全裸魔王と人理修復   作:ハンバーグ男爵

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2017水着→3周年→2部2章→2018水着

は?(威圧)イベントのスパンに陰謀めいたものを感じる










11話 聖人と聖女、竜の魔女

 

 

 

 

 

あ さ

 

 

 

はい、というわけでね。

果てなき旅路の始まり、人理修復。本日も清々しい朝を迎えました(げっそり)

え?なんでやつれてるのかって?聞くな、いつもの唐突な魔力供給だ。

 

お外だと魔王様張り切っちゃうね、他の人達に見つかると思うと余計にね。そのギリギリ感が堪らないんだろう、俺は気が気でなかったけどね。多分台所のアーチャーには気付かれてる、彼優しいから気付かないふりしてくれてるんだと思う。優しさが心に刺さるよ。

なんだよ人類の危機にフランスの森の中でサカってるって、緊張感以前の問題だろ。しかしそんな時でも俺の息子は「まんざらでもない」とばかりにその首をもたげ臨戦態勢になってしまうのだ。本能には逆らえない、だって男の子だもん。

 

「いつもより大きかったし、量も多かったぞ…」(ボソッ)

 

違うんだ、別に興奮してるわけじゃないから。魔王様がえぐい搾り方するからだ。彼女のそれはカズノコとか、ミミズとか、そんなもんで表現できるレベルにいない。強いて言うなれば〝宇宙(コスモ)〟、この世ならざる快楽と遭遇したような錯覚にさえ陥る魔性の身体……何言ってるんだ俺は。

これ以上考えるのはSAN値が下がるから辞める。とにかく俺は悪くない、本能が天元突破しただけだ。だからいつまでも胸を背中に擦りつけるのは止めなさい。

 

「あててんのよ」

 

TPO(時と場所)を弁えろって言ってんの!

 

他のサーヴァント達は夜通し周辺の警戒とかしてくれてるのに。と、ちょっと申し訳なくなりながらみんなの待つ焚き火まで向かう。そこでは台所のアーチャーがワイバーンの肉をかっさばいで調理していた。なんでもワイバーン肉は脂ギッシュで臭みも強く、美味しく調理するのに一苦労なんだとか。

飽くなき食への探求心、俺も料理する身としては素直に尊敬してます。この人の真名何だろうね、料理できるアーチャーって…

満足できる出来になったのか、アーチャーから肉が配られそれを皆で頂いた。凄い!臭みも脂っこさも消えてる!ローストビーフみたいな感じだ。特異点終わったら調理法教えもらおう。

…俺に渡す時だけこっそり「ワイバーンの肉はスタミナも付く。まあ…君も大変だと思うが頑張ってくれ。」って言われた。理解あるアーチャーだった。おっと涙が…

 

 

 

「まあ、とっても美味しいわ!これなら毎日食べてもいいくらい!」

 

「それは流石に太ると思いますが…」

 

「うふふ、私昔から脂肪は全部胸にいくんです。だから大丈夫!」

 

「そうなんですか!?羨ましいです…」

 

「はいそこの音楽神ニヤニヤしない、通報するぞー。」

 

「朝っぱらからあらぬ誤解だよ!?」

 

のどかな朝食風景だ、魔王様も俺の分からちょいちょい摘み食いしてる。あんたさっきたらふく魔力吸い取ったばかりでしょうが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ聖人のサーヴァントを見つけたら大至急連絡でお願いします。」

 

「よしきた、藤丸君も気を付けてな。」

 

そう別れを告げて藤丸君と俺達は別れた。聖人のサーヴァントを見つけて、ジークフリートの傷を治す為だ。それが済んだらいよいよ竜の魔女との決戦になるだろう。

 

「聖人のサーヴァントなんて都合よくいるものかしら?」

 

「分かりません、ですが行動しなければ私達に明日はありませんよマリー。」

 

一晩明けた善ヌさんとマリーさん、とても仲良しになってるご様子。

お喋りを交えながら目的の街まで向かう。

 

「有栖宮さん、魔王さんは…」

 

「魔王様なら影の中です、いつもの如くお昼寝中ですよ。」

 

「……そうですか。」

 

なにやら善ヌさん落ち込んでいるご様子、どうかしました?

