鳴り響く轟音。砕いた氷が新しく作られた氷に吹き飛ばされ、私を襲う。コスチュームの露出度が多かったのが原因で氷が私の肌にぶつかり痛い。たまらず私は後退した。
「デタラメね。壊しても壊してもキリがない」
弱点は知ってはいるがどの程度“個性”を使ったら弱体化するのかが分からない以上手が出しづらい。
「でも、いいわ。その方が楽しいし。勝己風に言えば……ブッ殺しがいがある、かしら?」
「どうでもいい」
バックステップや壁を蹴る等して氷を避ける。さて、そろそろ弱体化しただろうか?
「……チッ!」
「いきなり接近戦なんて、積極的じゃない」
「別にそういう訳じゃねぇ!」
轟の体に霜が積もったのを確認した私は後退を止め轟に突っ込む。幼少期から轟は英才教育を受けている。勿論武術も心得ていることだろう。だが、それは私も同じこと。
「“個性”は使わなくていいの? あのままならかなり足止め出来たのに」
「お前、気づいてるだろ?」
「なんのことかしら?」
接近戦を仕掛ける轟に距離を保ちながら飛んでくる氷を避ける。連続の使用も出来てないし、動きも鈍い。これなら直ぐに決着がつくだろう。
「取り敢えず、寝てもらうわ」
氷を軽々と砕く拳を轟の腹に向けて振り上げる。所謂、腹パンという攻撃なのだが驚くことに轟はそれを避けて巨大な氷を放ってきた。
「なっ!」
巨大な氷を止める為に両手で抑えつけるが、またもや質量の暴力。私は建物の外まで吹き飛ばされる。弱体化したにはデカすぎる。まさか、回復した? あり得ない。
「ま、いいわ。それじゃあちょっと本気をだすとしましょう」
本気の雷は擬人化状態では制御が甘い。じゃあキリン化状態になればいいではないかと言われてもそうはしたくない。あくまでもそれは奥の手。だから色々技を考えたのだ。
「
身体能力とは違う強力な雷を纏う。
「さ、行くわよ!」
私は走り、建物の中に侵入する。制限時間が決まっている以上、ちんたらしてらんないのだ。
「来たか。なんだ…それ?」
「私の技よ」
「そうか」
轟は氷を私に向かって出現させる。だが、それは今まで通りの一方からではなく、全方位からの攻撃。完全に凍らせにかかっている。
「一つ言っておくけど、強力な“個性”なせいで攻撃が大雑把。そんなんじゃ、私には敵わない!」
発生させる雷を両足に全て使い氷を蹴る。一瞬で轟の後ろに移動し、足が滑るのを防ぐために神威を地面に突き刺してそれに掴まる。
「お前、いつの間に!」
「さぁ? いつからでしょうね」
振り返っても時既に遅し。私と同等の速さなんて出せる訳がない。チェックメイトだ。
「チッ!」
「っ! やっぱり強いわね」
回し蹴りを腕でガードし私は後退する。動きが鈍ってもキレが凄い。そもそも男女の差なのかなんなのか力が強い。腕が痺れたような感覚。これは
「強いな。今の止められんのか」
「反射神経には自信があるわ。嗜む程度に武術も習ってるし余計にね」
「厄介だなお前」
「そう? そう言ってくれて嬉しいわ」
神威を地面から抜き、私は構える。轟は拳を構えた。数秒の静寂、崩れかけていた氷が地面にあたり重々しい音が響いた瞬間、私と轟はそれが合図だと言わんばかりにぶつかった。
「はっ!」
轟を切る勢いで神威を振るう。と言っても、逆刃で作っているので万が一当たっても問題ない。だが、轟も黙ってそれを受け続けている訳ではない。私の両手を的確に攻撃し、神威を持つ力が弱まる。結局私は神威を手放し距離を離さざる終えなくなった。
「……っ!」
距離を離した瞬間襲ってくる氷。油断も隙もない。だが、轟よ甘かったな。神威は私が作った雷から出来た刀。その形を保っているのは私の制御があってこそなのだ。つまるところ、私が持っていなくても神威は私の制御で攻撃を行うことが出来る。
「弾けなさい!」
私の言葉と共に神威は強く発光しながら雷を周りに放出した。
「ぐっあああ!」
轟の苦しむ声が聞こえる。漸く有効打になる攻撃を与えられた。私も全力に近い攻撃をし続けたせいでかなり疲れている。もう終わらないだろうか。
「はぁ、はぁ、はぁ」
確保テープを手に持っての様子を見に行く。轟は気を失って倒れており、私は勝利したのを確信した。しかし、これは完璧な勝利ではない。真っ正面から勝ってはいないのだ。
「これを巻いて終わりね」
これで轟が確保されたことになる後は障子を見つけて倒すだけ。いや、めんどくさいので核を確保しよう。
「ま、ここに居るって言うのは分かってたわ」
「居場所が最初からバレているとはな。轟は?」
「私が来てるんだから分かるでしょ? 確保したわ」
「っ!?」
話している途中で私は障子の後ろに移動する。障子の“個性”は異形型。純粋に力は強いだろう。だが、まだまだ未熟だ。直ぐに攻撃は出来ない。
「私の勝ちね」
私は核に触れる。耳につけた小型無線機からヒーローチーム
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「さぁ、講評の時間だ! 雷少女、よく一人で頑張った!」
「私もいい経験が出来て満足です」
「うん、素晴らしい対応だった! 最初の行動以外は特に建物の被害は無し、且つ相手が気を失う程度の攻撃が出来る精密さ。完璧だったぜ!」
「ありがとうございます」
完璧と言われれば誰だって嬉しい。これは素直に受け止めて、反省すべきことは次に活かそう。チラリと勝己を見ると、勝己は顔を俯かせ歯軋りをしていた。めんどくさいので絡まれたくないのだが、絡まれたら今回はめんどくさらず付き合って上げよう。
戦闘シーンが薄いのはお許し下さい。自分には無理でした!