戦国エンブレム   作:公家麻呂

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03話 タニア領にて、特になし

 

ラグナ領と一応の外交交渉を済ませ、関税協定なんかを結んで次の行先へ行くわけだ。

確か次の行先は、えーとタニア領だったか。

 

移動は馬車だな、籠を使ってもよいのだが、馬車に比べると見栄えが悪いような気がするし、馬車の方が早い。というか、この人数で籠を使った大名行列しても、パッとしないしなぁ。

やれと言われればやるけど…。やれと言う奴もいないからな。

 

そして、現れる山賊。

 

「げへへへへ、命が惜しければ金目のもん全部置いて行きな。クソムシ山賊団の名前くらい聞いたことがあるだろ?」

 

何だこいつら?腐ってもこっちは正規軍なんだけど!?

ほぼ同数で挑んでくるとか。バカなんだろうか?

そもそも、村からそんなに離れてないし…。

治安悪すぎないか?無法者多すぎないか?

 

とりあえず、どうにかしないとな。

 

「光秀、山賊どもを蹴散らしてこい。」

「っは、お任せを!!者ども掛かれ!!」

 

輸送隊を残して、兵士たちを率いて進軍していく光秀たち。

輸送隊と小姓に武器を持たせて待機することに…。

なんで、俺のこと置いて行くの?ロードのクラスだよ!?育てろよ俺を!?

ラスボス戦で詰むぞ!?おい!!

 

とにもかくにも、暇だ。

ふむ、近くの民家に山賊が現れたことを知らせるか。

小姓を連れて「すいません。誰かいますか?」

 

「おや?どちら様です?」

「うむ、異国の使節団の者だが、近くに山賊が現れてな。少々危険かと思い知らせて回っているのだ。」

「おお、それはそれは御親切に…よろしければこれを。」

 

信雄は、ニンジンを手に入れた。

 

周辺の民家に声をかけて回る。

 

信雄はニンジンを5本手に入れた。

 

うん、戻ろう。

 

「殿!山賊は片付けましたぞ!!」

「私は、ニンジンを5本手に入れたぞ。」

「は?」

「私は、ニンジンを5本手に入れたぞ!」

「…あ、なるほど!周辺の民家に危機を知らせておられたのですな!!なんと慈悲深い!!」

「う、うむ。」

 

なんで、これで解るんだろう。光秀は優秀だなぁ。

って言うか。今、一瞬「は?」って言ったぞ!?どんな風に脳内で修正加えたんだ?

できれば、私を放置するのをやめてほしいのだがな!!

 

 

「そこの一団!!無事であったか!!ん!?その身なりは倭の者か?となると清州候であらせられるか?」

「うむ、その通りだ。」

 

いかついアーマーナイトと言うかジェネラルか?が駆け寄ってくる。

あんな重そうな鎧着て、よく走れるな。

 

「なんと!?これは失礼した。タニア候護衛隊長のゴルドーと申します。主人も近くにおりますので合流してタニア城までご案内します。」

「頼む。」

 

その後、我々はゴルドー殿に連れられ、タニア候と合流。

タニア城まで通された。

 

 

タニア城でも、領主と会食をして一応の外交交渉を済ませ、関税協定なんかを結ぶ流れだ。

少々気やすいかもしれないが、テラスの方でお茶を飲みながらだ。

 

「ところで、清州候はオスティアへはこの後、どのように?」

 

「旧サンタルス領を抜けてラウス領・トリア領を抜けようかと思ってる。」

 

「ラウス領はやめといたほうがいいですな。ラウス候エリックには悪いうわさが多い。旧キアラン領、トスカナ領を抜けてトリア領に出る形にした方がいいでしょう。」

 

「ラウスはそんなに治安が?」

 

「治安もなきにしもですが、ラウスは15年前リキア同盟の裏切未遂の前科もありましたので若干孤立しているのです。貴国の外交団がラウスに立ち寄ったとなると貴国の今後にも悪い影響が出かねませんよ。」

 

「なるほど、御忠告感謝します。」

 

「もし、貴殿が不快に思わないのであればカートレーまでは我が領の兵で護衛しようと思うのだが?」

 

「それは助かります。」

 

子供がきゃっきゃと騒ぐ声が聞こえる。

視線を向けると、重騎士見習いと思しき少年と品のよさそうな少女が遊んでいるのが見えた。

 

「ご息女ですかな?」

 

「えぇ、身内の贔屓目に見ても将来は美女になるでしょう。将来の嫁ぎ先に貴国から婿を迎えるなど?」

 

この手の奴か…。織田幕府は大陸国家に珍しいものや、大陸で貴重とされる武具なんかを輸出しているので、外交利益で黒字を出している。

資金的に援助が欲しいという切実な理由を持っている者もあるが、そうでなくても婿嫁の候補には上がりやすい。

 

「ティーナ、こっちへ来なさい。清州候にご挨拶を…。」

 

タニア候に呼ばれたティーナ姫は、こちらにやって来て挨拶をしてくれた。

 

「初めまして、清州候様。タニア候が、息女ティーナです。以後お見知りおきくださいませ。」

 

まぁ、でもタニア候のそれは社交辞令的なものだな。

年齢は10行くか行かないかと言ったところ、娘さんを見ていると少々お転婆なようだ。

しかしながら、教育は行き渡っているようできちんと貴族の娘さんだ。

 