 

「いえ、私はどうして彼女に嫌われているのかな、と思いまして…

何故彼女はそれ程に私を敵視するのでしょう。」

 

「そう言えば私も避けられている気がするわ。ただお肌を触りたいだけなのに!」

 

マリーさんはそれが原因ですがな。

善ヌさん、心配する必要ないですよ。魔王様は確かに貴女のことをそれはもうボロッカスにいいますが、それは決して貴女を貶めようとしているんじゃありません。

 

『好き』の反対は『嫌い』ではなく『無関心』、そもそも魔王様が本当に善ヌさんの事が嫌なら、初めから面と向かって嫌いなどと言うはずがないのだよ。

あの子はきっと、昔の自分と善ヌさんを重ねているんだろう。彼女も昔は人々に愛され、天に恵まれた才能を持つ偉大な賢者だった。それ故に疎まれ、凄惨な結末を迎えてしまった。それがフランスの為担ぎ上げられ、裏切られた挙句処刑されたジャンヌ・ダルクの姿が重なって、少なからずシンパシーを感じているんだろう。

魔王様は恨む道を、ジャンヌ・ダルクは恨まない道を選んだ。

この聖女、魔王様の言う通り正真正銘の善人だ。誰かに利用されて自分が死んでも、民の為に有ればいいと、心の底から本気で考えてる。そんな人間に誰かを恨めという方が土台無理な話。

 

…じゃあ悪ヌはこんな人っ子一人恨めない完全無欠聖女から一体どうやって生まれたのかなって話になるが、まあその辺はおいおい分かってくるだろう。

 

「そう…ですか…

魔王さんって、少しひねた子なんですね。」

 

「悪い子じゃないですから。」

 

ただし人類を千年苦しめ続けた大魔王である

 

「はい、お話を聞いて少し安心しました。

私もまだ彼女に守ってもらった恩を返せていませんし、この身で良ければ、より一層貴方がたに協力させて頂きます。」

 

屈託のない笑みでにっこりと笑う善ヌさん、まさに聖女オブ聖女。対して貴族オブ貴族のマリーさんは魔王様に避けられているのに納得出来ないご様子。

そりゃ魔王様の肌をあれだけ撫でくりまわしたら避けられもする、しかも撫でてる間目がハートだったゾ。百合の花が咲き乱れそうになってたのを俺は見逃さなかった。博愛主義も程々にネ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだかんだ話している内に目的の街へ到着、此処は他の街ほどワイバーンに荒らされていなかった。余所者という事もあり(ていうか後にアヴェンジャーがいたので)おおいに警戒されたが、コミュ力が臨海突破してる我らがキラキラ貴族マリー様のお力によりなんとか市民達の信頼を得て、この街を仕切っている『セント・ジョージ』なる人に会うことになった。

 

 

 

 

「貴方達が彼らの言っていた来訪者ですか。」

 

橙色の甲冑を着込んだイケメンおじ様のご登場である、彼がこの街をワイバーンから守っていたようだ。

話した結果、納得してジークフリートの呪いを解くのに協力して下さるそうで。ただし、街の人たちをフランス正規軍の守る隣町まで避難させたいらしい。

マリーさんと善ヌさんは快く承諾、俺もそれに従って、さあ護衛するぞと張り切っていたその時、何度か聞いた耳触りな叫び声が大気を揺らした。

恐らくワイバーンだ。それだけじゃない、地面を覆い尽くすようにワサワサ這って何かがこちらに向かってきてる。それも1匹や2匹じゃない、大量にだ。

 

「な、なんですかあれは!?」

 

「沢山のタコさんが陸を走ってるわ!」

 

『有栖宮の方に向かってエネミー反応多数…うえ!?海魔じゃない!しかもその数…使用者はどれだけの魔力を持ってるの!?』

 

驚く所長から映像を生配信してもらう。

 

…おっふ

 

ちょーキモい、正直吐きそう。

大急ぎでゲオルギウスが住民達を避難誘導してる、この物量に迫られたらこんなちっぽけな街なんて一瞬で押し潰されて終わりだろう。更に間の悪いことに、契約してるアヴェンジャーもバサランテも、サーヴァント同士の一体一(タイマン)勝負なら優位に立てるが、あんな感じで数のゴリ押しされちゃどうやったって分が悪い。

 

「一応私には広範囲攻撃のできる宝具もあるが、マスターの魔力が持たないだろうな。そもそもバーサーカーで現界しているから燃費が悪いんだ。

…というか、こんな時こそ魔王を起こせばいいだろう。」

 

