無口・無愛想・無欲の三無提督   作:零崎哀識

1 / 7
知ってる人はお久しぶりです。

でも、大半は知らない人忘れた人だと思うのではじめまして。

完全なる見切り発射作品です。

人気が出れば続くかも。

タグにつけた方が良いものあったら教えてください。


就職という名のプロローグ

15年前突如現れた深海棲艦によって全世界の海域8割以上が制圧された。

 

深海棲艦には既存の兵器では効果が薄く、当時一番軍事力を保有していた某大国が痺れを切らして核兵器を使用したが。

 

駆逐艦レベルなら大破、撃沈させることが出来た。しかし、軽巡洋艦レベルなら中破、重巡洋艦以上となってくると良くて小破、ほとんどは無傷であった。

 

しかも、核兵器が使用された海域は深海棲艦の動きが活発化した。

 

某大国は各国から総バッシングを受け、責任として国土の4割を他国からの移住の受け入れ先として提供しなければいけなくなった。

 

その為、某大国は今では大国と呼べるほどの力を持っていない。

 

その移住を行った者達の大半は深海棲艦の影響を受けやすい海で囲まれた島国の有力者である。

 

我が国、日本も例外ではなく、政治家に官僚、資産家など半数以上が我が身可愛さに国外逃亡した。

 

総理大臣が辞職することを発表した時にはこの国はもう終わったと全国民が感じた。

 

しかし、この国は終わることは無かった。

 

指揮をとったのは総理大臣とは別の国のトップである天皇陛下である。

 

日本に残った政治家や陸自、空自、海自のトップとともに深海棲艦の進行を遅らせた。

 

遅らせただけで反撃はおろか進行を止めることことの出来ないじり貧状態が3年ほど続いたところに救いの女神とも呼べる存在が現れた。

 

娘型自律思考軍艦

 

通称艦娘である。

 

彼女らはどこからともなく現れた。

 

自身はかつての軍艦そのものであり、海から訪れた危機に対し、自国の力になりたい。と言った。

 

天皇陛下はその話を聞き、三日三晩話し合いを行った結果、彼女達の力を借りることにした。

 

正体不明の怪物の相手は訳のわからない彼女達に頼ろうと。

 

ぶっちゃけ過ぎだと思うが、そこまでこの国に追い詰められていた。

 

その後、艦娘は深海棲艦を予想以上に圧倒していき、占拠されていた海域を現在では半分も取り戻すことに成功した。

 

そのような戦争の中、次の世代を担う若者らはというと。

 

就職氷河期を迎えていた。

 

というよりもう迎えて10年以上である。

 

通常、戦時中というのは人手が足りなくなるものだ。

 

実際、艦娘が現れ、深海棲艦への有効打になるまでの約三年間は召集令いわゆる赤紙制度が復活していた。

 

しかし、人の数十倍の戦果をあげる艦娘がいる現状では新たな人間を雇うよりも艦娘が戦う為の資材に費用を回した方が国の為になる。

 

結果、海自は艦娘が必要とする提督以外を除くと専門的な知識を持つ者やいわゆるエリートと呼ばれる以外は現状必要としていない。

 

陸自と空自も必要としてる人材は同じだ。

 

一般企業に就職するにもどこの会社も余裕はない。

 

しかも、この10年で日本で必要とされている職種が一変した。

 

まず一番多い職業が農家や林業といった第一産業である。

 

有権者が減り、深海棲艦による被害で土地だけは余っている(国外に出て行った有力者が文句を言ってきたが、残った全国民が一丸となって黙らせた)。

 

しかも、海という貿易のための道を封じられた島国にとって食物自給率を上げなければ国は終わる。

 

いくら良い品種があると言っても漁業が出来ない現在は江戸時代にも劣る。

 

輸入に頼らなければいけないのは深海棲艦が現れる前とさして変わっていない(深海棲艦に敵対行動を見せない限り、雲の上ならば行き来が出来る)。

 

輸入をするには輸出をしなければならない。

 

大してとれるもののない島国から外に出せるものが次に多い業種となっている。

 

深海棲艦が現れるまでは考えられなかったのだが、サブカル産業である。

 

この名前に馴染みの無い人がいるかもしれないの簡単に言うとアニメやゲーム、漫画と言った娯楽品だ。

 

機材は元々国にあったものを使った為、かかるのは人件費と電気代、ネットを介せば世界の裏側まですぐに届き、複製にもコストがかからない。

 

そう言って深海棲艦に指揮をとった天皇陛下自らが推奨した。

 

これが当たりサブカル大国日本と化した。

 

