スカディ様来たぜヤッホゥイ!
オーロラ銅落ちねえヤッホゥイ!
水着配布はジャンヌオルタだイ''エ''ア''ア''ア''ア''ア''ア''ア''ア''ア''ア''ア''(昇天)
辛い月曜日を乗り越えた後、家ではたらく細胞見て癒される、そんな人生に幸せを感じるんだよ…ぼかぁ…
竜退治始まるよっ!(始まるとは言ってない)
『お前は有栖宮きっての出来損ないだが、小道具作りには一縷の才がある。』
『だから、これから私達が言う通りの物を作りなさい。』
『なあに大したことはない、只の遊び道具だよ。』
久しぶりに両親の笑った顔が見れた
初めて褒めて貰えた
嬉しくて嬉しくて、言われた通り沢山の〝玩具〟を作った
貼るだけで全身を麻痺させる札
痛みを無くせる香炉
嗅ぐだけで嫌な事全部忘れられる薬
工房に篭って、両親の笑顔の為に
たくさんたくさん、作った
いっぱいいっぱい、褒めてもらった
自分が何を作ってるのかは正直わからなかったし、相変わらず工房からは出るなと言われていたけど、褒めて貰えるならそれも気にしない
だがしかし
ある日、両親の魔術工房に続く扉の隙間から見てしまった。見えてしまった
鎖に繋がれて、虚ろな目をしながらうわごとを呟く布1枚の女の子を。そしてその胸元には、俺の作った札が貼られていた。側には俺の作った香炉が置いてあった。俺の作った薬の入った注射器が大量に転がっていた。
俺はこの時初めて、自分が何を作っていたのか理解した。
札は拘束の為に
香は傷みを消す為に
薬は依存させる為に
親の魔術に使う〝実験体〟を逃さないようにするため、俺は道具を作らされていた。
幸い親は今居ない、この時始めて芽生えた自責と後悔の念から俺は直ぐに札と鎖を外して敷地を囲う塀の隙間から彼女を村へ逃がした。家の敷地からしか見た事はないが、外へ行けば大人が助けてくれるはず。そう信じて。
結果がどうなったかって…聞かなくても分かるだろ?
実験体の居ないことに激怒した両親は俺を座敷牢に閉じ込めて次の儀式の生贄にした。そいで魔王ジルを呼び出した反動で一族郎党一人残らず水風船みたいに弾けて死んだ。有栖宮はあっけなくお家断絶だ。
なんで冒頭からこんな話をしてるのかって?
そりゃお前さん、有栖宮槍一という男の馴れ初めは大切でしょ?一応主人公なんだし。
決して現在俺の下半身からじゅぼじゅぼ音を立てるだーれかさんの事を忘れる為ではない。いいね?
「
あっ…やば…おっふぅ…
〜しばらくお待ちください〜
「なんだよ下僕、魔力補給して何が悪い。」
黙りなさい妖怪全裸搾り。
ああもう口元に毛が!!朝っぱらからモザイク処理しなきゃいけない顔になってんじゃないの!
「私は気にしない。」
気にして?人類最後のマスター、その片割れが朝から盛ってる変態みたいに思われるから。人類史に新たな黒歴史刻まれちゃうから。
「次はナカに寄越せ、早くしろ。」
話聞いて?
「ぬ〜…
お兄ちゃん、じるの〇〇〇〇に〇〇〇〇〇で〇〇〇〇〇〇〇〇〇いっぱいちょうだい♡」
ぬがああああああまだ日も出てないのに朝から変に媚びつつ放送禁止用語を連発するんじゃないッッ!胸を擦り付けるな!下半身をあてがうな!
……5分だ!5分だけだからな!
「けけけっチョロwww」
黙らっしゃい!
もう怒ったぞ!折角藤丸君の為に作った小道具を寝起きドッキリで渡してやろうかと思ったのに、ジルが邪魔するからだ!
向こうの茂みまで来なさいこの全裸魔王!
