とあるわが家の王女さま!   作:華凜

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第3章です。
姫ちゃんはいつでも元気な構ってちゃんです。


姫ちゃん、失踪する!
第14話 姫ちゃん、またやらかす!


 

 

「姫ちゃん!!!」

 

 

リビングを拠点にし、大声を張り上げて彼女を呼ぶ。

 

「姫ちゃん! いたら返事して!!」

 

しんと静まった我が家。

お向かいのアレクサンポポス大王と一緒に彼女を探すが、その姿が見当たらない。

 

 

そう、最後に僕らがその姿を見たのは、台所付近でのことである。

 

 

 

――☆――☆――☆――

 

 

 

 魔王が我が家でカレーを食して1週間。

 

姫ちゃんもここでの生活に慣れ、最近は何も言わなくても、ちゃんと自分で下着を穿いてくれるまでに成長した。

穿いてくれなかった方が驚きだが。

 

魔王の方もゴミの出し方を分からずに溜め込み、302号室だけ異臭を放って管理人さんから苦情を寄せられた事件もあったが、僕が定期的に掃除しに行ってあげているので問題は無い。

 

母親も帰ってくる気配がないし、このまま平穏な日々が続いてくれたらしいなぁ、と思っていた矢先の話だ。

 

 

 

 30分前。

 

朝6時。

 

「んん~っ」

 

上半身を起こして伸びをする。

 

どうやら朝がきたらしい。

 

僕はカーテンの隙間から差し込む朝の陽ざしで目が覚め…………ん? いや、顔面に飛んできたブラジャーで目を覚ました。

 

「おはよう、姫ちゃ……んんんんんッ!?」

 

ふと横を見ると、姫ちゃんは『頭隠して、その下隠さず』の状態で爆睡していた。

 

うう、朝の6時から股間のスカイツリーがハッスルしそう。

いつも思うが、どうやったら寝たままブラとパンツを脱ぐことができるのだろうか。

たまに彼女は天才じゃないかと思う時がある。

 

とりあえず要所をタオルケットで隠し、全裸の王女さまが御起床される前に朝食を作ろうと台所に足を運ぶ。

 

学生一人での生活となれば、どうしても朝食を抜きがちであるが、一日のエネルギーの源をおろそかにしてはいけない。

 

女子でもないのに朝から焼き魚、ホウレンソウのお浸し、白飯、味噌汁という献立である。

 

「よし」

 

味噌汁の味見もOK!

塩分控えめなら健康にいいからね!

 

さあ、あとは寝起きの悪い子猫ならぬバカ王女を起こして―――

 

「こーすけッ」

 

バチコォーン。

 

「はぶぅ!!」

 

背後から頭部に強烈なビンタをかまされ、僕は沸騰中の味噌汁鍋の中に顔をインしてしまった。

 

「ぎゃあああ!!! アッチ、アッチぃ!!!!」

「どこかしら?」

「方角の『あっち』じゃねえよ!!! 熱いって意味だよ姫ちゃん!!!」

 

僕の頭を叩いておいて、なお涼しい顔をする姫ちゃんがいた。

 

やっと僕が起こさなくても自分で起きられるようになったらしいけど、人の頭を叩いて顔に火傷を負わせる行為は褒められないなあ。

 

「何でイキナリ背後から頭を叩くのさ!!」

「あら、ビックリしましたの?」

大成功ですわ、とでも言いたそうに目をキラキラさせる。

 

こいつ、僕をビックリさせようと背後から忍び寄ってきたらしい。

 

「ったく。 今日はちゃんと一人で起きれたんだね」

「え、ええ」

心もとない返事が。

 

「実は、枕元にあった、こーすけのお電話が」

「はい」

「ブルルルって鳴って、」

「おう」

「誰かから着信があったみたいで、あなたに届けてあげようと、」

「ありがとう」

「思ったけど、」

「なんで『けど』なの!?」

「一階に着いた時に足を滑らせて、」

「フローリングを裸足で歩いて滑るのか!?」

「お電話が本棚の裏にスッポリ入ってしまいましたの」

「のぉおおおおおお!!!!!」

 

えらいこっちゃ!

ちなみに姫ちゃんの言う『お電話』とはスマホのことである。

 

急いで姫ちゃんのいう現場に急行するが、時すでに遅し。

リビングの端にある、巨大本棚の裏をライトで照らして見る。

 

確かに僕のスマホがスッポリ入っているのが確認できた。

しかもかなり意図的に投げなければ「そこまで行かんだろ!」というような深さに。

 

「なんてことしてくれるのさ!!」

「わざとやったわけじゃありませんわ!」

「分かってるけどさ、この深さまで持って行けるって……。 姫ちゃん、僕のスマホ投げただろ」

「(ぶるんぶるん)」

 

かなり冷や汗をかいて首を横に振っている。

怪しいことこの上ないぞ、おい。

 

「な、投げてませんわ。 と、飛ばしただけですもの」

「一緒だよ!!! てか飛ばしちゃったの!? 僕のスマホは投げても空を飛ばないからね!?」

 

このままおバカな王女さまと問答し合っていても埒が明かない。

むぅ、この本棚は重くて大人3人でやっとだからなあ。一人で動かすのは辛い。

 

……かといってこの非力マッスルに加え、「あら、今日は“それなりに”豪華な朝食だこと」と、台所でコメントし始める姫ちゃんに頼もうにもなあ。

 

仕方ない。

ここは人類の知恵を振り絞って取り出せ!!

 

「姫ちゃん、何か細長いモン持ってきて!」

「わかりましたわ」

 

さすがに指では届きそうにないので、姫ちゃんにスマホを取り出すための細長い道具を要求する。

 

が、

 

「はい」

「おっ、早いね。 ありがとう」

 

縄跳びの紐。

 

「こんな弱々しい紐でスマホが取れるわけないでしょうがッ!!!!」

「だって細長いモンとおっしゃったから」

 

まあそうだけどさ。

空気を読んでもっと硬いの持ってきてよ。

 

「もっと硬くて長いやつ……あ、そうだ! 孫の手貸して!」

「ま、孫の手ッ!?」

「うん」

「す、すす、少なくともあと30年くらい待って頂かないと、孫は……。 その前に子供を産まないと」

「言葉足らずで申し訳ない。 もう何でもいいから細くて硬いやつ貸して」

 

孫の手というレアアイテムは諦めました。

 

 “細くて硬いやつ”と言われ、キョロキョロかつオドオドして探し出す姫ちゃん。

 

しかし、その泳ぐ視線は最終的に僕の股間に帰着した。

 

「細くて硬そうなのなら、こーすけのソコに」

「僕のスカイツリーはそこまで長く無いんでね!!! ごめんよ!!!」

 

なんかもう泣きたい。

男の尊厳を激しく傷つけられた気がする。

 

 

色んな意味で泣きかけていたとき、家のチャイムが鳴った。

 

 

 

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