コードギアス 白蛇は勘違い   作:砂岩改(やや復活)

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テロリストからの天使

 前回のあらすじ。カレンと遊んだあとに恥ずかしい過去を知る人が現れた!

 

「白蛇…」

 

「ん?」

 

 だからなんであんたいるの?

 

「やはりここにいらっしゃいましたか!」

 

 ちょっと、なんで敬語?なんか土下座しそうな勢いなんですけど、恐怖を覚えだしましたけど!

 

「どうか、あの時の奇跡を我々に与えてください!」

 

 次回、新世紀エヴァ◯ゲリオン…奇跡の価値は?やかましいわ!あまりの事態に現実逃避したじゃないか!なんで向こうから来るの?なんでシンジュクゲットーにいるんだよ!

 

「どういうことだ?」

 

「我々は貴方に相応しくあろうとしました。賛同者も増えております。ぜひ、我々のリーダーとして!」

 

 質問大切。聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥っていうからね。からのなんで俺がリーダーなんだよぉぉぉ!

 リーダーって言うのはね俺のような一般ピーポーじゃないひとがやるものなんてす!殿下もおっしゃってるでしょう!《自らの手を汚すことを、厭うてはならない。道を指し示そうとする者は、背負うべき責務の重さから目を背けてはならない》って!そんな大層な覚悟は俺にはない!

 

「白蛇さま…」

 

 やめて、様づけしないで!しかも年上から言われるとなんか変な感じがする!ここは正直に覚悟がないって言うしかない!

 

「俺は命を背負うつもりはない」

 

「はい、貴方なら命を背負う必要はないでしょう」

 

 ホワイ?なに言ってるの貴方?俺の理解力が追い着いていないだけ?あ、リーダーってあれね偶像とか象徴とかそういう感じね。後ろで座っていてくれって事でおけ?

 

「そういえば、桐山さんから伝言があります。《あの子は無事に助けられた。貴方のお陰です》っと」

 

「そうか…あの怪我でよく」

 

 え、あの子。助かったの?あんなに大怪我してたのに…。良かったなぁ…。

 

「貴方が居なければあの子もその友達も死んでいたでしょう。貴方は我々、イバラキゲットーの救世主なのです」

 

「俺に柱になれと言うのか?」

 

「いえ、貴方は既に私たちの柱です」

 

 柱、やはり俺に旗印になれと言っているのか。俺の指揮能力の低さはイバラキゲットーにおける戦闘で露呈した。だが、俺にリーダーになれと言う。ゼロといい仮面被ってた方が象徴としては良いのだろうか?

 

「そうか…」

 

 マイリスペクト悠陽殿下は仮面被ってなかったけどね。でもシャアとか仮面キャラが上に立つのって多い気がする。

 俺がそんなものであの子のような子が救えるのなら…。

 

「用件はそれだけか?分かっている筈だ、俺の意思は最初から変わらない」

 

 いや、俺はそんな出来た男じゃない。人の命を引っ張っていけるほどの力も無ければ覚悟もないんだ。だからこそ冷たく切る。これでこちらがそんな意思がないと伝わるはずだ。

 

「いえ、もう一つ。京都にお越しいただいて欲しいのです」

 

「京都だと?」

 

「はい、京都は当然。ご存じですよね」

 

「あぁ、有名だからな」

 

 ってかバカにしてる?地理ぐらい分かりますけど!やっぱり無能だってバレてるわ。それでも求めてくるってどんだけ切迫してるのやら。

 

「そこでお会いしたいというお方がおりまして」

 

 せめてその方には会ってくれって意味か。こんなところまで探しに来てもらったのにそれも断るのは気が引けるな…。その人に会うだけはいいか…。もしかしたらそいつが伊丹たちの大本かもしれないし。

 

「…分かった」

 

「ありがとうございます」

 

 そうすると伊丹はアタッシュケースを渡してくる。爆弾じゃないでしょうね?どこかの旅の小説では開けて閉めた三秒か後に爆発するアタッシュケースがあったけどそれの親戚とかそういう感じじゃないよね?

 

「これは?」

 

「必要なものを纏めておきました。我々の誠意とお受け取りください」

 

 京都の旅とかのやつね。それにしても京都で会いたい人ってどんな人なんだろうね。そして沈黙、どうやらそっちの用は終わったようだ。そしたらすぐに帰った方がいいよね。一応、これもテロ行為だし。

 

(じゃあ、お先に失礼します)

 

 ふかぶかと頭を下げる伊丹を横目にそそくさと退散する俺。なんとも締まらない逃げかただった。

 

(伊丹さん…本当にごめんなさい)

 

 俺は戦わない、戦えないんだ。俺は救世主じゃない、何度も言うけどアニメや漫画などで活躍できる奴等みたいに能力を持っていない。だから、俺はルルーシュとナナリーが少しでも笑顔に居られるように友だちで居続けることを決めたんだ。

 

ーー

 

 カレンと遊んで伊丹さんと会って疲れた俺はアッシュフォードに戻りナナリーに会いに行く。

 

「ナナリー!」

 

「薫さん、また来られたのですか?」

 

「ナナリーは存在が癒しだからな」

 

 優しくナデナデ、ひたすらナデナデ。女子特有の距離感の近さはナナリー相手に対しては強く作用する。この妹力、そして包容力は本当に凄い違う扉を開きそうになる。

 

 え、女子とは話しにくいって言ってなかったかって?ナナリーはナナリーなんだよぉぉぉ!女の単位で括るんじゃねぇ!

