立てば石楠花、座れば牡丹、戦う姿はゴリってる!!!   作:九十九夜

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今回ギャグ成分が無かったから此処に

「こら、好き嫌いはいけませんよ。ラーメス。」
「っべ、別に食べずらい故後から飲料とともに食そうと分けただけだ!!断じてスキキライなどではない!!」

そんな頬を赤らめている王子に心底ホッとしたように安堵の溜息を吐いたセテプエンプハタ。そんな彼の様子に王子は怪訝そうに眉根を寄せた。

「もし貴方が偏った食生活の末にゴリラにでもなったら私は・・・私は・・・。」
「ゴリラ?」

エジプトには生息していない生き物の名前に首を傾げる王子に、セテプエンプハタは苦笑して謝罪の言葉を述べた後、丁寧に説明してくれた。

「私はゴリラを狩る者。具体的に言えば、金髪碧眼。無駄なくらい全身・・・特に上半身に筋肉が密集していて、他人の感情や職場の状況把握に疎くて、特技が生ごみの製造。その上女癖が悪くて軽薄。ロリコンで、最終的には女子供より王を取る。最終的に出る策は全て脳筋仕様。無駄に前向きで、優等生(笑)・・・そんなゴリラを、私は狩りたい。」

最早願望になっているとか突っ込みどころはたくさんあったが、この日、王子。ラムセス二世は兄貴分として慕っている人物の闇()を垣間見た。


お姉ちゃんと対面

「王女。先程捕縛した容疑者たちはいかがいたしましょう。」

「良い。そのまま尋問せよ。妾が後で情報を精査する。」

「王女。メンフィスの神官から報せが届いています。」

「・・・ラーメスの身に何かあったのか?」

「いえ。そうではないようですが」

「ならば捨て置け。」

「王女。」

「・・・今度はなんだ。」

 

立て続けに来る伝令役たちに鬱陶しそうに王女と呼ばれた女が返事を返した。

現在彼女はリビアとの国境防衛戦から帰還したばかりであり、更に言うのならその疲労の残る彼女を亡き者にしようと目論んでいた者たちの襲撃に対処したところである。

 

「御父上・・・メンマアトラー陛下がお呼びです。」

「父上が?・・・何用か。」

「い、いえ。それがただ呼んでくるようにとだけ、頑なに申し使った次第でして・・・申し訳ありません。」

 

王宮に入ると待機していたらしい侍女5人がすっと女の傍らに歩み寄り彼女を浴室代わりの溜め池へとついてくる様を見た女・・・バストネフェルトは「ああまたか。」と内心で更に苛立ちを募らせた。

 

 

 

***

 

 

「・・・ふむ、なかなか美味だな。」

「ええ、そうでしょう、そうでしょう。」

 

もう一杯いかがですか?と赤い液体が波打つ壺を片手に男が伺いを立ててくる。

頂こうとまた杯を傾けると注がれる液体からは芳醇な果実の香りが漂っていた。

 

「それで、何故わざわざこのようなところに貴方様の様な高貴なお方が?」

「ふん、何を白々しい。ラーメスを連れ帰りに来たに決まっておろうが。」

 

本来ならこのローブを目深に被った礼節を弁えぬこの男を早々に切り捨てているところではあるが、情けないというかなんというか、現在バストはその男が出してきた食事・・・特に飲み物に意識の粗方を持っていかれていた。

このまるでジュースの様な、恐らく果実酒であろうその飲み口の美味さも然ることながら、なによりもその真っ赤な、まるで血の様な赤が何故かバスト自身の内心で燻ぶる何かを潤していくかのような錯覚に陥る。

そう、まるで敵を斬って捨てた時の様な感覚であった。

 

「・・・その件なのですが、もう少々お時間を頂きたいのですが駄目でしょうか。」

「ほう、その首。余程いらないと見える・・・と、普段なら言っているところだが、今妾は気分がいい。少し遊ぶとしよう・・・次の鐘が鳴るまでラーメスを連れたお前が逃げきれたらお前の勝ち。お前の頼みをなんでも一つ叶えてやろう。捕まってしまったのなら私の勝ち。その首を貰い、ラーメスを連れて帰る。」

 

その唐突な勝負の誘いに、男は変わらぬ調子で頷いて見せた。

そんな男にバストはこれまた恐ろしいくも艶やかな微笑を返す。

 

この伴場実益を兼ねた余興に、彼女は先程まで募らせていた周囲への苛立ちが一変し獰猛な悦びへと変わる。

自身を作り上げた女神からやりすぎだと咎められたことも最近では少なくもないが、そんなことは知ったことではない(・・・・・・・・・)

 

この目の前で余裕ぶっているその顔がグシャグシャになって、血と砂と涙と鼻水で汚れた様を見た時、自分は何を思うのだろうか。歓喜だろうか?嫌悪だろうか?それとも別の何かだろうか?

