造られた英雄   作:シーボーギウム

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久しぶりです花弁です。
スーパー難産でした。ぐう申し訳ない。
更に言うとオリジナル要素少ない部分はダイジェスト気味になってるので駄文っぷりに磨きがかかってます。

ところで難産な中でオリ主物ととあるとのクロス物書いたりしたので良ければ読んでいただきたい(宣伝)

作品書く中で多機能フォームの存在を知り、段落を付ける方法を知ったので今までより読みやすくなってると思います。

改めて、遅れて申し訳ありませんでした。1話1話のスパンがこれからも長くなる可能性はありますが失踪するつもりは無いので長く待って頂けると幸いです。


測定、開戦

 入学式の数日前、エルと睡の家に、雄英の制服が届いた。

 男物と女物の両方が、

 

「………何故?」

「校長が気を使ってくれたのかしら……?」

 

 まぁ、試しに両方着てみたら?と睡に言われ、エルは着替え始めた。男装も女装も良くするエルは慣れた手つきて着替える。

 まず、男装。

 元々長い髪故に、髪型はどうしても女性的なものになってしまうが、ちゃんと男の格好をすれば存外男らしく見えるのである。

 

「どうかな?」

「ええ、似合ってるわよ」

 

(ほーんと、何でも似合うわねこの子………)

 

 若干姉バカが発動したが次に女装。

 女装になると、エルの髪型の自由度は跳ね上がる。まぁ元々女性の方が髪型の種類が多いので当たり前ではあるのだが。

 

「なんというか、普段はロングスカートばかりだからミニスカートは新鮮だね」

 「カメラ何処にあったかしら?」

 

 姉バカは置いておこう。

 取り敢えず私服に戻ったエルは、どちらを着るか悩んでいた。拘りの無さが裏目に出た形だ。

 

「うーん………」

「まぁ、私服と同じでその日の気分でいいんじゃない?」

「………そうだね、そうしよう」

 

 こうして、エルがクラスメイトを混乱させる事が確定した。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 入学式当日。

 男装のエルは、雄英高校の前にいた。周囲の目が集まっているが、エルにそれを気にしている様子は見受けられなかった。

 

「A組はっと………」

 

 多少迷いながら、エルは自分の教室に着いた。教室の扉の前では、ボサボサの髪の少年と、茶髪の少女が話していた。

 

「ごめん、通してくれるかな?」

「あ、す、すいません」

「ごめんねー」

「ううん、気にしてないよ」

 

 エルが教室に入ると、視線がエルに集中する。しかしエルはそれをやはり気にすること無く自身の席へ向かう。

 ふと教室を見回すと、耳たぶがイヤホンになっている少女がいた。エルはカバンを自分の席に置いてから少女に近づいた。

 

「試験ぶりだね」

「あ、あんた男だったの?」

「うーん………どちらとも言えないかな?」

「え?それってどういう……」

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け」

 

 決して大きくはない、しかしよく響く声で、そんな言葉が放たれた。声の発生源は、教室の入口付近だ。

 

「ここは、ヒーロー科だぞ」

 

 そこに居たのは、率直に言うと小汚い、寝袋に入った男だった。男はのっそりとした動きで寝袋から出ると、教卓に立った。

 

「はい、静かになるまで8秒かかりました。君達は合理性に欠けるね」

 

 なんだかよく聞く嫌味を気だるげに話す。生徒達は男の正体に検討が付かず、困惑するばかりだ。しかし次の男の発言でクラスの大半が度肝を抜かれる事なる。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

(((((担任!!?)))))

「早速で悪いが、これ着てグラウンドに出ろ」

 

 担任だと言う男の手にあったのは、雄英の体操服だった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「「「「個性把握テストォ!!!?」」」」

 

 グラウンドにて、今日会ったばかりの生徒の声が重なる。

 先程教室の入口に立っていた茶髪の少女が、入学式は!?ガイダンスは!?と最もな疑問を相澤に投げかけた。曰く、ヒーローを目指すならそんなもの出ている暇はない、との事だ。

 

「中学の頃からやってるだろ、"個性"禁止のスポーツテスト。爆豪、お前中学のソフトボール投げの記録なんだ?」

「67m」

「んじゃあ個性有りで投げてみろ。全力(・・)でな。円から出なきゃ何しても良い」

 

 目付きの悪い少年は相澤からボールを受け取り、円に入る。

 そして……

 

「死ねぇ!!!」

 

 およそヒーローを目指す人間のものではない掛け声と共にボールを投げた。個性によって爆風が乗せられたボールは凄まじい速度で飛んで行く。しばらくして、相澤が手元の端末をこちらに向け、記録を開示した。

 

「700m!?すげぇ!!」

「個性使っていいなんて面白そう!!」

 

