無口・無愛想・無欲の三無提督   作:零崎哀識

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続きました。



着任と言う名の島流し

就職が何故か決まった後、詳しい話は明日と言われたので帰宅したのだが明日どこに行けば良いのか説明をされていないことに気づいて、せっかくの就職先が無くなりそうな現状にまた死にたくなった。

 

今日起きたことはやっぱり夢なのかなと思ってみようしたのだが、俺の頭の上にいるマスコット(仮)が髪を引っ張る痛みがあるので現実だと再認識させる。

 

てか、ハゲたくないのでマスコット(仮)に止めさせ、ちゃぶ台の上に下ろした。

 

そこで気づいたのだが、マスコット(仮)が会場で見たマスコット(仮)と別の奴っぽい。

 

だって眼鏡してないもん。(確信)

 

目の前にいるマスコット(仮)はサイドテールで水兵っぽい服装をしており、眼鏡の代わりに双眼鏡越しにこちらを見てる。

 

てか、俺って結局どこに就職出来そうなわけ?

 

あの眼鏡のお姉さんの役職も変な名前だし、確かええーと

 

「大淀型一番官 大淀」

 

自分の名前入った役職名って(笑)

 

てか、一人しかいないとはいえ独り言とかないわ。

 

どんだけ寂しい奴なんだよ。……友達、家族いない寂しい奴でした。

 

もういっそのことハジケてみるか?

 

ジョジョ立ちして双眼鏡でこっちを見てるマスコット(仮)に向かって

 

シュッ!

 

「貴様!見ているなッ!」

 

ゴオオオオオ!!

 

……何DIO様やってんの俺?

 

ほら、マスコット(仮)も何こいつ?って感じで双眼鏡外してんじゃん。

 

飯食お。確か冷蔵庫にもやしがあったはずだ。むしろもやししか無かった気がする。

 

スーパーで無料でもらえる牛脂で炒め、塩胡椒で味付けをし、インスタントの豚骨ラーメンに入れて食った。

 

牛と豚の旨味のぶつかり合う味だった。

 

マスコット(仮)が涎っぽいの出てたから一口分別皿によそってやると嬉々として食べた。

 

やっぱマスコット(仮)生きてるわ。

 

薄々感づいているどころか、がっつりその予感してましたよ。

 

こんな時は教えてggks先生。

 

小人検索。水兵検索。生物検索。マスコット検索。眼鏡検索。白衣検索

 

……全く目当ての情報が見つからん。

 

謎生物過ぎて検索に使うキーワードが思いつかねえ。

 

他の情報といえば…………この時、俺の灰色脳細胞が輝いた。

 

大淀さんについてggksすればいいんじゃね。

 

大淀型一番官検索。

 

検索結果

 

大淀(軽巡洋艦)

 

大淀さん。後ろの( )の中身はなんですか?軍艦の種類のようなんですが……

 

 

 

アイエエエエ! 艦娘!? 艦娘ナンデ!?

 

てことはあの会場は海自の会場ってこと?

 

そりゃあ、今日の合同説明会の目玉になりますよ!

 

集まってた眼鏡とムキムキはガリ勉っぽい眼鏡と運動出来るムキムキが集まるわけですね。あいつら全員エリートじゃん!?

 

この謎生物マスコット(仮)も訳の分からない艦娘関係ってことっすね!

 

いやあ、納得納得……出来ねえよ!

 

なんで眼鏡とムキムキのエリートさん差し置いて俺なんかが採用されちゃってるわけ!?

 

実は俺エリートだった?……ないない、真面目だけが取り柄のボッチがエリート?むしろポンコツの部類だろ。

 

ボッチだし、熱意無いし、陰キャだし、貧乏だし……なんか言ってて悲しくなってきた。

 

なんか変な方向に思考が進んでいる。趣味のボドゲで気分転換でもするか。

 

普通のゲームでも良かったのだが、通信要素のせいで図鑑をコンプ出来なくて通信要素のない、むしろ出来ないボドゲにはまった。

 

現在は材料費がかかるボドゲは値段が高騰しており、買えないが、深海棲艦が現れる前に買ったものが結構ある。

 

基本俺一人しか使わないから扱いが丁寧で保存状態がいい。

 

ぼっちで良かった。

 

じゃ、今日は初心に帰って将棋でもやるか。

 

え、対戦相手?自分に決まってんじゃん。ぼっちなんだから。

 

いやいや、一人ボドゲ面白いよ。

 

何狙ってるか分かるから妨害し放題だし、集中力あがって熱中するともう一人の自分とやってるみたいになってくる。

 

ちょっと何言ってるか分からないって人は相棒VSもう一人のボクをイメージして欲しい。

 

そんじゃあ、準備も出来たし対局開始(デュエル)!!

