ナナリーから癒しを貰った次の日。シャーリーのお昼を泣く泣く断り、屋上で昼食を取りながらルルーシュと話していた。
「非合法チェス?」
「あぁ、互いに金額を吹っ掛けてチェスで勝負する。貴族の娯楽みたいな物さ」
「それで金を貯めてるのか?」
「あぁ、EUや中華連邦の内政が混乱しているうちにネットバンクで荒稼ぎするのもいいが危険がある。これは比較的にリスクが少ない」
「なるほどな」
屋上に着くなり説明を開始するルルーシュの背後で俺はちょっとしたイタズラ?を思いつき実行していた。持ってきたのは敷物とお弁当を二つ。まぁ、冷凍食品と肉を焼いた男弁当だが勘弁。
(ズバリ、美少女から弁当を貰ったら照れるのか?検証ぅ!)パフ、パフパフ!
昨日は胸と言うワードだけで照れまくったルルーシュ君の女性耐性を検証する今回の企画は俺が生前、転生前といった方が良いのかな?とにかく、前の俺が美少女にして欲しかった願望をルルーシュ君に押し付ける企画です!
最終的には壁ドンまで行こうと思います!これで一生からかってやるぜ!
「どうした?」
「どうせ、お前は購買のパンだろう。俺が作ってきてやった」
「なに?」
あやしみながらもきっちり弁当を受けとるルルーシュ。おい、照れろよ。
「毒なんて入ってないぞ」
「いや、そう言うわけではないんだが…お前なんか話したいことが?」
「特に理由はない、気が向いただけだ」
「そ、そうか」
何事も理由がないとルルーシュが納得しないんだな。バカめ、俺の施しを受けるがいい堅物、ここでこういう耐性を着けることでシャーリーとルルーシュをくっつけてやるぜ!
まぁ、反応を見たいと言う俺の願望もあるがシャーリーとルルーシュをくっつけると言うメインの目的がある。
まぁ、そのためにはルルーシュの琴線を見つけなきゃならんのだが。勘違いされてこっちに異性的好意があると思われても困るしな。
「難しいな…」
「どうした?」
「いや、何でもない」
その後もルルーシュの説明を受けて放課後に合流することになった。移動手段は公共交通機関、そういえばリヴァルが居ないのか。
気づかなかったが生徒会メンバーであるリヴァルはいない、確か同じクラスだった筈だが。基本的にシャーリーと一緒に居たから気づかなかったな。
「カオルって、ルルーシュ君とはどんな関係なの?」
「ん?」
「いや、よく一緒にいるから気になって」
どうしたラブリーエンジェルシャーリー?
科学の授業のために移動していた俺とシャーリー。彼女の質問に俺は首を傾げる。
「幼馴染みらしい。昔の記憶はないのだが、良くしてもらっている」
「記憶がないって…大丈夫なの?」
「俺は気にしてない」
「そうなんだ、なら聞かない」
こう言う察しの良さも彼女の魅力だよな。俺は彼女ほどの人間を知らない。前の世界ではこんな理想の塊なんて子は居なかったわ。
「付き合ってるの?」
「っ!?」
まさかの爆弾発言。思いっきりずっこけそうになるが必死に耐える。俺はノーマルだ!
「俺は男に興味はない!」
「え、あ…うん。そういう感じね、私はよく分からないけどそれもいいと思うよ!」
ん、待て。俺はさっき、物凄いカミングアウトをしてしまったのでは?
「待てシャーリー。間違っていないが間違っている、だから引かないでくれ」
「え、うん?大丈夫、私は友達だから!」
シャーリーの優しさが痛い!待ってくれ、確かに俺は女が好きだが外聞的に不味い、待ってくれぇ!
「神はこの世に居ないのか!」
「俺のカオルちゃんが!」
「それでも好きだ!」
「むしろそっちの方が興奮する!」
「キマシ!」
待てコラ外野。勝手に騒いでんじゃね、二人目!その妄想は頭の中にしまっとけ、後半二人!気持ちは分かるが黙ってろ!
「私にもワンチャンあり?」
「キャー、私を抱いてカオル様ぁ!」
「薄い本が厚くなるわ!」
ギャァー、瞬く間に広がっていくぅ。高校生の電波力凄まじすぎだろ。そして性癖開花して引かれてるやつ居るぞ!そこぉ、俺で描くなぁぁぁぁぁ!