 場が湧く中で、相澤の纏う雰囲気が変わった。何人かがそれに気付き、表情を引き締める。

 

「面白そう、か………これから3年、そんな心持ちで過ごすつもりなのか………?よし、」

 

 相澤は一呼吸置いてから、

 

「トータル成績最下位の者は、見込み無しとして除籍処分としよう」

「「「「はあああああ!?」」」」

 

 再び、生徒達の声が重なった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 最下位除籍というプレッシャーがかかり、周りの生徒が準備運動を進める中で、エルは何故か相澤に呼ばれていた。自分だけが呼ばれた事を疑問に思いつつ素直に相澤の元に向かうと、

 

「香山、お前は他の奴等の計測が終わってからにする」

「………何故?」

「お前はまず間違いなくトータル1位だ。しかもぶっちぎりでな。心が折れる奴がいるかもしれない。非合理極まりないが、校長からの命令だ。悪いな」

「………うん、僕は構わないよ」

 

 相澤の言葉に、エルは頷く。

 しかし、比較的小さな声だった相澤の言葉が聞こえたのか、反論する者が現れた。1人は爆発した様な髪型の少年と髪色が白と赤で半分に別れた少年だ。

 

「ふざけんな!!1位になんのはそこの長髪野郎じゃなくて俺だ!!」

「順位云々は兎も角、ぶっちぎりかどうかはやってみねぇと分からねぇだろ」

「はぁ………なら、気に入らない奴は計測終わったら残ってこいつの計測見ていけばいい。そんで納得すんだろ」

 

 相澤が言った通りそれで納得したのか、反論した2人は引き下がる。

 その後クラスメイトの計測が行われた。反論した2人は反論するだけあって記録は上位にあった。他に目立った事と言えば、相澤の除籍宣言が嘘だった事ぐらいだろう。先程のボサボサ髪の少年の反応が他よりも激しかった。

 

「これから香山の計測に移る。見たけりゃ残れ、だが、心が折れる可能性は考慮しておけ、そこは自己責任だ。因みに折れたと俺が判断したら、その時点で除籍だ」

 

 相澤が言うが、誰一人として立ち去る事はなかった。エルは少し驚き、相澤は僅かに目を細めた。全員、自分の能力に自身があるのだろう。

 

「………まぁいい、始めろ」

「うん」

 

 エルはボールを受け取り、円に入る。期待や敵意のこもった視線を無視して、集中する。

 

(能力の応用とかは考えないで普通にやるのが一番良さそうかな)

 

 1人思案するエルはそう結論付け、ボールを投げる体制に入る。次の瞬間、エルはボールを真っ直ぐ(・・・・)前方へ(・・・)投げた。凄まじい、爆風と言っても違和感のない豪風が吹き荒れる。しばらくして、相澤の持つ端末が記録を表示した。

 

『3467.75m』

「手が滑っちゃった………」

 

 生徒達は絶句していた。

 無重力(ゼログラビティ)という個性の持ち主が∞といえ記録を出しているため1位ではないが、それを除けばぶっちぎり、しかもあくまで真っ直ぐ投げた記録だ。しかしそんな生徒達を無視して、相澤とエルは次の計測に移っていった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 エルの最終的な記録は、

 

 50m走 0.07秒

 

 走り幅跳び 計測不能(空気を蹴っての移動によるもの)

 

 握力 計測不能(計測器が破損)

 

 反復横跳び 264回

 

 持久走 2.18秒

 

 長座体前屈 計測不能(鎖の制限がなかったため)

 

 上体起こし 146回

 

 となった。

 当然、総合1位だ。あまりにも圧倒的な記録に、誰もが一言も言葉を発せなかった。

 

(想像通りか………見た所心が折れた様子は無いが、さて………)

 

「す、すげぇ………!!」

「マジでぶっちぎりじゃねぇか………!!」

「凄まじいな………」

 

 誰かが呟いたのを皮切りに、静寂が破られた。驚いている者が大半だが、先程の2人を含める何人かはエルに敵意を含んだ視線を向けている。しかしそんな視線をエルはどこ吹く風、といった様子で髪の毛を弄っている。

 

「今日はもうさっさと帰れ、こんな所で時間を使っている暇は無いぞ」

「「「「はい!」」」」

 

 相澤の言葉に、生徒達が散る。とはいえ、教室に戻った瞬間エルが質問責めを受けたのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 翌日。

 

「なんで!!?」

「何が?」

「昨日男装だったじゃん!!」

 

 今日のエルは女装である。

 教室に入った瞬間、耳郎が意味がわからないといった感じの表情を向けたのは仕方ないだろう。しかも異様に似合っているのだから質が悪い。

 

「あぁ、そっか、昨日説明しそびれたんだっけ?」

「説明?」

「うん、簡単に言うと、僕は個性で男性にも女性にもなれるんだ」

 

 ガタッ!