 

先行は玉の俺がもらうぜ!俺は2六歩でターンエンド。

 

ボクのターン。ボクは8四歩でって、なんか動かす予定の無かった駒が勝手に動いてんだけど?

 

俺は動かしていない。だが、この部屋にもう一人(一匹?)いる。

 

マスコット(仮)。犯人はお前だ。

 

……将棋やりたいわけ?

 

「やる?」

 

とりあえず聞いてみると双眼鏡をつけ、こっちを見ていたマスコット(仮)は頷いた。

 

ふっ、一人ボドゲで極めたこの極致。マスコット(仮)ごとき

についてこられるかな?

 

気をとり直して対局(デュエル)再開!

 

ここからはダイジェストでお送りします。

 

え?何これ?超面白い!

もう一人のボク状態が集中して無いのにやれるってコスパ最強じゃん

 

あんななりしてマスコット(仮)強い……

俺、負けるのか?

諦めちゃダメだよもう一人のボク!

相棒!?

君は一人じゃない。ボクも協力するから奴を倒すんだ!(結局、ボッチプレイ)

 

ふー、なんとか相棒と協力して勝つことが出来た。

 

ん?どうした、マスコット(仮)?駒を並べ直して。

 

もう一回?おけ、やろう。お前となら遥かなる高みへ行ける気がする。

 

俺たちの対局(たたかい)は終わらない!

 

御愛読ありがとうございました。次回の零崎哀識先生の作品にご期待ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン

 

終わらなかった。はじめて作品がエタらずに終わるかと思ったが、どうやらこの作品もエタる運命を迎えることになるっぽい。

 

昨夜は寝墜ちするまでマスコット(仮)と将棋をうっていた。

 

まさかミツトラルやユベリ達と超融合して、オーバーレイネットワークを構築して「「「「一つに」」」」になるとは思わなかったぜ。

 

てか、はじめての朝チュンの相手がマスコット(仮)って。

 

人ですらねえ。

 

ピンポーン

 

誰か来た。俺、密林になんかネット注文したっけ?

 

はいはい。今、開けますよ。

 

「三無さん。おはようございます。お迎えにあがりました」

 

宅配のお兄さんじゃなくて眼鏡のお姉さんでした。

 

「準備をするので少々お待ちしていただいても?」

 

「はい。では、車の方でお待ちしておりますので準備が出来しだいお越しください」

 

大淀さんが車に戻ることを確認し、扉を閉める。

 

……大淀さん。なんで家わかったんすか?

 

ストーカー?やだ。怖い。

 

艦娘の謎技術?もっと怖い。

 

……謎技術持つストーカーってヤバくね。

 

と言っても仕事の案内って落ちだと思うし、とりあえずリクスーに着替えるか。

 

朝食抜きはデフォだが、歯磨きはする。

 

 

 

数分後、就活スタイルで身を包んだ俺はマスコット(仮)を肩に乗せ、大淀さんが待つ車に乗車した。

 

そうして、行き先がわからないが車は発進した。

 

……俺、無用心過ぎね?簡単に誘拐されちゃうよ。

 

仕方ないよね。お菓子の代わりに仕事くれるって言うんだもん。

 

あれ?小学生より就活生の方が誘拐しやすいんじゃね。

 

でも、行き先くらいは聞いといた方がいいよね?

 

「どちらへ向かっているのですか?」

 

「これからあなたの職場になるところです」

 

「そうですか」

 

だからどこだよ!?

 

何がそうですかだ!会話能力が無さ過ぎて俺の身が危ない。

 

「お時間かかりますので寝ていらっしゃっても構いませんよ。昨晩はあまり眠ることが出来なかったみたいですし」

 

「では、お言葉に甘えて」

 

だからお言葉に甘えてじゃねえよ!