あー駄目、それは駄目。昼寝してる魔王様を無理矢理起こすと癇癪で手当り次第人間に拷問掛け始めて犠牲者が増えるから。意識と痛覚のあるまま石化魔法掛けられて悲鳴も上げられず指先からポキポキ折られていくフランス国民なんて見たい?俺はやだね。

魔王様は基本的に人間大嫌いだから、なんの脈絡もなく人殺しするし、拷問もする。彼女の居た世界ではそれが当たり前だったから。普段からそういうのは駄目だと言ってるから控えてはいるものの、寝起きだと極端にそのタガが緩くなる。無理矢理起こされるのなんて論外だ、すぐにでもフランスを更地に変えようとするだろう。

俺がいるから大丈夫?魔王に自制は促せても制御はできない。彼女は全裸でワガママだが、人類を簡単に死の淵に追いやれる存在だ。その辺を勘違いしちゃいけない。

マリーさんや善ヌさんもいるから特に、そういったダーティなプレイは控えないといけないのよ。

…それに、魔王様は女子供でも容赦しない。寧ろ、はばかられる事から優先して辱めていくから、バサランテにとっても宜しくない結果になる。間違いない。

 

「そうか…そうだな。なら彼女無しでこの場を打開する手段を考えねば…」

 

いっそ市街戦を止めて避難民の殿を務めながらフランス正規軍の所まで合流を…いやそれじゃあジリ貧だなあ、どうしよう。

 

その時、ドォンッ!と大きな音が響いた。それから立て続けに発射音のような音が聞こえて、一拍遅れで爆音が俺達の鼓膜を揺らす。バサランテに確認して貰ったところ、この街の住民が避難しようとしているとどこからか聞きつけたのか、フランス正規軍の先遣隊が武装してワイバーンと交戦しているようだ。

そりゃいいや、正規軍が引き付けてくれてる間に脇からあの蛸共とワイバーンを突いてやろう、蛸の戦闘力は見る限りではフランス軍の槍持った一般兵士で対抗できてるし、サーヴァントなら充分蹴散らせる筈だ。

というわけでアヴェンジャー、バサランテ宜しく、避難誘導の殿はマリーさんとゲオルギウスに任せて、善ヌさんは俺を守って欲しいな。俺って貧弱一般マスターなの。

女の子に守ってくれと頼むのも男としてどうかと思うが、そういえば15年間魔王様の尻に敷かれて守られて今まで生きて来ましたわ。今更やんけ。

 

いや思い出せ有栖宮槍一、何も尻に敷かれるばかりではなかったはずだ。毎日毎日唐突に精を搾られ退廃的な生活を送ってた訳じゃない。そうほら例えば……ええと…ううんと………………

 

………………………………うん…

 

よ、よし!人理修復頑張って、胸張って魔王様に自慢してやるぞ!(汗)

 

「有栖宮さん!?何故急に涙を流しているんですか!?どこか怪我でも…」

 

止めて善ヌさん、優しさが痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所長、聖人のサーヴァントはこっちにいたんで藤丸君に連絡を…」

 

『とっくにやってるわ、藤丸達はそちらに急行中よ。道中で現地の野良サーヴァントと仮契約したみたいね。

猫の手も借りたいくらいだし、戦力が増えるのはいい事よ。』

 

「流石です所長、そこにシビれる憧れるゥ!」

 

『ばっ…馬鹿言ってないで、さっさと海魔を迎撃しなさい!この数、並のサーヴァントじゃ遠隔でなんて到底呼び出せないわ、なら魔力源となる術者が近くに居る筈よ。そいつを探し出しなさい!』

 

了解っす、バサランテに頼んでそれらしい奴を見つけてもらおう。

 

『ゲオルギウスとマリー・アントワネットがフランス軍と接触、避難民を庇いながら撤退中よ。

ムニエル、海魔を使役するサーヴァントが過去の聖杯戦争に参加していないかライブラリで調べなさい。真名が判明すれば有栖宮の助けになる筈だからね。

海魔達は上手くこちらが引き付けてる、ワイバーンは向こうの二騎が上手く抑えてくれてるしこのままいけば…

何ロマニ!?今こっちは忙しい…なんですって?』

 

矢継ぎ早に指示を飛ばし、所長してる所長。

だがやってきたドクターロマンから報告を受けて急に青ざめた、嫌な予感がするぞ。

 

