴する女を、男は始めて一瞥する。

男の目に、今の世ではありえない、奇っ怪な格好の女が映った。

少しして、落ち着いた女が、未だ不機嫌そうではあるが、余裕のある口調で話を再開する。

 

「わかるからと、連絡を怠るなと、我は言っているのだ。貴様は我、ひいてはあの方(・・・)の配下なのだからな」

「………配下、か。まぁいい」

 

男はそのまま歩き出す。

女も、言いたい事は言ったのか、闇夜に消えていった。

 

「女狐め、忠誠心を(・・・・)植え付け(・・・・)られた(・・・)ことにすら気付けんとはな」

 

男は不快そうに眉をひそめる。

しかしすぐ無表情に戻ると、辺りを見渡しながら、歩を進める。

 

今度は、男が現れた。

 

「君が、アーチャーかい?」

「………なるほど、悪の親玉、等と言われるのも納得だな」

 

その邂逅が何を生むのか、それはまだ誰にもわからない。

 

 

 

 

 




エルキドゥ・リリィって良くね?
FGOで実装早よ!

はい。

今回エルキリィの可愛さ満点で送ろうとしましたがどうでしょう?
ショタともロリとも定まらないちっちゃい子に「ダメ?」とか言われたら悩殺ものだと思うわけよ。
というか、紅顔の美少年とか書いたけど、素で持ってても不思議ではない気がする。

そして話は変わりますが、
カスミの末裔様、冬夜2様、本郷様、幻想境界と禁書目録様、粉みかん様、評価ありがとうございました。
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