二度と生意気な口叩けなくしてやる!(盛大なフラグ)
♀〜〜しばらくお待ちください〜〜♂
(1時間後)
やっぱり淫乱魔王には勝てなかったよ…
「ふう…(賢者)
私は寝るから、後よろしくぅ。すやぁ…」
この魔王搾るだけ搾って寝やがった…
ま、まあなんだ…魔術師は基本ド畜生だよって伝えたかったワケよ、目的の為なら手段を選ばない…そんな連中なんだよ。
まあ自分もその外道の端くれなんですけどね、餓鬼の頃にやらされた〝玩具作り〟はなんだかんだ役に立ってるのが腹立つ。
そんなこんな便利スキルを使い昨晩半徹して作った玩具をAIBOに渡したいわけなんですが…案の定寝ておられますわ。
んっんんッ…
起きなさい…(限りなく美〇明宏に似せたヴォイス)
「………ぅ…」
勇者よ…勇者藤丸立花よ…目覚めるのです…
「……………うぅ…
なんです槍一さん、こんな朝早くに…なんでそんなにやつれてるんですか?」
気にする事は無い、いつもの事だヨ。
それよりも…人類史を共に守りし人の子よ、汝に話がございますです。
「その演技いつまで続けるんです?」
え?ファンタジーによくあるじゃん、「こいつ…直接脳内に…!?」的な内なる声。
\リッスン!!/って言った方がいい?
「いや思いっ切り喋ってますけど…」
細けえこたあいいんだよ、サーヴァントを2騎も失って意気消沈してる藤丸君に自称サタンクロースであるこの俺が季節外れのプレゼントを君にシュゥーッッ!してあげよう。
「サタンクロースとか物騒な単語が聞こえた気がしましたけどこの際ですしありがたく貰います。
…藁人形!?」
そーそー藁人形。所長を現世に降ろしてるのも、ぬいぐるみの中に仕込んであるソレのおかげね。
この藁人形は擬似的に英霊の憑代になってくれるんだ。1回召喚する分の魔力は込められてるから、起動すればこの藁人形を憑代にして英霊を5分間だけ呼び出すことが出来るぞ!ただし1回きりの使い捨てだから使い時は選んでネ!
「す…すごいじゃないですか!?
でも英霊を召喚する魔力なんて一体どこから…」
召喚するのには魔力なんて大して使わないよ。短時間だし、条件さえ整えば一人分の英霊くらいなら藤丸君の魔力でも降ろせるはず。あと俺の令呪2画使って補強したんだけど、霊基の維持と宝具一発分しか魔力調整できなかったよゴメンね(てへぺろ)。
「え…?令呪を2画も!?大丈夫なんですか?」
寧ろ藤丸君の方が心配だよ、ジークフリートと仮契約したからファヴニールと戦闘になるのは必至だし、あの邪龍、強化されちゃったんでしょ?アーチャーとランサーを失った今、打てる手は打っておかないと。その為なら令呪2画くらい軽い軽い。それにこっちは魔王様憑いているからね、本当に協力してくれると思わなかったから余剰魔力はそっちに贈るよ。
「分かりました…ありがとうございます。
絶対に邪龍を打ち倒して見せます…!」
ポッケに藁人形をしまい込む藤丸君、間違ってもマシュちゃんとかに見られないようにしようね。変な誤解されそうだから。
そのまま日が昇るまで藤丸君と前回盛り上がったゴジ〇映画について語り合った。
話し合いの末、海外版のトカゲは〇ジラではないという結論に至ったよ。
うん、魚食うゴジ〇とかありえへん(謎の関西弁)。
人理修復を成す俺たちの前に現れた7つの特異点、その1つ目であるオルレアンもいよいよ佳境に差し掛かる。
数多のワイバーンを従え、邪龍ファヴニールすら手中に収めた竜の魔女。それに付き従う狂化の付与されたサーヴァント達。更には聖杯を所持しているであろう男、元フランス大元帥ジル・ド・レェに召喚された海魔達。それら全てを蹴散らして奴らの持つ聖杯を回収し、フランスを元の歴史に戻さなければならない。
幸い聖人コンビの洗礼詠唱により、ジークフリートに刻まれた呪いは完治した。やたら「すまない」言ってくる頼りなさげなお兄さんだけど、彼が居ないとあの強大なファヴニールを仕留めることはできない。藤丸君と頑張ってもらおう。
ギャオオオオオオオッッ!!