「礼儀作法もしっかりとして、聡明そうな娘さんだ。タニア候としても鼻高々でしょうな。」

「っはは。」

「はずかしいですわ。」

 

こういうリップサービスにも対応しきれる当たり、若くても貴族の娘さんだ。

 

「清州候、良ければしばらく、こちらで逗留されては?」

「タニア候、さすがにそれは悪かろう。」

「トスカナ領、ラウス領には使者を出したので、使者が戻るまで滞在なさって欲しい。清州候の仕事の邪魔にならんように使者は馬車ではなく早馬で出しているから、そう長くないはずです。」

 

タニア候は聡明であるな。

ここは招待を受けるべきか…。

 

「では、よろしくお願いしよう。」

 

タニア領では3泊ほどすることに、その3泊で何かあったわけではないので割愛。

その3日でタニア候弟ランウォードとも接点を持つことか出来た。

二人とも聡明な人物であった。今後の外交交渉では、引き継だ誰かが苦労しそうだと、心の中で苦笑した。

 

3日目の夜、タニア候に酒のお誘いを受け。

候の私室へとお邪魔することに、表向きは私的なものだが、表情の細部を見るにそれなりに重要な話の様だ。

その日の夜、秘密協定だなんだの交渉もあるだろうと予想した私は、光秀と義冬を連れてタニア候の指定した小さめのサロンルームへ通される。

やはりと言うべきか。タニア候の他にも候弟ランウォード、タニア領軍宿将ゴルドーが席についていた。

間違いない、きな臭い話だ。

 

「清州候は、最近のベルンの動きはご存知かな?」

「えぇ、それなりには…。」

 

「ベルンでは最近、お家騒動があって先王デズモンドが廃され、長子ゼフィールが戴冠した訳だ。そのゼフィールは最近、軍の更新再編を完了させつつある。」

「正攻法ではないやり方で王位を手に入れたのですから、先王派などと張り合うには軍を掌握するのは当然ではないのかな?」

 

「確かにその通りです。最近は先王派やその他対立派閥の貴族たちの粛清が相次いでいる。それこそ、軍も動いている。」

「そう珍しいことではないでしょう?」

 

タニア候と信雄は問答を繰り返す。

 

「少し引っかかることがありまして、ベルンは最近、国境線があいまいなサカ地方に対して、たびたび国境紛争が繰り返されています。先王や先々王時代の倍です。」

「リキアも狙われていると?ですが、それも珍しいことではないでしょう?」

 

リキアのタニアは織田を戦争に巻き込みたいのか?武器輸出には協力してもいいが…。

 

「えぇ、国家の規模や厚生から見てもエトルリアよりも我々リキアの方が狙われやすいと思いますからね。国境の重なる部分はこちらの方が多い。」

 

私は、光秀と義冬に目配せをする。

タニアはベルンと国境が接している。

そして、この3日で気が付いたがタニアの騎士団はベテラン勢が年齢的に佳境に差し掛かっている。ゴルドー将軍のように上位士官ならばまだしも、前線で戦う一兵卒では困る。

だからこそ、その息子や孫に引き継がせている最中なのだろう。

ベルンが野心を見せているこのタイミングで、ベテランから新兵へ切り替えを行うなど不安であるのかな。

だが、私にできることなど限られているのだけど。

光秀が耳打ちで、「ここは私が」と言ってきたので任せることにした。

 

「我が国としては、オスティア候次第ではありますが、武器やその材料の輸出の用意はあります。我が国の玉鋼などは…」

 

後は光秀と義冬に任せてよいだろう。

タニア候は軍拡に肯定的で、我が国と積極的にかかわろうとしている。

リキア同盟は候の集合体でたくさんの派閥がある。

オスティア候、まぁタニア候もだが、いやエレブ大陸全体に言えることだが、騎士団・兵団は白兵戦主体。ほとんど、うちの織田幕府軍限定と言ってもいいのかもしれないが射撃戦主体の軍の兵装が適合するのだろうか。

 

我が国の日本刀、向こうでは倭刀と呼ばれているのか。

倭刀事体、切れ味はキルソードと対をなす。自分としてはそれ以上と自負する武器だ。

これを輸出するのもありだ。ただ、値が張るのでリキアの一領主ではキツイ出費だ。

となると、原材料の玉鋼。玉鋼はエレブ鋼より軽く、鉄より硬い。両者のいいとこ取りをした存在だ。エレブ鋼より割高だが、倭刀を買うよりは安くつく。

そっちの購入だろうな。

そういえば、うちの軍の主武装は火縄銃だ。親父が、若いころにこれからは銃の時代と織田家の軍は銃の配備が進められた。

銃にはある種のロマンがあるし、火縄銃用の銃剣が開発されて近接戦闘も弱点と呼べるほどではなくなった。優秀な武器なんだよな、でもエレブ大陸では人気がないし、兄貴・親父も売りたがらない。

売り込みに成功すれば莫大な富を生むのに…、なんて思ってた時期もあるが、弱点はまだ存在する。命中精度だ、陸の兵なら横隊で段撃ちで何とでもなるが、飛竜や天馬騎士となるとこれがまた、なかなか当たらない。弓同様特攻なんだが、命中精度がどうしても悪いんだな。

 

 

ん、下らんことを考えていると光秀たちが、タニア候と話を詰めたようだ。

後で、詳細を聞いておこう。

 

あー疲れた。特に何もしてないけど疲れた。寝る。

 

 

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