 三ヶ月でこんなに仲良くなれたのも俺の過去のお陰だと思うと感謝したくなる。

 

「薫、また来ていたのか?」

 

「ルルーシュ、駄目だったか?」

 

「いや、お前も楽しそうで何よりだ」

 

 一階の声を聞き付けてルルーシュも登場。さらに咲世子さんも現れてリビングが一気に賑やかになる。

 

「薫さま、何にいたしますか?」

 

「咲世子さんにお任せします」

 

「承知いたしました」

 

 キッチンに消えていく咲世子さん。そして紅茶を片手に談笑するナナリー、ルルーシュは部屋から持ってきたチェス盤をテーブルに広げる。

 

「またやるのかルルーシュ?」

 

「あぁ、お前とやっていると愉しいからな」

 

「私は弱いぞ」

 

「そんなことありませんよ薫さん。この前だってお兄様、負けそうだったって言ってましたもの」

 

「ナナリー、そう言うことは」

 

「煽てるなよ、何も出ないぞ」

 

「分かっている、気にするな」

 

 あぁ、この時間が凄く楽しい。家族も友達も世界も全て失った俺にはこの空間が唯一の場所とも言える場所だった。

 

「ここはどうだ?」

 

「む、やるな」

 

 絶賛チェス中の俺は他のことを考えていた。どうせ何も考えずに打っているのだ。やっていることはあまり変わらない。

 

(そういえばシャーリーとルルーシュはくっつかないな)

 

 映画ではシャーリーはルルーシュにベタぼれだったがそんな予兆はない。それどころか好感度はマイナスだ。シャーリー曰く《頭いいくせにお高く止まってるのが嫌いらしい》ラブリーマイエンジェルシャーリーがそんなこと言うとは思わなかったが。

 まぁ、言われてみれば思い当たる節はいくつかあるな。

 

「ナナリー様、そろそろお時間です」

 

「もうそんな時間ですか?」

 

 咲世子さんはナナリーの就寝時間であることを知らせると彼女は残念そうな顔をする。

 

「薫さんは泊まって行かないのですか?」

 

「すまない、ナナリー。今日は私服で来てるんだ、制服がない」

 

「そうですか、それは残念です」

 

 うん、天使だ。結婚しよ…。

 

「俺の制服は着られないのか?」

 

 こらルルーシュ、お前は俺の味方だろうが。なぜか最近はルルーシュも俺が泊まっていくことを勧めてくるようになった。おい、シスコンそれでいいのか?

 

「胸が入らん」

 

 悪いなルルーシュ、お前の細身に合わせた制服だと上着が入らん。入学式から何度かサラシチャレンジはしてみたんだが上手くいかなかった。あれはね、アニメだけの話ですわ。あ、これもアニメの中か?

 

「そ、そうか…」

 

 そして照れるなルルーシュ。俺は男だ、読者はBLを望んでいない。そして俺はノーマルなので女好きだ。ガチの美人はだいたいレズ(偏見の塊)。

 

「それは仕方ありませんね。遅くならないようにしてくださいね」

 

「ありがとう、ナナリー」

 

 マイ天使、心のオアシスが退出。そのあとは咲世子さんも帰宅、クラブハウスにはルルーシュと俺だけになった。

 

「どうしたんだ?」

 

「なんだ、急に…」

 

「何かあったのか?」

 

「…いや」

 

 なんかルルーシュが優しい。映画での容赦のないルルーシュを見ているとなんか裏がありそうだが三ヶ月も暮らしていると少しは分かってくるようになった。

 彼の探りは一種の癖のようなものだ。幼少期に裏切りだらけの生活を送らされた弊害といっても良いだろうか。

 

「お前こそなにもないんだな?」

 

「俺か?」

 

「あぁ…」

 

 自分が具合が悪いときって他人に話を振る傾向がある。これはルルーシュだけじゃなく人も同様の行動を起こすことが多い。それを思って聞いてみたが特にないようだ。これは失礼と話題を変えてみる。

 

「買い物でもしてみたらどうだ?」

 

「欲しいものといっても特にないな」

 

「そんなことはないだろう」

 

 欲しいものがないなんて普通ではあり得ないだろう。どんだけ優等生なんだよ。

 

「チェックメイト」

 

「なに?」

 

 適当に動かしていたらクイーンがルルーシュのキングを狙い澄ましていた。キングは逃げ場がない、これは詰みだ。

 

「俺が負けたのか?」

 

「クイーンは強いぞ」

 

 クイーンは強い、使い勝手がいいから俺は好きだ。ナイトとかよく分からん。

 

「ありがとう…」

 

 ほう、負けて礼を言われるとは思わなかった。負けることで己の未熟さを知るそれを教えてくれた相手には礼節を尽くさねばならない。武道的な考え方だがルルーシュがそれに精通しているとは思わなかった。

 

「そろそろ帰る」

 

 時間は9時半、そろそろ帰らないとヤバイ。補導される。

 

「送っていく」

 

「…いや、いい」

 

 ルルーシュにはナナリーと一緒にいて欲しい。それは俺の願いだ、その思いを汲んでくれたのか彼は引き下がってくれる。

 

「じゃあ、また明日な」

 

「あぁ、そういえば明日。出掛けるつもりなんだがお前も来ないか?」

 

「ん?俺は別に構わないが」

 

「分かった、詳しい話はまた明日」

 

「あぁ」

 

 去り際の言葉を受け取った俺はクラブハウスを出て帰路に就くのだった。

 

 

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