「シャーリー!」
「ご、ごめんなさいぃぃぃぃ!」
その後、カオル・ヴィヨネットは男も女もいける両刀使いと一部の女子と男子に広がり、カオル親衛隊の入団者が激増したらしい(主に女子が)。
ーー
「……」
「大丈夫か?」
「大丈夫だ…」
そして放課後。シャーリーから伝播した噂は当然の如く、クラスの外に漏れだし男子と女子(一部の特殊な訓練を受けた)が殺到。カオル親衛隊(自称)たちの護衛(自主的に)のお陰でなんとか学校を脱出したのだ。
アッシュフォードの男子間ではそれぞれの推しによって地下闘争があるのだがそれはまた別の話で…。
「お前は人気があるからな」
「そうらしい…」
美少女も楽じゃないな。これからは振る舞いを考えないと同じ事が起こりそうだ。外見はあれだが中身は男だ、そういうことは全く考えてなかった。
「無理することはないぞ」
「この調子だとナナリーにも会えないし、気晴らしにチェスでもさせてくれ」
ルルーシュの優しさが心に染みる。彼は本当に親友だよ…アイツは何をしているだろうか。
一緒に映画を観に行った友人、
(どっちにしろ、確かめられないか…)
「降りるぞ」
「あぁ」
気を取り直してバスを降りるルルーシュと俺。時間は少し遅め。二人とも制服でバーの中に入っていく。
「ここが非合法チェスを斡旋しているバーだ」
「あれは…」
そんな非合法賭博場と化しているバーの一角。そこにはリヴァルが苦悶の表情を浮かべながらチェスをしていた。
「クラスメイトだな。気になるか?」
「助けられるか?」
「あの盤面ならいくらでも逆転できる」
「頼む…」
「薫の頼みなら仕方ないか…」
やれやれと言った感じでリヴァルの元に向かうルルーシュ。
「君もチェスをしに来たのかな?」
「いえ、連れの付き添いです」
ルルーシュを見送ると恰幅のいい貴族がやってくる。
「彼氏の応援かな。残念だがここは子供の遊び場じゃない、彼氏を慰める準備でもするのだな」
「失礼だな、アンタ。アイツが負けるわけないだろ」
ルルーシュの事をバカにされて思わず頭に来る。あいつの強さは折り紙つきだ、負けるわけないと笑っていればいいんだろうがバカにされたのが許せなかった。
「どうかな、どうせ君とじゃれ会うためにしていただけだ」
「喧嘩を売ってるのか?」
「なら私と勝負するかね?」
「いいだろう」
俺だってルルーシュに鍛えられてる。やってやろうじゃないか。
「金は持ってきてるかね?」
「ない」
「私が負けたらこの小切手に好きなだけ書くがいいだが私が勝ったら君を召し使いとして使い倒してやろう」
「いいだろう」
かかったと言わんばかりに笑う貴族。その笑みを見て俺は事の重大さに気づいてしまった。不味い、これって負けたらかなりヤバイんじゃね。
「あの…」
「もう遅い。君はいいスタイルだなぁ」
ゾワゾワと悪寒が走る。どうやら頑張って勝つしかないようだ。
ーー
そして10分ほどが経過した。
(ヤバイヤバイヤバイ!)
こっちの心の余裕がない上に完全に相手の手の上だ。3ヶ月で二、三十回もやらされたらこちらもやり方を覚えるし現在の状況がどのような状態かぐらい分かる。
「お嬢ちゃん、どうやらこの戦いは私の勝ちのようだね」
「いえ、どうでしょう」
「強がるな、さぁ。今夜は君とたっぷり遊ぶとしよう」
「……」
どうしよう。ルルーシュ!ヘルプミー!俺が◯人誌になっちゃうぉぉぉぉ!
こちらがピンチだと分かっている筈なのにルルーシュは動かない。なにやってんだこの野郎、助けてくださいお願います!小さくルルーシュに手を降るが相変わらず動かない。
(こうなったら万能のクイーン先輩で敵陣に斬り込むしかねぇ!)←ヤケクソ
まずは怖いビショップとルークを潰す。まずはビショップ先輩だ!突撃ぃぁぁぁぁぁ!
二分後
よっしゃあ、なんか知らんけどクイーン先輩の大暴れで形勢逆転じゃぁ!
「どういうことだ!」
知るかボケぇ、俺にやられるんならお前が下手なんだよ!ふははっ!今頃、焦っても遅いわ。すべては俺の掌の上なんだよ(調子乗ってる)
五分後
「チェックメイト」
「馬鹿な…」
よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!クイーン先輩を舐めるなよ、この野郎!
心の中ではミニカオルが飛びはねダンスを披露している。じゃあ、この小切手貰ってきますね。
「ルルーシュ」
「ん、これは」
「好きな額を書き込め」
「くぅ…」
悔しがる貴族。俺はどれぐらいが引き出せるいい塩梅なのか分からないのでルルーシュに小切手を提出。受け取ったルルーシュはすぐさま金額を書き込む。
「貴様っ、吹っ掛けすぎだろう!」
金額を見て怒鳴る貴族だがルルーシュは耳打ちをするとみるみる大人しくなっていく。
「分かった、振り込む…」
こうして人生初めての賭けチェスは無事に終息した。
「いやぁ、ルルーシュといい二人はチェス強いんだな」
「俺なんてルルーシュの足元にも及ばない」
40戦39敗1勝なんて悲惨な数字だからな。ルルーシュとの成績はこんな、悲惨な数字を示している。よく心がおれなかったと誉めてくれ。
「どうだ、俺。バイク持ってるんだけどお礼に送っていこうか?」
「いや、いい」
「送ってもらおうか」
「おい!」
「ん?」
え、ラッキーじゃん。バス代も浮くしすぐに家に着くし、いいことずくめじゃないか。
「お前はなんで変なところで抜けてるんだ」
「失礼な…」
俺は目を点にするリヴァルを横目を横目にルルーシュに連れて行かれるのだった。