夜になり、家には出久と勝己。それと出久と勝己のご両親が集まってパーティーを開いていた。三人全員で雄英へ合格する事が出来たのだから、とお母さんは張り切って料理を作ったので量がかなり多い。食べきれるのだろうか? そもそも、お金大丈夫なのか?
「楽しんでる? 出久、勝己」
「うん、勿論! ありがとう麒麟さん!」
「けっ」
出久満面の笑みに対して勝己は不機嫌そうな顔をする。そんなに嫌だったのだろうか?
「こら勝己! 麒麟ちゃんのご両親がやってくれた事にそんな顔しないの!」
「うっせぇ! クソババア!」
その瞬間、スパーンとかなりいい音をしながら勝己は光己さんに叩かれる。流石は勝己のお母さん。頭を叩くだけでもキレが違う。
「ハハハ、かっちゃんは相変わらずだなぁ」
「でも、変わらないのは良いことでもあるよ」
「え? どういうこと?」
「秘密」
原作となんら変わりないのなら私も随分と立ち回りやすくなる。一番恐れているのがイレギュラーなことが起こるということだ。
「お姉ちゃん、はい!」
「ありがとう雄馬。野菜持ってきてくれて」
「うん!」
それになりより家族の為に頑張らなければならないのだ。この平和が何時までも続くとは限らないのだから、それに備える為にも雄英で戦闘についてよく学んでおかなければ。
「出久、勝己」
「なに?」
「あ?」
「雄英にせっかく入れたんだから、全員でヒーロー目指して頑張りましょ?」
「そうだね! 皆で!」
「けっ、うるせぇ」
くだらない、そう言うかのように勝己は料理を口に頬張る。私と出久はそれに苦笑いしてしまった。
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目標を達成し、新たな目標に向かう。それを時間の許す限り続けていれば時は過ぎるのは早い。凍えるような寒さを運ぶ冬は過ぎ去り、暖かな風を運ぶ春がやってきた。
「行ってきます!」
元気よく家から出る。今日から新しき私の生活が始まるのだ。最初からテンション下がりながら行くのは縁起が悪すぎる。
「おはよう麒麟さん!」
「おはよ、出久」
これからのことを考えている内に出久とばったり雄英の校門で会ってしまう。原作通りだと勝己と飯田の言い合いを聞くことになる。正直に言うと、関わりたくない。
嫌なことばかり考えるのも駄目なので、新しき生活と既に知っている新しい仲間を思い出す。取り敢えず飯田と峰田とは距離を置きたい。飯田は悪い奴では無いのだが、うん、ちょっと厳し過ぎる気がする。峰田は……論外である。“元男”として多少の共感は覚えるが女性からすれば、あれはあれで
「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」
「思わねーよ。てめーどこ中だよ端役が!」
ほら~勝己がやらかしてる。だから早めに来たのに……なんで出久と同じ時間になったのだろうか? 勝己がやらかした後の後始末は私にまわってくるのでやめて欲しい。
「ボ…俺は私立聡明中学校出身。飯田天哉だ」
「聡明~!? くそエリートじゃねぇかブッ殺し甲斐がありそうだな」
「ブッコロシガイ!? 君ひどいな。本当にヒーロー志望か!?」
ドアから覗いていた出久は飯田に見つかり自己紹介を受けていた。取り敢えず私も簡単な自己紹介をしてから教室に入る。
「デク……」
勝己が出久に目を向けている間にそそくさと自分の席を目指して歩く。
「おい、無視してんじゃねぇ。ブッ殺すぞ」
「おはよ、勝己。悪いけど時間がないからお話はまた後でね」
「誰がテメェと話してぇなんて言った、ビリビリ女!」
「あら、久し振りに聞くあだ名ね」
ワーギャーと騒ぐ勝己を無視して席に座る。チャイムも鳴ったし、先生が来てもいいタイミングだろう。
「お友達ごっこしたいなら
知ってはいたが、なんともまぁ、異様な物も見る感覚に襲われる。寝具から人がヌーと出てくるのなんて初めて見たのが原因だと思う。
「担任の相澤消太だよろしくね。早速だが、
やっぱりそうなるか。そのためにパーティーが終わった日からまた初心に戻って訓練はしていた。なに、不足はない。
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「「「個性把握テストォ!?」」」
いきなりの事で驚く声と相澤先生の声を聞き流し、集中する。私の“個性”の弱点は体力の消耗が激しくなることと、他に集中し辛くなることだ。後者はなんとかなってきているが、前者は改善できているとは言い難い。
「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50
確かにやっている。記録は忘れたが、本気でやったことはなかったはずだ。本気出したら、また勝己に色々言われるので本気は出さない。かと言って軽くし過ぎると文句言われる。本当に解せない。
「んじゃまぁ───死ねぇ!」
爆発音が聞こえ上を見る。おお、凄い飛んでいる。
「まず自分の『最大限』を知る。それが、ヒーローが形成する合理的手段」
他の人の目を気にせず、準備体操を開始する。相澤先生の説明もちゃんと聞いているので問題ない。
「生徒の如何は
丁度準備体操を終え、相澤先生は先生を見る。相澤は邪魔そうな前髪をかきあげ不敵な笑みを浮かべる。
「雄英高校ヒーロー科だ」
相澤先生の言葉に私は拳を握り締める。さて、勝己にゴチャゴチャ言われないように頑張るとしよう。