ワイバーン達がけたたましく吠え散らかすこの戦場で、両陣営戦いの火蓋は切って落とされた。
エリザベートと清姫はバーサーク・アサシンことカーミラと
マリーさん、アマデウスはバーサーク・セイバーことシュバリエ・デオンと
Xさん、セイバーさんは敵陣営が追加で召喚したバーサーク・アーチャー、真名アタランテにそれぞれ対峙している。
バーサーカーのアタランテはこっちにいるのに、アーチャークラスで召喚され狂化付与されたからバーサーク・アタランテ?よく分かりません。まあ初見で真名分かっちゃったよね。本人が名乗るより先に真名看破してやったらめっちゃ睨まれた、アーチャー怖い。「空気読まない汝が悪いのでは?」はいそこ後で尻子玉の刑ね。「なんでさッ!?」
「え…?冗談だよな?待って待って魔王来るな来るなよ来ないで下さい誰か助けぎにゃあああああああああああっっ!?!?」
尊い犠牲が出たところで話をもどそう。
そして我らが藤丸君とマシュちゃん、そして竜殺しの大英雄ジークフリートは、邪龍ファブニールと相見える事になった。
そんな激戦をよそに俺たちはと言うと…
「ぬうッ!?」
「ほらほらどうしたルーマニアの英雄、狂化されると護国の名将も形無しだなあ?」
既に敵の場内へ潜入しました。そんでもって城内を守っていたバーサーク・ランサーと戦闘中。
ジークフリートの提案により、藤丸君達が表で目立っている間に裏から城へ回り込み潜入した。首魁を叩けばファブニールもワイバーン達も烏合の衆、効率的な裏取り作戦だ。
「言い返せぬのが歯痒いが…これでもまだ冷静な方だッッ!!」
「お?」
バーサーク・ランサー、ヴラド三世が宝具を開帳して無数の棘が魔王様に突き刺さる…が、駄目ッ!
無敵結界で護られる魔王様には通用しなかった。
「それは私には効かないと、最初にあった時分かっただろ。ばーか。
……
「……断る、あれは余ではない。
余はアレを心より嫌悪し、忌避する。」
成る、とは恐らく彼の史実の事だろう。ヴラド三世は祖国を守る為、敵兵を串刺しにし戦意をくじいた。その残虐さ故に、後に彼は「
答えたヴラド三世に魔王様は呆れたように溜息を吐いた。
「これだから英雄は嫌いなんだ…もういい、教示や誇りに拘って勝てる可能性を自ら棄てたのならお前に要はない。
いつもは
風を切る音、続きざまに魔王様の姿が掻き消えた。英霊であるヴラド三世すら目で追えない瞬間移動の後、魔王様が現れたのは、彼の背中だった。
「終いだ、魔力貰うぞ。」
がぶり、とヴラド三世の首筋に魔王様の歯が突き立てられる。嘗て冬木の街で影のヘラクレス相手にやった、吸血による魔力奪取だ。
「ぐっ!?オオオオオオッッ!!
当てつけか貴様ァ!」
赤い霧状の魔力がどんどんヴラド三世から抜けていき魔王様へ吸い込まれていく。
必死にもがき抵抗するもやがて彼は膝を付き、そのまま光の粒子となった。
ああまた口の血を拭いてない…ほらじっとしてなさい。
「んん…ご苦労下僕。
この奥に出来損ないとギョロ目が居るぞ。
…あいつ私と名前被ってんだよ、速攻殺す。」
名前被っただけで因縁ふっかけられる大元帥、泣いていいと思う。
「ありがとうございます、魔王さん。
…行きましょう!」
意を決して奥の部屋へと進む善ヌさんの後ろを4人と1頭は追いかける。その先には情報通り、ジル・ド・レェと竜の魔女、もう1人のジャンヌ・ダルクが待ち構えていた。
「来ましたね、もう1人の私。…それからウザったいパジャマ女も。」
「…竜の魔女。戦う前に、私は貴女に聞きたいことがあります。」
「なんですか?冥土の土産にでもするつもり?」
「貴女…何者ですか?」
突然の質問コーナーに目が点になる竜の魔女。少しして抜けていた魂が戻ってきたのか、歪んだ笑で応えた。
「はんっ!今更知れたことを…私は「昔の事」……何?」
「昔の事を、まだ聖女と呼ばれる前、ただの村娘だった事を覚えていますか?」
「当たり前でしょう。
……………ええと…ほら…ううん…………あれ?」
なんで、思い出せないの?
