TSキリン娘のヒーローアカデミア   作:鰹節31

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早く執筆出来たので投稿です!


USJ襲撃事件

 ヒーローは(ヴィラン)を捕まえることだけが仕事ではない。状況に臨機応変に対応し、一般市民を『救助』しなければならない。しかし、救助の方法や自分の“個性”を生かし方を知らなければその場で立ち尽くすか、無駄な行動をしてしまうだけだろう。それを防ぎ、どうするかを教える訓練……レスキュー訓練をすべく私達はバスに乗っていた。

 

「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪と雷だな」

「雷は轟の氷真っ正面から受け止めてたからな! 俺もあんな感じにカッコよく“個性”扱えたらなぁ」

「ありがとう。これでもまだ制御しきれてないのよ」

 

 上鳴がサムズアップしながら戦闘訓練の時の話を出す。あの時、もう少し頑張れば氷を全部破壊できたかもしれないけど、まだ制御しきれない間は止めた方がいいだろう。

 

「ケッ」

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなそう」

「んだとコラ! 出すわ!」

「ほら」

 

 ワイワイガヤガヤと騒ぐバス内は相澤先生の一言で一瞬で静まる。そこら辺に関しては尊敬している。それ以外はなんだか受け付けない。

 

────────────

 

 レスキュー訓練の会場……嘘の災害や事故ルーム略してUSJで待っていたスペースヒーロー13号のありがたいお話を聞き終えた後、相澤先生が『まずは……』と良いながら広場を見た時、それは現れた。

 

「ひとかたまりになって動くな!」

 

 広場に広がっていく黒。そこから這い出るように出てきた大勢の人間。そいつらから発せられる途方もない悪意と殺気は、私達に(ヴィラン)という存在の脅威を再認識させられるには充分だった。

 

「13号! 生徒を守れ」

「なんだありゃ!? また入試ん時みたいなもう始まってるパターン?」

「動くなあれは……(ヴィラン)だ!」

 

 相澤先生はゴーグルをかけて口を開く。

 

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」

「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れて来たのにさ…オールマイト…平和の象徴がいないなんて。子供を殺せば来るのかな?」

 

 小さく聞こえた(ヴィラン)の言葉。悪意しかないその言葉に出久達は固まってしまう。私は身体こそ動くが、思考がうまくまとまらない。予想していたよりも感じている恐怖。私のモンスターとしての勘が早く逃げろと警鐘を鳴らしている。

 

「13号! 任せたぞ!」

 

 広場に向かって飛び降りて行く相澤先生を見届けた後、私達は避難を開始する。分析をしている出久を引っ張り出口に向かうが──

 

「させませんよ」

 

 黒い霧のような(ヴィラン)がその行く手を阻む。

 

「初めまして。我々は(ヴィラン)連合。僭越(せんえつ)ながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは──」

 

 黒い霧のような(ヴィラン)の目が笑うように細くなり、黒い霧が少し揺らいだように見えた。今から発するその言葉を。一部の人間なら絶望させるそのおぞましい計画を。

 

「平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

 出久の顔が青ざめる。その気持ちも分かる。だが、その前に私達はしなければならないことがある。

 

「本来ならここにオールマイトがいらっしゃる…筈ですが。何か変更があったのでしょうか? まぁ、それとは関係なく…私の役目はこれ」

 

 黒い霧が広がった瞬間、勝己と切島が(ヴィラン)に攻撃する。しかし、どう見ても効いてない。

 

危ない(・・・)危ない(・・・)。そう、生徒といえど優秀な金の卵」

「ダメだ! どきなさい二人とも!」

「散らして、嬲り、殺す」

 

 13号先生の言葉と共に広がる黒い霧。残念ながらここにはイレギュラーが存在している。そう簡単に私達を散らせると思わないことだ。

 

「勝己、切島! 避けなさい!」

 