 

四肢を引きちぎり、地面に這いつくばらせたとき、この男はどうするのだろうか。

泣き喚くのだろうか。怯えて命乞いでもするのだろうか。気丈にも立ち向かって見せるのだろうか。

 

考えただけで、ぞくりと身体が震えた。

 

最早、こちらを複雑そうな瞳で影から見つめる弟のことも、慌てふためく神官連中のこともバストの眼には入らなかった。

 

 

 

***

 

 

 

結果は、惨敗だった。

バストは勝負に負けたのだ。

もっと言えば、一度も、たったの一瞬も男に追いつく所か、服の端を掴むことすら出来なかった。

バストはある事情から千里眼(の様なもの)を所有している。

更に言えばこと対人の戦闘、否。殺戮においては他の追随を許さないであろう自信もあった。

 

何故?なぜ負ける?このバストネフェルトが、何故このようなものに・・・。

 

そんな単純な疑問を己の中で延々と繰り返しているバストの元に件の男がやってきた。

 

「尊き御方。」

「よい、わかっておる・・・今更駄々をこねたりなんぞせぬ故安心するがよい。」

「ありがとうございます。」

「ふふ、しかし見事な足運びであった。例え逃げ足だとしてもあそこまでの速さの出るような者はそういまい。貴様、名は?」

「お褒めいただきありがとうございます。ですが、私はただの使いの者故、貴方様に名を覚えていただくような者では・・・。」

「ほう?名が言えぬとな?・・・まあ良い、まだあの飲み物はあるか?あれは良いものだ。」

 

自分への態度が他者と違うものの、実力があり、そこらの戦士より強いであろう目の前の男にバストは好感が持てた。だからだろうか?気分は高揚し、話が弾む。

話自体は先程の鬼事の感想やら世話話やらとコロコロ話題が変わったが、遂に話題はバストの戦歴自慢へと移る。そこでバストを遮って付近に待機していた見ない顔の神官が声を掛けてくる。

 

「大変申し上げにくいのですが王女にはここ最近の行動を少々鑑みていただきたくもがっ!?」

 

どうやら幾分か雰囲気の緩んだバストの様子に今しかないと思っての進言だったようだが、折角の対話を邪魔されてバストの機嫌は急降下する。

それを知っている古株の神官が慌てて口を塞いだようだが既に起こってしまったことである。取り返しはつかない。

 

「・・・誰が口を挟んでよいと言った。失せよ。」

 

激情のままに振るわれる腕と連動した不可視の何かによって、その神官の頭は見るも無残に引き裂かれる。

・・・ことはなかった。さっきまで会話していた男がその神官の前に立って、これまた不可視の何かでその斬撃を止めたからだ。

 

「・・・妾は今気が立っている、貴様はまだ殺さぬ故。避けているがよい。」

「そうしたいのはやまやまですが、お断りいたします。」

 

その言葉にピクリと反応して、バストは更に加える力を強める。

ギギギっと、鉄か何かが擦れるような耳障りな音が響いて、そのまま男の力を強引に突破する。

威力は大分弱くなってしまったが、それでも普通の人間はまずただでは済まないであろうその攻撃を受けて、男の首は、そのまま後方へと落ちた。

何人かがヒッと情けない悲鳴を上げる。

それと同時にバストの胸中には落胆が広がった。

 

「・・・ふん、やはりこの程度か。期待して損をした。帰るぞ、ラーメス。」

「ま、お待ちくださいっ!!姉上!!」

 

そう言って眼前に飛び出てきた弟の抱えているものをみて、バストは僅かに目を見開く。

周りを取り囲んでいた神官たちも驚いて、あるモノは腰を抜かし、あるモノは呆然と口を開け、と様々に反応していた。

そんな、注目を集める王子。否、王子の腕の中にあったのは。

 

「・・・私は、貴方を止めるために、冥界よりメンフィス(此処)へと遣わされたのですから。」

 

ねえ、バストネフェルト王女。と、ここらでは見ない見事な金髪と青眼、そして異様に白い肌の幽玄の美を持った青年の首。

それが首だけの状態で、バストに向かって話しかけ、そうして微笑んだ。

 




デュラハン系主人公。
謎のゴリラX。

色々追加されていくゴリよ!!!

・・・というか今更ながらこのままいったらFGO6章ヤバくね?
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