『有栖宮、聞きなさい。

ここへ向かってる藤丸達が襲撃に会ったわ。

エネミーは竜の魔女、そして邪龍ファヴニールよ。』

 

なんてこったい、ラスボスが道中で出現とかタチの悪い負けイベントだぜ。

 

『現状の戦力じゃこちらから救援を出す訳にもいかない、藤丸達がなんとか凌いでこっちに辿り着くのを祈るしかないわ…

ロマニ!こちらで出来ることは全てやりなさい、全力で藤丸達をフォローするのよ!人類最後の希望をこんな所で失うわけにはいかないんだから!』

 

すげえ、本当に所長が所長してる。

 

『はっ倒すわよアンタ!?』

 

「マスター、敵のサーヴァントらしき人物を発見した。奴は海魔を生み出しながら真っ直ぐこちらへ進行中だ。」

 

こっちも敵サーヴァントを発見だ。こっからが正念場。藤丸君、頑張ってくれ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、どうやら当たりを引いたようですね。

死にかけの竜殺し、あの忌々しい水色パジャマとそのマスターも居ない。

ジルのアドバイス通りだわ、此処で全員燃え滓にしてしまいましょう。」

 

口元を歪めて嗤う竜の魔女、彼女を乗せる邪龍もこちらを見据え雄叫びを上げる。

まさか槍一さんと合流する直前にこんな事になるなんて…

 

「不味いですね。如何にサーヴァントが7騎揃っているとはいえ、あの邪龍を相手取るとなると、こちらが圧倒的に不利です。」

 

「しかもなんか前見た時よりパワーアップしてませんかあのドラゴン。なんですか、コスモリアクター飲み込んで超絶パワーでも手に入れたんですか。セイバーでもない癖に。」

 

「禍々しい…わたくしあの様に醜悪な邪気を撒き散らすモノは初めて見ました。」

 

「うえっなんなのアレ。ドラゴンはドラゴンでも、色んなモノが混ざりあったキメラみたいよ。少なくとも真っ当に呼び出されたもんじゃないわ、魔改造よ魔改造。」

 

新しく仲間になったバーサーカー、清姫と、ランサー、エリザベート・バートリは嫌な顔をしてそんな事を呟いていた。

 

「ていうか今セイバー君は僕とジークフリートをさりげなく除外したよね?まあ 役立たずなのは認めるけどさ。」

 

「すまない、役立たずですまない…」

 

「先輩、やるしかありません。此処で足止めをされていては…」

 

「ジークフリートを治せないからね…

頼む、皆。道を作ってくれ!」

 

令呪の刻まれた右手に力を込めて言い放つと、セイバー達は一斉に邪龍に向かって攻撃を仕掛けた。

 

Xさんの剣が煌めいて、邪龍の足下を切り刻む

 

ランサーの投擲した朱槍が羽根を毟りとり、アーチャーの矢が魔女の乗る背中に降り注いだ

 

セイバーとエリザベート、清姫も取り巻きのワイバーンを次々と切り伏せ、貫き、燃やしていく

 

だが、ファヴニールは健在だった。

傷付けられた羽根や脚はみるみる内に修復され、あっという間に元通りになる。

お返しとばかりにファヴニールの口元から火花が迸って、次の瞬間には灼熱のブレスが地面を覆い尽くすようにこちらへ向かって広がった。

 

「先輩。宝具、行きます!」

 

仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!!

 

マシュの強化された大盾が迫るブレスとぶち当たり、炎は左右に分かれ大地を焦がしていった。

苦悶の表情で盾を構え続けるマシュ、圧倒的な熱に焼かれ、どんどん盾が赤く変色していく。

 

「マシュ!」

 

「ぐううううううっ!!

不味い…です…勢いが強過ぎて……ッ!」

 

盾が押され、宝具が決壊しそうになったその時

 

「選手交代だ。」

 

「え?ひゃあッ!?」

 

間に入ったアーチャーにマシュが首根っこを掴まれて、俺の方へ投げ飛ばされた。

 

「……熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)ッ!!」

 

突き出したアーチャーの手を中心に花のようなバリアーが展開されて、再びブレスと衝突した。ビキビキと嫌な音を立てながらバリアが砕け散っていき、最後の一枚が割れた時、ようやく邪龍はブレスを吐き終えた。

 

「あ、ありがとうございます、アーチャーさ…ぁ…」

 

