『藤丸!マシュ!今すぐラ・シャリテから脱出しなさい!
消えた筈のエネミー反応がこっちへ戻ってきてるわ!』
「…え?」
焦るオルガマリー所長の声に思わず動揺する私達。
ラ・シャリテに来てから、有栖宮さんが生き残った街の人達の下へ向かい、私と先輩はセイバーさん達と共に、他に生き残った方が1人でもいないかと捜索を続けていました。
途中アンデッドに遭遇する事もしばしばありましたが、アヴェンジャーさん達の露払いのお陰か比較的順調に街の捜索が出来ています。そんな矢先の出来事でした。
『強いエネミー反応が複数、高速でラ・シャリテに向かってきてる。これは…恐らく君達の魔力反応を探知して戻って来たんだ!
まずい、向こうはサーヴァントを5基も連れているぞ。しかも霊基がなんか変だ!
ムニエル君、大至急有栖宮君に藤丸君の下へ戻るよう伝えてくれ!』
ドクターロマンはホログラムの向こうで必死に解析しながらムニエルさんへ檄を飛ばしています。
「…不味いなマスター。」
「はい、私達でも探知できる距離まで敵は来ています。ですが…」
「いいねェ、おかしな魔力がビンビン伝わってくるぜ。こりゃ相当霊基を弄ってやがるな。」
「セイバー!?セイバーが居ますね!よし殺す!」
「Xさんはいつも通りだね…」
サーヴァントの皆さんは警戒しています。先輩もいつもの調子のXさんに苦笑いしていますが、その頬には冷や汗が伝っていました。
ブリテンの騎士王やケルトの光の御子が唸るほどの強敵…敵は一体どれだけの戦力を?
その時、彼方から甲高い叫び声が響き、空がワイバーンで埋め尽くされました。そして、黒い個体に乗った5基の英霊が私達の前に降り立ちます。
禍々しい雰囲気を放つ槍を持った男性
仮面で顔を隠し、薄ら笑う女性
聖職者の様な出で立ちに、大きな杖を持つ女性
軽装の騎士の様な風貌の男性…?
彼等一人一人から強い魔力を感じます。そして、向けられている敵意も、私の背筋を冷たくさせました。
そして最後に降り立ったのは、ジャンヌさんにそっくりな見た目をしたサーヴァント。ただし服装と持っている旗は真っ黒で、顔を歪ませてこちらをせせら笑っているようです。
「……ッ」
やがて彼女はジャンヌさんに目をつけ、より一層笑みを深くしました。
「…まあ。」
「……?」
「…ねえ、私は夢でも見ているのかしら?
誰か水でも掛けてちょうだい。やばいの、本気でおかしくなりそうなの。
だってそれくらいしないと、あんまりにも滑稽で笑い死んでしまいそう…!」
「…彼女は何を…」
「ねえ見てよジル!あの哀れな小娘を!
何あれ、羽虫?ネズミ?ミミズ?
どうあれ同じ事ね、ちっぽけ過ぎて同情すら浮かばない!」
えと…誰に向かって話してるんでしょうか彼女は…
「ねえジル、貴方もそう……て、そっか。
ジルは連れて来ていなかったわ。」
ひとしきり蔑むように笑って、ジャンヌさんのそっくりさんは大きく舌打ちをしました。
「貴女は…貴女は一体誰なのですか?」
「それはこちらの質問ですが…まあ、上に立つものとして答えてあげましょう。
我が名はジャンヌ・ダルク。
蘇った救国の聖女ですよ、もう1人の私。」
もう1人の…ジャンヌさん…?
「馬鹿げたことを…
貴女は聖女ではない、私がそうでないように。
いえ、それはもう過ぎたこと。何故この街を襲ったのですか!?」
「何故…かって?
そんなもの、同じ私ならよく理解しているはずでしょう?属性が反転してるとこんなにも鈍いのね。
この街襲った理由、そんなもの…」
単にフランスを滅ぼす為ですよ。
私、サーヴァントですもの。
さも当たり前のように、嗤いながら、黒いジャンヌさんは答えました。
「政治的とか、経済的とか、回りくどいでしょう。物理的に全部燃やしてしまった方が確実で完璧です。」
「馬鹿な事を…!」
「馬鹿な事ォ?