 勝己と切島がギリギリ反応、尚且つ(ヴィラン)の守りが間に合わない速度で私は雷の槍を(ヴィラン)の首目掛けて飛ばす。当たれば軽く気絶程度の雷。殺すレベルの威力ではない。

 

「ぐっ!?」

 

 雷の槍は見事(ヴィラン)に当たり、黒い霧は収縮する。これで倒せなくてもかなり時間を稼いだ筈だ。

 

「貴女が雷麒麟……なる程、先生の仰る通りこれは恐ろしい」

「軽く気絶するぐらいの雷なのだけれど……まぁ、いいわ」

「近づいてはダメです! 下がって!」

 

 後退した勝己と切島を確認した後、私は雷を纏い(ヴィラン)目掛けて地面を蹴る。私も考え無しに突っ込んでいる訳ではない。(ヴィラン)は必ず私を散らす為に黒い霧でワープさせるだろう。それを許すほど私の雷は遅くない。

 

「大人しく帰りなさい。此処に貴方達は必要ない」

 

 (ヴィラン)の首を掴み雷を放出させて気絶させる……筈だった。

 

「え?」

 

 私が伸ばした手が触れたのは黒い霧。私は動きを読まれ、そのまま黒い霧に飲み込まれていく。雷を放出し、抗うが意味もなく視界は黒に染まる。

 

「先生からのご要望で貴女は特別ステージです」

 

 耳元で囁かれたように聞こえたその声には私を慰めるかのように優しく、悪意にまみれていた。

 

────────────

 

「麒麟さん!」

「ビリビリ女ァ!」

 

 (ヴィラン)連合を名乗る(ヴィラン)……黒霧に飲まれた麒麟を見て緑谷と爆豪は声を上げる。明らかに麒麟が押していた状況。それを一転させたのは黒霧による読みであった。

 

「さて、私の役目を果たすとしましょう」

「させる訳ないでしょう!」

 

 再び広がる黒い霧。一度は止まったそれを止めようと13号が自身の“個性”使い黒い霧を吸い込んでいく。しかし哀しきかな。それをもろともせず広がる黒い霧は雄英の生徒達を飲み込んだ。

 

「皆!」

 

 生徒の大半、それ以上を飲み込んだ黒い霧は収縮。元に戻り黒霧が目を細める。

 

「皆はいるか!? 確認できるか!?」

「散り散りになってはいるが、この施設内にいる」

 

 非常口飯田に障子が答える。施設内に散り散りにされた生徒達。それを救出するのは困難だろう。

 

(皆さん、耐えてください!)

 

 となれば生徒達に頼るしかない。戦闘訓練も満足におこなえていない今の現状。生徒達が心配で不安……それを振り切り13号は決断を下した。

 

「……委員長!」

「は!」

「君に託します。学校まで駆けてこの事を伝えて下さい」

 

 動揺。それを露わにする飯田をしっかり見据えて13号は続ける。

 

「警報鳴らず、そして電話も圏外になってしまいました。警報器は赤外線式。先輩…イレイザーヘッドが下で“個性”を消して回っているにも拘わらず無動作なのは…恐らくそれを出来るものが居て即座に隠したのでしょう。と、するとそれを見つけ出すよりも君が駆けた方が早い!」

 

 飯田が異議を、生徒達が行くのを促す。それを聞きながら13号は飯田に振り返ることなく言葉を発した。

 

「救うために“個性”を使って下さい」

 

 任せるのは託すのは簡単ではない。ましてや生徒……子供なのだ。それ相応の覚悟が必要だろう。その覚悟をもって行動し、助けるのがヒーロー。13号の言葉には確かな重みがあった。

 

「手段がないとはいえ、敵前で策を語る阿保がいますか」

「バレても問題ないないから語ったんでしょうが!」

 

 スペースヒーロー13号。生徒達を救う為に“個性”を使う。彼の目には確かな闘志か宿っていた。

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