「わーたーしーがー! 普通にドアから来た!」
普通とも言える午前中の授業は直ぐに終わり、残りはオールマイトが担当する午後の授業だけとなった。午後の授業は戦闘訓練。周りの声を聞き流しながら戦闘訓練の内容について考える。人数が奇数になったのだ戦闘訓練がどう変化するか少し楽しみである。
「ヒーロー基礎学! ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う課目だ! 単位数も最も多いぞ」
オールマイトは勢いよく、BATTLEとかかれたカードを私に見せてくる。
「早速だが今日はコレ! 戦闘訓練!」
「戦闘……!」
「訓練…!」
「そしてそいつに伴って…こちら!」
オールマイトは皆の反応を見て笑うとリモコンを壁に向けて操作する。すると壁がガゴッという音を鳴らしながらスライドし、1から21迄の番号がかかれた棚が現れる。
「入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた……
周りからおおお! という声が上がる。それも仕方がない。私だって楽しみなのだ。さて、問題はちゃんと要望通りに作られているかだが、適当に理由を付けたので大丈夫だろう。
「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!」
「「「はーい!」」」
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更衣室でコスチュームを取り出した私は喜びで笑みを浮かべる。コスチュームの制作会社ありがとう、私は今人生の中で一番喜びを感じている。漸く、私はキリン娘としての階段を上ったのだ。
「うわっ! 麒麟ちゃん露出度高過ぎやん!」
コスチュームに着替えた私を見て麗日が驚いたと言わんばかりに言ってきた。確かに露出度は高いが、それを気にする程私は恥ずかしがり屋ではないのだ。
「そうね。でも露出度はないにしても、お茶子はかなりパツパツだと思うわ」
「えっと、これは、要望ちゃんと書かなかったから……」
「でもいいんじゃない? 何かを多く着けるより機動性を重視するのもいい考えだし。私も実際その考え方でコスチュームを決めたし」
そう言ってはいるが、勿論嘘である。そんなこと一切考えてない。咄嗟に出た言い訳でしかない。
「取り敢えず、いきましょ?」
お茶子達と談笑しながらグラウンド・βに向かう。グラウンド・βには既に来ている人達がちらほら居る。男子達はチラチラと私を見て来る。見たいならじっくりと見ても構わない。生キリン娘なのだ国宝ものだろう。
それから少し経ち、出久以外集まったらオールマイトが口を開いた。
「恰好から入るってのも大切な事だぜ少年少女! 自覚するのだ! 今日から君は────ヒーローなんだと!」
皆がそれぞれの表情を浮かべる。勿論私は笑っている。
「さあ! 始めようか有精卵共! 戦闘訓練のお時間だ!」
丁度そのタイミングで出久が入ってくる。お茶子はそれに気づいたようで出久と話している。出久、パツパツスーツを見て興奮するのはいいけどリアクションを考えなさい。あと峰田、ヒーロー科最高とか言うな。男子達の中で一番私のコスチュームガン見してるの知ってるからな。
「良いじゃないか皆。カッコイイぜ!」
オールマイトはサムズアップを決めたあとムム!? と言いながら笑っていた。笑うのも分かるが、出久の気持ちも考えて欲しい。
「先生! ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
明らかに人間からロボットにジョブチェンジした飯田がガションと手を挙げて発言する。声聞かないでもなんか行動だけでもう分かる。動きが個性的なのだ。
「いいや! もう二歩先に踏み込む! 屋内での対人戦闘訓練さ!」
やはり屋内なのか。しかし、人数は奇数である以上どう分けるのだろうか。考えれるのは3人一組のトーナメント式、10対11の大乱闘。オールマイトの制限を考えて後者の方がいいが、それでは評価がつけにくい部分が出てくるだろう。
「
なる程。前世でも屋内での犯罪の方が多かったのは事実。どの世界の犯罪者も考えることは同じという訳か。
「監禁・軟禁・裏商売…このヒーロー飽和社会、ゲフン、真に賢しい
だからこそとオールマイトは続ける。
「君らにはこれから『
2対2? そうなると一人余ることになる。何か考えがあるのだろうか?