愚かなのは私達でしょう。
何故、こんな国を救おうと思ったのです?
何故、こんな愚者共を助けようと思ったのです?
私を裏切り、唾を吐いた連中だと知りながら!」
吐き捨てる黒いジャンヌさんに、ジャンヌさんも苦い顔をしてしまいます。
そも、ジャンヌ・ダルクの最期はあまりにも有名です。国を救った聖女は、最後には政治的に利用され、処刑されてしまう。数々の書物に遺る彼女の最期は、第三者である私達から見てもかなり酷いものでした。それこそ、恨み言のひとつでも言いたいくらいに。
「それは…」
「私はもう騙されない。もう裏切りも許さない。そもそも主の声など聞こえない。
主の声が聞こえない、という事は、主はこの国を見放したということです。
だから滅ぼします、主の嘆きを私は代行します。
人類種が存続する限り、私の憎悪が収まらない。このフランスを沈黙する死者の国に作り替える。
それが私。それが死を迎えて成長し、新しい私になったジャンヌ・ダルクの救済方法です。」
彼女の闇はそれほどまでに…このフランスを焼き尽くす程憎いものなのですね…
それでも認めないジャンヌさんに業を煮やしたのか、黒いジャンヌさんは呆れ、そばに居たサーヴァント、ランサーとアサシンにジャンヌさんを殺すよう命令しました。
でも…あれ…?
狂化が施され、バーサーク・ランサーとバーサーク・アサシンの霊基はこちらとは段違い、かなりの強敵である2人のサーヴァント。先輩と私は彼らと向き合わなければならないのに、どうしても…
…どうしても、黒いジャンヌさんの頭上に集まる水色の塊が気になって仕方ありませんでした。
「…ん?なんなのです、哀れにも聖女に拐かされたそこの2人。
私の顔に何か……きゃあっ!?冷たっ!!!」
ばっしゃーん!と、黒いジャンヌさんの頭上に浮いていた水の塊が勢いよく弾け、そのまま黒ジャンヌさんはずぶ濡れになりました。
「な…な…な……」
私も、先輩も、ジャンヌさんも、今にも襲いかかろうとしていた2人のサーヴァントまで、一同が呆気にとられ、場が静まり返ります。それはもう、しーんと。
「あっはっはっは!みろ下僕、あの女の悲鳴聞いたか?『きゃあっ!?』だって、うっける~〜。」
そんな中、場違いな程明るい声を響かせながら私たちの前に現れたのは…
「で?竜の魔女(笑)がなんだって?」
この上ないくらい愉悦の表情に顔を歪ませながら嗤うパジャマ姿の魔王さんと、後から気まずそうに着いてくる有栖宮さんでした。
さあ諸君、竜の魔女ご登場による怒涛のシリアスタイムは如何だっただろうか?
凄いね、もう1人のジャンヌ。ここでは悪ヌと呼称しょう。
蘇った竜の魔女は復讐の為にフランスを滅ぼすんだってさ。善ヌを「搾り滓」と笑い、人間を絶滅させると豪語して、オマケに口挟もうとしたドクターロマンのコンソールが犠牲になった。睨むだけで掛かる呪いの類なんだってさ。
それらを通信越しに聞いた魔王様、大変上機嫌でございます。
もー怖いくらいニッコニコしてるね、
そして今、魔法使って悪ヌの頭上から水をぶっかけて御満悦。まあ悪ヌさん自分から水掛けてって言ってたし?是非も無いし?
「ほらお望み通り水掛けてやったんだ。礼くらい言ったらどうだ?ん?くっくっく…」
吹き出しそうなのを必死で堪える魔王様をこれでもかってくらい睨みつける悪ヌさん。あ、残念だけどどんだけ睨んだところで呪いは掛からないです。魔王に状態異常効かないからね。常識だね。あ、そんな姿を見るのが我慢出来なくなったのか魔王様爆笑し始めた。
「………貴女は?」
肩を震わせながら問いかけるも、腹を抱えて大爆笑したままの魔王様に更に顔が引き攣る悪ヌさん。
一通り笑い終えて、やっと息が整い始めたのか、漸く澄んだ水色の瞳が悪ヌさんを見つめる。
「はぁ…はぁ…ひぃ~
こんなに笑ったのは何年ぶりだ?
