TSキリン娘に転生してやったぜ
朝、小鳥の鳴き声と少し眩しい朝日。不快に感じてしまう程大音量で鳴る目覚まし時計に目を覚まされる。パジャマから制服に着替え、部屋にあるスタンドミラーの前に立つ。スタンドミラーに映る少女の見た目は、背中まで伸ばした純白の髪、ブルーサファイアのような瞳。身長は162cm。胸はまぁ、そこそこあるんじゃない? 自分で言うのもあれだけどやっぱり美少女だよね。
「てか、やっぱり。スカート慣れないわぁ……」
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中国の軽慶市での「発光する赤児」の報道以来、生まれてくる人達に様々な超常的な能力を発現していった。そして現在、世界総人口の約8割が超常能力“個性”持つ超人社会。簡単に言えば、ヤベェ力を持った奴らがいっぱいということだ。
人が力を持てば大体二種類に分けられる。力を使い悪行を行う者達。悪行を行う者達を裁く者達。前者をこの世界の人間は
“個性”は誰しもが持つ訳ではない。世界総人口の約8割が持っているが、逆に言えば約2割が持っていない。個性を持ってない人達を“無個性”と呼び馬鹿にする。私はそんな下らないことはしないが、他の人達はするのだから気が知れない。
「お、おはよう麒麟さん!」
「おはよう出久」
何時もの通学路を歩いていると、少年に声を掛けられたので笑顔で挨拶を返す。緑色の癖っ毛と顔のそばかすが特徴的な少年の名前は緑谷出久。私の幼なじみで僕のヒーローアカデミアの主人公。そして私達の世代ではかなり珍しい“無個性”である。
「何回も言ってるけど、別に呼び捨てでいいんだよ?」
「そ、そ、そんな呼び捨てだなんて!」
そしてまぁ、女の子と話すと緊張する節がある。幼なじみなんだから呼び捨てで呼んでもいいとは思う。本当に。
ドォン!
「ん?」
「なんだろ今の音……あ、あれ!」
いきなり鳴り響いた轟音。出久と轟音が鳴った方向に目を向けると、巨大化し暴れる人間……
「
「え、あ、ちょっと!」
出久は走って
「ま、大丈夫よね」
ヒーローが駆けつけるのなら出久の無事も保証されるし、私は転生者だ。多少の原作知識はあるから分かる。出久がピンチになるのはまだ少し先。私が助けなかったとしても“彼”が助ける。
さて、私は今日起きる出来事。原作の始まりの日を存分に楽しむとしよう。緑谷出久のヒーローとして成長する運命の日。イレギュラーの私はひっそりと見守ろうじゃないか。鼻歌を歌いながら学校を目指す。微かに春の匂いを感じた。
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人が混乱する声が聞こえる。ヒーローが苦戦する表情が、薄い金髪に赤目の三白眼が特徴的な幼なじみの爆豪勝己の苦しむ表情が見える。
「順調、順調。何も異変はないわ」
勝己が
「……フフフ」
ヘドロ事件の現場の近くの建物の屋上から出久を見る。原作通りの動き、それを見て“彼”が動く。
「プロはいつだって命懸け!」
出久が一般人が一番賞賛し、憧れるヒーロー。
「DETROIT──」
No.1ヒーローと呼ばれ絶対的な人気を誇る“平和の象徴”
「SMASH!」
彼の名はオールマイト。誰もが知るヒーローだ。
「フフフ、ハハハハハ!」
降りしきる雨を浴びながら私は笑う。実に愉快。原作を直で見ることがなんと光栄なことだろう。気づけば“個性”を使用し、頭からは蒼い一本の角を生やして雷を纏ってしまった。
「まだ制御しきれてないわね。練習が足りないわ」
満足した私は雷を纏ったまま建物の屋根に飛び移り、自宅へと帰ったのだった。
TS転生者。緑谷出久と爆豪勝己の幼なじみ。一人称は私、他人を貴方(貴女)若しくは呼び捨てで呼ぶ。背中まで伸ばした純白の髪、ブルーサファイアのような瞳に身長は162cm。胸は本人曰わくそこそこ(実際はB程度)
“個性”キリン。
モンスターハンターのキリンの力を扱うことが出来る個性。三段階の形態がある。普段は人間と何ら変わらない姿だが“個性”を使用すると頭から蒼い一本の角が生える。形態変化としては人間状態→擬人化状態→キリン化状態と変化出来るが、キリン化状態は体力の消耗が激しい。