賊狩りは、船の甲板で置いてけぼりを食らって、おたおたしている間に光秀たちが族の頭領ウジムシとフナムシを討ち取っていた。
「ありがとうございます。おかげで町は救われました。」
港町の町長からは、定型文な礼の言葉を受ける。
自分は何もしていないので、気持ち的には非常にもどかしい。
部下の手柄は上司の手柄とも言うし、もやもやする必要はないんだが、やはりもどかしい。
「う、うむ。当たり前のことをしたまでだ。」
う~ん、背筋がかゆい。
背後で、誇らしげにしている光秀…。
一応言っておくが、君の手柄なんだよ?
町の役人がやって来て、ラグナ領軍の到着を知らせる。
5騎のソシアルナイトと、10人のソルジャーと5人のアーチャー、20人の雑兵を率いてやってきた。
ソシアルナイトの一人が馬から降りて、私のもとにやってくる。
「賊討伐の協力に感謝します。ラグナ侯爵に代わりお礼申し上げます。」
「う、うむ。」
いやぁ、もやもやする。
「清州領主織田候、これよりは我々がラグナ候城へご案内します。」
そうか、彼らは賊討伐の軍じゃないのか
そういえば、後ろの方の雑兵は賊出現の知らせを受けて途中の村々で徴兵したのだろう。
やる気のなさを感じる。
ちなみに我々が連れている雑兵は、ちゃんと給金を払っているし有事以外は世話役の様な者だ。兵士としての給金と世話人としての給金両方をもらえる訳だし、うちの雑兵はやる気に満ち溢れているわけじゃないが、やる気がないわけでもない。
そう言った意味でも、ラグナ領軍の雑兵よりは上だ。
ちょっとした優越感。
おっと、悦にひっている間にラグナ候城に着いたようだ。
小姓の少年が馬車の扉を開ける。
ラグナ領の使用人が開けるのか、うちの小姓が開けるのか少し気になったが、うちの小姓が開けることになっていたようだ。
ラグナ候の使用人、初老の執事が丁寧な挨拶をして我々を城内の客間に案内した。
ラグナ侯爵ドバノンとその妻及び娘と会席を設けられた。
ステーキやローストビーフ、サーモンマリネとかそう言った料理が出される。
うまいな、肉は牛に限る。
そうか、ドバノン殿の奥さんはイリアの天馬騎士なのか。
イリアの騎士と言えば傭兵なのでしょう?お二人のなれそめは?
両軍の騎士として雇ったのですか。ほぅ…それはそれは。
いやはや、なんと。
うーむ、それはそれは。
…あー……うん………えぇ…………あ、はい……………。
とりあえず、人との恋バナなんて聞くべきじゃない。
特に自分と接点のない人間なんて、自分に関係ないのだから…。
序盤こそ、楽しく聞かせてもらったが中盤以降は飽きる。
つまらない、おい娘さんが飽きて寝てしまってるぞ?
「おや、娘さんはお疲れの様だ。」
「これは失礼。」
「今日のところは、ひとまず。」
ドバノン候の娘さん。セルディア姫ナイスだ!よく寝てくれた!
これで、興味のない他人のコイバナから解放される。
侯爵との交易関連の交渉は、光秀か義冬にやらせようかな。
これ以上恋バナは聞きたくない。独り身の俺にはな!辛いんだよ!思いのほか!
となると、明日はどうするか?
侯爵夫人と会うか?
いや、それだと旦那の仕事中に人妻に迫る間男みたいで何か嫌だ。
じゃあ、娘さん?一桁前半の子供を相手にして何が楽しい?私はロリコンじゃない。そう言うのは柴田殿の担当(超失礼)だ。
では、どうする。
部屋で仮病を使ってだらだらしよう。
光秀、あとは頼んだ。
俺は、寝る。たまに酒を飲む。
あ、違った。
私は深謀遠慮の考えの末、光秀にこの交渉を任せることを最良と判断したのだ。
うむ、その通り!間違いない!