面白いなお前、哀れで、空っぽで、滑稽な女。こういう奴は久しぶりに見たよ。
生後数日のお前の安っぱちな憎悪で一体何を焼く気だ?枯葉か?芋でも焼くのか!?だったら笑えるなあ!
おい下僕、私の頬を抓ってくれ。夢かもしれん、笑い転げておかしくなりそうだ!」
はいぐに~、夢じゃないよー。
「ふひゃっ…?ほんほうにひゅるやひゅがあるふぁぶぁは~!」
「ッ…!お前は誰だと言っているッ!!」
魔王様のすべすべほっぺをむにゅむにゅやってたら悪ヌさんの怒号がこだまして、ビリビリと空気が震える。思わず竦み上がるような迫力だったけど、魔王様は全く意に返さずに、嘲るように嗤ったままだ。
「お前のような小悪党に名乗る名など持ち合わせていないよ、ばーか。
あのいけすかない聖女から、よくもこんな道化が産まれたもんだ。いや違うな、羽虫か?ミミズか?それともネズミか?あの聖女をそう呼ぶなら、模倣品であるお前もそういう事になるよなぁ?ひひひっ…」
あ、悪ヌさん明らかに不機嫌になった。自分が言ったことそのまま返されてやんの。
「……ッどうせ殺すから名前は聞きません、貴女も聖女の味方ですね?」
「私がぁ?そう見えるのか?三流な上に人を見る目もないな、お前は。
アイツの目、嫌いなんだよ。
アレは本物の聖者の目だ。人に使われ、人に騙され、死んでもなお、その瞳から希望は消えず。他人の為に自分が贄にされても、民が無事で有ればいいと、心の底から願ってる。他人を巻き込んで先導し、自分達が正義だと信じ込ませて強固な『群』を創り出す、この世で最も頑固で救い難い
そんな奴の仲間にされるのは心外だね。」
一様に笑い飛ばす魔王様に、善ヌも悪ヌも唖然としてる。善ヌさんちょっと落ち込んでたけど。
勿論、藤丸君やマシュちゃん、こっち側のサーヴァント達も同様だ。
今日の魔王様はよく喋る。
「それでぇ?生まれ変わった竜の魔女は人類をどうするんだったか。あんまりにもしょーもない話だったからよく覚えてないんだよ。」
煽るな煽るな、可哀想だろ。
「…だったら直に説明してあげるわよッ!!」
怒りの悪ヌさんから黒い炎が舞い上がり、津波のように俺と魔王様へと襲いかかる。
藤丸君そんな顔で見ないでくれ、大丈夫だよ。
魔王様、強いから
何もしていないのに、黒炎が俺たちを避けるように左右へ流れ、廃墟を焼き尽くした。
「なっ!?私の炎が…」
「なんだどうした、お前の復讐はもう終わりか?」
「舐めるなァッ!!アサシン、ランサー!宝具を使いなさい!」
「やれやれ、マスターは御立腹だ。悪く思うなよ、女。」
「あの聖女より美しいわね、貴女。さぞ美味しい血を持っていることでしょう。」
2人に魔力が集中し、宝具が放たれる。
「
地面から生えた杭が魔王様を串刺しにして、そのうえ影の中から現れたアイアン・メイデンが嫌な音を立てて魔王様を抱擁し、辺りが静まり返った。
悪ヌさんだけが満足そうにニヤついてた。
わーおやったね、宝具による連続攻撃だ。これには流石の魔王様も…
ベギン!
