薄暗い室内ではやてが微睡んでいると、
部屋の隅に女が二人現れた。
栗色の髪の女が蹲り、声を絞り出す。
「おなか‥空いたの‥」
直ぐ様、金髪の女がランチボックスを取り出す。
「なのは‥これを‥!」
「フェイトちゃん‥ありがとう‥なの♪」
なのはちゃんは趣に口の上でランチボックスを逆さまにして、中から落ちてくるから揚げを口へと吸い込んでいく。次の瞬間にはランチボックスは空になっていた。
「ぬうううぅ!力がみなぎるのおぉぉ!」
なのはちゃんの叫びと共に、彼女の身体のいたるところが、バルクアップし、一回り大きくなる。なのははその場に膝を付きながら呟いた。
「こ、これは‥?」
えっ?予想外の出来事なの?
なにそれこわい。
そんななのはちゃんの変化を呆然と眺めていたフェイトちゃんが呟く。
「私だ‥」
そんなフェイトちゃんの呟きを受けて、なのはちゃんが立ち上がる。
「おまえだったのか‥」
「暇をもて余した‥」
「魔法少女達の‥」
「「寸劇」」
そしてハモりながら二人揃ってこちらを向いてポージング。
やかましいわ。
暇もて余し過ぎやろ。
多少とはいえ心配して損したわ。
私は絶対関係無い。
二人がこんななったのは、私のせいでは絶対に無い。
「さて‥今日は始めからフェイトちゃんがおるなんて珍しいな?」
「意味がわからないよ」
えっ?そう?
「うん‥今回は私の方で管理局内で行われている問題行為の証拠映像を手に入れたんだ‥」
「ほう?」
「二人ともこれを見てみて‥」
と、フェイトちゃんは手際良くDVDプレーヤーをセッティングし、懐からとり出した円盤をセットし、再生する。
「んぁっ‥いやっ‥ダメ‥です‥っ‥そんなところに‥指っ‥っんっお尻はっ‥やめってっ‥くださっ‥」
画面から流れてきたのは艶かしい女の嬌声。
これは‥管理局内でセクハラ行為が起きている‥ということだろうか‥?
だとしたら、女の敵やな‥許せんわ‥!
私が怒りで顔を赤くしながら、二人を見ると、二人とも怒りで顔を赤くしていた。
てか、二人ともガン見である。
尚も、画面の中の行為は続き、エスカレートしていく。というか、この女性の声、聞き覚えあるような‥
「ああっ‥もうっ‥これ以上‥はぁっ‥やめてくださっ‥我が‥ある‥j‥」
そこで、再生は途絶えた。ていうか私がプレーヤーを叩き壊した。
「ねえ?はやてちゃん?今、我が主って言ってなかった?」
「いんや、私にはキコエンカッタワ‥」
流石なのはちゃん。あの一瞬を聞き逃さないとは‥
「というか被害者の女性の声、シグナムに似てるんだけど‥」
更にフェイトちゃんがジト目で突っこみを入れてくる。
「さあ‥今日も管理局の平和を守りにイコカー」
と、外へと出ようとする私の肩に、手が置かれる。
握る力が強すぎて肩外れそう‥痛い痛い!
「‥遺言はあるか?」
恐ろしい声でなのはちゃんが威嚇してくる。
「ここで、私が倒れても、第2第3の私が再び、シグナムを辱しめるだろう」
「そうか‥残念なの‥」
なのはちゃんの声の温度が1℃下がった。と、同時に、私の四肢をバインドが拘束する。
私は覚悟を決めて、目を閉じた。
そして、部屋をピンク色の、閃光が覆い尽くした。
シグナムを辱しめたいだけの人生だった。
あいからわずこちらは思い付きをツラツラと書くだけのシリーズ。
メイン長編の方で使えないネタの消費に丁度良い。
これからも、こちらは不定期で続けたいと存じます。緩くお付き合い頂けると有り難いですm(__)m