 

就職してばっかの新入社員が先輩の前で寝る!?おかしいだろ!え?やっぱ誘拐されちゃうんじゃね?

 

や、まあ、寝るって言っちゃったから怪しまれないように目は瞑って寝たふりはするけどさあ!

 

てか、なんで大淀さん。昨日俺があまり寝てないこと知ってんの?

 

ホンマモンのストーカーじゃね?

 

ストーカーが誘拐?怖い怖い怖い。

 

……逆転の発想だ。大淀さんが別に俺のストーカーでもいいんじゃねと考えるんだ。

 

大淀さん胸は無いけど美人じゃん。胸は無いけど。

 

そんな美人に好かれてるんだよ?怖がること無くね?むしろ役得じゃん。超最高!てか、あのスカートに入ったスリット何?エロくね?てか、パンツ履いて無くね?

 

……落ち着け、思考が変な方向に向かってる。こんな時はフィボナッチ数列を考えるんだ。

 

1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、710、1087、1797、2884、4681、7565、12246、19811、32057、51868、83925、135733、あってる?作者が電卓使わずにやってるから間違ってるかも。

 

何はともあれ落ち着いた。

 

そして、落ち着いて考えたら俺がそんな美人に好かれることない。

 

つまり、これは組織的な犯行です。

 

逃げなきゃ。

 

「つきました」

 

逃げられなかった。

 

目を恐る恐る開けると窓の無い部屋だった。

 

あれえ?さっきまで車の中だったよね?

 

ガチャン

 

何ガチャンって?

 

首輪されてんじゃん!?

 

「ここがあなたの職場です」

 

「えーっと……首輪しないといけない職場ってどんな仕事ですかね?」

 

「ただここに居てくれればいいんです。私の為に。一生」ハイライトオフ

 

帰ってきてハイライトさん!

 

大淀さんがありえないと思っていたストーカー。しかも、ヤンデレタイプたった件。

 

「あははは。一生というのはちょっと……」

 

「ちょっとなんですか? まさか困るなんて言いませんよね? 私の三無さんがそんなこと言うはずありません。だって愛する私といることが愛する三無さんにとって幸せなのですから。愛する三無さん。三無冷利さん? ちょっとなんですか?」

 

「なんでもありません」

 

こええー。誰だよ。役得とか行った奴。はい、俺です。だって、ヤンデレ属性あると思わなかったもん。

 

「そうですか。なら準備してくるので待っててくださいね」

 

バタン

 

大淀さんが部屋の外に出て行ったが準備って何?何されちゃうの俺?

 

逃げなきゃ。でも、逃げるにはこの鎖が繋がれてる首輪をどうにかせねば。

 

……どうにかって?

 

ちぎる。……首の方がちぎれそう。

 

鎖をちぎる。……無理ぽ。

 

ピッキングとか。……道具がねえ。技術もねえ。

 

関節を外す。……首の関節って何!?

 

あきらめる。……手段でもなんでもねえ!

 

「お待たせしました。三無さんと同じ準備時間8分47秒ですよ!」

 

自分の準備時間なんてそんな細かく知らねえよ!

 

ちくしょう!こんなことならもっと準備に時間かけるんだった。

 

「……で、準備してたってこれから何するんですか?」

 

「何って勿論ナニですよ」

 

「ナニって何ッ!?」

 

もしかしてナニってあれですか?ピーしてピーをピーするんですか?エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!

 

「ほら、三無さん。早く……てください」

 

「……なんて?」

 

ちょっと掠れて大淀さんの声が掠れて聞き取れなかった。

 

「だから、……きてください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三無さん!起きてください!着きましたよ!」

 

……目を開けると車の中だった。

 

どうやらフィボナッチ数列を数えている最中に寝てしまっていたらしい。

 

どうりで車から一瞬で部屋に移動していたわけだ。

 

だが一言言わせて欲しい。

 

夢落ちなんてサイテー!

 

車を降りると大きな建物が目の前だった。

 

「ようこそ。幌筵泊地へ」

 

目に眼鏡とハイライトと隈がある大淀さんが言った。

 

……だからどこ?

 




今日の妖精
熟練見張員
見た目は水兵の二人組
今回は一人しか登場しなかったが、双眼鏡で見たものをもう片方の妖精さんが受信し、映像に映し出すことが可能。



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