と、アイアンメイデンの中から変な音がした。
中からメキメキと音を立てながら鉄の処女をこじ開けて、魔王様が這い出ててくる。ちょっと貞子っぽかった。
勿論、その体に一切の傷跡はない。
ランサーとアサシンが露骨に驚いてた。悪ヌさんもっと驚いてた。
はい。まあ無駄なんですけどね。
魔王様には頭おかしいチート能力が2つ、備わってる。
ひとつは不老不死、バラバラにされても蘇る超再生能力。
もうひとつは無敵結界、神属性…神性を持たない攻撃の完全無効。
このふたつをもって、魔王ジルは元の世界で最悪の存在として君臨してきた。この守りを突破出来るのは、かの世界では2本しかない聖剣だけだったらしい。
……こっちの世界はどうなんだろう?藤丸君のセイバーさんが持ってるエクスカリバーは超有名な星の
まあそれはそれとして、神性を持たない宝具など魔王様に通じるようもなく。こうやって皆からドン引きされてる訳ですが。
「馬鹿な…!?」 「嘘でしょう?傷一つ無いなんて…」
「だらしないな、この程度かよ
ギリシャの大英雄と比べられる向こうの身にもなってあげてよ魔王様。
『大量の杭にアイアン・メイデン……
あの二人の真名が分かったわ、男の方はルーマニアの英雄ヴラド3世。女の方は血の伯爵婦人カーミラよ!』
所長の言葉にマシュちゃんが反応した。
「ドラキュラの元になった伯爵と、少女の血を飲んで若返ろうと殺人を繰り返した婦人…
そのサーヴァントですか!?」
「史実がヤベー奴筆頭じゃないですかやだー」
カーミラとヴラド三世、どっちもえげつない史実の持ち主か…
でもどれだけ人を串刺しにしようが、血を啜ろうが、この世界の人間は〝魔王 〟にはなれない。そういう呼称でなく、異名でもなく、正真正銘の〝魔王〟という1個体。それが魔王ジルという存在だ。
なんて、そんなことどうでも良さそうに魔王様が一笑し、ニヤニヤ悪ヌさんの方を見つめる。
「クソックソッ!なんなのよ…なんなのよお前ぇッ!!」
段々メッキが剥がれてきたのか、魔女の体裁とかかなぐり捨てて悔しがる悪ヌさん、段々可哀想になってくる。
「ワイバーン!奴らを食い散らかしなさい!」
あーだいぶ頭に血が上ってますね、質でも駄目なら数で勝負とか…
「馬鹿だろお前。『ゼットン』」
シュポッと、魔王様の人差し指から火が灯る。
ライターの火くらいの大きさからどんどん広がって巨大な火球になり、打ち上がったそれは空中で破裂して爆音を響かせた。
少しして、炭になったワイバーンがハラハラと降ってくる。
1兆度とかいう馬鹿みたいな熱気に焼かれ上空のワイバーンはあっという間に全滅した。
「……………」
ぽかんと口を開けて絶句する悪ヌさん。
なんて言うか、放心状態だ。
それだけ魔王様と悪ヌさんの差は圧倒的だった。
「さしずめ私に襲いかかると見せかけて、下僕や他の連中を集中的に狙うつもりだったんだろう?見え見えなんだよ、私とお前じゃ年季が違うんだ。
産まれたばかりの雛鳥が、身の程も弁えず『食い散らかしなさい』とか…プークスクスwww」
「うっ…ううぅ〜ッ!!!」
あかん、半泣きになって地団駄踏んでる。口喧嘩に負けた小学生みたいだ。ちょっと可愛い痛い痛い痛い痛いッ!?
足!足踏んでる魔王様!ちょー痛い!
