GPが開催されない夏休みだったにもかかわらず慌ただしい8月が終わり、第20回の選手権も佳境を迎える。第7戦のフランスGPでポイントリーダーの風見ハヤトが事故死したこともあって、チャンピオン争いは混沌としていた。
シーズン開始時の主要チームの布陣は以下の通りだった。
スゴウGIOグランプリ [GIO]
風見ハヤト
レオン・アンハート
スゴウGIOウィナーズ [GIO]
エデリー・ブーツホルツ
日吉明
アオイZIPフォーミュラ [AOI]
新条直輝
ジェフリー・ジョンソン *
アオイZIPレーシング [AOI]
司馬誠一郎
ヤン・ウー・チェン *
ユニオンセイバー [ユニオン]
カール・リヒター・フォン・ランドル
セラ・ギャラガー
ユニオンシールド [ユニオン]
アンリ・クレイトー
ミケーレ・アスカーリ *
シュトルムツェンダー [シュトロブラムス]
ジャッキー・グーデリアン
マリー・アルベルト・ルイザ
コーイヌールレーシング [ユニオン]
ビリー・ハインツ・ガーネット
セバスチャン・パジェノー *
A.G.S. [GIO]
カルロス・フィッティパルディ *
カルソン・ニナ
ミッシングリンク [GIO]
ヴォルフガング・フォン・シュナイダー *
マーカス・マキネン *
S.G.M. [シュトロブラムス]
ジェイコブ・ミハエル・レンツ
ルードリッヒ・ベロフ *
(*がオリジナルキャラクター)
[ ]内が搭載エンジンとなっており、概ね主要4メーカーから供給を受けている。SUGOとの提携を機にCFに参入して早くからチャンピオンエンジンとしての地位を確立したGIOは、カスタマーチームとしてA.G.S.とミッシングリンクにも供給している。これはピタリア・ロペの熱心な売り込み、及び現在SUGOチーム内での地位を確立したブーツホルツによる影響が大きいとされた。
主要3チームとほぼ同等のプライベーター、シュトルムツェンダーは言わずと知れたフランツ・ハイネル率いるチームである。彼が立ち上げたシュトロゼック・プロジェクトには彼の実家である有名自動車メーカー、シュトロブラムスもエンジン部門で参加して協力体制にあり、早期の成熟や耐久性のテストを企図してハイネルの古巣S.G.M.にもカスタマー供給している。
一方で日本の自動車メーカーの雄AOIは独自性を保ち、現在のところ他のチームへのエンジン供給は行っていない。ドライバー選択についてはオーナーサイドの意見が強く反映されると言われ、日本人を主としてアジア系のドライバーを多く起用する傾向がある。今期デビューのヤンも期待の中国人ドライバーだ。
ユニオンはランドル家によって完全に吸収合併されてから拡大傾向にある。他メーカーより安価にカスタマー契約できるためか、ヨーロッパ系のチームのみならず特に新規参入チームはほぼユニオン搭載からの流れが加速している。また、エンジンのみならずギアボックスやパワートレインなどの部分についてもカスタマー供給に積極的である。ただし、ユニオンセイバー・ユニオンシールドのワークスチームとは仕様がやや異なるとの噂が根強い。
次に2025年の開催予定を記す、開催地がより増して全15戦となっている。
アメリカ(4/13) インディアナポリスMSW
ブラジル(4/27) リオデジャネイロ特設コース
メキシコ(5/4) ロドリゲスサーキット
オーストリア(5/25) ユニオンリンク
イタリア(6/1) 旧モンツァサーキット
イギリス(6/15) ヒースロー空港特設サーキット
フランス(6/29) サルトサーキット
ドイツ(7/13) ヴォルフスブルク市街地コース
スペイン(7/27) カタルーニャサーキット
エジプト(9/7) スフィンクスサーキット
アブダビ(9/14) 海浜砂中特設コース
シンガポール(9/28) シンガポール市街地コース
オーストラリア(10/5) アデレード郊外特設サーキット
中国(10/26) 上海特設サーキット
日本(11/2) 富士岡サーキット
(ポイントは上位6位までに10・6・4・3・2・1の配分)
近年の超ハイテク&高速化を憂いていたFICCY側は今期から車両開発に制限を掛け始めていた。具体的には開催地によるリストリクター設置の義務付け、サイバーシステムの介入度の縮小、タイヤのナロー化、車輪数によって決まる最低重量の引き上げなどである。概してドライバーにとって運転しづらくなったことは言うまでもなく、それが興行的な成功に繋がることをFICCYは期待していたと言える。
しかし結果としてそれが不世出の天才を失う遠因となってしまった今となっては、何とも言えない気まずさを皆が共有することに繋がるだけだった。
そんな空気が醸成され、消し去ることが出来ないまま第10戦エジプトGPを迎えようとしていた。
あらかた設定がこれで固められたかな、と。