自分で言いながら顔が青ざめていく竜の魔女。何言ってんだこいつ、と思うかもしれないが、今はシリアスタイムだ、黙ってよう。
狼狽える竜の魔女にさらに追い討ちをかけるように質問するジャンヌさん。
「一緒に過ごした兄弟達の名は?
子供の頃、いつもできたてのパンをおすそ分けしてくれたおば様の顔は?
……ジルと出会うより前の、聖女と呼ばれる前の私を、貴女は知っているの?」
「……あたり…まえ…です。忘れられる筈が……はず……が……」
ジャンヌさんが真っ直ぐ竜の魔女を見つめるのに対し、彼女は視線が宙を泳いでる。明らかに戸惑っていた。
「なんで……思い出せない…?居たという事は分かるのに…顔も…名前もぉ…」
「けけけっ…くひひひひひひっ……!」
背中で魔王様が嗤ってる、まるで楽しい喜劇を見ている子供のように。
「ジャンヌ!耳を貸してはなりません!
貴女は…「いい所なんだ、邪魔するな。」なっ…オッグェアッッ!?」
慌てて止めようとするジル・ド・レェの鳩尾に瞬間移動して蹴りを叩き込む。くの字に曲がった彼は部屋の隅に蹴り飛ばされ泡を吹いた。
そんな事も気にとめないほど、竜の魔女は動揺していて、正直見ていられない。
「何故…何故…クソッッ!!
どうして思い出せないの!?私は貴女!貴女に分かって私にわからない事なんて…」
「……そこから違うんですよ。」
「何よ!?」
「確信しました。貴女は私の暗黒面なんかじゃありません、同じ顔をした別の誰か。私ではない誰かにこうあって欲しいと願われ創り出された私の贋作。
それが貴女、竜の魔女ジャンヌ・ダルク…なんでしょう?ジル。」
責めるでもなく、哀れむわけでもなく、じっと竜の魔女を見つめていたジャンヌさんの視線が、未だにうずくまって浅い呼吸をしてるジル・ド・レェに向いた。
「……ふふふ、やはり貴女は聡明な方だ、ジャンヌ。オエッ…」
「……ジル?どういうこと…説明してよっ…!!」
「私がフランスを憎んでいると、信じていたのよね、ジル。こうあって欲しいと願った、貴方の願望が彼女を生み出した。」
返事はない、俯いたまま黙ってジル・ド・レェは頷いた。
フランスを救った救国の聖女ジャンヌ・ダルク。
彼女は聖女として生涯人を憎まず、恨まず、天寿を全うした。
ジャンヌ・ダルクは後悔はなく、未練もない。だが彼女を信奉する者までがそうとは限らなかった。例えばそう、彼女と共に命懸けで戦い、最も信頼された大元帥などは。
史実ではジャンヌ・ダルク死後、フランス大元帥ジル・ド・レェは錯乱し、幼い子供たちを攫っては、魔術の実験体としてその身体を辱めていたらしい。なんとも胸クソ悪い話だが、黒魔術によって死んだジャンヌ・ダルクを蘇らせる為だったとか、そんな噂も残っていた。
嘗て救国の聖女と呼ばれた女が、裏切り者の汚名を着せられ、守る筈の民から石を投げつけられながら、火刑に処される姿を間近で見た彼はきっと、「神の啓示に導かれ、惨劇の結末を迎えたジャンヌ・ダルクはフランスを憎んでいるに違いない。」と思い込んでしまったんだろう。それからジル・ド・レェは神を冒涜し、篤信に篤信を重ね死ぬまで神を愚弄し続けた。
信じた彼女を殺した敵に唾を吐き、憎み続けながら
「私は聖杯に願いました、聖処女の復活を…
ですがそれは万能の願望器をもってしても叶わぬ願い。故に私は創り出した!