長々と話したが、何が言いたいかというと、

この国では土地か技術がないと働くことが難しいのである。

 

現在、8月になるが大学四年の俺は合同職業説明会に来ている。

 

8月なのにまだ合同職業説明会が行われていることは驚きだが、人事のやる気はそこまで見られない。

 

会社からしたら即戦力となる人材はもう残ってないのだから仕方ない。

 

朝から三社ほど回ったが熱意が見られないと説教をされた。

 

まさか、普通の会社説明会に誘われないとは。

 

今までの会社からもほとんど似たような理由で落とされた。

 

まぁ、熱意なんてものは生まれてこのかた持ったことが無かったからな。

 

時間的にあと見れるところは一社くらいなのでどこか大手を見ていくか。

 

単位を三年までにほぼ取り終え、研究室しか大学に行く必要が無いようにして就活に望んだ真面目だけが取り柄の俺の言葉とは思えねえな。

 

とりあえず、一番大きな企業ブースで受付をし、席に座った。

 

さっき受付で説明会が始まるまで30分近くあると聞いたのにもうほとんどの席が埋まっていて、一番後ろの左から三番目の一席しか空いていない。

 

今回の合同説明会の目玉なのだろうか?

 

紙の無駄使いは出来ないため説明会でもあまり資料を配らない。

 

その為、この企業がなんなのか周りを伺うがなんか真面目そうな眼鏡をかけた奴ばっかである。

 

眼鏡

眼鏡

ムキムキ

眼鏡

ムキムキ

眼鏡

眼鏡

眼鏡

ムキムキの眼鏡

がり勉の眼鏡

もやしの眼鏡

ムキムキ

 

といった感じである。

 

いや、マジでなんの集まり?

 

えっと、もしかして企業で言っていた熱意のある奴って眼鏡のこと?

 

そういや、自社の説明会呼ばれたやつが眼鏡だった気が……………地味にムキムキ率も高い。

 

とりあえず、帰りに伊達眼鏡買っとくか?

 

苦学生の俺としては伊達眼鏡の出費は地味に痛いんだよな。

 

というか、伊達眼鏡っていくら位すんだろ?相場が分からん。

 

レンズが入っていない分普通の眼鏡よりは安いはずだが、

あ、なら使ってないサングラスのレンズ部分を外せばいいんじゃね?

 

おー、冴えてるぞ。俺!!

 

これでもやし生活をせずに済む。

 

いや、もやしも上手いけどね。ゴマ油で炒めてカップラーメンの塩に乗せたら最強だし。

 

「……というわけで、私達はこの国の為に日々努力しているのです」

 

と、下らないことを考えていたらいつの間にか説明会が始まっていた。

 

ちくしょー!いまだなんの会社かわかってねえ!

 

……ていうか説明してる女性も眼鏡だし!?

 

え、やっぱ眼鏡って就活の必需品だった?

 

それとも眼鏡販売店か何かすか?

 

それに、なんか女性の右肩に乗ってるちっこいマスコットキャラの人形も眼鏡かけてるし、うわ、これ完全に眼鏡に関する会社でしょ。

 

どうするかな、こちとら視力は左右ともに1.5だぞ。

 

志望動機とか聞かれても困る。

 

また、熱意がどうとか説教食らうはめになる。

 

もうこの際、あのマスコットが気に入ったからとか言ってみるか?

 

眼鏡に対する熱意で勝負するよりは奇をてらっていて良い線行く気がする。

 

そうと決まったら少しでも話せることを増やす為に観察しないと。

 

えーと、セーラー服っぽいのに上から白衣で萌え袖、髪型は後ろでまとめて三つ編み……もしかして眼鏡会社じゃなくて研究所とか?

 

あーなるほどねー、博士=眼鏡。

 

昔から続く、永久不変の方程式だよな。

 

ほら、あのマスコットも資料めくってるし、正解だろ。

 

 

 

……めくってる?

 

いやあ、ないない。

 

流石にサブカル大国日本とはいえ、それはないって。

 

だって、元手があんま無いから栄えた産業だよ。

 

わざわざマスコットの人形にそんな精密な動きする機能つけないって。

 

もう一度マスコットの手をよく見ろってほら資料なんてめくってないじゃん、眼鏡くいってしてんじゃん。やっぱ資料なんてめくってなかっ………もっと細かい動きしてんだけど何あれ?

 

え?人形じゃないの?てか、他の人はあれに無関心?

 

もしかしてあれってこの会社知ってれば当たり前の技術?

 

ここマジでなんの会社だよ!?

 

皆さん、あれ作れるような出来の良い方達すか?

 

うわー、わかっていたけど場違い感ヤバい!