「なに、気にする事はない。人類の希望を生き残らせる為に最善の手段を選んだまでだ。」

 

マシュと俺は絶句した。アーチャーの右腕は二の腕まで焼け焦げて、なくなっていたから。

 

「アーチャー…腕が…」

 

「気にするなと言っただろう。

どうやらあの邪龍は本当にジークフリートでないと傷を負わせることは難しい…いや、彼でないと不可能になった。より史実の影響が濃くなったのだろう。

逆に言えばジークフリートなら確実に奴を殺せる、重要な鍵だ。

私が時間を稼ぐ、マスターは他のサーヴァントを連れて全速力でもう1人のマスターの元へ離脱しろ。」

 

「たった一人で!?どうやって…」

 

「足止めだけなら問題ない。」

 

ニヒルに笑うアーチャー。でもそれは、俺たちを逃すために捨て駒になるって事だ。そんなの認められない。

 

「全てを救えると思うな。抱えて溺死する前に、最善の選択肢を常に用意しろ。

『正義の味方』からの忠告だ。」

 

「でもっ…」

 

「行きましょう、マスター。

ジークフリートを生かさねばこの特異点の修復は成りません。

いいのですね、アーチャー。」

 

「無論だ。元より英霊など使い捨ての戦力、マスターの心遣いがおかしいのだよ。

それに…何故奴に私が負ける前提で話している。別に倒してしまっても構わんのだろう?」

 

「……分かった、但し無茶はしないでくれ。」

 

セイバーに後押しされ、納得のいかないまま離脱しようとするも、竜の魔女がそれを許してくれる訳もなく。

 

「逃がすもんですか…ファヴニール!」

 

「させんよ…」

 

I am the bone of my sword(身体は剣で出来ている)

 

何かを呟き始めた途端、眩い光がファヴニールとアーチャーを包み込み、掻き消えた。

 

「アーチャーさんは一体どこに…」

 

「固有結界です、彼は自身とファヴニールを世界ごと隔離しました。今のうちに離脱しましょう!」

 

「セイバーの言うことは癪ですが、正しい判断ですね。台所のアーチャーの犠牲を無駄にしてはいけません。」

 

2人に後押しされ、急いでその場を立ち去った。ジークフリートは未だに虫の息だ、アーチャーが時間を稼いでくれているうちに、一刻も早く槍一さんが見つけた聖人のサーヴァントと合流しないと…!

 

「あれ?青いタイツの彼はどこだい?さっきまでそこにいたハズなんだが。」

 

逃げながら、アマデウスが辺りを見回した。

あれ?そういえば…ランサーがいない!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何故貴様が残った、ランサー。」

 

「一人カッコつけて手柄をかっさらおうとするんじゃねえよ英雄気取り、俺も交ぜな。」

 

荒れ果てた荒野を背景に、地面に刺さる贋作の山。此処は英霊エミヤの作った固有結界の中。

『無限の剣製』、そう呼ぶこの空間は、エミヤ自身の心象風景を具現化した仮想世界だ。

 

「チッ…やってくれたじゃない。

でもたかだか2匹、雑魚サーヴァント如きでファヴニールを足止め出来ると思ってるの?」

 

忌々しそうに睨みつける竜の魔女、エミヤとランサー、クー・フーリンは各々の武器を握りしめ、獰猛に笑った。

 

「雑魚か、言ってくれるな竜の魔女。」

 

「紛いもんに雑魚呼ばわりたあ、舐められたもんだ。その心臓ブチ抜いてやらァッ!!」

 

ファヴニールが吼え、舞い上がる。

 

 

 

 

結界内での死闘、真の意味で竜殺しにしか殺せない邪龍を相手に二人は最後まで善戦し続け、一度は竜の魔女を目前に迫るも圧倒的なファヴニールの力により徐々に疲弊していく、そしてエミヤの魔力が尽きるまで『無限の剣製』は展開された。

あのままエミヤ一人では到底邪龍に対抗できなかっただろう。彼等は見事、マスターを逃すため時間を稼ぎ、散っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が偽物…?そんなわけない、私は私。

人を憎んだ竜の魔女、堕ちた聖処女ジャンヌ・ダルクなのだから…

なら何故こんなにも、贋作(にせもの)と言われて心が苦しくなるの?

 

私こそ真のジャンヌ・ダルク、その筈なのに

 

 







散財の夏、爆死の夏…


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