こんな拙作ですが今年も宜しくお願いします!
(雷少女……今の速さは一体)
誰もが緑谷出久の一位を確信していた。緑谷出久も勝った、そう思っていただろう。だが、実際一位でゴールしたのは雷麒麟であった。誰もが視認出来なかった速さ、オールマイトも完璧に見えていた訳ではない。その速さは閃光と呼んでも良いであろう。それに類似した速度なら一度だけ見た。戦闘訓練の時である。
(まさか実力を隠し持っていたのか?)
恐ろしい子だ。ワン・フォー・オールを身につけるための特訓をしていた時に何時も緑谷少年が雷少女について話していたことが納得できる。そう思いながらオールマイトは雷麒麟と緑谷出久を見ていた。
(頑張れ、緑谷少年!)
見ることしかできない歯がゆさを感じながら、オールマイトは膝の上に乗せている両手を握り締めた。
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障害物競走の結果が発表され、一位の欄に私が表示されているのを確認して私はニィと笑う。多分人に見せられない顔をしてるんだろう。それを隠さない私もどうかと思ってしまうけど。
『さーて、第二種目よ! 私はもう知ってるけど~何かしら!? 言ってるそばから──コレよ!』
モニターには騎馬戦と書かれている。制限時間は15分。ルールは二人から四人のチームを自由に組んで騎馬を作り、障害物競走の順位によって振り分けられたポイントが騎馬のポイントになる。騎手がポイントが書かれたハチマキを首から上に装着する。保有ポイントを騎手達が奪い合い、最後に多くのポイントを持っていた騎馬の勝利だ。尚、ハチマキが取られたとしても、騎馬が崩れたとしてもアウトにはならない。“個性”を使用はありだが、崩し目的の攻撃は禁止である。
「一位は1000万……ねぇ。障害物競走はあくまで予選。相手の力量を見るには十分な種目だったってところね」
「麒麟ちゃんどうゆうこと?」
私の独り言にお茶子が反応して首を傾げる。私は笑いながら口を開いた。
「三つの関門は上位に居る素質を知るのには十分な仕掛けなのよ。第一関門は“個性”の強さ、第二種関門は“個性”の応用、第三関門は目と足を使いながら“個性”を使う器用さ。例え後ろで見えなくても上位に居るだけで少なくともそれら全部が備わってるってことね。まぁ、私はただのごり押しだったけど」
「た、確かに言われればそうやな。はぁ~麒麟ちゃんは凄いなぁ」
「そんな事はないわ」
お茶子と話していると、他の人は既に組まれている。私も組もうと周りを見るが……明らかに目線を逸らされている。なる程、一位はこうなりかねないのか。序盤で大きなポイントや所持するのはリスクが高い。それを15分間他の騎馬達から守らなければならないのだから。
「麒麟さーん! 麗日さーん! 僕と組んで組んでくれないかな?」
「デク君! うん、組もう!」
「二人ともいいの? 多分物凄く狙われるわ」
「それについて考えたんだ。飯田くん!」
「ん?」
飯田は出久に呼ばれ、私に近寄る。そうか、飯田は機動力として確かに申し分ない。
「飯田くんを先頭に僕、麒麟さん、麗日さんで馬を作る。そんで麗日さんの“個性”で僕と麒麟さんと飯田くんを軽くすれば機動性は抜群! 騎手は麒麟さんにやってもらえば中距離の攻撃で他の騎馬を迎撃できる!」
「……さすがだ緑谷くん。だが、すまない。断る」
飯田は立ち上がり、眼鏡を上げる。入試の時から出久に負けっぱなしだと、出久についていくだけでは未熟者のままなのだと。
「君をライバル視しているのは爆豪くんや轟くんだけじゃない。だからこそ俺は君に挑戦する!」
飯田は振り返り、轟のチームへ歩き出す。重要な機動力を取られたか。結構辛いものがある。出久がブツブツと考えていると一人の女の子が私の前に急に現れた。
「私と組みましょ、一位の人!」
「貴女誰?」
「私はサポート科の発目明! あなたの事は知りませんが、立場利用させてください!」
「「あ、あけすけ!」」
「良いわよ」
「麒麟さん!?」
「麒麟ちゃん!?」
私は発目をジロジロと見ながら口角を上げる。
「障害物競走で道具使ってたでしょ? 私達にも使わせてくれるんでしょ?」
「話が早くで助かります! やはり、あなたと組んで良かった! これで私のベイビーが大企業に!」
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配置や作戦を考えていると、制限時間が過ぎ、騎馬を組む。先頭に私、左右にお茶子と発明、騎手に出久だ。最初は私が騎手だったのだが、的確な判断が出せるのが出久だと思ったため出久を騎手にした。カウントダウンが始まり、出久はハチマキをキュッと頭に巻く。
「麒麟さん!」
「ええ」
「麗日さん!」
「っはい!」
「発明さん!」
「フフフ!」
「よろしく!」
出久の声と同時にカウントダウンが終わり競技が始まる。実質私達一位のポイントの奪い合いとなるだろう。
「誰にも奪わせない。絶対にね」
私は雷を纏い、笑った。