ALL OUT WAR 作:ビーター/beater channel
「やっと産まれたぞ!これほどの魔力、これこそ求めていたものだ!」
「しかし男の子というのが最低限であり、この子は女性なのでは?」
「これほどの力ならば構わないっ!…ふふ…あははははは!」
☆
星。
枯れた大地が広がる三日月の様な形をした星だ。何もないこの星で、人物が1人、駆け巡っていた。
やがてその人物は足を止め、岩が剥き出しとなった表層の一部に手を当てた。大きな傷が見える。
「まだこの傷は新しい…」
見ると傷は、奥の方へと無数の傷が続いていた。
「洞窟の中なのか?」
そして洞窟に耳を傾けた途端、小さな悲鳴が聞こえてきた。
その人物は思わず一歩一歩足を踏み入れた。しかしいけばいくほど、悲鳴と騒音が大きくなっていった。
待ちきれない衝動にかられ、気付けば走っていた。
「ここかぁ!」
洞窟の悲鳴がより一層聞こえてきた角を曲がり、大きな声で叫んだ。怒りゆえ、意識などあるものか。
「グギャァァアア!」
みると怪獣が、洞窟の更に狭い箇所から何かを抉る様にして、狭い箇所を必死にこじ開けようとしていた。
一見怪獣も可哀想に見えなくもないが、この時は一切気にもならなかった。
剣を作った。そこには冷気が迸る。
その冷気に気付いたのか、怪獣は後ろを向き、標的を変えた。
「遅いっ」
しかし既に臨戦態勢に入っている故、今更気づこうと無意味に等しい。
「さすが、アルだねっ」
アルと呼ばれたその人物は、一線の如く数十倍はある巨体を両断し、その奥から1人の女性を救い出したのだ。
☆
「全く、だからあれほど外出は控える様に言ってただろ?」
「でもアルが来てくれたじゃんっ」
その無垢な瞳には、アルも言い返す事など出来ない。
「はぁ…めんどくさっ」
故にため息が出るだけだ。
そして歩いていると大きな門にたどり着いた。
「おかえりなさいませっ!アル様!ナナ様!」
「おう、お前らもご苦労だな」
「は!勿体無いお言葉でありますっ!」
この門は王の住む大きな城を囲む、城壁の様なものだ。枯れた大地に無数に生息する悪魔の類。それらから王と国民を守る大事な門。
故に門番は選りすぐりの戦闘力を持つものばかりで、声も図体も大きい。
「はは、相変わらずだな」
アルは若干耳を抑えながら、苦笑いをするに留まった。
☆
「じゃあナナ姉、また後で」
そう一旦別れを告げると、アルは浮遊して城のある一部へと急行した。
そして足を振り上げると、窓を思いっきり割った。
「ただいま」
その大雑把な態度に、王はびっくりし、それと共に憤怒した。
「全く、毎度毎度そこから入ってくるなと言っているだろう?」
「はっ!簡単に割れる窓が悪い」
大気が震え、城は重い空気に包まれた。
「少し帰ってくるのが遅かったんじゃないのか?」
「てめぇよりは早えよ」
「はは、中々面白い事を言う…」
王は一線の如くアルに詰め寄り、拳を振るった。しかしアルはそれを何とか受け止める。
いつも見る親子喧嘩だ。
「そういえばシナプスとの面会はどうなったん?」
「お前に心配されることではないさ」
王は掴まれた手をそのまま回し、振り上げた足でアルを斜めから襲った。
アルは会話をやめ、手を離すと、なんとか後ろに回避する。
「訛ってるんじゃないのか?」
「ほっとけ…、ハァ……」
アルは既に息切れをしていた。
会話しながらであろうと、めまぐるしいスピードで攻撃がいつも迫ってくる。
この王に勝てる程の人間などそうそういないだろう。
それが神という力なのだ…。