 

 このクラスで一番背の低い少年、峰田が唐突に立ち上がった。何やら目が血走っており、危ない雰囲気が漂っている。

 

「香山ぁ!!男になれるなら男の気持ちも分かるよなぁ!!?だからp」

 

 それ以上峰田が言葉を発する事はなかった。具体的に言うと教室にいる女子の総攻撃を受け、悲鳴を上げる暇もなく気絶した。

 エルは何となく、彼の発言から何やら深い業を感じたが、それは無視する。

 

「香山」

「なに?」

「下着見せたりしたらダメだからね」

「え、なんで?」

「なんで!!?」

 

 英雄エルキドゥは、とある聖娼と三日三晩交わる事によって獣そのものな姿から人の姿へと変わったという。故にエルはそこら辺の貞操観念がゆるゆるなのである。それ以前に、まず下着の無い時代の英霊な為、下着を見る利益がわからない、というのもあるのだろうが。

 そんな事は知らない耳郎はかなり厳しくエルに言いつける。

 

「兎も角!!倫理的にアウトだから!!絶対ダメだから!!」

「う、うん、わかった………」

 

 この日、エルがたじろぐという珍しい光景が生まれた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 その日の午後。

 オールマイト主導で戦闘訓練が行われるという事で、エルは男子とも女子とも別の部屋で着替えていた。感情の起伏が乏し目なエルだが、戦闘、という単語に少しワクワクした様子が見られた。元が兵器故の性だろう。

 

「よく出来てるね」

 

 エルの手元には、いつもの戦闘服があった。デザインは全く同じだが、耐熱、耐刃、絶縁と高機能な素材で作られた物だ。ぶっちゃけると全て必要無いのだが。

 エルはいつも通りの手馴れたの様子でそれを身に付ける。

 シニョンにしていた髪を解いてから集合場所に向かうと、どうやら体力測定の時と同じくエルが1人目らしい。

 オールマイトが、たまにテレビで観るものと同じ笑顔で待っていた。

 

「やぁ香山少年!!よく似合っているぞ!!」

「ありがとう」

 

 それきりで、場は静寂に包まれた。

 一度共闘したとはいえ、2人にその時僅かに言葉を交わした以上の接点は無い。

 それでも軽く会話でもしようかと、エルが口を開こうとした所で、

 

「皆かっこいいじゃあないか!!!」

 

 オールマイトが声を張り上げた事によって、A組の面々が来たことに気付く。

 ヒーローコスチュームに着替えたその姿は、高校生になったばかりという事もあって幼さを残しているが、正にヒーローと言うべきものだった。

 自身が知る英雄達ともまた違うヒーロー(英雄)に成りうる存在達に、エルは僅かな期待を向ける。

 

「それじゃあ始めるぞ!!有精卵共!!」

 

 そんなオールマイトの言葉と共に授業が開始した。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ルールはとても単純な物だった。

 ヒーローチームは核爆弾(偽物)に触れるかヴィランチームを全員捕縛すること、ヴィランチームは核爆弾を制限時間の間守りきるか、ヒーローチームを全員捕縛することが勝利条件となる。

 

(単純なのは好みだ)

 

 内心でそんな感想を零すエルだが、傍から見ても分かる程度にはワクワクしていた。A組の面々はそんなエルを微笑ましそうに見ている。

 

「さてくじ引きだ!ただ香山少ね………少年?」

「どちらでも好きな方で」

「では香山少年!君には一人になってもらいたいんだが構わないかな?」

「うん、構わない」

 

 体力測定と同じ理由だろう。エルが快諾すると、オールマイトは笑顔のまま、ありがとう、と言った。同時に、いくつかの敵意がエルに向く。

 オールマイトの取り出した箱からボールを取り、同じアルファベットの者同士でチームを組んでいくなか、エルはクラスメイトの動きを見ていた。

 

(紅白頭の彼と爆発頭の彼はこの中だとかなり強そうだけど、やっぱりオールマイトには及ばないか………)

 

 この世界、エルと対等の人間はオールマイトぐらいしかいない。それ以外、英霊であればアーチャーという存在もいるが、基本的にエルと"戦い"が出来るものはいない。件のオールマイトも、辛うじて戦えるレベルなのだから当たり前の事だが、エルは僅かに気を落とした。

 そんな中、チームアップが完了し、対戦するチームも決まった。

 第1試合は、緑谷・麗日チームVS爆豪・飯田チームだ。

 エルはいずれ自身と対等の存在に成りうるかどうか見定めるため注視する。

 18対36個の目がモニターに集中する中、第1試合が開始した。

 

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