 

もし、俺のせいでこの会場に入れなかった人いたら申し訳無さすぎる。

 

ホントにごめんなさい。会うこと無いであろうスゴい人。

 

てか、あのマスコットこっち見てない?

 

うん、見てないよね。気のせい気のせい俺みたいな熱意が無い、矮小でちっぽけな存在は見る機能があっても俺を通りこして俺の後ろの壁が見えるまである。

 

ノシ

 

すんません!透けるなんて高等技術俺には無理した!

 

やっぱ見られてます。だっていい笑顔でこっちに手振ってんもん。

 

 

 

……いや、現実を見ろきっと夢だ。疲れてんだ。あまりにも就活が上手く行かなくて心労がたたったんだな。あの長い待ち時間で寝ちまったんだよ。誰だよ俺のこと真面目って言った奴。説明会で寝るとか不真面目にもほどがあるだろ。ほら、定番だけど太ももにボールペンつきたててみろって、痛くないか、痛みで目が覚めるはず……うん、やっぱ痛い。

 

寝てないとなると幻覚とか?うわー、ヤバい薬やってる人じゃん。薬やってないにしてもこのまま就活続けんの無理じゃね?

 

このタイミングで療養?人生積んだわ。一生無職だわ。別に働きたいってわけじゃないんだけど、もう大学の学費で親の遺産無くなっちまったし、現実的に金が欲しい。

 

やべ、先のこと考えたら死にたくなってきた。

 

帰りに伊達眼鏡買う予定無くなったし、海でも寄って行こうかなー。群馬生まれだから一度も海を生で見たこと無かったし、海水浴場が近くにあるらしいし、丁度いいわ。

 

最近、深海棲艦が現れて全国の海水浴場が使用禁止になったていう件の海水浴場がね。

 

「……それでは時間にもなりましたし、次で最後の質問とさせていただきます。最後の方はこちらで指名させてもらっちゃいますね」

 

なんか、もう説明終わってるどころか、よくある質問タイムも終わりかけてんじゃん。

 

最後に逆指名とか眼鏡のお姉さん、斬新過ぎ。

 

ま、別にいいか。俺の人生も終わりそうだし。

 

「それでは一番後ろの左から三番目のあなた。何か質問ありませんか?」

 

早く終わんないかなー。てか、一番後ろの左から三番目の奴早く答えろよ。……なんかこのフレーズに既視感を感じる。

 

「えー、……質問はありませんか?……無いなら無いでそう言ってもらえるとありがたいんですけど……」

 

……眼鏡のお姉さんがこっち見てる気がする。お姉さんだけでなく、眼鏡かけたマスコットもこっちを見てる気がする。てか、会場中の眼鏡がこっちを見てる気がする。

 

一番後ろの左から三番目……っ俺じゃねえか!馬鹿野郎!!

 

「はい」

 

やべ、勢いで立っちゃったよ。

 

「べ、別に座ったままで良かったのですが。……質問あります?」

 

眼鏡のお姉さんに大分引かれたよ。

 

でも、立ってしまったからには質問しないと。

 

これで無いって座ったら迷惑かかり過ぎでしょ。

 

今、この瞬間大分迷惑かけてんのに。

 

質問質問質問……ヤバい。なんの会社か知らねえのに質問なんてねえよ。志望動機並みにねえよ。

 

えっと、志望動機はどうするつもりだったっけ?そういや、確か眼鏡よりもマスコットとかいう謎路線で行こうとしてたわ。

 

「……肩に乗せた。その小さいのはマスコットか何かですか?」

 

……なんか会場の空気が凍った。

 

あ、あのマスコットは俺の幻覚だった。

 

……さよなら俺の人生。

 

……よろしくサナトリウム。

 

「あなた就職の予定は?」

 

眼鏡のお姉さんが危険人物が社会に迷惑かける予定があるか確認してきた。

 

「今のところ無いです」

 

お姉さん、そんな心配しなくて平気です。迷惑かけませんって、帰りに深海棲艦と遠泳してくるんで。

 

「お名前は?」

 

個人情報を握って逃げられないようにですか?

 

もう降参です。別に海とかいいや。

 

「三無 冷利(みつなし れいり)と申します」

 

「では、三無さん。大淀型1番艦 大淀があなたを採用します」

 

なんか氷河期が明けた。

 

 




今日の妖精
試製51cm連装砲
見た目は本文で記した通り。
眼鏡
三つ編み
白衣
萌え袖
と属性が多い。

ぜひ、六頭身で見てみたい。

ちなみに大和型が積みますが今回は妖精のみの艤装抜きなので大淀さんでも乗せられます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。