「先生! 2対2だと一人余ってしまいます!」
「大丈夫! 主席合格した君なら大丈夫だよ。ねっ雷少女!」
「え?」
オールマイトは私にサムズアップを決めてくる。なる程一人で戦えという訳か。主席とかどうでもいいが、仲間が居ないなら思いっきり“個性”が使える。
「はい。一人でも構いませんが、私には相手がいません」
「そこも大丈夫! 相手はクジで決める!」
「分かりました」
一人で二人を相手するなんて初めての経験だ。出来ることならヒーロー組として戦いたい。それから説明を聞き終えた私達はAコンビとBコンビの戦闘。出久チームと勝己チームの戦闘を見ていた。
「“『頑張れ!』って感じのデクだ”!」
「ビビりながらよぉ……そういうところが、ムカつくなぁ!」
まだ溝は深い。あの二人の溝が塞げるように私も何度も努力したが意味がなかった。やはりきっかけがないとダメなんだろう。
「はぁ……」
一位大好きマンの自尊心は勝己そのものを作ってるとも言えるほどなのだ。それに付き合わされていた過去の思い出が蘇り私は思わずため息をつく。
「出久、頑張って」
届くことはないだろう応援をスクリーン越しの出久に向ける。しかし、怒ってる勝己の顔はやっぱり
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一通り全員の戦闘訓練が終了し私の番になった。今はオールマイトがクジを引いている。
「雷少女の相手はこのコンビ! Bコンビだ!」
うっわ本当に言ってるのだろうか? 相手は轟と障子。索敵も範囲攻撃も揃っているようなチーム相手に一人とはかなり辛い戦いになりそうだ。
「オールマイト先生。私がどっちの組か決めてもいいんですか?」
「君は一人だからね! 決めてもいいぞ!」
「ありがとうございます。それでしたら私が『ヒーロー組』でお願いします」
「分かった! それではBチーム準備を!」
それから五分経ち、私は見取り図を見ながら建物に入った。戦闘訓練がスタートし、私は建物に入る。
「? なにもしてこない」
いや、違う。障子が私の位置を特定している最中なのか。あと、少しすれば氷が迫ってくるだろう。私は全力の雷を発生させ、手に集中させる。
「来た!」
前方から私目掛けて迫る氷。私は地面に向かって手を振り下ろす。雷は凄まじい音を鳴らしながら氷とぶつかる。
「くっ! 重い!」
まさに質量の暴力。いくら雷を出せても迫り来る氷は冷気を放って私を妨害してくる。だが、それだけならなんともない。勝己の爆発の方が正確。こんな数打ちゃ当たる方式の攻撃なんて勝己の爆発を何度も受けてる私に通用するわけがない。
「はあああ!」
発生させる雷を槍状に変化させ氷にぶつける。暫くして氷の進行は止まり、私は額の汗を拭き取る。全く、化け物にも程がある。
「それじゃあ、ちゃちゃっと終わりにしないと」
雷を纏って走る。見取り図によれば最上階の端に広くてドアも一つしかない隠すのに絶好な部屋がある。恐らく、そこに核があるのだろう。
「問題はどう見つからないか。いえ、もう見つかってるかもしれない。なら、二人とも倒しちゃいましょう」
「それは無理だ」
私は笑いながら声がした方向を向く。左半身を氷に覆い隠したコスチュームを着た轟焦凍が居た。
「フフフ、出来るの? 一応教えとくけど───」
私は雷を発生させて氷にぶつける。氷は砕かれ、雷はそこに残留した。
「轟にとって私の“個性”は天敵よ?」
「それでもお前を倒す。言ったろ、お前の連勝記録は俺が止めるって。雷、お前には負けねぇ」
「そう。勝てるといいわね!」
私は走り出し轟は氷を出現させる。私が氷を殴った瞬間、轟音が鳴り響いた。