はじめまして初投稿します朝日川といいます。男に変身する某魔法少女を見て、逆にしてAqoursと仲良くなる話があったらどうだろうと思い書いてみました。
この作品を読んでもらって感想など貰えたなら幸いです。ではこれからもよろしくお願いします。
ドーム会場内に作られた映像・照明などの幻想的な空間。その空間の中で私の歌声が響いている。歌声だけじゃない。たくさんの楽器から奏でられる音、そして私の歌を聞いてくれるたくさんのファンの人たちの歓声。会場内が歓声と熱気でうめつくされている。
「みんなありがとうー」
全ての歌を歌い終えて私はファンの人たちにお礼を言ってステージから降りた。でも…。
「SEIREN!SEIREN!」
ファンの人たちは帰ることなく、みんなのアンコールの掛け声が会場内に響き始めた。
「SEIREN。ファンのみんなの声援に応えてください」
マネージャーが笑顔で言ってきた。バンドメンバーもそれぞれ準備を整えて笑顔でいる。
「ええ」
私は力強く返事をして再びステージに向かった。
人々が忙しげに行き交う沼津駅前。僕は駅に向けて走っていた。
「はぁ、はぁ」
息が切れたので僕は立ち止まって息を整えることにした。
「悠一。あまり休んでいると遅刻するぞ」
僕の肩に座っている手のひらサイズの羽の付いた帽子をかぶった人形のようなものが喋り始めた。
「わ、わかって、る…」
息が整ってないので喋るのも辛い。
「そもそも学校の掃除を真面目にするから遅刻しそうになるんだ」
僕の肩に座っていた人形が宙に浮かび僕の正面に来た。
「そ、掃除、とう、当番だった、から、仕方が、ない、だろ」
「適当に終わらせばいいだろ」
はぁとため息をつく人形。
「そ、それよりヘルメス」
「ん、なに」
「その…本当にヘルメスの姿は僕以外には誰にも見えないのか」
「見えないよ。ほら、このとうり」
僕がヘルメスと呼んだ人形がサラリーマンの眼前に行きました。
「シュッ、シュッ」
そしてボクサーがするみたいに拳を繰り出した。
「…」
でもサラリーマンは気づかずにそのまま歩いていった。
「さらに」
そう言うとヘルメスは近くを歩いていた女性のスカートの中に入って行った。そして…
「こんな事をしても気づかれない」
そう言いながら僕の元に戻ってきた。
「鼻血を出しながら真顔で近づくなよ。それから犯罪だぞ、さっきのは」
鞄を盾の代わりにしてヘルメスを押しのけた。
「こんな事をしてないで早く駅に行かないと」
息が整ったので僕は急いで駅に向かった。途中、横を見ると壁一面にポスターが張られていた。
゛美と謎に包まれた歌姫SEIREN゛
SEIRENの曲の告知ポスターだった。SEIRENとは今年デビューしたばかりの美少女アイドル。名前以外は全て謎にされている。某化粧品メーカーのCMソングに起用され自身も出演。メーカーには『彼女は誰?』と問い合わせが殺到。満を持してCDデビュー。そして一気に有名になった。もちろん謎や容姿だけが彼女の人気の要因じゃない。
「SEIRENの歌きいた?」
「うん。カッコいいよね」
「まだダウンロードしてない」
「うそ!」
どこからかSEIRENの歌が聞こえてきた。その歌を聞いた人が様々な反応をしている。彼女の魅力は様々だけど一番は聞く人の心を魅了する歌声だと雑誌に書いていた。
「SEIREN、凄い人気だな」
ヘルメスがポスターを見ながら話しかけてきた。
「うん。誰も想像もしないだろうな。SEIRENの正体…」
SEIRENのポスターを見ながらそんな言葉が自然と出てきた。僕がぼ~としていると急に携帯電話の音が響いた。僕は携帯の画面を確認した。
「響さんからだ。急いで準備しないと」
僕は急いで物陰に隠れた。
「この辺りなら人目にもつかないし、防犯カメラにも映らないはず」
「まっ、念のため認識阻害の魔法をかけとくよ」