フランスを憎み、人類を憎み、神を憎む、私の望んだ竜の魔女をッッ!!」
魔王様が言ってたのはこれだったのか。
本物のジャンヌ・ダルクの別側面ではない、第三者が真似て作ったデッドコピー。ジル・ド・レェの願望をそのまま人格にした記憶を植え付けられたが故に、ジル・ド・レェがジャンヌ・ダルクと出会うより昔の事は思い出せないかりそめの霊基。それが竜の魔女の真実だった。
「そんな……ジル…私は……」
「……最早これまで、ですか。
だが……ッッ!!」
意気消沈する竜の魔女を尻目に、螺湮城教本を取り出して何やら反抗しようとするジル・ド・レェ、そうはさせるかとバサランテに目で合図を送り、すぐさま彼女の矢が数本、無防備だった彼の霊核を正確無比に貫いた。でも宝具の光はまだ消えていない!?
突如部屋が揺れ始め、かと思ったら壁と天井が吹き飛んで触手の壁が俺たちを囲うように展開される。
「フフフ…一足遅かった……ですな。結界を張らせて貰いました……これで…貴方達は見ている事しかできない…ッ!!」
結界!?
「聖杯よ、手筈どおりに動きなさい!
その魔力と奇跡でもってかの邪龍に力を!呪いを!そしてこの世界へ破滅をもたらす光とならん事を!」
晴れ晴れと、高らかに、死にかけの魔術師は叫ぶ。
「ジャンヌ…おおジャンヌ…!
先に逝きます…例え貴女が私の創り出した一時の夢だとしても、聖杯にすら叶えられぬ程清らかなる乙女だったとしても、もう一度貴女に会う事が出来て、本当に……よか…」
言い終わらないうちに、ジル・ド・レェは消滅した。
「ジル…変わり果ててはいても、貴方ともう一度出会えて…私も…」
「魔王様、結界破れそう?」
「なめんな…よっ!」
ゼットン程じゃないが、魔王様の指先から飛んだ火花が触手の壁を焼き尽くす。が、触手の先にはまだ薄い膜のようなバリアが展開されていて、ここからだと藤丸君達の姿は見えるものの、結界を破壊しないと加勢にも行けない状態だ。
「ちっ…面倒だな、この結界はあの男の言っていた〝せーはい〟で作られたものらしい。
破れんことはないが…内側のお前がただでは済まん。それでも破壊するか?」
それってゼットンなんて使おうものなら結界内を行き場を失った熱が埋め尽くすってことですやん!一兆度でレンチンされるって事か!?
流石の俺でもそれはお断りします
所長!シリアスに空気読んで回線も開かずに黙っててくれた心優しい所長ー!
『何度も呼ぶな、聞こえてるわよ!あとアンタにだけは空気がどうこう言われたくないわ!
藤丸達が相手してるファヴニールの魔力が急上昇してるってロマンが観測したわ。聖杯はジル・ド・レェじゃなく、あの邪龍が所持していたのよ。
それと…結界の維持は聖杯がおこなってるみたいだから、聖杯を破壊するか使用権を奪って操作しないと解除は不可能みたい。
貴方に出来ることは、藤丸を信じて結界の中で待つだけよ…』
結局藤丸君頼みかあ!困ったなあ!
結界の向こうで未だに激戦を繰り広げてる藤丸君達の方を見やる。
ファヴニールの姿が肉の裂ける音と共に膨れ上がり、別の何かへと姿を変えていく。一瞬だけ見えた聖杯は肉に飲み込まれ、奴の体内奥に消えていった。
轟音が空気を揺らす。巨大な爪はさらに鋭く成長し、禍々しかった眼光は更に闇を帯びて、目を合わせれば魂ごと呑み込まれてしまいそうだ。頭の角がメキメキと不快な音を立て、体つきそのものを、骨格からファブニールを歪に変えていく。
聖杯による進化を終え、大地に立ったファブニールの姿に最早以前の面影は全くない。理性のない化け物の天を割るような咆哮をを聞きながら、背中の魔王様は目を真ん丸にして、俺だけに聞こえるくらいの声で小さく呟いた。
「…………魔王…アベル?」
聖杯は本物を呼べない、故にソレは贋作を創り出す。
所有者の願いの元に
圧倒的な破壊を
徹底的な殲滅を
絶対的な焼却を
ファブニールという基盤の元に、贋作に贋作を塗り重ね、産まれい出たその魔獣は、奇しくも遠い別世界、遠い昔に、図らずも世界を敵に回してしまった
もう一度、
次かその次でオルレアンは終わりそう
(フラグを立てまくってどうしようって思ってる顔)
まあ相手龍だし多少はね?