ALL OUT WAR   作:ビーター/beater channel

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〜追いつけぬ領域〜

「やっと産まれたぞ!これほどの魔力、これこそ求めていたものだ!」

「しかし男の子というのが最低限であり、この子は女性なのでは?」

「これほどの力ならば構わないっ!…ふふ…あははははは!」

 

 

星。

 

枯れた大地が広がる三日月の様な形をした星だ。何もないこの星で、人物が1人、駆け巡っていた。

やがてその人物は足を止め、岩が剥き出しとなった表層の一部に手を当てた。大きな傷が見える。

 

「まだこの傷は新しい…」

見ると傷は、奥の方へと無数の傷が続いていた。

 

「洞窟の中なのか?」

そして洞窟に耳を傾けた途端、小さな悲鳴が聞こえてきた。

その人物は思わず一歩一歩足を踏み入れた。しかしいけばいくほど、悲鳴と騒音が大きくなっていった。

待ちきれない衝動にかられ、気付けば走っていた。

 

「ここかぁ!」

洞窟の悲鳴がより一層聞こえてきた角を曲がり、大きな声で叫んだ。怒りゆえ、意識などあるものか。

 

「グギャァァアア!」

みると怪獣が、洞窟の更に狭い箇所から何かを抉る様にして、狭い箇所を必死にこじ開けようとしていた。

一見怪獣も可哀想に見えなくもないが、この時は一切気にもならなかった。

剣を作った。そこには冷気が迸る。

その冷気に気付いたのか、怪獣は後ろを向き、標的を変えた。

「遅いっ」

しかし既に臨戦態勢に入っている故、今更気づこうと無意味に等しい。

 

「さすが、アルだねっ」

アルと呼ばれたその人物は、一線の如く数十倍はある巨体を両断し、その奥から1人の女性を救い出したのだ。

 

 

「全く、だからあれほど外出は控える様に言ってただろ?」

「でもアルが来てくれたじゃんっ」

 

その無垢な瞳には、アルも言い返す事など出来ない。

 

「はぁ…めんどくさっ」

 

故にため息が出るだけだ。

そして歩いていると大きな門にたどり着いた。

「おかえりなさいませっ!アル様!ナナ様!」

「おう、お前らもご苦労だな」

「は!勿体無いお言葉でありますっ!」

 

この門は王の住む大きな城を囲む、城壁の様なものだ。枯れた大地に無数に生息する悪魔の類。それらから王と国民を守る大事な門。

故に門番は選りすぐりの戦闘力を持つものばかりで、声も図体も大きい。

 

「はは、相変わらずだな」

アルは若干耳を抑えながら、苦笑いをするに留まった。

 

 

「じゃあナナ姉、また後で」

そう一旦別れを告げると、アルは浮遊して城のある一部へと急行した。

そして足を振り上げると、窓を思いっきり割った。

 

「ただいま」

その大雑把な態度に、王はびっくりし、それと共に憤怒した。

 

「全く、毎度毎度そこから入ってくるなと言っているだろう?」

「はっ!簡単に割れる窓が悪い」

 

大気が震え、城は重い空気に包まれた。

 

「少し帰ってくるのが遅かったんじゃないのか?」

「てめぇよりは早えよ」

「はは、中々面白い事を言う…」

 

王は一線の如くアルに詰め寄り、拳を振るった。しかしアルはそれを何とか受け止める。

いつも見る親子喧嘩だ。

 

「そういえばシナプスとの面会はどうなったん?」

「お前に心配されることではないさ」

 

王は掴まれた手をそのまま回し、振り上げた足でアルを斜めから襲った。

アルは会話をやめ、手を離すと、なんとか後ろに回避する。

 

「訛ってるんじゃないのか?」

「ほっとけ…、ハァ……」

 

アルは既に息切れをしていた。

会話しながらであろうと、めまぐるしいスピードで攻撃がいつも迫ってくる。

この王に勝てる程の人間などそうそういないだろう。

 

それが神という力なのだ…。

 

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