そう言って私ヘルメスが腕を掲げると、僕のまわりが光の薄い繭のようなものに包まれた。
「ありがとうヘルメス」
僕はそう言った後、目を閉じて右腕をかざした。
「ケーリュケイオン」
僕が小声でそう言うと、手のひらに光の粒子が集まり弾けた。同時に右手にステッキが握られていた。二匹の蛇が絡み、羽が生えているステッキだ。物々しい雰囲気はなく可愛くデフォルメされている。男が持つにはどうかと思うデザインだ。
「…」
僕は小声で呪文を言った。そうすると僕は光の繭に包まれた。そしてすぐに光の繭が弾けた。そうするとそこには。
「変身完了っと」
歌姫SEIRENがいた。
「んー。お約束の変身シーンは裸にするべきだが男の裸なんて見たくないからな」
「何バカな事言ってるの」
そう言って私はヘルメスにデコピンをした。
「あだっ!つぅ~。その姿になるとお前、人格が変わるからなー」
「ヘルメスがそういう魔法にしたからでしょ」
男の時は内向的な性格だけど、この姿になると私は外向的な性格になる。そして自分を男ではなく女として認識してる。だから口調も変わる。
「早く行くよ」
そう言って私はカバンから帽子を出して深くかぶった。そして認識阻害の結界から出て駅に向かって走り出した。その途中で。
「あの」
「あっ、はい」
急に知らない女の子が私に話しかけてきた。
「あの…私たち…」
俯いて異様な雰囲気で一歩一歩私に近づいてくる女の子。ひょっとして気づかれたかな。
「は、はい」
そんな事を考えていると女の子が一歩ずつ近づいてくる。そのたびに私は一歩ずつ下がっていく。そのまま私は壁際まで追い込まれて。
ドン!
何故か話しかけてきた女の子に壁ドンされた。
「えっ」
状況が分からず戸惑っていると目の前にチラシが出された。
「ライブやります。ぜひ」
「え、えっ」
「ぜひ」
「は、はい」
思わずチラシを受け取ってしまった。
「どうも」
「友だちや家族と一緒に来てください」
「え、えっと」
ビラを受け取ったのに壁ドンから解放してもらえない。何でだろ。
「…あの」
女の子はじ~と私のことを見ながら言ってきた。
「あの、どこかで会った事がないですか」
「き、気のせいだと思う」
内心は女の子の言葉に冷や汗をかいている私。テレビでもネットでも周りのポスターでも私の姿が映っている。彼女もその中で私のことを見たことがあるんだと思う。
「やっぱり何処かで会ったことがあるよ」
顔を近づけて確認しようとする女の子。こんな所でSEIRENがいると分かると騒ぎになるかもしれない。事務所にも注意されてる。こういう時は何故か事務所にあった本のネタから…。
「へっ」
私は顔を近づけてくる女の子の首に手を回して自分に近づけた。
「えっ、あの、急に何を」
驚く女の子をよそに私は耳元で囁いた。
「そんな可愛い顔を近づけてくるなんて、私と…したいの。…イイよ、しても…」
「ええっ!」
私がそう言うと女の子は顔を上気したように赤くした。
「今だ」
慌てた女の子の脇を抜けて走り出した。
「ちょっと待って、落とし…」
女の子が何か言っていたけど私は立ち止まることなく走った。でも。
「はぁ…」
すぐ近くでロングヘアーの女の子が両手で口元を隠して頬を赤らめてこっちを見ていた。
「すいません」
私はそう言ってロングヘアーの女の子の横を走り抜けた。そして駅に到着して、私は壁に手をつきながら息を整えた。
「はぁ、はぁ、お、女の子に壁ドンされる日が来るなんて」
「SEIREN」
「何、ヘルメス」
「女の子同士というのも中々イイな」
「なに言ってるの」
「あだっ」
私はまたヘルメスにデコピンをした。そして私は携帯を取り出して、響さんに電話をした。
「SEIRENです。遅れてすいません。今、駅に到着しました。響さんはホームですか?はい、すぐに行きます」
私は携帯をしまって。
「さぁ、ここからはアイドルの時間よ」
そう言って私はホームに向かって走り出した