「(色目を使うな、ばか下僕…)
やーいばーかばーか、お前ん家触手屋敷~。」
そのとき、悪ヌのの中で何かが途切れたんだと思う。それはもうぷっつんと。
「こ…殺す!ぶっ殺す!アンタは絶対私が焼き殺してやる!うがーーーっ!!」
もはや竜の魔女の威厳とか暁に彼方に飛んでいった悪のジャンヌ・ダルクは半狂乱になりながらお供のライダーとセイバーに慌てて抑えられてる。君らも苦労してるね…
「このっ…殺してやるッ!!アンタは絶対呪い殺してやるからぁ!」
「残念だったな、私に呪いの類は効かん。常に呪われてるから!」
「き~〜ッ!」
「お、落ち着くんだマスター!」
「そうよ!冷静さを欠いたらこっちの負けよ!例え向こうの言ってる事が正論でも!」
ライダーさん、それトドメや
「こ、ここは一旦引いた方が良さそうね…」
「珍しい、貴様と意見が合うとはな。
マスターが不安定になったせいか、この身の狂化も薄くなりつつある…」
気まずそうに撤退を推奨してるカーミラにヴラド三世も同意した。さらにライダーが呼び出したなんかでっかい亀(ガメ〇に似てる)に乗って5人は飛び去った。
めっちゃ回転しながら空飛んでたけど、あの人ら酔ってないんだろうか…
「藤丸君、ガメ〇だったよね今の…」
「はい。〇メラでした…」
目をキラキラさせながらガ〇ラが飛んでいった方向を見つめる藤丸君。キミ、中々分かる子だね。特異点から戻ったらじっくり語り合おうじゃないか。
「……あの上手くいかないことがあったら途端に子供に戻って駄々こねる感じ、昔の私にそっくりでした。やはり彼女は私の…?」
善ヌさん、真面目な顔してナチュラルに悪ヌさんをdisるの止めてあげて?流石に魔王様にあんだけボロっカスにやられてアナタにそう言われたら、立ち直れなくなるよ、彼女。
『えと…あのさ…?気まずいんだけど、これ…』
危機を脱したって事で良いのかな?所長。
『え?私に振るの?』
「あー笑った笑った。あ、魔力使ったから補給な。適当な民家見繕ってヤるぞ。」
最早ムードも何も無いがいつもの事か、取り敢えず次の街に着いたらね…
「マスター…汝は…まあ、仕方の無い事なんだろうが…」
何か言いたげなバサランテ、言いたいことは分かる。
でもな、これもパートナーとしての務めだから。
…断じて男が発狂するレベルの超絶美女から毎日求められてラッキーとか思ってないから、断じて。
「心の声が透けて見えるぞマスター。」
「煩い奴だ、文句あるのか猫娘。
…また尻子玉抜かれたいの?」
「ひぃっ!?もう勘弁してくれ!あんな方法で魔力抜かれるのは御免だ!」
必死にお尻を抑えながら挙動不審になるバサランテ。そんなに痛かったのか…
「いやっ…どっちかと言うと気持ちよくて…いや何でもない。黙れマスター!」
「…えいっ」
「ぎにゃああああああああああっ!?!?!?」
音もなく後に忍び寄った魔王様が、バサランテの下腹部からナニかを引き抜いたのが一瞬見える。その直後、
その時、ガシャーンと俺達の前に硝子の馬が飛び込んできて、なんかキラキラした女の子と髪の毛凄いことになってる痩せた男が現れた。
「乙女の悲鳴を聞き付け即参上!
御機嫌よう皆々様方!
フランスの危機にこの私、マリー・アントワネット推参です!
さあ、そこまでになさい竜の魔女!…て、あらら?」
「マリア、僕達出遅れた感が否めないよ。」
「まあなんてこと!此処へ来る前に見つけた避難民らしき方々を正規軍の居る街まで見送ったのが仇になったのかしら!?」
お、あの人達助かったのか。良かったね。
唐突に現れた彼女達に事情を説明して仲間になってもらい、俺達はラ・シャリテを後にしましたとさ。
………バサランテ、大丈夫?
「こ…腰が抜けて…動けない…うぅ…
もう尻子玉は嫌だあ…」
「クソッ!!クソッ!!!あの女、絶対殺してやる!
この私を三下扱いするなんて…絶対後悔させてやるんだからあッ!!
ああもう思い出しただけで腹が立つ!今に見てなさい!あの白肌丸焼きにして、首切り落としてあいつらに食わせてやるぅぅぅぅぅ……!!!」
「(どうしよう、僕等のマスター煽り耐性ゼロだよ…)」
「(今はそっとしておきなさい、私も生前はよくヒスを起こしていたわ。こんな時は、放置して発散させるのが一番よ。)」
「(…貴様も苦労していたのだな…)」
「(煩いわね!下手な慰めは不要よ!)」
「(それとさ…ひとつ言ってもいいかな?)」
「(何だ) 「(何かしら)」
「ライダーが召喚したこの亀、ぐるぐる回って…いい加減酔ってきた…おえっぷ…」
「「確かに……」」
うっ……………
竜の魔女、ジャンヌ・ダルクに召喚され、狂化属性を付与されたサーヴァント達が帰還後最初に向かった先は、トイレだった。
「何よ、あれくらいの回転でだらしないわね。三半規管を鍛え直してきなさい。」とは狂える聖女の言である。凄女パネェ。
シリアスなんて作者には書けんかったんや